<Bell & Ross BR01-92>

ムーブメント
ETA2892 8振動 両方向自動巻き
サイズ
46mm
材質
SS
ダイヤル
マットブラック
バンド
カーフ+NATO
その他
センターセコンド3針

「Bell & Ross BR01-92」〜リストガジェット〜

・Introduction
 リストガジェット。
 まさにそんな感じの、ベルロスの方向性を決定付けた唯一無二の時計がBR01である。
「見た目のインパクト重視」が万人の第一印象であろう。下手をするとただの狙った時計になり下がってしまうのであるが、デザインと質感のバランスや作りそのものが良いため、「狙った安物」を「大人のリストガジェット」に変えている。ここは極めて危うい領域であり、デカアツの牽引車となったパネライよりも、私はナタフゼニスを思い出す。

 デファイは、あれはまさにリストガジェットであるが、ある種のバカバカしさを値段で包み込んでかろうじてリストガジェットに踏みとどまらせている。払った金額で「狙った安物」を、少なくとも安モノではない次元にしている、という強引な手法だ。(しかしそれを分かった上で使っているユーザというのは、私には 到達不可能な次元であり、畏敬の念を抱く。まあカネもないけどね。ちなみにパネライも作りはもちろん良い。)

 じゃあベルロスはどうなのよと。

・Outside
 一度まじめに見て欲しい。ブラックコーティングのBR01が最もベルロスらしいと私も感じるが、ケースの出来などはこのSSモデルのほうが「分かりやすい」。(故にブラックを選択するほうが漢である。)でかくて四角いワンピースケースは、まじめにフライスで削られておりCNCの威力を感じることが出来 る。多分エンドミルの手入れとかもしっかり管理されているんだろうな、と思う。ダイヤル側の面(ベゼルというべきか)は浅いサテン仕上げで、その4隅に目立つスクリューがピカピカにポリッシュされて存在する。この対比がミソである。
 マイナススクリューの位置(角度)は無造作であり、計算されつくした時計(勿論ROのこと)とはその性格の違いをこんなところでも感じることが出来る。
このスクリューヘッドの磨きは絶対に手を抜いてはいけないところで、将来手を抜き出すようなことがあればこんなところから落ちていくかなあなんてことを勝手に思う(抜いて欲しくは無いけどね)。

 リューズの&マークはキュートで、ねじ込みリューズで防水性を担保している。このねじ込みのモジュールのピッチが細かく感じられたのは、そのリューズのデザインによるものかも知れない。またローレット目はこれもミルスペックリストガジェットにとってキモとなる部分で、緻密である。このシャープさを失ったらこの時計おしまいだ。
 ラグも別パーツで丁寧に面取り・仕上げがされており、特にエッジがシャープだ。付属の六角レンチでラグを取り外すと、別売りパーツをつけるとデスククロックになる。

 バンドも六角レンチで自分で変えられる様になっている。バンドは黒のカーフとNATOぽいベルクロが付属していた。革のほうは、私のような細腕でも最も内側の穴を使えば腕の上に何とか収まるように出来ている。むやみに長いリストバンドが多い中、ここまで考えられているとは思わなかった。なお私はカミーユフォルネに2つほど余計に穴を開けてもらうほど腕が細い。よって46mmのこの時計は、ほぼ完全に私の腕を覆いつくす。あまりに滑稽なので、これをどうやってつけこなせば良いのか未だに分からない。が、ガジェットとしての魅力は確かにある。
 バックルの出来も良い。ケースと同様手間をかけたもので、形状も仕上げも極めてレベルが高い。ツク棒(棒って形じゃないけどね)なども見事。ここまでやるからバランスが良くて安物に見えないわけだ。

 ダイヤルはマットな黒で、良く見るとダイヤル上にも小さな黒いスクリューが存在する。明らかに狙ったデザインであり、遠くから見るとベゼルの4本のスクリューが目立ち、近くでまじまじと見てこの小さな4本のネジの存在が認められる。その結果、この時計が「精密計測機器」であることに気がつく、という算段 であろう。じつに上手い。
 ダイヤルデザインは見ての通りで、良く目立つアラビア数字に夜光。ハンドもマットブラックであるが極めて良く光る夜光が乗っており、明るくても暗くても兎に角見やすい。セコンドハンドのカウンターウェイト形状が特徴的で、これはもはやベルロスのアイデンティティになった感がある。

・Inside
 機械はETAコピーのセリタではなくれっきとしたETA2892だ。着用していて今のところ0〜-1秒/日と脅威の精度をたたき出している。私は、この時計の精度を知り「きっちりと調整されたETAは、使用上何の文句も無い」と改めて思い知った。ETAだ自社だマニュファクチュールだゼネバスタンプだと か、アフォらしいという感覚すら覚えたと同時に、精度面でも道具として極めてまじめに作っている。実用精度が素晴らしいこと、これも安物に思われない重要な点だと思う。

・Summary
 服装の合わせが相変わらず分からないまま、それでも愛用したいと思える時計(というよりもガジェット)、それがBR01-92である。

04.Sep.2009