ノイズはオシロスコープなどの計測器で観測しないと確認出来ない厄介な物です。

このため電気回路を設計するにあたり、ノイズの影響を考慮しないで設計を進める事が多々あります。この場合、回路が出来てからノイズの影響で誤動作をする事があります。

モータを制御するとモータ及びドライバからノイズが発生する事があります。また、周辺機器からのノイズがコントローラ及びドライバにノイズが入ると誤動作の原因となります。

このように制御においては発生するノイズと入ってくるノイズに対してノイズ対策を施す必要がでてきます。

ここでは

ノイズ発生源

ノイズ対策例

ノイズ対策部品の説明

について解説します。


ノイズ発生源

1、モータ

モータから発生するノイズには巻線鉄心から出る電磁ノイズとブラシ付きモータのブラシから出るブラシノイズがあります。

発生箇所 発生状況
巻線鉄心 PWMなどのチョッパ制御波形が影響して電磁ノイズが発生する。
ブラシ ブラシの整流性が悪いとブラシから火花が出てノイズが発生する。

2、ドライバ

ドライバから発生するノイズにはスイッチング制御でのチョッパノイズがあります。

発生箇所 発生状況
SCR   トライアック 電源周波数に合わせてトリガするため、50Hz/60Hzのノイズが発生する。
トランジスタFET PWM周波数(20KHz前後)のノイズが発生する。高周波ノイズなため遠方まで伝播する。

3、リレー

接点から開放時にノイズが発生します。

発生箇所 発生状況
接点 開放時にアークと共にノイズが発生する。誘導負荷では抵抗負荷に比べノイズが大きい。

4、ソレノイド

誘導負荷であるソレノイドへの突入電流でノイズが発生します。

発生箇所 発生状況
巻線鉄心 起動時の突入電流でインパルス的なノイズが発生する。

5、スイッチング電源

リニア電源に比べスイッチング電源の方が高効率で小型化出来るため、今では電源の主流になっています。

ノイズフィルターを小型化にするために高周波スイッチングを行ないます。

発生箇所 発生状況
FET PWM周波数(50K〜200KHz)のノイズが発生する。高周波ノイズなため遠方まで伝播するが、ノイズ対策も施されている。

6、雷

自然現象で発生するノイズで電子機器等に及ぼす影響も大きくなります。

発生箇所 発生状況
空気中 静電気による落雷でノイズが伝播する。

7、蛍光燈

室内の蛍光燈から発生するノイズ。

発生箇所 発生状況
室内 ノイズレベルが小さいので影響はあまり無い。オシロスコープのプローブに測定回路を繋がない時に観測出来る。

8、溶接機

アーク溶接で発生するノイズ。ガス溶接では出ません。

発生箇所 発生状況
溶接機 溶接機は高電圧でトーチからアークを発生させるため、高いレベルのノイズを発生する。

9、無線

無線、携帯電話、ラジオ放送、テレビ放送などの高周波電波。

発生箇所 発生状況
電波の届く地域 周波数が非常に高く遠方まで伝播しているが、高周波なためノイズ低減もし易く影響はあまり受けない。

戻る


ノイズ対策例

モータ制御での具体的な対策例を下図に示します。


戻る


ノイズ対策部品の説明

1、ツイストペア線

信号線とグランド線を長く配線すると電線がアンテナになり、周辺のノイズを拾う事があります。

電線の長さが長いほどノイズレベルが大きくなるので平行な2本の電線を捻じってノイズを低減させます。

2本の電線を捻じる事により電線に流れる電流による磁束は打ち消しあいます。

ノイズ低減効果は捻じるピッチが短いほど効果がありますが、電線長は短くなります。

2、シールド線

キャプタイヤケーブル内の電線の周りに網状の金属を巻いています。網状のシールドは片側1点をノイズ低減効果のあるアースに繋ぎます。両側2点を繋ぐとループを形成してループ内に電流が流れノイズ源になりますのでアースは必ず1点にします。

