book


卒業論文用 視覚障害と発達 デヴィッド・H・ウォーレン 1998 二瓶社 第5章 言語発達 P235- 早期の語彙 Burlingham(1965)は、視覚障害児は言語的なラベルと触覚的あるいは聴覚的な経験とを簡単に結べ付けないと記し、その理由として親が視覚に基づいた語彙を教えようとするために、子供は混乱し、一方で親は子供が受けた経験にふさわしい言語的ラベルを与えることができないからとしている。このような状況で、視覚障害児は自分の体験にあった得意な語彙を獲得し、晴眼児が使う「見えている」の表現が獲得できない。 単語の意味 Cutsforth(1932)は、視覚障害児が直接得た感覚に基礎をおかない単語を使用する傾向があるという研究報告を出版し、このようなことをバーバリズムと呼んだ。視覚障害児の使う言葉は晴眼児が使う言葉に比べて直接得た感覚からかけ離れているので、視覚障害児が「支離滅裂であいまいな思考」をするようになるに違いない。と論じている。Dokecki(1966)の基礎的理論は、晴眼者が感覚的に対象と感じることができずに使っている言葉はたくさんあり、そのような言葉に基づく概念が無意味であったり、あいまいな思考につながったりするとは言えない。Burlingham(1961)は視覚障害児の会話は「感覚的な経験とあまり結びついていない」と記し、視覚障害児は晴眼である両親の発話をまねするとほめられるので、自分では十分に経験していない感覚的対象でも晴眼者の語彙から単語を使うようになり、自分の感覚的経験を混合することで単語を発達させる。NageraとColonna(1965)もまた、視覚障害者は晴眼者の単語のおうむ返しのみから語彙を獲得していく傾向がある。という見解を示した。そして、「こうした「言葉の象徴」に対する視覚の貢献がなくとも、やがてそれに代わる補償方法が発見され、このような基礎的ユニットが必要とされる複雑な心理過程において、このような象徴性が役に立つ要素となる」ことを指摘した。 脳とコミュニケーション 岩田誠 朝倉書店 1. コミュニケーションとは何か P1− 認識について 動物の個体は感覚刺激によって外界から情報を得、その意味を解読することによって、初めて適切な反応を選択している。様々な感覚刺激が脳内で複数の反応様式の選択のために利用されるとき、このような刺激は情報となり、主として大脳皮質まで伝えられ、ここでその情報に基づいて行動の選択(判断)され、またその選択されたことを登録されたりする。このような過程は認識と呼ばれる。 感覚チャンネル 6. 言語野とその機能 語音の短期記憶 認知心理学と人間の情報処理供衆媼韻筏憶― R.ラックマン他2名 螢汽ぅ┘鵐梗 第7章 人間の記憶の構造的特徴 P286− エピソード記憶と意味記憶の区別 Tulving(1972)は、エピソード記憶と意味記憶の違いを定式化し、明確にした。中でも重要なのは、エピソード記憶が個人的なものだということであり、その本質は「その人の過去の経験の時間的、空間的文脈を保持している」ということである。Tulvingの挙げる例として、 1.私は少し前に電光がひらめき、数秒後に大きな音がしたのを覚えている。 7. 昨年の夏休み前に、私は一人の退役した海軍大佐に出会ったが、彼は今までに出会った誰よりもたくさんのジョークを知っていた。 8. 私は明朝9時30分に学生に会う約束をしたのを覚えている。 9. 私が学習した第一リストにはLEGEND(伝説)という単語が確かにあったと思う。 10. このリスト中でDAXと対になっていた単語はFRIGID(極寒の)だったと思う。 これらのエピソード記憶とは対照的に、意味記憶に自伝的要素はなく、単語やシンボルの意味、指示対象についての知識、単語間の関係についての知識、単語とシンボル、あるいはそれらの関係を操作するための規則やアルゴリズムの知識などが含まれている。つまり、意味記憶は人が学習した特定の単語、概念、規則の状況記録はなく、エピソード記憶と違って、特定の過去経験に照らして判断することができないのである。Tulvingの挙げる意味記憶の例として、 1. 