<TUDOR SUBMARINER 79190>

ムーブメント
ETA 2824-2 25石 8振動
自動巻き11.5リーニュ
サイズ
40mm
材質
SS
ダイヤル
ブレス
SS3連巻きブレス
その他
センターセコンド,デイト付き,ハック付き

「Tudor Submariner 79190」〜ド定番を通してETAを考える

・Introduction
 いきなりド定番と書いたが、ド定番はロレサブで、これはただのディフュージョンだと見る向きもあろう。その通りであるがここはサブとして少し語る。実際これは実用時計としてなかなか良く出来ている時計だ。ただRolex/Tudorに関しては何年にハンス・ウィルスドルフが、とかそういう歴史に全く興味がないので、ただ単にツールとしての時計を語りたい。

・Outside
 SSケースは、無骨であるが悪い作りではない。回転ベゼルの存在により意外と細かい傷は付きにくいが、側面に凹みを作ってしまった。SS材としては柔らかいほうなのではという印象を、8年使ってみて持つに至っている。いかにも片面からプレスして打ち抜きやすい形状になっており、切削する金属量も少ないであろう、製造方法までよく考えられたデザインであると思う。プレス後に当然切削加工に至るが、どこまで機械的にやっているのかは推して知るべしである。ケースバックはスクリューで、防水時計であるから当然ぴっちりとしたつくりになっている。実際に開けたわけではないので分からないが、見た目からは加工精度は高そうだ。NC旋盤、NCフライスでバンバン作っている気がする。ただ儲かっている会社なのでバイトの交換とか機械のメンテとかは多分頻繁にやっていて、出来上がるケースは製品誤差が少ないんだろうな、という感じ。このケースは「工業製品として」一流であろう。
 ダイヤルは黒で、平面で色気はない。塗りはラッカーで、印刷はタコ印刷だろう。ベンツ針は微妙にカーブしているなど出来は悪くない。ロレと同一の製品と思う。しかし秒針はちょっと安っぽい。ブルガリのアルミとか、そんなのと同程度な感じ。
 風防はサファイヤクリスタルである。どちらかというとプラのぽっこりとした風防が好みであるが、こちらはチューサブの最終形という感じがする。
 ブレスは、この会社の常であるがチープである。特にこれは巻きブレスなので、非常にシャカシャカと軽い。しかし味があるという人もいる。クラスプのチープ感はまた格別で、これも味で片付けてしまう人も多いがさすがにこれはなんとかして欲しい。フリップロックないとすぐにバカになりそうだ。
 本来はブレスで使うべき時計であろうが、そんなわけで昨年冬にカーフのNATO座布団ベルトに替えてみたら、これがなかなか印象がよくなった。合わせという意味では軍服や飛行気乗りの格好以外似合わないんじゃないのか?ということでどうして良いのかわからないままに使っている。

・Inside
 言わずもがなのETA2824-2である。ETA2892/A2であったらもっと良かったのだが(そもそもUN用のクロノメータームーブとして開発されているから)。しかしピカデリーのベースムーブメントにもなっている、というのが心のよりどころである。あっちは凄まじいモデファイがなされていて比較できるレベルではないが。ETAという会社をまじめに考えてみると、その存在はスイス時計をとりまく経済の中で必然的に出来たものであり、これを認めないとそもそもスイス時計の世界と言うモノはほとんど独立系だけの世界となり、一産業としての姿も変わってしまう、というような考えに至る。そもそもエボーシュ連合こそがETAであり、乱暴に言えばそのエボーシュメーカーのルーツは冬山のギルドであるわけで、いわば由緒正しいのである。それを言ってしまえばJLCだってエボーシュメーカーであったわけで、連合に入らず独自の道を選んだ結果、今のマニュファクチュールを公言できるようになっているわけである。ETAだってケースを作ってETAブランドの時計を出せば当然マニュファクチュールだ。なにを言っているか分からないが、スイス時計経済社会の縮図のような時計を持っているということがスイス時計ファンとして当然だ、というような感情なのである。実際に2824は日常使っていて十分な精度をたたき出すし、時計をぶつけてもめったなことでは壊れない。もちろんETA輪列のセンターセコンド、同社が50年使っている切替車式の両方向自動巻きの、生粋のETAだ。なおofrei.comでこの機械、1個118ドルで売られている。

・Summary
 ロレのディフュージョンという微妙なポジションではあるが、時計としてその機能・値段などはバランスされていると思う。なにより私にとって初めての機械式時計であり、その後から現在までを考えると良くも悪しくも記念碑的な時計である。


09.Jun.2005