ドルクスラボ 制御技術研究所

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電気屋とメカ屋の橋渡し
実験で学ぶメカトロ用語集
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●プロローグ・・・はじめよう!メカトロニクス

まえがき
人々が生活する中でもっとも手軽に使えるエネルギー源として電気があります。
電気には交流と直流があり、交流には商用電源のAC100Vと工業用電源のAC220Vがあります。
直流には乾電池やバッテリーがあります。
この電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機器の代表としてモータがあり、モータは超小型のマイクロモータから大型のパワーモータまでいろいろな場所で数多く使われています。
昔はモータを電源に直接つないでON/OFF制御するだけの使い方でしたが、現在は制御回路を使用して速度や位置を制御することが多くなりました。

制御回路とモータは装置の中に内蔵されて次の3種類のいずれかの動作を行なっています。
   ・速度や回転数を変化させる速度制御
   ・目的位置まで移動する位置制御
   ・力を調整するトルク制御
モータはこれらの制御目的に合わせて様々なモータが作られています。モータの一覧表を表1に示します。

DCモータ 永久磁石型 マイクロモータ
サーボモータ
パワーモータ  
カップモータ 
ディスクモータ 
ホールモータ
2相ブラシレスモータ
3相ブラシレスモータ 
4相ブラシレスモータ
センサレスブラシレスモータ
ACサーボ同期型
巻線型 直巻モータ
分巻モータ 
複巻モータ
ステッピングモータ マグネット型
レラクタンス型  
ハイブリッド型 
レスポンシン型 
マグネット型
リニアモータ レラクタンス型 
マグネット型 
ACモータ 同期モータ インダクタ型  
レラクタンス型
ヒステリシスモータ
電磁石型
誘導モータ クマ取モータ
単相コンデンサモータ 
トルクモータ
2相モータ
3相誘導モータ  
ACサーボ誘導型

<表1>モータの種類


 近年ではパワーエレクトロニクスの発達に伴いモータ制御に適した電力用半導体やモータ専用ICが数多く出来ています。
これらのモータ専用ICはICメーカのアプリケーション回路を参考に電子部品を実装すれば、比較的簡単にモータ制御回路を作ることができます。
しかしモータの諸特性を理解していないとアプリケーション以外の応用がうまく行きません。
ここではモータ専用IC以外でもモータを制御できるようになることを目的とし、モータと制御回路の基礎知識と注意すべきポイントについて解説します。
 本文中の下線の専門用語は用語解説で詳しく説明します。

1、モータは誘導負荷である


 モータはコイル巻線に電流を流して磁束を発生させて回転子を回転させています。
モータのカタログに記載されている定格電流はモータメーカが決めた値で、モータ回転子を拘束した時に流れる起動電流の1/6から1/3位に設定しています。
 定格電流には連続定格と間欠定格があり、定格により電流を流せる時間が異なりますのでご注意する必要があります。
モータに直列に接続する電力用半導体はモータの起動電流に耐えうる物を使用します。
スイッチやリレーでモータを開閉する際も直流又は交流の誘導負荷になりますので抵抗負荷に比べて3倍以上の接点容量が必要になります。


2、モータの軸を回すと発電機


 
電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換するのがモータで、逆に機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するのが発電機です。
モータと発電機は基本的に同じ構造です。
モータは通電して回転している時も発電作用が内在しています。
モータが急停止や正逆転した時に回生電圧(発電電圧)が電源側に戻ります。
回生電圧が電源側に戻らないと電力半導体が破損する事があるのでフライホイールダイオードをトランジスタやモータに並列に取り付けます。
又、急停止のときの回生電圧は電源電圧の2倍に上昇するので、電源側の電子部品の耐圧も電源電圧の2倍以上にします。

3、モータは停止も重要


 
モータは回るものという意識があるため停止は電源を切っている状態と思われがちですが、位置制御においては停止位置でも通電した状態で負荷を保持する力が働かなければなりません。この状態に保つことをサーボロックと呼んでいます。
サーボロック状態では外乱によりモータ軸をある方向に回そうという力が働いた時に逆に戻そうという力が制御回路から電圧でモータに印加されます。このとき、外乱による力と制御回路からの電圧がバランスしてモータ軸は停止したままになります。

