むいみつづり
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子供服  離婚して五年になる。息子・娘と三人だけの生活が始まって五年。勇太も悠菜も、パパのいない暮らしに慣れてしまったようだ。とはいえ、離婚の際の条件として、月に一度は元夫が子供たちに会うのを許してやらなければならない。二人を遊んでやってくれるのは結構だけれども、腕に新鮮なキスマークをつけたまま来るのはどういうつもりか。
 腹にタオルケットをのせて寝息を立て始めた子供たちの横で、元夫はせっせと携帯メールを打っている。

「彼女できたんだって?」
「誰から聞いた?」
私は黙って、血の色が濃く浮いた二の腕を指さす。彼は携帯を閉じて、脱いでおいてあるジャケットの中に押し込んだ。
「……相変わらず勘がいいのな」
「若い女の子でしょう?」
顔色がさっと変わった。咎めているつもりはないのだが。
「なぜそう思うんだ?」
「若い女の子じゃなきゃ、キスマークなんてつけないでしょう。そういうことやって楽しめるのは、セックスを覚えたての頃だけよ」
あるいは。私に見せるためかもしれない。しかし、私はこの男の妻ではない。仲を見せつけていただいたところで、もう痛くも痒くもないのである。
「……そういう言い方やめろよ。子供の前で」
「大丈夫よ。寝てるわ。あんた、そろそろ帰るんでしょ?」
「ああ…」
ジャケットの中から、振動音が聞こえてきた。

2003/09/22