さむいよ、、、


 これは、戦後の貧しい時代の話です。

 ある旅館に、泊まった人がいました。
安い宿でしたが、サービスが良い旅館でした。

 そして夜のことです。

 「姉さん、さむいよ、、、」
子供の声が聞こえました。

 はっとして目をさましました。
「どこから声が聞こえるんだろう?」
耳をこらしました。

 「私も、さむいよ、、、」
また、聞こえました。

 声の出所は、かけ布団の中からでした。

 あまりに気持ちが悪いので、旅館の女将にそのことを聞いた
そうです。

 「そうでしたか、、、」

 女将は、その布団のことについて語りました。

 ある姉弟の話でした、、、
借金を残して両親が死んでしまった姉弟のところに鬼の借金取り
が来て、布団一枚だけを持たせて家から追い出したそうです。

 季節は冬、雪国なのでとても寒かったはずです。

 2人は抱き合うように布団に包まっていました。
「姉さん、さむいよ、、、」「私も、さむいよ、、、」

 次の日、凍死した姉弟の話が新聞に小さく出たそうです。

 あの布団は、その姉妹の布団だったのです。
 

 日本も、戦後はこんな話が多かったのでしょうね。