モータ停止中も常に外乱に反発する電圧がモータに印加されているのでモータ端子間電圧は0Vではありません。
一方、モータ軸に保持力を発生させないでモータ軸を負荷側から回したい時はインヒビット入力を行なってモータフリーにする必要があります。

4、制御し易いDCモータ


 永久磁石型のDCモータは印加電圧が無負荷回転数に比例し、電機子電流がトルクに比例するため電圧で速度制御、電流でトルク制御が行なえます。

 <写真1>DCモータ


DCモータの関係式を式1に示します。
       V−RI
  N = ――――  <式1>
        Ke
  N:回転数(rpm),V:印加電圧(V),R:電機子抵抗(Ω),I:電機子電流(A),Ke:逆起電力定数(V/krpm)
  この式の関係をT−N特性、T−I特性で表わすと図1のようになります。

 

 <図1>DCモータの負荷特性曲線


一方、ACモータの回転数は電源周波数に比例するためインバータ回路で制御する事になり、制御は複雑になります。
  ACモータの関係式を式2と式3に示します。
         120f
  N0 = ―――――  <式2>
          P
  N0:無負荷回転数又は同期回転数(rpm),f:電源周波数(Hz)(東日本:50Hz、西日本:60Hz),

  P:極数(2極,4極,8極・・・)
       
  図2にACモータの負荷特性曲線を示します。
    


<図2>ACモータの負荷特性曲線


但し、単相コンデンサモータのファン負荷に限りトライアックによる位相制御で速度制御が行なえます。

5、速度制御


 
速度制御の目的はモータの速度(回転数)を可変速することと、負荷変動などの影響を受けても回転数を一定にすることです。
速度制御の精度は速度変動率や速度制御範囲で表されます。
速度制御にはオープンループによる電圧制御と速度センサによるフィードバック制御があります。
フィードバック制御の速度センサを負荷に取り付けた場合をクローズドループ制御、モータ軸に直接取りつけた場合をセミクローズドループ制御と呼びます。
 モータに電流を流す電力用半導体にトランジスタ、FET、IGBT、トライアックなどがあります。
DCモータの速度制御に以前はSCRが使われましたが、最近はあまり製造されていません。
制御方式にはリニア制御とPWM制御があり、リニア制御はチョッパ制御ではないのでノイズが発生しませんが、電力用半導体が動作領域で動作するため発熱が大きくなります。そのため小型のマイクロモータなどで使われますが大型モータには不向きです。
 PWM制御は飽和領域で動作するため発熱が少なくモータ制御の主流になっています。
速度センサはタコゼネ、エンコーダ、ホール素子、などが使われます。永久磁石型DCモータでは速度センサの代わりに逆起電圧を使うこともできます。
 フィードバック制御を制御理論で分類すると、古典制御と現代制御に分かれます。
古典制御はアナログオペアンプによるPID制御で実用上はD制御を省略したPI制御が一般的です。
現代制御はソフトウエアによる制御でマイクロコンピュータの発達により近年盛んに研究されています。
 オープンループとクローズドループでのDCモータのT−N特性を図3と図4に示します。

<図3>電圧制御   


  
<図4>フィードバック制御


6、トルク制御


 トルク制御の目的はモータの起動トルクを制御することです。

DCモータではトルクと電機子電流は比例関係になり式4になります。
    T = KtI  <式4>
    T:トルク(kgf・cm),Kt:トルク定数(kgf・cm/A),I:電機子電流(A)
トルク制御には抵抗によるオープンループ制御と電流検出センサを使ったクローズドループ制御があります。
電流検出センサとしては抵抗器やホールセンサがあります。
トルク制御でのDCモータのT−N特性を図5に示します。
      


<図5>トルク制御


7、位置制御


 
位置制御の目的は目的位置まで移動して移動完了後は目的位置で停止することにあります。
位置制御にもオープンループ制御とクローズドループ制御があります。
オープンループ制御の代表はステッピングモータで、ステッピングモータは入力パルス分だけステップ角を移動できて制御も易しく行えます。
但し、位置のフィードバックが無いため脱調した場合に誤差が生じます。
クローズドループ制御には位置センサにポテンショメータを使ったアナログ位置決めとエンコーダを使ったデジタル位置決めがあります。
クローズドループでの位置制御回路は可逆である必要があるので電力用半導体の回路構成はDCモータで4素子のHブリッジ、三相モータで6素子のブリッジ回路になります。


