ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

あるいは初期の応募怪物の投稿者は担当編集者??

 

2009年11月22日

 

『 ザンコクマンガ 2 』

(指定BGM:映画 『世界残酷物語』 / モアのテーマ

 

 

さて、こちら愚考録のごく初期の話題としまして、本邦新旧の “ザンコクマンガ” をば挙げさせていただきましたが、今回はとある作家さんに焦点を当てましてお話を展開させていただきたく存じますワイ。


そちらの作家さんとはこれなん、往年のジャンプ誌にて 『キン肉マン』 ならびに『闘将!拉麺男(たたかえ!ラーメンマン)』 にてバクハツ的な人気を得ましたゆでたまご氏にございます。


年 代的には吾が輩もどストライクな作品ではございますが、吾が輩的には原哲夫氏の 『北斗の拳』 に肩入れしておりまして、描画的にも設定的にもかなり初期から綻びが散見されます 『キン〜』 は敬遠しておりました次第……マァ、『北斗〜』 も次第にお話の つじつまが合わなくなって参りますが、熱心に拝読しておりました当時は斯様な展開は思いもよりませんでしたことは、吾が輩が申し上げますまでもございます まい。


『キ〜』 は、吾が家では義弟が直撃されておりまして、いずれの作品もかなりの巻数まで買い揃えておりましたものでございま す。そして当時の心清らかな幼き少年ファンたちがもれなく美しき感動の涙を頬にほとばしらせましたでございましょうことは想像に難くございませぬ、『ジェロニモの絶命シーン』 に、彼もおなじく落涙を禁じえませんでした旨を十数年前に聞いた憶えがございます。


そんなキン肉マンでございますが、連載開始時 はドジなヒーローが繰り広げますドタバタを主体思想とした読み切り(各話完結)連載ギャグ漫画でございましたが、この時期では悪役を “倒す” ないしは “退治する” ことはございましても、“殺す” と申します危うさとは程遠いレヴェルの、ダルいほのぼのした漫画でございましたナァ。


そ ちらの様相が一変いたしましたのは、何はなくとも “超人オリンピック” の開催にございましょう。ぶっちゃけ結論から申しますれば、予選からガソリンを張っ たプールにて競泳させられ、挙句に後ろから火を放たれたり、競技そのものも中盤から一対一のガチ勝負の“死合い”形式になったりと、オリンピックとは名ば かりの殺教ショーに変じてしまうのですが、このあたりは本家オリムピックの運営理念に置けます形骸化を先んじて皮肉ったと申しますれば、さすがに言葉が過 ぎますかナ。


ともあれ、技と技の応酬を見せつけ、精神力と肉体の限界を競い合います古代オリンピアの理想 “心・技・体” の頂点 を極めますはずでしたオリムピックが、地下プロレスまがいの血腥ふんぷんたります殺し合いが人気を博すのでございますから、やはり人間の本能には斯様な蛮 性が根強く潜在しておるのでございましょう。


いずれしにましても、キン肉マンにおきましては傷つけ、傷つきますのは超人どもと対 象が限定されておりますので他愛のない無害なお話でございますが、次なるラーメンマンは老若男女分け隔てなく拘わった者はたいていが命を落としますと申し ます、戦略シミュレーション並みに人命が軽く扱われております、かなりショッキングな漫画にございますワイ。





さるにても、吾が輩がもっともザンコクであると愚考いたしますのは、連載当初から超人や怪獣を読者応募に頼っていた 『キ〜』 にて、漫画家の怠惰さ加減はサテ措きましてもその扱いにございますワイ。

とくにごく初期に登場しました怪人のうち、もっとも扱いが非道うございましたのが徳島市は佐藤禎弘くんご応募の “ダイブツラー” に尽きると申し上げましても決して過言ではございますまい。

こ の怪人と申しますかど変態野郎は、ご記憶おかれますお客様も多いことと思われますが50年ごとに現れましては女性の○○○を見るのが大の趣味と申しますヒ ワイ極まりませぬ破廉恥漢身長30メートル/体重3万トンなる巨躯を使いまして、やる事は強制猥褻なのですから始末に終えませぬのは確かでございますが、 応募されました佐藤禎弘くんはまったくのいい面の皮でございましょう。

『よっしゃア!わしが送ったダイブツラーがキン肉マンに出よるき!』

編集部から事前連絡があれば、禎弘くんは徳島のお国言葉で文字通り欣喜雀躍したでございましょうことは想像に難くありませぬ。ないしは買ったばかりの今週号におけますくだんのトビラ絵にてその登場を知り、場合によりましては周りにいるお友達に、

