楽子の観点
その4:横溝シリーズ『悪魔の手毬唄』の巻


ネタばれ注意報
名作と名高い『悪魔の手毬唄』における脇役に注目し
楽子の視点で紹介します。文中敬称略。

楽子は、この作品そのものについては正直、どう言及していいか分かりません。
余りに悲しい動機と結末。そのため、今回は少々本筋からズレた
切り口で、事件の複雑な血縁関係からは距離を置かせて頂きます。
主観に満ち溢れた内容ですが、お楽しみ頂ければ幸いです。

「この事件はあまり思い出したくないんです。本当に辛い事件でした」耕助談


○人力車に乗るゴキゲン耕助;「売れっ子の芸者にでもなった気分だよ!」←げ、芸者になって
     どうするんですか?

○鬼首村:横溝正史のネーミングセンスは抜群ですね。イメージがふわっと湧いてきます。

○亀の湯:縁起の良い湯宿って感じですね。昔は、同村内に鶴の湯なんてのもあったりして。
    亀の湯には卓球台もあります。

○朝寝する耕助:母屋の騒ぎをよそに、いぎたなく眠る耕助。
    起きたと思ったら、寝そべったまま「金田一耕助第一報」をしたためている。カネさんに宛てた
    手紙は、まったくの迷文です。その他、寝ぼけて飛び起きる時の耕助も見ものです。

○入浴シーン:耕助と放庵のお風呂シーン。耕助の洗髪する世にも珍しいシーン?

○佐藤友美:青池リカ役。美しい亀の湯の女主人。古谷一行氏とは「金妻」シリーズでも共演されてい
    ました。美しいだけでなく、どこか翳りもある佐藤さん。絶妙な配役だと思いました。

○高岡健二:青池歌名雄役。村の青年団団長。泰子さんを想う気持ちは情熱的、妹の里子さんを想う気持
    ちはどこまでも温かい。素敵な青年役です。

○池波志乃:青池里子役。赤痣を御高祖頭巾で隠しているが、実際はとても美しい娘。あどけない顔つきの
   中にも、大人の女性の色香が漂います。俳優中尾彬氏のご夫人。

○小沢栄太郎:多々良放庵役。お庄屋さん。耕助の手紙によると「特筆すべき人物」とあります。
    奥さんを8人も取り替えたって、男エリザベス・テーラーみたい・・・。
    民話・伝承の類を研究しているという知的な面もあります。「鬼首村手毬唄考」を民俗学の雑誌に投稿。
    「これがまあ、終の棲み家か、雪五尺・・・」らくこはこの方、好きです。小沢栄太郎さんは、横溝作品では
    常連様ですね。

○野村昭子:金田一耕助探偵事務所のお留守番、おカネさん役。この方、最高にオモロイです。
    二時間サスペンスドラマでも、「家政婦は見た」シリーズで、ガッツリ儲けるチャッカリ者役。

○代筆を頼まれる耕助:「ぼ、ぼくは、希代の悪筆でしてね・・・、まいったなこりゃ!」頼まれると嫌と
    言えない彼なのか?ねじり鉢巻で頑張ってます。

○おミキさん:亀の湯の女中。しっかりもので、からっとしていて、見ていて気持ちが楽になります。
    沙綾形の文様の衣装がよくお似合いで。屋号は「ざるや」。これには耕助も大笑い。
    彼女が耕助を起しに行くシーンも、微笑ましいです。また、警部さんたちが、事件の謎に首をかしげて
    いると、「下手な考え、休むに似たりって、金田一さんはゆうてましたよ」と、優しく休憩を勧めます。

○鍵屋、枡屋、秤屋、錠前屋・・・、「ざるや」は笑える。

○夏目雅子(故人):別所千恵子(大空ゆかり)役。美人薄命、って、ちょっと浅薄な表現ですが、
    彼女はまさに・・・。役どころは、とってもチャーミングな歌手で、「グラマー」と言われてます。
    耕助は、グラマーの発音には、ちとうるさい。

○日色ともゑ:旅館井筒屋のお女将さん。布団を敷きながら、問はず語りに放庵さんのことを耕助に話す。
    雷がとどろく、このシーンは、少々鬼気迫るものがあります。
    この女優さんを、らくこは声優さんだと思ってました(大草原の小さな家のママ役)。