  



●用語解説

定格電流起動電流印加電圧負荷特性曲線T−N特性T−I特性無負荷回転数トルク起動トルク
 定格電圧を印加(印加電圧)してモータが停止するまでトルクをかけたときの電流が起動電流です。
起動電流を1分以上モータに流すとモータが焼損することがあるので注意が必要です。
定格電流は起動電流の1/6から1/3のモータ効率の良いところで定格回転数にあわせて任意に決めていますメーカにより設定基準も異なります。。
T−N特性は印加電圧を定格電圧で一定という条件で横軸にトルクを目盛り、縦軸に回転数を目盛ります。定格電圧を投入して負荷トルクを0kgf・cmからモータが停止するトルクまで変化したときの特性です。
同条件で縦軸に電流を目盛ったのがT−I特性、縦軸にモータ出力を目盛ったのが出力特性、縦軸にモータ効率を目盛ったのが効率特性です。
T−N特性。T−I特性、出力特性、効率特性を同じトルク軸に書いた負荷特性曲線を図6に示します。
        


<図6>負荷特性曲線


回生電圧フライホイールダイオード
 
永久磁石型モータは軸を回すと発電します。回生電圧は回転数に比例します。
フライホイールダイオードは回生電圧が電源に戻るようにトランジスタ及びモータと並列に取り付けた例を図7に示します。

     


<図7>フライホイールダイオード


 フライホイールダイオードはPWM制御ではPWM周波数に合わせて高速ダイオードを選定します。
PWM周波数が20KHzでは逆回復時間が200nsより高速なダイオードが必要です。 但し、FETにはドレイン−ソース間に寄生ダイオードがあり、これをフライホイールダイオードに代用できます。
高耐圧のFETは寄生ダイオードの逆回復時間が遅くなるので外付けで高速ダイオードが必要になります。

・サーボロック・インヒビット・モータフリー・4素子Hブリッジ・6素子ブリッジ
 サーボロックは速度制御や位置制御において速度指令ゼロでモータが停止し、ある程度剛性をもって保持した状態をいいます。
インヒビットは4素子又は6素子のゲート信号・ベース信号をOFFにしてドライバとモータを結線したままでモータ軸をフリー状態にします。
正転/逆転どちらか一方のみのインヒビットは正転禁止又は逆転禁止指令として使えます。つまり正転禁止と逆転禁止の両方を同時に行ったものがインヒビットになります。
FETによる4素子ブリッジと6素子ブリッジを<図8>と<図9>に示します。

<図8>4素子ブリッジ  

<図9>6素子ブリッジ


 ブリッジ回路では上下段のFETが応答時間の遅れから同時にONしてアーム短絡をおこさないようにデッドタイムを設定します。
デッドタイムはPWM周期の2〜5%位に設定します。図10にデッドタイムを示します。
     


<図10>デッドタイム


可逆
 モータの極性を切り替えずに連続して正転と逆転ができる回路です。
DCモータでは4素子のHブリッジ回路、三相モータでは6素子のブリッジ回路で構成されます。
電力半導体1素子で片方向回転する制御回路を非可逆回路といいます。図11に非可逆回路を示します。
     


<図11>非可逆回路


外乱速度変動率速度制御範囲オープンループ制御電圧制御フィードバック制御
 
フィードバック速度制御は外乱変動に対し速度が常に一定になるように制御しています。
速度変動率は外乱に対し速度が何パーセント低下するかを示す値で、負荷変動・電源変動・温度変動の3種類の外乱によってそれぞれ表現します。
速度変動率は定格回転数を100%として定格トルクがかかったときの速度低下率です。図12参照
     


<図12>速度変動率


           N0−Na
 速度変動率 = ―――――×100(%)  <式5>
              N0
 DCサーボモータのタコゼネフィードバック制御での速度変動率を表2に示します。

速度変動率

負荷変動(0〜100%)

0.03%以下

電源変動(−10〜+10%)

