むいみつづり
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02

ジンジャエール? 「何でもお召し上がり下さい」
「本当にいいの?」
 午後一時、駅前のカフェ。恋人以外の男性と二人きりの食事、といっても、
「遠慮しなくていいよ、経費だから」
相手は半分お仕事。残念。
「ねぇ、西アフリカってどんなところだった?」
レモン味の水にほんの少し口をつけて、彼は答える。俯いてちょっと笑いながら。
「暑くて暑くて、ひたすら暑かったよ」
「どのくらい?」
「太陽が剣山で、グサグサ刺さってくる感じ。でも、湿気はないからカラっとしてる」
「彼女できた?」
「向こうじゃさっぱりもてなかった。……なんだか、僕がインタビューを受けてるみたいだね」
「ネタにしようとしてるのばれた?」
「うん。あなたは分かりやすい人だよ」
 黒いエプロンをつけた男の子が、オーダーを取りに来る。私はアボガドサンドとジンジャエールを頼んだ。
「デザートも、いい?」
彼は、どうぞ、と頷く。
「じゃ、焼き林檎のアイスクリーム添え!」
「高カロリーだねぇ」
「うーるさい。いまは顔で受けてるけどさ、アイドル作家で売りたいわけじゃないの。ビジュアルで売れなくなったって、それはあたしがその程度だったってことじゃん?」
「だからって、わざわざ太ることはないじゃない。……せっかくかわいいのに」
 せっかく、かわいいのに?
「吉田さん、それ、セクハラです」
「そうかな?」

2003/08/26