ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

ある時は片眼の運転手、またある時は……何でしたっけ

 

2009年06月10日

 

さ て『 有明・多羅尾判内ショー 』 の巻

(指定BGM: ミッシェル・ガン・エレファント / ロシアン・ハスキー

 

 

さて、『黄昏(たそがれ)』 とは夕刻の日の入り時の空模様を描き表わした “当て字” にございまして、本来は 『誰(た)そ彼』 と書きましたごとく、日没前の薄暗がりで相手の判別ができない様を表したのが起源とされておりましたりおりませんでしたりと、記憶が 芦屋小雁 岩本虎眼先生よりマシな程度な昨今。マァ交通事故がもっとも発生しやすい時間帯も夕暮れ時とされておりますのを鑑みましても、まず間違いはないと存じますほらふき男爵にございます。



今は昔、吾が輩がけっこう定期的にTFTに通っておりました当時、

『あの小汚い風体の長袖にはだしの少年は、水島新司氏の “銭っ子” でございましょうか……それともまさか、Theかぼちゃワイン DEATH NOTE の “L” のつもりなのでございましょうか!!』

と、堅くにぎり締めました拳に熱い息を吐きかけ、憶えず 『お父さんパンチ』 を繰り出しそうになりましたり、あるいはテキトーなツインテールを結んでスクール水着という出で立ちで、胸元に “惣流” と書かれました布地を縫いつけただけのかなり卑怯な衣装
(注1)を発見し、

『そいつは、「こんばんは、森進一です」、「内田裕也。シェケナベイベェ!」 と、最初に
本名を出してしまいますダメ物まねとおなじでございましょう!!』

と、その安易な発想と肌の露出が多ければカメコの注目度も上がるであろうという品のございませぬ打算がどうにも鼻につきまして、あの人ゴミ 混みのなかを意地でも当人の前を避けて歩いたものでございます。



その一方で、豊島園にてスーツの色合いもご本人のお顔も非常に近似値の高い、藤井隆氏演じられますところの “マシュー”(もちろん白ウイッグ着用)と邂逅しました折りには、そのコスチュームの完成度もさることながら、流行りや人気に惑わされませぬ彼女の人選眼そのものにいたく心を打たれまして、

『吾が輩はこういうセンス大好きでございますワイ。頑張って下さい!』

とエールを送らさせていただきました記憶がしかとございます次第。


そちらと同心円上のお話しとしましては、かなり昔に参加した撮影会で出会いましたレイヤーさんにも斯様な趣向のお方がいらっしゃいまして、ご本人曰く、

『たまーに物凄く衣装もウィッグも凝りに凝って会場に出かけて、それでいて誰にもずーっと判ってもらえないんですが、閉館前の最後の最後で、「その衣装、○×の△□ですよね」 って言ってもらえたらそれだけで最高ーって考えることありますよ』

と申されます、ある意味仏教説諭的愉悦にも似た密かなお愉しみを莞爾として語られましたそのご尊顔とお言葉は、たった一度とは申しましても現在でもしかと憶えておりますほど強烈な印象として、吾が輩の心に旧広島産業奨励館入り口の座影よろしく焼き付いております次第にございます。


こ のような感じに、『確かにどこかで見掛けたキャラクターではございますが ―― ああ、彼女(彼)の正体は!』  という具合に、カメコやレイヤーさんの別け隔てなく会場中の興味と脳のシナプスを刺激できますようなコスプレも面白かろうと愚考いたします吾が輩。喩えて 申し上げますれば ……。





―― あちらにいらっしゃいますのは全身白タイツに妙にでか目の鼻とタラコくちびるの御仁。ストレッチマンとしますれば、いま少し珍妙な出で立ちでございますし。さるにても誰そ彼。

『ハッ!もしやあちらは、榎本俊二氏の “ゴールデンラッキー” の彼(注2)では!』

ううむ、出だしから簡素かつマニアックな …… オヤ?あちらの木津千里嬢好みの正確な七三分けに黒縁眼鏡、お鼻の下に蓄えましたおヒゲが頼もしい、白の三つ揃えスーツを着用されていらっしゃるのは ……。