私は食卓塩の化学式がNaClであることを覚えている。 2. 私はカトマンズの夏が普通とても暑いことを知っている。 3. Juneの次の月は、カレンダーの順でいうとJulyであり、アルファベット順でいうとMayであることを私は知っている。 4. 私は5個の等確率事象の不確定性は2.322ビットであることを知っている。 5. 私はTABLEとCHAIRの連想強度はTABLEとNOSEよりも強いと思う。 これらの文は、話者の過去の特定のエピソードやそれを獲得した文脈から分離した知識と関連している。あきらかに記憶された内容の記述であり、話者の心の中に前もって意味情報が貯えられなければ、このような記述はできない。注目したいのは、これらの文の正誤は、話者や話者の過去を知らなくとも判断できる。エピソード記憶ではこれができない。 感覚レジスタ 環境内の情報は、様々な感覚を通して記憶システムに入るが、まず最初は感覚レジスタに到達する。感覚レジスタ内の情報はまだ意識されておらず、感覚像そのままの完全な記録である。しかし、その情報は時間の経過または新しい情報の書き込みによって急速に失われる。感覚レジスタの目的は、認知システムが処理すべき感覚入力の選択を行うのに必要な時間、情報を保持することである。Atkinson and Shiffrinが書いた論文では視覚レジスタに関する実験的証拠しかなかった。 短期貯蔵 短期貯蔵は、感覚レジスタと長期貯蔵の両方からの情報に対して意識的な処理が行われる、作動記憶である。たえず注意を向けていれば、短期貯蔵内の情報は長時間保持することができる。しかし注意をそらせば、15秒から30秒で完全に消えてしまう。短期貯蔵の目的は、感覚レジスタや長期貯蔵から注意深く選ばれた少数の情報を短時間保持し、それによってたえず変化する環境の要求に人が自分の行動を合わせるのに必要な、任意の意識的処理過程を実行できるようにすることである。この考え方によると、意識的な情報処理は、人が効率的に行動するために必要である。自分の行動をまわりの状況に適合させるには、感覚経験と長期的知識貯蔵の両方から、少数の適切な情報を意識的に集めなければならないのである。Atkinson and Shiffrinが論文を書いた時点では短期貯蔵内の聴覚―言語―言語学的情報に関する実験的証拠しかなかった。 長期貯蔵 情報は短期貯蔵から(そして多分感覚レジスタからも)長期貯蔵へ転送される。短期貯蔵の情報は、制御過程がその内容を長期貯蔵の情報と関連づけることによって、意識的に転送されることもあるし、まだよくわかっていない過程を通じて無意識的に転送されることもある。長期貯蔵は、様々な形式でコード化された膨大な情報を保持している。長期貯蔵の情報は、時間の経過に伴う減衰や新しい入力による妨害、再生のための検索努力など、様々な原因によって失われる。長期貯蔵の目的は、使われていない情報や情報処理についての規則を保持しておくことである。 3貯蔵モデルの歴史的背景 Atkinson and Shiffrinが用いる短期貯蔵、長期貯蔵という用語と、言語学習心理学者が用いる短期記憶、長期記憶という用語は同じ意味ではない。言語学習の領域では、特定の記憶が持続する時間間隔を指しているのに対して、構造的なものであり、認知システムの異なる部分を指している。Atkinson―Shiffrinモデルは、コンピュータ・メタファーを利用している。 アイコン貯蔵 Sperlingは、ただ一度の短時間の提示で、いくつのものを見ることができるかを検証した。以前からこのような実験は行われていたのだが、より客観的に測定できるよう改良した。それは、以前の実験の被験者が実験者に報告できた以上のものを見たと主張していたためである。すなわち、視覚像の記録であるアイコンが急速に薄れてしまうので、被験者は短時間の提示で見たものの全てを報告することができないのではないかとSperlingは考えた。短時間の視覚貯蔵システムは、逸話的証拠により示されている。例えば、薄暗い部屋で火のついたタバコを揺らすと、火の通ったあとが尾を引くように見える。