『どや、今回はわしの送った怪人が出よるき!』

と、それはあたかも徴兵にて入営した農家の次男・三男坊が上等兵
(注1)になっておらが村に帰ってきたくらいの誇らしげな顔を輝かせても何ら不思議ではございますまい。吾が輩の思春期で申さば “鶴光のオールナイト・ニッポン” にハガキが採用され、品性下劣ステッカーをいただきましたようなものでございましょう。


それが …… キン肉マンと面白可笑しげな戦いを繰り広げるかと思いきや、いきなり大人でも憚られますと申しますか大人なら完全おザイル頂戴の下劣な犯罪行為に顔をほころばせておるのでございますから、禎弘くんが受けましたショックたりますや如何ばかりでございましょうや。


『これやないき、わしの送ったダイブツラーはこれやないき!』


それこそ目の前が真っ暗になっても可笑しくは おかしくはございませぬトラウマを穿たれましても疑いございませぬ残虐シーンでございますが、さるにてもゆで氏。ファンの好意を踏み躙ってまで笑いを取られましてそれでご満悦なのでございましょうか?


こちらが禎弘くんの胸裏におさまるレヴェルのお話でしたら、時間が解決してくださいますことも可能でしたでございましょうが、ことクラスメートや近所のお知り合いまで知られておりますれば、その後しばらくはかなりな生き地獄を味わわされたのではございますまいか。


『やーいやーいダイブツラーの生みの親!おまんも○○○が見たいのじゃろが!』


などと揶揄れておられましても、何ら不思議ではございますまい。




他 方スピンオフ作品まで作成されましたほど人気者となり得ましたラーメンマンでさえも、初期はジェフリー・ダーマー並みの血に飢えた殺人狂あつかいでござい ましたのですから、発案してくださいましたおともだちもさぞかし苦い思いをしないはずがございませぬ ―― もちろん、登場して間もないうちにキャメル・クラッチで惨殺されてしまいましたブロッケンマンも然りでございますが。


応募キャラクターの扱いもさることながら、ストーリー展開の凄絶さも “ゆでワールド” におけます定番にございましょう。とくに 『闘将!〜』 では訪ねた先の道場一門が皆殺しにされておりましたり、劇中に出て参ります子供の家族も言わずともがなにございます。


さらに非道いことには、殺戮の現場を見知っております高位の僧や師匠がその後すぐに出て参りまして、その原因や事の次第を語るのでございますが、逆に申しますと、『お前徹頭徹尾見殺しかよ!』 と、三村マサカズ氏でなくとも義憤からのツッコミを入れずにはおられません冷酷ぶりには、愚眼もションボリにございましたワイ。


その他にも腕に落ちない解説や強引過ぎます展開などは事欠きませず、画像掲示板 『画箱』 にも人質を取って店に立て籠もった強盗を説得しに行くキン肉マン・ソルジャーの行動を抜粋した画像を上げ、『ありえない』『俺たちこんな雑な話で興奮したり泣いたりしてたんだな』 などとご愁傷様なレスがいくつか付けられておりました記憶がございます。


吾が輩的にいちばん印象に残っておりますシーンと申さば、己のラフかつワイルドな格闘スタイルを受け入れてもらえなくて世を傍んだ喧嘩(クォーラル)マンが、テームズ川に身を投げてその川底でついもらしてしまいました一言ベストファイヴ。


『く、苦しい …… やはり死にたくない!


このヘタレ極まりません本音は、あまりにもストレート過ぎまして兄弟で腹を抱えて笑わせていただきましたものでございます。そしてビッグ・ザ・武道にマスクをもらい、ネプチューン・マン
(注2)として蘇った姿を見た人々が、『神となって甦りやがった〜!』 という、なぜ神と判るのか、そして神なのになぜ敬意を払われないのか、最近の流行語で申さば複雑怪奇な反応こそ、まさしく “ゆでワールド” そのものを如実に体現しているものと笑わせていただきましたものでございます。


あ とは映画 『ゴッドファーザー』 に感化されましたのかされませんでしたのかよく判りませぬ、おそらくはデビュー直後の読み切り作品 “下町戦争” などを拝読いたしました折りも、ギャグセンスが珍妙過ぎましてどこが笑いどころかオチておりますのか、そもそも貧乏なのになぜ床屋に行けたのかなど消化不 良な部分が少なくありませぬ “ゆでワールド”。吾が輩の好みのテイストではございませぬワイ。

 

注1:平時の徴兵によります入営では、なかなか進級はしないそうでございますワイ。

注2:なぜにギリシャ神話から?



 We must to protest every huge tyrant.

 We must to protect every Human Right!
 
 
 

 新彊ウイグルの母・ラビア・カーディル女史

 蹂躙される東トルキスタン

おいお い、そっちじゃないぜ!

 

 

2009.11.22 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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