やはり!かつて藤子A不二雄氏 “笑うせぇるすまん(原作)” にも頼もしい上司像として登場され、かつ吾が輩も “かくあるべし” と目標としておりますナイス・ミドル、芦田伸介氏だと思われますが、ハテ 『七人の刑事』 では、先の曲がりましたステッキなどは使用されておりませんでしたはずですが――

「たわけめ!おぬし、儂が判らんのか」
 
と仰いますやおもむろに手にしていたステッキをひねり、仕込んだ短刀
(注3)をきらつかせますそのお姿こそ、

「ハッ、あなたは映画 『戦争と人間』 に出演されておりました、伍代産業株式会社満州支社長・伍代喬介氏でございましたか。これは失礼をば」


……フゥ、さすがは中国国民党やソヴィエト共産党からも命をねらわれますほどのお方。滅多な動きをいたしますればこちらが命を落としておりましたところ
(注4)。くわばらくわばら ――。


オヤ?あすこに不審なクマ公が身を潜めておりますが ―― 頭部の被り物は
けっこう造りがよさそうではございますが、首から下はいかにもな着ぐるみでございますナァ。あ、急に飛び出して会場の誰彼となく驚かしては悦に入っておりますゾ。たちの悪いレイヤーも居たものでございますワイ。係員の方を呼んで注意していただきましょうか。

「おんや、こっただとこさ良〜い獲物がおったでなハァー(注5)

 と、グリグリのビン底眼鏡に猟銃を構えた田舎風の猟師が登場しましたゾ。こりゃあクマ公もたまったものではございますまい。

「おい、撃つな撃つな。俺だよだよ、玉川良一だよ!


お、不良レイヤーめびっくりして本名を名乗りましたナ。されど彼奴(きゃつ)めは大慌てで被り物を取ろうとしておりますが、焦れば焦りますほどにうまく行ない様子でございますワイ。


「あんれま、言葉をしゃべるたぁこりゃあ珍しい熊だ。何としても仕留めねばなんね」

―― と、ひとしきりの寸劇が行われたところに、半袖のGジャンにGパン姿の赤ヘルメットをかぶった小柄な男が “どっきりカメラ” の看板を掲げて笑顔で出て参りましたところを拝見しますと、こちらが音に聞きました “どっきりカメラ・傑作選” あわせでございますか。これはまさしく眼福の至りにございますワイ。


むむむ
(注6)。あすこに杖をついた江戸時代風の按摩さんがいらっしゃいますが、頭は金髪ですナァ …… はた!(注7)あのいかにも付け焼刃であんまりな居合い抜きは、北野武氏の 『そりゃないだろう版座頭市』(注8) に間違いございますまい!業腹ですので無視して先に進みましょう ……。


あれま。あのあられもございません姿の女性は、吾妻ひでお氏 『やけくそ天使』 の亜素胡素子(あそこそこ)にございましょうか。
遠からず江川漫画研究所でリメイクされましたら、いずこの雑誌でございましょうとも掲載不可は必至でございましょう彼女の露出具合は、ロー・アングラーなどと自称されております変態年増(注9)なんぞはものの数ではございませぬからナ。まぁ会場から引きずり出されましても致し方ございますまい。


おや、あれなるはダイエットが成功してすっかりスリムになられました岡田斗司夫氏ではございますまいか。剃髪して旧陸軍の将官服など着用されていかがなされましたのでございましょう?

 「失敬な。私は帝国陸軍参謀本部作戦課長の石原莞爾大佐である」

これは失礼をば。ではお隣の方とは “関東軍”あわせ、と言う事になりましょうか?

「いかにも。吾が輩は大日本帝国陸軍参謀本部最低のボンクラにして、本邦史上最悪の国賊である辻政信である。ワッハハハハハ!」


さようで。道理で丸眼鏡と軍服が似合っておりませんでしたワイ。
(注10)






――とまあ、レイヤーど真ん中世代にはナチス・ドイツの暗号通信機・エニグマ並みに不可解な人物ばかりが目白押しとなっておりますが、一方でこぞってチャレンジしていただきたいのが、映画化に伴いましてイメージがブラック・マンデー並みに大暴落し、コスプレの敷居が海抜マイナス以下まで下がりました観がございます、“京極堂” こと中禅寺秋彦氏にございます。