これは、タバコが移動したあとに視覚経験の一部が残っているのである。Sperlingの実験では、部分報告法(Ppartial−report technique)を用いた。それは、まず提示された文字画面が消えたのち、報告すべき文字列を指示する音を聞かせる。その音は、高音、中音、低音に別れており、高音なら最上列の文字、中音なら中央列の文字、低音なら最下列の文字を答えなければならない。このとき、Sperlingは、1画面につき4文字のみ再生するよう求めている。Sperlingは、文字画面が消えてから再生すべき文字列を支持する音の提示までの時間間隔を変化させた。これによって、アイコン情報が感覚レジスタ内で失われる速度を知ることができ、アイコンが薄れるにつれて報告される項目数も減っていくと予想した。つまり、部分報告条件での正答率という従属変数が、指示音の遅延時間という独立変数によってどのように変化するのかを調べるということである。実験の結果、音の遅延間隔が短いときの正答率は非常に高く、遅延時間がゼロのときには80%を超えている。しかし、 が1秒を超えると、部分報告の優位性はなくなる。アイコン内に役立つ情報は、0.3秒以内に劣化され、1秒以内に完全に消えてしまうのである。この発見で、報告される文字数は被験者が薄れゆくアイコンから文字を報告できる速度に依存していることが実証された。 その後Averbach and CoriellやHaber and Standingの別の実験によっても同じ結果をえることができた。これらの実験結果は、Atkinson and Shiffrinが感覚レジスタについて述べたいくつかの事項を指示するものである。感覚レジスタが大容量であり、その中にある情報は減衰によって急速に失われるという主張を指示している。 次にAtkinson and Shiffrinが主張した他の側面、すなわち感覚レジスタ内の情報が減衰だけでなく、他の情報による末梢によっても失われるということを検証してみる。このような情報抹消には、脳内で生じるものと視覚器官で生じるものの2種類がある。 視覚マスキング 視覚像が別の視覚像をこわし得ることを示す実験手続きは、マスキング(masking)とよばれる。Sperlingは被験者に文字刺激を短時間見せ、その刺激が消えたすぐあとにマスク刺激であるフラッシュ光を提示し、提示した文字を報告させた。被験者は、マスク光がすぐに提示されるほど、報告できる文字数は少なかった。Sperlingは、マスク光がアイコン貯蔵から情報を取り出す過程に干渉すると結論づけた。 8.エピソード記憶システムの柔軟性 9.意味記憶 P.399− 序論 エピソード記憶は、人の経験について時刻や場所のような特徴を保存する。意味記憶は、人の一般的な概念情報、世界に関する知識、及び言語的能力を保持する。 意味記憶は現実についての内的表象を構成する人間の能力にかかわっている。すなわち、知覚経験を取り込み、解釈し、先行経験の結果と結びつけ、それに基づいて推論し、意味を引き出し、予測し、原因を帰属し、新しい知覚入力の助けを借りずに古い考えを組み換えて新しくする能力である。人間の活動から生じる全てのことは、意味記憶の領域であり、多くの学者が、意味を扱えるという人間独自の能力の根底にある特定の処理系列を明確に記述することを目標にしている。意味記憶は通常科学の一部となっており、方法論は確立されている。これらの方法論によって、意味記憶を必要とする全ての状況において機能すると情報処理パラダイムが示唆する能力を研究することができる。この主な方法は、分類課題と真偽判断課題であり、それらによって得られる反応時間の違いから意味記憶の構造を推測できる。 意味記憶の領域の形成(実験方法論) 分類反応時間手続きによって、反応速度の指標が得られ、被験者は事物が分類されるしかたについての日常的な知識を使わなければならない。そのことを実証する研究として、被験者は語を示されてそのカテゴリー名を言うように求められる。例えば、被験者はGORT、ROSE、DOG、TREE、HOUSE、BUSHのような語について、それがanimalかplantかを言わなければならない。