例えばこんな日々

こちらのテーマは、「事件のない静かな日々」です。
それでは、こっそり耕助&楽子の事件のない一日を垣間見ることにしましょう。


耕助の一日

 普段は大抵7時過ぎか8時過ぎに目を覚ますらしい(楽子より早起きかも)。最近の耕助の朝食は洋風に
なっている。濃い目のコーヒーをゆっくり淹れて、朝刊にゆっくり目を通す。その後おもむろに食パンをトースト
したり、卵を茹でたり、のんびり一人で台所に立っている。「管理人の楽子さんが手抜きしているからな・・・」
と内心呟いているに違いない。
 朝食を済ませると、今度は副業というかアルバイトの翻訳に取りかかる。とは言っても、気まぐれな彼の
こと、よほど締め切りが近づかないと鉢巻を締めなおさない。楽子は、耕助がどういう種類の翻訳をして
いるか良く知らないけれど、どうも理系の学会誌などを広げているようだ。翻訳の下請けが無い時などは、
どこから頼まれるのか雑文らしきものを書いている。本当にたまにではあるけれど、資料が足りなかったりす
ると楽子は図書館へお使いに行くこともあります。
 そうやって何やら机に向かい、手拭いで鉢巻をして鉛筆を舐め舐め、原稿に向かっていることもあると思
えば、大抵は、だらしなく寝そべって本を広げたり居眠りをしたり。「椅子に座って本を読むなんて、僕に
とっちゃ至難の業なんですよ」などと呟いていたりする。また、考え事をしている時の耕助は、
しばしば大きな声で独り言を言ったりも。
 机に向かう必要のない時、それがお天気も良かったりすると、おもむろに袴をつけて散歩に出かける。
浅草で大量に「豆(おやつ用)」を購入してきたり、骨董屋をひやかしたり、美術館へシカツメらしい顔をして
入場したり、果ては釣堀に行ったりもするらしい。
 そして夕方になると、耕助はどこへともなく出かけていきます。行き先を告げていくこともあれば、黙って
ふらりと出かけることも。馴染みの警部さんたちと会うこともあれば、一人で夜の街をほっつき歩くこともある
ようです。彼にとっては、それが良い息抜きになっているのでしょうし、人間観察目的でもあるようです。


楽子の一日

 楽子が耕助さんの助手みたいなことをしているのは、この緑ヶ丘荘の管理人の山崎さんから頼まれた
からです。助手といってもワトソン君のような働きはしません(できません)。もっぱら電話番をしたり連絡係
をしたり、耕助さんが必要とする書類やら資料やらを集める雑用係をしたり。一人ぼっちで食事をする事が
寂しく感じられる時などは、一緒に食卓を囲むこともありますが、大抵は一人で過ごしています。
 耕助さん以外の住人の方は、何でも自分でおやりになるので楽子の出る幕はありません。山崎さんから
頼まれたのは、「金田一さんは、普段はまったくの怠け者。ひどい時には着替えもしないし食事も忘れる。
風呂なんかは何をかいわん・・・。だから、楽子さん、せめて耕助さんの栄養と衛生にだけは気を配ってお
くれ」と。
 楽子はアルバイトと学校の日は早起きしますが、それ以外は結構な寝呆助です。朝食は摂らなくちゃと
思いつつ・・・。もしかしたら楽子は、耕助さんに世話を焼かれているほうかもしれませんね(苦笑)。彼が
余分に茹でてくれた卵をほおばって、眠気ざましに洗濯したり、掃除をしたりします。
 夕方からは、作り置きのお惣菜作りに取り掛かります。沢山作って、共同のキッチンの冷蔵庫に入れて
おくんです。お味については、緑ヶ丘荘の誰からもクレームがついたことはありませんが、逆に褒められた
こともないのです。張り合いないことは確かですね(苦笑)。
 そうそう、緑ヶ丘荘の楽子が唯一きちんと管理しているのは、玄関のコーディネート。掃除はきちんとして
そして、余裕のある時は、季節の花を飾ります。お金のない時はハーブ・エッセンスやお香をつかって、爽
やかさを心がけています。何しろ素っ気無い建物ですから。 
                                     以上



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