京極堂シリーズに関しましては吾が輩もいちファンにございまして、映画化される前から脳内の配役ではかの豊川悦司氏をあてていたのでございますが、まさかあんなタクシー券の不正使用で捕まった公務員のような面相の京極堂がスクリーンに現われましょうとは、先日ひったくりを行いました現職巡査部長を現行犯逮捕されたお手柄高校生二人組ではございませんが、まったくをもちまして 『世も末だと思いました』 の一言に尽きますワイ。


こちらは映画版 『NANA』 並みに腑に落ちない指数が高そうでございますゆえ、「おいどんこそ京極堂のごたる!」、「ウチかて京極堂やねんし」 と、“オレ流京極堂” を披露していただきたいものでございます。


あるいは衣装の準備が簡単そうなところでは、黒いサファリ帽にサバンナ・ジャケットを羽織りました太ったメガネ男と、背の高いジャージ姿のメガネ男、さらに長髪をポニー・テールに結った男の三人でコアなオタクな話をしているだけで、

「ああッ、みなさん “以下略”あわせですね!写真撮っていいですか?」

と、今をときめかれます平野耕太氏の作品だけに、女子レイヤーの黄色い嬌声と注目に ―― 包まれるかナァ、包まれないだろうナァ。
(注11)


イェーイ、という事でそろそろ米語学習に戻らねばなりませぬが、最後に申し上げますれば、かの加山雄三氏宍戸錠氏、そして本木雅弘氏ら演技派の俳優さんたちが体当たりの演技を見せていただきましたものの、いずれも原作に勝ちを得ることが叶いませんでした “実写版・ブラックジャック” をば、どなたかがリアルに再現できましたら、もはや “コスプレの永世名人名誉を欲しいままにできますこと疑い無しでございましょう。


ちなみに現在の吾が輩はコンタクトを止め、帽子も黒のスウェード・キャップからハンチングに替えておりますので、結構素で “面白いことを言えそうな” 桂小枝師匠としてなら参加できるやもしれませぬ。マァ西日本ならともかくも、東日本ではさほどに気付かれずに済みそうでございますし――もちろん 『真似してー』 と言われましたら速攻で断りますがナ。



―― それはそうと、最後ついでに今度の六月三十日に、ついに最終巻第八巻が発売され、完結と相成りました浦沢直樹氏の 『PLUTO』 。もちろん吾が輩も 万引き もとい購入してコンプいたします次第。


話の引っ張り方が 『MONSTER』 以来確立されました “浦沢的手法” をやはりそのまま使用されましたので、正直まどろっこしさが拭えませんでしたものの、手塚治虫先生の 『地上最強のロボット』 をあそこまで浦沢流に分解し、膨らませ、そして再構築できましたのは見事の一言に尽きましょう。


で すが残念でしたのが、最終的に “アセチレン・ランプ氏” が登場されませんでしたコトでございますワイ。やはりうなじからローソクが飛び出すというギミックは使いにくかったのでございましょうか。それとも吾が輩 が愛着を感じますキャラクターは日の目を見ないというジンクスが、またも働いておりますのでございましょうか ……。拝見いたしたかったでございますナァ、浦沢風 “ランプ氏” をば。

 

 

 

注1:肌を露出されます際には、かなり念入りにスキンケアとコンディションに気を配られませぬとどん引きされかねませぬゾ(特に背中)。

注2:沢山いらっしゃいますので特定はいたしませぬが

注3:会場に基準に従い30センチ以下。

注4:設定はTFT。

注5:東北人独特の感嘆詞。また、登場人物としてはほかに住民の通報を聞きつけた駐在さんと一緒だったという記憶もあり。

注6:横山光輝氏風。

注7:若かりし頃の丹古母鬼馬二氏風。

注8:あれはヒド過ぎ。綾瀬はるかのもどんな仕上がりなんでございましょうネ。

注9:「さよなら絶望先生」 の “ことのん” も、ああいう末路をたどるのでございましょうかナァ ――。

注10:やはり 『戦争と人間』 にて、悪役を得手とされます山本麟一氏が憎々しく好演。

注11:(C)松鶴家千とせ師匠。


 

おいお い、そっちじゃないぜ!

 

 

2009.06.10 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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