0.03%以下

温度変動(−10〜40℃)

0.3%以下

<表2>速度変動率一覧

* 温度変動はタコゼネに使用している永久磁石の温度係数と制御回路のアナログ部品の温度係数で決まります。
タコゼネの永久磁石はフェライトなどの温度係数の高い磁石は使わずサマリウムコバルトなどの温度係数の低い磁石を使います。


 速度変動率は小さいほど精密な安定した制御が行えます。

速度制御範囲はモータ速度を低速に設定して定格トルクをかけたときに超低速で回りうる限界に設定したときのトルクをゼロに戻した無負荷回転数と、定格電圧をモータに印加した時の無負荷回転数の比で、可変範囲ともいいます。
速度制御範囲を図13で説明します。
     


<図13>速度制御範囲


    速度制御範囲 = N0:Nb  <式6>
 DCサーボモータの電圧制御とタコゼネフィードバック制御での速度制御範囲を表3に示します。

速度制御範囲

電圧制御

5:1

タコゼネフィードバック制御

1000:1

 <表3>


位相制御トライアック
  
ACモータの速度制御は電源周波数を変える必要がありますが、単相コンデンサモータではトライアックを使った位相制御で電源電圧を変えて速度制御ができます。
トライアックによる位相制御の回路例を図14に、位相制御の電圧波形を図15に示します。

  

<図14>トライアックによる位相制御  

<図15>位相制御の電圧波形


速度センサタコゼネエンコーダ・ホール素子

速度センサ タコゼネ
エンコーダ
ホール素子
<表4>速度センサ


速度制御に必要な速度センサはモータにより異なります。

DCタコゼネはブラシを持っているためブラシレスモータには不向きで、DCブラシ付モータに取り付けます。
エンコーダは光学式と磁気式があり、どちらも非接触なためあらゆるモータに使用できます。
ホール素子はブラシレスモータの極検出に使います。2極モータでは120°間隔に、4極モータでは60°間隔に取り付けます。
ホール素子にはガリヒ素:GaAsとインジウムアンチモン:InSbがあり、ガリヒ素は温度特性に優れています。
ホール素子から出る微小電圧はリード線を通して制御回路まで配線される間にノイズが乗りやすいため、ホール素子のパッケージにオペアンプを内蔵したホールICもあります。

      

          <写真2>タコゼネ    <写真3>エンコーダ

 <写真4>ホール素子

  
電流センサ抵抗器ホールセンサ

電流センサ 抵抗器
ホールセンサ
<表5>電流センサ


 電流制御には電流検出抵抗又はホールセンサを使います。
抵抗器はモータと直列に入るため抵抗値は出きるだけ小さくしてモータの特性を低下させないようにします。検出した電流値は電圧に換算してオペアンプに帰還します。電流検出アンプは可逆制御ではアイソレーションアンプを使う必要があります。
電流検出用のホールセンサはリング状の磁性体にリード線をループさせて、電流を流すことで発生した磁束をホール素子で検出しています。
ホールセンサにはオペアンプを内蔵している物もあります。

 

          <写真5>抵抗器   <写真6>ホールセンサ

位置センサポテンショメータエンコーダアナログ位置決めデジタル位置決め

位置センサ ポテンショメータ
インクリメンタルエンコーダ
アブソリュートエンコーダ
<表6>位置センサ


 位置制御にはアナログ位置決めとデジタル位置決めがありアナログ位置決めにはポテンショメータを、デジタル位置決めにはエンコーダを使用します。
位置検出用のポテンショメータは360°エンドレスの物を選びます。ストッパが付いてるとモータが暴走したときにポテンショメータを破壊するので注意が必要です。
 アナログ位置決めではアナログ電圧の位置指令とポテンショからの位置フィードバック信号の偏差をアナログ位置アンプで演算増幅します。
 デジタル位置決めではデジタルパルス列信号の位置指令とエンコーダからの位置フィードバック信号を偏差カウンタと呼ばれるアップダウンカウンタに取り込みます。
位置制御では原点信号付のインクリメンタルエンコーダ又は絶対値出力のアブソリュートエンコーダが選択できます。又、3相モータ用にUVW信号出力があるエンコーダもあります。

