<ROLEX 67180>

ムーブメント
Cal.2130 29石 8振動
サイズ
24mm
材質
SS
ダイヤル
ブレス
SS3連
その他
センターセコンド,ハックつき

「Rolex 67180」〜ロレックス、その本質とは

・Introduction
 ロレは不思議な時計である。最初はだれもが欲しいと思うだろう。しかし機械式時計を多少知るようになると、ロレを馬鹿にし始める人も多い。しかしさらにロレを考えていくと、その偉大さに気づくのだ。一時は心から離れても、またあるときロレックスが欲しいと思っている自分に気づく。ロレは時計マニアの踏み絵なのだ。エアキング一本君こそが終着駅なのかもしれない。

・Outside
 Oyster Caseはそのデザイン上シャープと言えるのはラグの先端くらいで、ほとんどがシンプルな直/曲線・平/曲面で構成されている。これはTudorもそうだが非常に良く考えられている。というのは、まずその生産のし易さ。それから日ロレでOH時に標準となっている「磨き」を良く考えてあること。磨き易く、磨いてもダルになる印象を全く抱かせる部分がなく、実際にラグなどが磨きによって痩せてもほとんど気にならないデザインである、ということだ。ケースバックに至っては完全にフラットで、一方向に磨けば新品同様のヘアラインが復活する。これはチープになったり古く、ボロくなるといった印象を抱かせないため、結果中古品であっても高値を維持したりすることにもつながる。デザインされた当時にどこまで考えられていたかは全く不明だが、「磨き標準」も含め戦略的に非常に練られている、と改めて感じるのだ。
 ダイヤルは平面で、黒に塗られているがラッカーだろう。369アプライドインデックスはきれいで歪みなく取り付けられている。そもそも小さいので間が抜けた印象もなく締まって見える。ハンドの出来は標準的で、風防は平面のサファイヤクリスタルだ。
ブレスはいわゆる3連スポーツブレスで、巻き駒ではないが中空で意外と軽い。クラスプはロレの常でチープだ。このブレスについても「磨き標準」に入っており、なるほど磨き易さ、ばらし・組み易さなどはケースの思想と同じものと言える。そんなことを考えるとなるほどロレックスの時計と言うのはアフターも含めて一流の工業製品だと思うわけだ。

・Inside
 見たわけではないので個人的に集めた情報・資料などから印象を書く。まずこの2130という機械は、名機3130系と同様の思想で作られている小型機械である。機構自体はほとんど共通で、ETAの流れを汲む切替車式の両方向自動巻きである。ケースバックの出っ張りはちょっとバブルバック時代を髣髴とさせる。ETAの流れを、と書いたが要はその通りだ。輪列はもちろんいわゆるETA輪列。脱進機周りのスペックは凄い。テンプ受けは両持ちブリッジで、今ではAP3120やJLC975に見られるが最初に大量生産にこぎつけたのは紛れもなくロレックスだ。ヒゲぜんまいは巻き上げヒゲで、これを頑固一徹使用しているのは今では極めて珍しい。しかも、緩急針の無いフリースプラング。ヒゲのアオリ調整が無いため精度の追い込みがしやすい筈だ。これに加えて自動巻きであることは、isochronizm調整と言う面からも究極の理想系を具現化しているといって過言ではない。すなわち、腕につけていれば大体巻き上げ状態はフルに近くなるわけで、主ぜんまいのほどけようとするトルクのうち一定な部分を使っていることになるからだ。テンワはミーンタイムスクリューが4つ付き、ハイビート(8振動)だ。何から何まで精度を追及するに理想的な構造をしている。そういう意味でこの機械は時計を道具として捉えた場合、まったく本当に素晴らしい。
 ロレは工業製品として超一流と書いたとおりであり、部品の精度やばらつきの少なさなどはかなりのレベルにあるのだろう。その結果、道具としても超一流であるのだ。
言い換えればこれは工芸品ではない。職人が手間暇をかけて仕上げたものではないのだ。結果、エレガンスなどを感じることはほとんど無い。でも日常使うにこれほどマトモな時計は他にほとんど見当たらないのも事実である。

・Summary
 よくよく考えてみればこんなリーズナブルな時計があるのだろうか!!ロレックスの時計とは、技術・設計思想・製品・デザイン・アフターサービス・戦略など、そのどれもが超一流の工業製品として高度にバランスされている。道具としての魅力、それは使ってみればこそ、である。繰り返すがこの時計は工芸品ではなく、マスプロダクトであり道具なのだ。

・付記
 どうしても書きたくなったので余計なことを。ロレックスは非常にリーズナブルな時計なので、間違いなくステータスシンボルでもないしラグジュアリーウォッチでもない。私の印象は、「賢い消費者が選ぶ手堅いリーズナブルウォッチ」である。ランニングコストも安いし。だから威張れるわけなんて有りはしない。本当に威張れてラグジュアリーなのは、中身やケースやその他もろもろが全くバランスされていなくて不当に高い金額の時計、そんなのを「なんか気に入ったから」買ってしまうような行為、それこそが最も贅沢で威張れると思うのだ。

09.Jun.2005