文金高島田への道
file.8 仕事について
9へ

 これが実は大問題だった。私は続ける気でいたのだが、圧力がかかることになった。忘年会で上司の一人にそれとなく結婚退職を勧められたのである。直属の上司は、別の上司から私が退職するように説得してくれと言われたと、後で教えてくれた。無論、直属の上司はそんなことはできないと断ったそうだが。
 他にも何人かの管理職が結婚退職を勧めた。組合の役員に相談すると、出るところに出れば、彼らの言動は、処罰の対象になるだろうと言ってくれた。
 さて、どうすべきか。E氏の給与だけでもやっていけないことはない。だが、親の面倒まで見ているわけだし、この先何があるかわからない。仕事を続けられたら続けたい。
 だが、私の勤め先は比較的公共性の高い企業なのだが、同族で経営しているという、ちょっと特殊かつ保守的な職場である。ここで働き続けて嫌がらせを受けながらストレスをためるのも馬鹿らしい。実際、ストレスで消化器が悪くなったこともある。
 で、私は、職場を見切った。上司が変わる可能性はほとんどないし、今の社会構造と企業の体質を考えると、将来性が見えない企業であった。退職金が全額もらえるうちに辞めたほうがいい。実際、企業内で首切りとまではいかないが、グループ内の結束を高めるようなリストラ経営が始まりつつあった。そんな中で、人脈もない、勤務年数が長く給与の多い女子社員が働き続けるのは、管理職からすると、目障りなのだろうし。これから先結婚しても同じ職場で仕事を続けたいという意欲を持つ女性の同僚には悪いが、退職を決めた。10年も同じ職場にいるうちに、自分の身にしみついた職業意識も、なんとなく嫌だった。人間の見方が狭くなってしまったような気がしていた。
 決めるのは簡単だった。だが、その後が大変だった。3月に辞めるまで、後始末と引継ぎで大忙しになってしまったのだ。風邪も引いてしまい、なかなか治らなかった。
 E氏は私が「一体どういう仕事をしたらこんなに疲れてしまうんだろうか」という顔で寝ていると後で教えてくれた。
 後任もすぐに決まり(不景気だしね)、心残りもなく、3月の末に仕事を辞めた。
 ちなみに退職金は辞めた月の翌月の末に全額振り込まれた。                             
                                
次へ

戻る