また、他の研究では、一対の語が同じカテゴリーに属するか否かによって、同じか異なるかを反応する。例えば、GOAT−HORSEは両方とも動物なので同じという反応を引き出し、GOAT−TURIPは違うという反応を引き出す。第一の語が第二の語によって示されるカテゴリーに属する場合ははいと答えることもある。例えばRED−COLORについてははいと答え、RAZOR−VEHICLEはいいえと答える。また別の方法として、A typhoon is a dwelling.やA watermelon is a fruit.のような文について、真か偽を反応するものがある。いづれにせよ、これらの課題の認知的要求は同じであり、被験者は反応するために自分の概念やカテゴリーの知識を使わなくてはならないのである。 これらの実験は、文になった場合も同様である。主語―動詞―述語という形式の命題表現について真か偽を言うことを被験者に求める。命題とは、様々な表現形式をとる文の背後にある意味や内容である。主語―動詞―述語という形式の命題表現において、主語と述語は常にカテゴリー名である。その単語の概念的クラスは、比較的少数の事例を含むもの(例えば、COLLIE)、多くの事例を含むもの(ANIMAL)、中程度の事例を含むもの(DOG)がある。動詞については、A canary has skinでのHASのように、特性関係を身近な動詞を指し示す。また、A dog is an animalのように、それは、下位集合と上位集合の関係を明示する動詞的な概念であることもある。この動詞はISAという専門用語で呼ばれ、命題ではDog isa animalと表現されている。このような場合も、被験者はその命題の真偽判断をするのである。 意味記憶の研究者の見解によれば、全ての分類反応時間や真偽判断反応時間の手続きは、背後にある同一の認知構造や認知過程に基づいている。通常、従属変数は反応時間である。反応時間は、意味記憶の構造における要素間の距離といった問題、それらの要素の検索に関与する操作、そしてそれらの操作間の関係についての理論を検討するために用いられてきた。 実験心理学からの影響 Schaeffer and Wallaceは2個の単語を一度に提示し、対になった単語が両方とも生物か両方とも非生物であれば「同じ」で、一方ずつであれば「違う」という判断を被験者に求めた。Schaeffer and Wallaceは、2つの単語の意味的類似度が高い場合に、「同じ」反応は早くなるだろうと予測した。例えば、LIONとZEBRAは両方とも動物であるということによって、同じ生物の下位カテゴリーであるLIONとTURIPよりも意味的類似度が高いと考えられるので、LIONとZEBRAはLIONとTURIPよりも「同じ」の反応時間が速いと予測した。 イメージの心理学―心像論のすべて― ミシェル・ドゥニ 1989 剄草書房 第5章  イメージ活動の実験コントロール 1.刺激の諸特徴 P64 単語のイメージ価 刺激の特徴としてのイメージ価は、その刺激が人に図形イメージを喚起させる能力と定義される。単語のイメージ価は、尺度による評定法によって評価される。例えば単語のイメージ価は、被験者のグループが、非常に鮮明なイメージ―イメージ無しという形式の尺度に従って与えられた評点の平均によって決定されている。鮮明さという基準以外にイメージの喚起速度やイメージの精密さなどの基準が加えられることもあり、これらの全ての特徴にはお互いに緊密な相関関係がある。すでに、多種多様な単語サンプルのイメージ価を示した一覧表がいくつか存在している。全体的にみて、イメージの喚起力の強いことばは、イメージ喚起にあまり適さないことばより速く理解され記憶も容易である。しかし、単語のイメージ価を、その単語の「絶対的な」特質だとか、それに適用される作業の成功を予測するための「絶対的」な根拠だとか考えるのは間違いであって、イメージ価の高い同一の単語であっても、学習時の被験者の認知活動がどこに向けられていたのかに応じて、イメージされた要素の強度が異なる様々な心的表象を生み出すことに注意すべきである。