 

 
   <写真7>ポテンショメータ  <写真8>アナログ位置決め基板

          <写真9>デジタル偏差カウンタ基板


 デジタルパルス列信号には「正転パルス(CW)・逆転パルス(CCW)」「パルス列(PLS)・方向判別(DIR)」
「90°位相差A信号(A相)・B信号(B相)」があります。それぞれのパルス波形を図16、図17、図18に示します。
     


<図16>正転パルス・逆転パルス 

     


<図17>パルス列・方向判別 

    


<図18>90°位相差信号


電力用半導体トランジスタFETIGBT
電力用半導体は電気的特性に偏りが有る為、モータ定格電圧と定格電流により使い分けます。
トランジスタ : 電流増幅型のため大電流回路ではベース電流が大きくなりベース抵抗に電力型抵抗が必要になり回路が大型になり不向きです。トランジスタは小電流な小型モータに向いています。


FET : 電圧増幅型のため共通なゲートドライブ回路で様々な容量のFETを駆動できます。
4素子又は6素子のブリッジ回路を組んだときにハイサイドをPchFETにするとソース側が共通になるため、FETのドライブ電源が少なくすみます。但しPchFETは高耐圧の物がないのが問題です。
IGBT : ゲート入力側をFET,出力側をトランジスタにした高電圧・高電流素子です。
ゲートドライブはFETと同じ方式になります。
    トランジスタ・FET・IGBTの外観形状の違いはほとんどありません。

クローズドループ制御セミクローズドループ制御
 
クローズドループ制御は負荷に検出センサが取り付くのでモータと負荷がカップリングやベルト繋がっていたときにねじれやたわみが生じても正確に速度や位置情報をフィードバックできます。
セミクローズドループ制御はモータに検出センサが付いているのでセンサの取付は必要ありません。
クローズドループ制御とセミクローズドループ制御の回路構成図を図19と図20に示します。

<図19>クローズドループ  


<図20>セミクローズドループ


リニア制御PWM制御動作領域飽和領域
 リニア制御はベース又はゲートにアナログ電圧を入力してトランジスタ又はFETを駆動します。
PWM制御はベース又はゲートにパルス電圧を入力してトランジスタ又はFETを駆動します。
PWMは「Palus Width Moduration(パルス幅変調)」の略で周波数は一定のままでパルス幅を変化させています。
PWM周波数はキャリア周波数ともいい、モータ制御では電磁音の発生を防ぐために、人間の可聴周波数の上限である16KHz以上に設定しています。一般的にはトランジスタやFETの応答時間を考慮して20KHz位になります。
PWM回路の構成図を図21に示します。
     


<図21>PWM回路構成図 


リニア制御とPWM制御の出力波形を図22に示します。
     


<図22>出力波形


 リニア波形はPWM波形に比べ消費電力が大きくなりトランジスタ及びFETからの発熱が大きくなります。
リニア制御では放熱設計を大きくする必要があります。
リニア制御とPWM制御の消費電力の関係を図23に示します。
     


<図23>消費電力の比較


逆起電圧逆起電力定数
 
永久磁石型モータではモータを通電運転中も発電作用が内在しています。
DCモータでは速度センサの変わりに逆起電圧を使った簡易的な速度フィードバック制御が行えます。
センサレスブラシレスモータでは強制インバータ運転を行ってある回転数まで加速した後に逆起電圧を検出して同期運転に切り替わります。


古典制御PID制御PI制御現代制御
 モータ制御を制御理論で分類すると古典制御と現代制御に分かれます。
古典制御はオペアンプによるアナログ制御でPID制御「P:Proportional(比例)」「I:Integral(積分)」「D:Derivative(微分)」になります。
D(微分)動作は応答を速くする働きがあるが、モータ時定数が大きい場合はあまり効果がないので省略することが多く、その場合はPI制御になります。
PI制御の回路例を図24に示します。
     


<図24>PI制御


P動作の比例ゲインGpは
            Rg
      Gp = ――――  <式7>
            Rc
古典制御にすべてオペアンプを使用した回路構成図を図25に示します。
     


<図25>古典制御(オペアンプ)


