楽子の観点
その3:横溝正史シリーズ『女王蜂』の巻


ネタばれ注意報
大人気の「横溝正史シリーズ」の『女王蜂』を
見所も含めて、楽子の視点で紹介します。
今回は豪華な俳優・女優陣の衣装と、劇中の小道具などに注目しました
主観に満ち溢れた内容ですが、お楽しみ頂ければ幸いです。

「きれいなロケーションと、力こぶの入った僕の表情をお楽しみ下さい」耕助談


○主演はご存知、古谷一行氏。髪のもじゃもじゃぐあいも、よれよれの着物姿も板についています。
   今回の着物は夏バージョン。暑がりの彼、ロケは大変だったでしょうね。

○片平なぎさ:大道寺智子役。片平さんの智子役は、まさにハマリ役ですね。積極性のある美しさ、
   現代風の美しさ、黙っている時は、神々しいくらいの美しさ。まさに原作のイメージにぴったりでは。
   智子の衣装にも注目です。今でも十分通用しそうな、スタイルをよく見せるワンピース姿。
   花柄も華やか。蛇足ですが、片平なぎささんは、最近では2時間ドラマの「女王」ですね。

○月琴島:原作には「下田から南へ海上七里」とありますが、実際ドラマのロケには西伊豆にある
   小島を舞台にされたと聞いています。これはあくまでも噂ですので、機会があれば確認しますね。
   伊豆での撮影で真っ先に思い出すのは、同じくテレビシリーズの『香水心中』。
   あれは城が崎の吊橋?

○沈む夕日、岩場や切り立った崖に打ち寄せる波、濃い緑、島の自然がドラマを盛り上げています。

○神山繁:速水欣造役。難しい役どころをシリアスに演じておられます。しかし、あの嵐三朝一座と一緒に
   写っていた彼の姿には、「お、お公家さま?」と思わずツッコミを入れてしまった楽子でした。
   島にいる時の彼は殆ど紺色の大島紬の和装です。貫禄十分。

○岩本多代:速水蔦代役。最初から船酔いしたり、自分の息子を「文彦ぼっちゃん」と呼んだり、かなり
    トホホな役どころかしら。でも和装がとってもよくお似合いの美しい女優さんですね。この方の和服
    の着こなしは、とっても素敵。帯締めと櫛を黄色で合わせていたり。
    ラストシーンで、息子の文彦が彼女を「お母さん」と呼んで受け止めていたことには感動しました。

○耕助の表情(船の上):「美しい人に会えるのは楽しみです!」と素直に笑みを浮かべる。しかし、その
    一方で、警告文に目を通す時は真剣な顔。目を細め、下唇に力を込め、眉をひそめている。

○岡田茉莉子:神尾秀子役。神秘的な美しさ。黒を貴重にしたワンピース姿がお似合いです。袖の部分が
    トランスパランスになっているのも、色っぽくて素敵。20年前のシーンでは、おかっぱ頭に、
    白いワンピース姿。お寝巻きかと思われますが、違っていたらごめんなさい。
    編物に関するエピソードが、テレビ版では少々割愛されていたのが残念といえば、残念かな?

○ウェストミンスター式の時計台:大道寺家の造りは、和洋折衷、和魂洋才?
    何はともあれ、こういうドラマを盛り上げる象徴としては、時計台は大切な建造物ですね。

○耕助の暑がり(ドラマ全編):お釜帽子であおいだり、日本手拭いを絶えず手にして汗を抑えている。
    団扇も大活躍ですね。山下巡査を扇いであげるシーンもあります。

○赤塚真人:遊佐三郎役。漁師の役どころになってます。他の横溝作品にも、出演されていたような・・・。

○源氏の鎧:耕助「ずいぶん立派な鎧ですねー、へぇー」やたら感心している。
    その後、智子さんの登場に、「ほぇー」っという表情の耕助も見もの。
    神尾先生と智子の美女二人を前にやたら頭を掻く耕助。

○耕助の人間観察:人が集まるところにいる時の彼は、探偵の本領発揮。彼の細かい人間観察が、
    その後の事件の解決に大きく影響する。眉をひそめたり、目をぱちくりさせて、会話に聞き入り、
    登場人物の表情を探る。

○夏夕介:多門連太郎役。この方、刑事ドラマに出ていらした方かしら。原作ではギリシャ神と評されてます。
    鮮やかなブルーのシャツで爽やかな雰囲気。

○ダンスシーン:智子と文彦が踊っている横で、ステップを覚えようとする耕助。神尾先生に誘われて、照れ
    まくりながらダンス挑戦。汗を拭いてばかりの耕助です。

○鏡台の警告文:耕助「口紅ですね」薄紙を使ってそれをプリントする。カメラが無かったのですね・・・。

○開かずの間:見事な調度品。屏風の恐ろしい絵巻図に、思わず息を呑む。開かずの間っていうのも、
    このようなドラマには欠かせない、ある種のイメージを膨らませる要素ですね。赤いペルシャ絨毯
    も雰囲気アリ。