また、「人形」のイメージ活動と「おもちゃ」のような総称的な単語が喚起するイメージ活動が同一視できないように、ある言語に属する全ての単語がそのイメージ価を単一の尺度で評価できるからといって、それら様々の単語に関するイメージ形成までもが、同一の規則や過程に従うわけではない。 イメージ価と具象―抽象の次元 ある単語の指示対象が知覚的に経験できるものなら、その単語は具象的であると規定され、そのような経験を全く指示しなければ、抽象的と規定される。このことは、単語によって喚起されたイメージ活動が、この単語の指示対象から被験者が獲得する知覚的認識に依拠していることを明示している。しかし、ここで注目すべき例外がある。その一つが、イメージ価が高いにもかかわらずあまり具象的でないと考えられている一連の単語の存在である。怒り、不安、悲しみ、喜び、パニック、悲哀などの感情を示す言葉の場合である。また、勇気、死、悲劇などの情動的負荷を伴う場面を表す言葉についても同様である。これらの言葉は全て、個人が実際に出会った感情的場面の知覚体験に結びついていて、単語に高いイメージ価を与えている。しかし、物理的に判別できる事物を示していないので、あまり具象的でないと判断されている。同様の食い違いが悪魔、女神、幽霊などの空想の産物を示す名詞に見られる。これらの創造物が具象的でないことは明らかであるが、それらを描いた絵を通して人々が得たであろう知覚体験を考えるなら、イメージ価は高くなる。もう一つの例は、抗毒素、脳、虻などの単語は非常に具象的であると判断されているが、イメージ価は比較的低い。これらの単語は、具象的で即物的な世界に属している事物を示しているが、人々がそれらを知覚経験するには極めて稀であるからである。 抽象名詞、具象名詞および絵 抽象名詞から具象名詞への「移行」と、具象名詞からそれらの絵画形象への「移行」とは、性格が異なる。前者に関与する変動の原因は、被験者が無意識に行うイメージ活動の強度やその確立に関するものであり、ただ一つではない。そして、「移行」手続きの中で全く異なる様々な意味領域を対象にする。これらの意味領域の構造と機構は、いかなるイメージ過程からも独立した極めて異質なもので、2つの名詞のイメージ価の違いだけでなく、その中に含まれている他の変数もかかわっている。後者の場合は、具象名詞と絵の意味領域は共通を指示し、変動の原因は同一である。ただし、実験では被験者が指示対象から想起するであろうイメージと、与えられる絵による表示とは区別しなければならない。イメージとは、ある概念に関して個人が所有している知識のうちの、図形的な部分の現働化(actualisation)であるからである。また、イメージ活動は、個人の「意味記憶」と規定されるこの認知的獲得物の、諸構成要素に対して作用している。 2. 実験的操作 P72 教示の使用 呈示された言語データをもとにイメージ表象を構築する方法が多く使われる。例えば、 犬―自転車といった恣意的に組み合わせた名詞のペアを被験者に呈示して、二つのイメージを同一の視覚画面上で関連づけるように支持するのである。このとき、被験者は、自転車に乗っている犬とか、自転車のあとを追う犬や、さらには自転車にひかれた犬などを思い浮かべることができる。 絵の使用 呈示速度 刺激を呈示する速度に変化をつけて、イメージ形成過程に影響を及ぼす実験方法では、被験者による視覚イメージの形成をもとにした記憶術の有効性は、イメージ活動が完了するだけの十分な呈示時間が与えられたときのみ明確に現れるということを証明された。 3. 個人のイメージ能力 P75 第7章 知覚過程とイメージ過程の機能的類似性 イメージはあくまでも知覚活動と結びついている。そして、その心的イメージは個人史の中のあるときに、知覚的環境から抽出した情報をもとにして構築されている。こうしたことから、感覚様相に関係するイメージ過程は、この感覚様相が機能しないときほとんど作用する可能性のないといえる。