 現代制御はマイコンによるデジタル制御で代表的な物で「最適制御」「極配置」「外乱オブザ−バ」「H∞制御」「適応制御」「ファジー制御」など他にも様々な制御が考案されています。
マイコンによるデジタル制御ではソフトウェアを変更することでハードウェアを変更せずに様々な制御が行えます。
又、オールデジタルにすことにより温度係数に影響されない安定した制御が可能になります。
デジタル制御の電流アンプにオペアンプを使った回路を図26に示します。
    


<図26>デジタル制御(オペアンプ)


現代制御の電流アンプにDSPを使った回路を図27に示します。
     


<図27>デジタル制御(DSP)


デジタル制御では現代制御と古典制御(PID制御)の両方とも制御できます。



● モータの適材適所

速度制御に適するモータ
   
速度制御ができるモータを表7に示します。

DCモータ 永久磁石型 マイクロモータ
サーボモータ
パワーモータ
カップモータ
ディスクモータ
3相ブラシレスモータ
ACサーボ同期型  
巻線型 分巻モータ
複巻モータ
ACモータ 誘導モータ ACサーボ誘導型

<表7>速度制御に適するモータ


トルク制御に適するモータ
  トルク制御ができるモータを表8に示します。

DCモータ 永久磁石型 サーボモータ 
巻線型 分巻モータ 
複巻モータ 

 <表8>トルク制御に適するモータ


位置制御に適するモータ
  
 位置制御ができるモータを表9に示します。

DCモータ 永久磁石型 サーボモータ
パワーモータ 
カップモータ
ディスクモータ
ACサーボ同期型 
ステッピングモータ マグネット型
レラクタンス型
ハイブリッド型
レスポンシン型
マグネット型 
リニアモータ レラクタンス型
マグネット型 
ACモータ 誘導モータ ACサーボ誘導型 

  <表9>位置制御に適するモータ


各種制御に適したモータの解説

1、 マイクロモータ
DCモータで2W以下の小型モータです。
小型で低トルクのため、センサの取付が不向きです。
電圧制御や逆起電力フィードバック制御での速度制御を行います。

2、 サーボモータ
速度検出器や位置検出器の付いたDCモータです。
速度制御・位置制御・トルク制御に向いた最も制御しやすいモータです。


3、 パワーモータ
DCモータで200W以上の大型モータです。
速度検出器や位置検出器の取付も行えます。

大型で慣性モーメントも大きいため高速応答は不向きです。


4、 カップモータ
アウターロータで無鉄心のDCモータです。
低慣性なため高速応答が可能。但し、鉄心が無い分温度上昇に弱いので連続運転には不向きです。


5、 ディスクモータ
無鉄心で円盤状の扁平モータです。
薄い形状の中に実装できます。
低慣性なため高速応答が可能です。
但し、鉄心が無い分温度上昇に弱いので連続運転には不向きです。


6、 三相ブラシレスモータ
三相同期電動機にホール素子を取り付けて極検出をしてDCモータと同じ特性にしています。
ブラシが無いのでメンテナンスフリーです。
専用ICも多くできていますが速度制御に特化しています。


7、 ACサーボモータ同期型
三相同期電動機にエンコーダを取り付けて速度制御と位置制御が行えます。
近年はマイコンによるデジタル制御が主流です。

8、 分巻モータ
回転子と固定子が巻線になっています。
固定子巻線の電流を変えることでトルクが変わります。
回転子側の電圧を変えることで回転数を変えられます。


9、 複巻モータ
直巻モータ(回転子巻線と固定子巻線が直列につながっていて高回転・高トルクなモータ)と分巻モータを組み合わせたモータで両方の特徴を持っています。

10、ACサーボ誘導型
三相誘導電動機にエンコーダを取り付けて速度制御と位置制御が行えます。
マイコンによるベクトル制御を行っています。
モータに永久磁石を使用していないため大型モータに適し、 ACサーボモータ同期型より大型のモータになります。


11、 ステッピングモータ
位置センサが不要でオープンループでの位置制御が行えます。
小型なモータでOA機器に多く使われています。


12、 リニアモータ
直線運転をするモータです。移動距離はモータの長さで決まります。
XYテーブルなどに使われています。大きなものにリニアモーターカーがあります


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