シールド線はツイストペア線よりノイズ低減効果が大きい電線です。また、ツイストペア線が中に入ったシールド線もあります。

シールド線ではグランド線を金属網シールドで代用する事も出来ます。

3、コンデンサ

コンデンサは直流電流は通さず、交流電流を通す性質があるため、ノイズ及びリップル電流を吸収できます。

また、チョークコイルや抵抗器と併用してローパスフィルターを形成します。

直流リップル電圧の平滑には電解コンデンサを使用します。

高周波ノイズにはフィルムコンデンサや積層コンデンサを使用します。積層コンデンサはインダクタンス(誘導)Lが小さいのでノイズ低減効果が高くなります。

4、チョークコイル

チョークコイル単独ではハイパスフィルターになります。

コンデンサと併用して積分回路を作りノイズフィルターになります。

1回路巻線のノーマルモードチョークと1鉄心2回路巻線のコモンモードチョークがあります。

5、ノイズフィルター

コモンモードチョークとコンデンサをシールドケースに入れたパッケージ部品です。

2相電源用と3相電源用があります。

6、ノイズカットトランス

一般の電源トランスもノイズを遮断出来ますが、さらに電磁シールドを強化してノイズをほぼ完全に遮断するトランスです。

7、バリスタ

サージノイズをバリスタ電圧でカットする半導体部品です。

バリスタ電圧以上のサージ電圧はバリスタに吸収されるため、サージレベルやサージの頻度が大きい場合はバリスタの容量も考慮する必要があります。

8、フェライトビーズ

トランジスタのベース信号などに乗る小信号ノイズをカットします。

信号線やリード線に直接取り付けます。

9、フォトカプラ

デジタル信号を光で伝達するICです。LEDを発光出来ない微少ノイズは伝達しません。

10、負論理出力

TTLICはDC5V電源において1.2V付近にhighレベル/lowレベルを切り替えるスレッショルドレベルを持つため、正論理では1.2Vのノイズマージンしかありませんが、負論理では3.8Vのノイズマージンになります。

11、ラインドライバ出力

DC5Vのデジタル正論理信号Aと反転したデジタル負論理信号Bの2信号を伝送し、2つの信号がA=high,B=lowまたA−B=5Vのときだけ伝送する様に設計します。2本の信号線A,Bには同じ方向性のノイズが乗るため、この条件ではノイズの影響をまったく受けなくなります。

ラインレシーバは専用IC又はフォトカプラを使用します。

12、光ファイバー伝達

信号線を長距離伝送する場合はノイズの影響をまったく受けない光ファイバーが理想的です。

13、静電シールド

アルミ板のシールドケースで覆うと、ノイズを遮蔽する効果があります。

14、電磁シールド

大電流送電線に近く電磁界の影響を受け易い場合に電磁シールドを施します。

鉄など厚みのある高透磁率の金属ケースに入れる事により効果があります。

15、筐体

電気回路を入れるケースで回路のグランドへは直接カップリング、抵抗カップリング、コンデンサカップリング等を行ないます。

コンデンサカップリングは回路グランドの交流ノイズ成分だけを筐体に落とす働きがあり、絶縁も確保出来ます。

筐体はAC電源のグランドアースに接続される事もあり、筐体にはAC電源(AC100V,AC200V)の高電位がありますので注意が必要です。

16、グランドアース

AC電源の片側は柱上トランスより大地にグランドアースされています。従って、コンセントの片側は大地と繋がっていることになります。

筐体ケースはノイズ低減と感電防止のためにグランドアースとつなげる事を義務付けられている事があります。

戻る


フロントページに戻る

このホームページを無断で複写・複製・掲載する事を禁じます。

ドルクスラボ 制御技術研究所 

制御回路とセンサ ../../Playtown-Denei/7588

光の制御 http://www.cam.hi-ho.ne.jp/dorcus/