楽子の観点
その7:横溝正史小説『蝙蝠と蛞蝓』の巻
★ネタばれ注意報★
ご存知、横溝正史の小説『蝙蝠と蛞蝓』を今回は楽子の妄想を元に、
豪華な俳優・女優陣を勝手にキャスティングしてみました。
物語の設定は勿論フィクションです。
主観に満ち溢れた内容ですが、お楽しみ頂ければ幸いです。
「楽子さんのとどまるところを知らない情熱に負けました」耕助談
登場人物
湯浅順平(剣突アパートの住人。大学6年生)
山名紅吉(剣突アパートの住人。大学4年生)
お繁(剣突アパートの裏にある長屋の住人。さる男の妾。通称「蛞蝓」)
お加代(剣突アパートの看板娘。順平や紅吉の世話をする可愛い女の子)
河野刑事
山野刑事
警部
金田一耕助(剣突アパートの住人。私立探偵。通称「蝙蝠」)
『蝙蝠と蛞蝓』冒頭(横溝正史作品より)
都内某所にある「剣突アパート」。大学6年生になる湯浅順平は、最近気が晴れない。何をする気にもならないし、
日々うつうつと暮らしている所だ。今でいうならばステューデント・アパシーといった所だろうか。
順平:(独白)大学も留年したし、これといってやってみたいこともない。山名の奴はいいよな。いくら落ちぶれてるから
って、奴の実家は事業をやってるんだ。あいつは食いっぱぐれの心配もないし、第一いつものほほんとしてやがる。
さらに腹の立つのは、俺の顔を見るたび「ノイローゼじゃありませんか?」と声を掛けてくることだ。何がノイローゼだ。
お前のようなお坊ちゃまに、俺の気持ちが分かるか・・・。
彼の憂鬱の原因は、はっきりしている所では3つある。その1つは、最近隣に引っ越してきた、雰囲気が蝙蝠そっくり
の、ある男のせいである。その男の名は金田一耕助。大体からして得体の知れない胡散臭い男である。順平は金田一
に、いつも小ばかにされているような気がしてならないのだ。
原因の2つ目は、アパートの裏の家に住んでいる、30前後のお繁という妾だ。どうやら旦那が警察に引っぱられた
らしい。随分危ない事業をしていたらしいから、捕まって当然だったのかもしれない。
彼はこっそり、彼女のことを「蛞蝓」と呼んでいる。その彼女は最近、毎日のように縁側に机を出しては、書置きのような
ものを書いたり、めそめそと泣いている。
覗き見している内に分かったことだが、お繁は金目になる着物を何枚か所有しているらしく、質屋にいってその着物を
売り飛ばし大枚を手にすると機嫌が良くなり、金回りが悪くなればまた書置きをしたためる、という毎日のようだ。浮き沈
みの激しいことこの上ない。
順平:「見ているだけで、ムカっ腹が立ってくる」
そして原因の3つ目は、これがもしかしたら今の一番の憂鬱の原因かもしれないが、後輩の山名紅吉と、アパートの管理
人の娘お加代の仲が急進展しているらしいことである。お加代はもともと自分と仲がよかったのに・・・。
順平:「それにつけても、俺の周りには蝙蝠だの蛞蝓だのうっとうしい奴がうろちょろしやがる。忌々しいことこの上ない
さて、どうにかしてこの憂さを晴らす手はないものか」
順平はとうとう金田一耕助をモデルにした短編小説を書き始める。現実では叶わぬことを、想像の世界で作りあげよう
という魂胆だ。こういった点では、この湯浅順平、内向的ではあるが、十分健康的な精神構造である。また、一晩その
「遊び」に集中したあと、すっかり忘れてしまうところも屈託がない。順平の心の中では、蝙蝠男の耕助と、蛞蝓女のお繁
に対するもやもやとした感情が、それを書くことですっきり雲散霧消してしまったのだから。
しかし、彼の遊びがいつのまにか自分自身の首を絞める結果になろうとは・・・。
この小説の草稿をきちんと処分しておけばよかったのだろうか。しかし、彼はものの見事に姦計に陥ってしまう。
それも、ある日突然、二人の刑事の来訪によって、彼は地獄へ突き落とされてしまうのだ。
あろうことか、彼の書いたシナリオ通りに、裏のお繁が殺されたのだ。
順平:「俺じゃない、俺は何にも知らない!」
後日談:金田一耕助のひょんな好奇心から、湯浅順平は無実の罪から逃れることが出来た。
留置所からめでたく釈放になった湯浅は、金田一耕助と並んで帰途についていた。
順平:「金田一さん、本当にありがとうございました。ところで、あなたは僕の書いた、その・・・、原稿を読んだんですか」
(順平は、にこにこしたままの金田一耕助に向かって、おずおずと切り出した)
耕助:「拝見しましたよ。なかなかのもんじゃないですか。蝙蝠男の耕助、こいつは馬鹿に語呂がいいなと思って(笑)」
順平:(苦笑)
耕助:「実際のところ、ミイラ取りがミイラになる所でしたね。」
順平:「金田一さん、それってちょっと言葉の使い方が変じゃありませんか?」
耕助:「あっはっは!気にしない、気にしない。さあさあ、飯でも食いにいこうじゃありませんか」
了
楽子のお気楽キャスティングの巻
言い訳:あくまでも楽子の妄想の結果です。あと、悪役にするには忍びない俳優・女優さんも含まれて
いて、「ただの空想遊び」にも随分とエネルギーを消耗するものだと思いました。
とくに「お加代」の配役はちょっと難しかった。熱烈なファンから石投げられそうで。
そういうご声援?はご辞退申し上げます(笑)。
皆さんも、一押しの役者さんがいましたら、ぜひ教えてくださいね。付け加えます(*^_^*)
登場人物とキャスト
湯浅順平:伊藤英明(参照:ドラマ「山田一家の辛抱」)←楽子のイチオシ。
山名紅吉:柏原崇、柏原収史、市川染五郎など
お繁:高島礼子(ちょっと知的すぎるかしら)、中嶋朋子など
お加代:菅野美穂、本上まなみ、常盤貴子、奥菜恵などなど
河野刑事:斉木しげる(特に意味はありません)
山野刑事:的場浩司(こちらも特に意味はありません)
警部:平田満(単に楽子がファンなんです・・・)、宮沢和史など
剣突剣十郎:三谷幸喜、蟹江敬三、風間杜夫など(年齢もキャラも何の統一性もありませんね)
金田一耕助:(ご想像にお任せしますm(__)m)