生まれつき盲目の被験者は主として視覚イメージを喚起する単語(虹、ポスター、薄暮れなど)よりも、主として聴覚イメージを喚起する単語(雷鳴、反響、笑いなど)の方をよく記憶するのに対して、視覚的様相が支配的な目の見える被験者の場合、通常はこれと逆のことが観察される。多くの研究者は、構築過程としてのイメージ作用は確かに知覚活動と緊密な類縁関係があると考える。ある事象のイメージによる想起は、もとになっている知覚が伝達する情報パターンに多少とも対応する情報パターンの、中枢機構による生成に一致するということだ。 3.イメージ活動と知覚活動の相互干渉 P98 イメージ活動と知覚活動の間にこれまで報告したような機能的類似性が存在するのなら両者の同時使用が干渉の原因となり、特にどちらか一方の、更には両者の効率を制限していると予想される。我々は、視覚的想像を働かせなければならないとき、私たちは自然に目を閉じたり、身の周りの、知覚対象が豊富な領域から目をそらしたりする。また、メロディーの想起は聴覚が他の音の刺激を受けているときには極端に難しくなる。この2つの例によって、イメージ活動と知覚活動とが両立しえないことが推測される。 ブルックスの空間的関係の想起に関する実験 この実験のねらいは、視覚イメージの助けを借りるような課題を行うには、これと同時に視覚活動を利用するときの方がより適した状態にあるということを立証することにある。実験は次のようである。被験者に全ての角が点で表示されている図形を呈示する。そして、被験者はこれらの点の中から、一方では上部と下部の線分を仕切っている点を識別し、他方では中間の高さにある他の点を全て識別する必要がある。それは、被験者が図形を検討した後でこの視覚イメージを想起し、頭の中で定点から時計の針と同じ方向に図形の周囲をなぞらなければならない。その点が上部か下部にあれば「はい」と答え、中間の高さにあれば「いいえ」と答えなければならない。例えばFという文字の場合、左下の角の点から始めると、「はい、はい、はい、いいえ、いいえ、いいえ、いいえ、いいえ、いいえ、はい」応答しなければならない。このとき、いくつかの応答方法を用いて、その結果を比較する。一つは「はい」「いいえ」という一連の応答を口頭で行う方法と、もう一つは一枚の用紙に視覚コントロールが要求されるような見慣れない仕方で書き込まれている「はい」「いいえ」の選択肢の中から正しい応答を丸で囲む方法である。前者の方法では、応答速度という点からみれば有利である。実験の結果では、後者の方が平均して3倍の時間がかかった。こうした実験結果は、後者の条件では、被験者が応答用紙の中の正しい答えを知覚的に探そうとするときに、もとになっている図の視覚イメージをなかなか想起することができないという事実に起因する。つまり、イメージ表象活動と応答するのに必要な視覚活動との間に葛藤が起こっているのである。前者の条件においては、この拘束がないので被験者は視覚コントロール過程を導入し、イメージを早く処理することができる。 また、ブルックスは他の実験で文の処理に関係する聴覚言語システムを使用しながら口頭によって応答するほうが、言葉を用いない非言語的な応答よりも時間がかかることを証明した。これら一連の結果は、読み取りに際して視覚器官を導入すれば、言語情報をイメージ表象の形に変換する能力が制約される仮説を裏付けている。 第10章 認知表象におけるイメージの位置 2.カテゴリーの認知表象 P144 分類学における図形的意味素性 現在述べられている考えでは、あるカテゴリーの名詞に対し、いくつかの意味素性に分析可能な記号内容が対応する。記号内容は、カテゴリー的名辞の素性群に加え、固有の特定的な素性群によって構成されている。例えば、カシワという概念は、木という概念の素性群とカシワに固有の素性群を組み合わせたものである。要するに、単語の記号内容は、総称的な単語の記号内容より多くの意味素性を含む。ある概念の意味は、その概念の属する分類において、それが「下位」にあればあるだけ、豊かになる。 カテゴリーレベルの識別と「基本レベル」の概念


このページは GeoCitiesです 無料ホームページをどうぞ