古典制御

現代制御

古典制御

1、はじめに

モータ制御にはシーケンス制御とフィードバック制御があり、ここではフィードバック制御の制御理論として古典制御理論(conventional control theory)と現代制御理論(modern control theory)について説明します。

2、古典制御

古典制御は1960年以前に集大成された制御理論で、現在でもモータ制御や温度制御に多く使われています。

古典制御は伝達関数を周波数領域でボード線図

に位相特性・ゲイン特性を表わす事が出来ます。

制御対象の入出力関係は1入力1出力系の制御対象に対し、その入出力関係つまり伝達関数だけに着目して周波数領域上で設計を行ないます。

3、PID制御

古典制御の代表にPID制御があります。

制御動作にはP動作(比例動作;proportional action)

I動作(積分動作;integral action)

D動作(微分動作;derivative action)

から構成されています。

制御対象によっては比例制御だけのP制御、比例積分制御のPI制御、比例微分制御のPD制御などがあります。

モータ制御ではP動作で比例ゲインの調整をして、I動作で位相補償を行なうPI制御が一般的です。

P動作の比例ゲインは直流的なゲインなので[static gain]、I動作の位相補償は交流的なゲインなので[dynamic gain]とも呼ばれます。

@ P制御

モータ制御におけるP制御は目標値とフィードバック値の比較・増幅を行なっています。

目標値とフィードバック値を加算した偏差がゼロ(0)になるようにフィードバック値は負帰還とし、目標値とフィードバック値のサミングポイントをオペアンプの反転増幅回路で受けています。

A I制御

モータ制御におけるI制御はステップ応答での比例ゲインにによるオーバーシュートを積分定数の位相遅れによりモータの振動を抑制しています。

積分定数はモータの電気的時定数により変わるので可調整にします。

4、アナログ古典制御

オペアンプの構成はモータに近いループ順に、電流アンプ、速度アンプ、位置アンプの順に並びます。

モータ制御に使用するオペアンプは高スルーレート・低オフセットの物を選択します。

@ 電流アンプ

電流アンプは電流制御つまりトルク制御を行なうループで、電流フィードバック値は負帰還になります。

電流アンプのゲインは低ゲインでかまいません。

トルク制御では電流アンプを単独で使用し、速度アンプ、位置アンプは必要ありません。

電流応答はモータの電気的時定数より速い応答が望まれます。簡易的な速度制御では省略する事が出来ます。

電流フィードバックセンサには電流検出抵抗器やホール素子電流センサなどを使用します。

A 速度アンプ

速度アンプは速度制御を行なうループで、速度フィードバック値は負帰還になります。

速度アンプの比例ゲインは速度の安定性を左右するので100倍〜1000倍の高ゲインにします。ゲインが高いと振動も発生し易いので積分回路による位相補償を行なう。又、速度アンプの入力側にノイズが入るとノイズも高ゲインで増幅するので回路設計や配線に注意が必要です。

速度フィードバックセンサにはタコゼネ(速度発電機)やエンコーダを使用します。

B 位置アンプ

位置アンプは位置制御を行なうループで、位置フィードバック値は負帰還になります。

位置アンプのゲインは低ゲインでかまいません。

アナログ位置制御では速度フィードバックを省略でます。

位置フィードバックセンサにはポテンショメータとエンコーダがあります。エンコーダでは偏差カウンタによるデジタル位置制御になります。

デジタル位置制御では速度フィードバックと位置フィードバックを併用する必要があります。

5、デジタル古典制御

近年、デジタルコンピュータの普及によりPID制御をソフトウェアによって実現するソフトウェアサーボが増えてきています。

ソフトウェアサーボではPID補償器を離散近似によりデジタル補償器で実現しています。

1例として台形積分法がある。積分を台形公式で近似する方法で、積分値をz変換しています。


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現代制御

1、概要

現代制御は1960年以降に発展した制御理論で、状態方程式を用いてモデリングを行なっています。

出力に影響を及ぼす可能性のある内部変数(状態変数)に着目して設計を行ないます。

制御システムは1入力1出力に限らず多入力多出力システムも制御できます。

システムの安定性、可制御性の解析に有効です。

2、現代制御

@ 最適制御

2次形式評価関数を最小にする制御器を設計します。

設計された制御器のゲインは無限大(∞)、位相は60度以上になります。

A 極配置

状態フィードバックにより極を任意の位置に配置します。

B ロバスト制御(H∞制御)

H∞制御はあらかじめ制御対象の誤差を考慮して設計しようとする手法で、周波数領域の特性に基づいて数理的に制御します。

制御器を変えずにモデル化誤差を制御系に取り込んで最小にする制御です。

Hはハーディー空間を意味します。∞はインフィニティーと読みます。

H∞ノルムで表わされた制御仕様を満たすコントローラを設計します。

H∞が注目される理由は従来の制御理論では困難であったロバスト安定化(数値モデルと実際の制御対象に誤差があっても安定化するコントローラの設計が可能)と周波数領域で制御仕様を記述出来る(閉ループ系の周波数応答が可能)事にあります。

C 適応制御

制御対象のパラメータを逐次推定して制御系を構成します。

設計法としては、モデル規範形適応制御系(MRACS)とセルフチューニングレギュレータ(STR)の2つがあります。

MRACSは制御対象の動特性を規範モデルで与え、このモデルの動特性に制御対象とコントローラを結合した制御系の動特性が一致するようにコントローラを適応的に構成するものです。

STRは初めに適当な制御方法が選定され、制御対象のパラメータは既知としてコントローラの構造が決定されます。実際には制御対象のパラメータは未知なので、適当な同定方を推定して、その結果を真値とみなしてコントローラのパラメータがオンラインで決定し調整されます。

D ファジー制御

人間の感覚を数学的にコンピュータで実現する制御で、あいまい制御とも呼ばれています。

人間が経験的に持っている技術を積極的に制御系に取り込んで制御を行なっています。

ファジー理論はファジー集合、ファジー理論、ファジー測度の3つからなります。

ファジー集合は数学の集合の考えを拡張したもので、あいまいさを表現する際に用いられます。

ファジー理論は従来の多値理論にファジー集合の考え方を入れたもので、制御、エキスパートシステムなどでファジー推論という形で用いられます。

ファジー測度は通常の加法的測度を拡張したもので、人間の評価・判断のモデリングに用いられます。

E ニューロ制御

人間の脳や神経と同様な柔軟な制御を目指したのがニューロ制御である。

3、デジタル現代制御

@ 最適レギュレータ系

A 最適デジタルサーボ系


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制御技術研究所 ドルクスラボ