○卓球:原作では卓球のラケットではなく、ピンポン・バットと。確かにバットのほうが凶器っぽい雰囲気です。

○天草四郎:山下巡査役。雰囲気のある役者さんです。耕助に向かって一言「ひっどい髪じゃね、何者?」

○長門勇:日和警部役。ご存知日和さん。自転車を見つけてご機嫌。「わしが乗る!」
   今回はサファリっぽいスタイルも披露してます。帽子と短パンがそれらしい。

○海岸沿いの洞窟:日和警部と再会した耕助。「あなたに来ていただけると心強いな」と満面笑み崩れる。
   死体に巻きついている真っ赤な毛糸が、鮮やかな色彩のコントラストを作り出しています。

○大道寺家の応接間:抹茶色のビロード張りのソファ。ミロのヴィーナスのレプリカ。豪華なシャンデリア。
   各所に絵画も飾られています。和洋折衷の趣き深い部屋。

○加持祈祷:九十九龍馬が渾身の祈祷を捧げている。こういう風習が今尚残っているというのは、ある意味
   閉ざされた世界での精神的バランスを保つために必要なんですね。

○20年前の事件:智子の父、日下部青年がなくなった時の状況に事件性を感じ始める耕助。
   横溝ワールドの真骨頂、過去の因縁。「蝙蝠」がキーワード。

○自分を責める智子:「私は、私は女王蜂なんだわ!」まさに悲劇のヒロインの見せ場ですわね。
    そんな智子へ見当違いの慰めを言う神尾先生と速水欣造。智子のワンピースは赤を基調とした
    凝った模様の生地。古典柄かしら?

○逆立ちする耕助:お馴染みのポーズ。「わからんな!」
    そんな時、思いがけず開かずの間の部屋のカギを渡される。
    「やっぱり私は女王蜂?」「それなら僕は熊ん蜂の大悪党だ!」と答える耕助の台詞は意味不明?

○昏倒する耕助:期待と不安の入り混じった表情で探索する耕助。思わず口笛を吹きそうな表情のあと、
   肯く耕助。部屋を照らしながら、へっぴり腰で進む。
   ほこりを吹き払って月琴と地の跡を見つける。「これだな、血の跡って」
   ・・・夢中になっている彼の背後に人影が。がつん!

○日和警部のダジャレ:耕助の頭のこぶを見て「よろこぶ、よろこぶじゃ」。
    
○大道寺家の食卓:朝食篇。文彦は洋食。他の人や遅れてきた耕助や警部ら年長者は和食と、
    ちゃんと好みに合わせて作られている。細かい演出。この日の智子はピンクのブラウスに
    白いスカート。

○夢遊病:多門の何気ないこの一言が、いかに速水と神尾、大道寺槙を不安に陥れたか。

○神尾先生の部屋:襖の柄はモダンであるが、全体的に落ち着いた茶色を基調にした部屋。
    神尾先生は籐椅子に腰掛けている。黒地に白い細かい模様の入ったワンピース。

○チョコレート:横溝作品でチョコレートが出てくると、ちょっとどきっとしませんか?

○大道寺家の食卓:夕食篇。本日は洋食がメイン。赤ワインも置いてあります。
    耕助はいつもお腹を空かせている様子。つまみ食いは彼の十八番?日和さんに
    窘められてます。

○過去の因縁:新たな犠牲者が出たというのに、耕助の心は過去に飛んでいる。
   部屋でくつろぐ耕助。団扇をひっきりなしに動かしている。寝転がり考え込む。
   こんな時に彼に声をかけても、中々返事は返ってこないのです。

○心神喪失、心神耗弱:20年前のシーン。「あなたかいけないんじゃない、ご病気の
   せいなのよ!」と、琴絵を諭す神尾女史。当時でも精神鑑定の対象になったのでしょうか?
   いやいや、実際は違っていたのです。

○呪われた血:智子が言う「私、産まれてこなければよかった。いやよ人殺しの生まれ変わりなんて!」
    嘆く智子は、紺色を基調にしたタンクトップタイプのワンピース。黄色、赤などのストライプ柄が
    ランダムに入っていて、とってもお洒落な一着です。

○秘密の抜け穴発見:山下巡査のお手柄。島の歴史的背景を頭に入れた耕助の発想も見事。
   迷路荘の惨劇でも、地形を利用した抜け穴がありましたっけ。

○種明かしから結末へ:ここでは一気に、事件が白日の下へ。勿論20年前の過去の事件も明るみに。
    耕助は、まるで見てきたように話すのだ。もしかしたら、彼には見えているのかもしれませんね。

○エゴイスティックな愛情:すべての悲劇も、また幸せも、こういう激しい愛情から始まるのでしょうか。
    速水氏はここではアイヴォリーのスーツ着用。ネクタイも茶系で渋い装い。

○責める耕助と共感する耕助:「琴絵さんがあなたの本性をしっていたら、あなたに智子さんの
   ことなど頼んだりはしなかったでしょう」初めて語気を荒げる耕助。
   一方で「速水さん、神尾先生も辛い思いをなさったんでしょうね・・・」耕助は優しい言葉を忘れない。

○お別れ:岬にいる智子に別れの挨拶。「なるべく早く忘れるように!」この台詞は蛇足じゃないかしら。
    でも、「みんなあなたを愛していた。みんなの分も幸せにならないとね」との言葉に、智子は
    初めて安堵の表情を浮かべる。真っ白なワンピースが眩しいです。

                                      


                                  

                                    耕助の活躍へ