○東野英心(故人):鬼首村の木村巡査役。「あばれはっちゃく」のお父様役だった方。英心さんのお父様は、
    「水戸黄門」役の東野英次郎さん(故人)。

○サワキキョウ:別名、お庄屋殺し。猛毒アルカロイド。

○鈴木瑞穂:仁礼嘉平役。鬼首村を現在牛耳る仁礼家の当主。山林を所有し、ブドウ畑を作って大当たり。
    屋号は秤屋。村の中でも一番の有力者である。この人が登場しただけで、木村巡査をはじめ、警官は
    ぴっと姿勢を正します。

○大塚道子:由良敦子役。敦子は気位の高い女性である。自分の娘が殺された時にも、髪の毛一筋乱さず
    威厳を保ったままである彼女の内心を考えると、胸が痛みます。悲しみを、どこへしまっているのでしょうね。
    屋号は枡屋。

○長門勇:ご存知日和警部役。今回も大活躍?逆立ちも披露。鼻が大きいことも、自認していらっしゃるようで。
    リカさんの前では、少しデレデレしすぎではありませんか?日和さん。

○別所辰蔵:千恵子の伯父さん。少々アルコール依存症気味?
     辰蔵さんといい、本多医院のドクターといい、アルコールでも飲まんとやっとられん!という雰囲気ですね。

○五百子刀自:当年とって83歳。事件のモチーフになる手毬唄を披露します。

○神戸という街:水兵さんがそぞろ歩く夜の神戸。耕助は放庵の親類、吉田氏を訪ねる。
  「鬼首村手毬唄考」を探すために・・・。果たして、手毬唄の三番の歌詞は?

○焼け石に水だよ!Byおカネさん:神戸から長距離電話をかけてきた耕助に、吼えまくるおカネさん。
  このシーンは歴史に残る?名シーンですね。なんやかんや言っても、カネさんは耕助のことを、
  「うちの先生は日本一の名探偵なんだからね!」と言ってのけます。うーん、頼もしい。

○宍戸錠:神戸の新聞社・学芸部の社員。ネクタイをゆるめて、真剣に活動弁士について語る宍戸さん。渋くって格好いい!
  夕刊の早刷りを読んで青くなった耕助を見送ったあと、宍戸さんも髪の毛を掻き毟ってます。時刻は午後三時過ぎ。

○日和さんの差し入れ:アイスキャンディ。ちょっぴり気前がいい?日和さんが見られます。

○大空ゆかりの告白と歌名雄の懊悩:「里子さんは、私の身代わりに?・・・私がこの村に死神を連れてきたんだわ」
   里子を自転車から降ろしてしまったことを、悔やんで悔やんで悔やみ続ける歌名雄。

○日和さんの計画:ゆかり親子に一芝居頼んで、犯人を焦らせる。「私たち、明日東京に戻ります」

○歌名雄と勝平の仲直り:再び青年団の団結。犠牲者へのせめてものはなむけとばかりに、夜を徹して
  山狩りを続ける。ゆれる松明が切ない。

○戻ってきた耕助:怪しい人物と間違えられて捕まる耕助。「ひどい馬鹿力なんだから・・・」そして、事件の
  解決を仄めかす。アオヤギシロウのブロマイドを手に、仁礼家へ、由良家へと向かう耕助と警部。

○亀の湯へ向かう耕助:何とも遣り切れない表情、落ちつかな気な仕草、そして憂鬱な瞳。リカさんの籠もっている
  土蔵を眺めているしかないのか・・・。

○姉様被り、手甲に脚半、そして尻切れ草履:どうして、どうしてなんだ?

○人食い沼の捜索:犯人を知らされぬまま捜索する警察と歌名雄。よりによって歌名雄たち青年団の網に
  犯人の亡骸が・・・。なすすべなく見守る耕助。優しく亡骸の顔の泥をふき取る警部。

○「夢じゃ、夢を見てるんじゃ、僕は。な、そうじゃろ、警部さん・・・」

○おカネさんの乱暴な一言に救われる:「必ず金もらって帰って来るんだよ!途中で使っちゃだめだよ!」

○鬼首村のお墓には彼岸花が咲いています。いつものトランクではなく、頭陀袋を肩に背負って、村を後にする
  耕助。帰りの汽車のなかでは、しばし憂いの表情。
 
                                          ・・・終わり



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