耕助と楽子の旅 

皆さんは、金田一耕助とどんな旅をしてみたいですか?
楽子は、耕助さんが事件の時は、殆ど留守番なので、
旅についていきたくて仕方ありません。

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京都篇 奈良篇 仙台篇


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京都篇(洛北)

「ミイラの花嫁」事件のあと、楽子は京都に行きたくて、現地の耕助さんと合流しました。
一日目は、鞍馬寺と貴船神社を目的に出かけます。叡山電鉄に乗って、鞍馬口まで。
趣のあるケーブルカーにのって、まずは鞍馬山へ向かいます。
入り口にあるお土産物屋で、山菜の佃煮をつまみ食いして、お寺の中へ。次々に現れる
石段を登って、見晴らしの良い所へ。京都の市街地を南に望み、涼しい風に吹かれて暫しの休息。
義経が修行したという鞍馬の山は、木の根が縦横に地面から顔を出して、歩くのに一苦労でした。

楽子:「義経がいたとかいないとか、色々言われてるけど(息切れ)・・・。そう言えば歴史上の人物な
んて、誰も見たことが無いのに、どうやって歴史は学問になったの?」


あまりの山道の苦しさから、見当違いの文句を発している。

耕助:「それもそうだな(笑)。でもさ、いいじゃないか、いてもいなくても。義経って格好いいだろ?」

貴船神社を回ろうとしたら、日が暮れてきたので、そちらを訪れるのは又の機会にします。
というのも、耕助さんが「あの神社には怖い伝説があるんだよ」と脅かすので。
私は「科学者の端くれだから、怖い話なんてへへーんよ!」と、鼻を膨らませ強がっていました。
しかし、日本古来の伝説に耳を傾け、恐れるという気持ちも、何だか自分には必要な気がして、
今日のところは素直に怖がることにして、鞍馬を後にしました。
京都の夜の繁華街はにぎやかです。四条河原町にある小料理屋で日本酒を片手に、京の
おばんざいをつまみました。賀茂茄子の変わり揚げが美味しかったな。

耕助:「京都の夜ってのは、なかなかどうして、闇が深いというか、何か得体のしれない暗さが
あるなあ・・・」

楽子:「そうお?私には、あんまりよく分からないけれど。そう言えば今日の耕助さん、どうも
話が非科学的な方向へ行きがちね」

耕助:「かもしれないな(笑)。ちょっと酔っぱらったかな。いやいや、あんまり楽子さんが現実主義
者だから、ちょっとからかってみたくなってね」


楽子:「悪かったわね、現実主義で。だって興味ないんですもの」

楽子:「ああ、そう言えば思い出した。私の大学の先生に京都出身の人がいてね。その人は真面目な
顔して、京都には魔界への入り口があるって。そこでアベサダって人が魔界とこちらの世界を往来
していたそうよ。私だって、それくらいは知ってるんだから」

耕助:「(爆笑)ら、楽子さん、それはアベサダじゃなくて、安倍の晴明だよ。」

楽子:「ああ、そう、そんな名前だったかしら」


忙しい合間を縫っての旅行でしたが、なかなか楽しい旅でした。

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奈良篇(のんびり山奥へ)

吉野山(桜の季節)

 金田一耕助は、確か奈良では事件に遭遇していないはず。だからと言う訳ではありませんが、
「奈良に行ってみませんか?」と誘ってみたところ、すんなり旅行が決まりました。有名どころの
お寺や田舎の風景を堪能した後に 今回は、楽子が車を運転して、奈良の山奥へ。
しかし、さすが桜の名所。この時期に車で移動するのは無謀でした。余りの人出の多さと、
駐車スペースの少なさで、電車にすれば良かったと後悔しました。
さて、それはともかくとして・・・。
 まずは上千本から奥千本へと山道を進みます。途中、車を停めて桜色に染まった絶景を堪能します。
耕助さんは、満開の桜に感動している様子ですが、どちらかといえば無風流な男。若草色の心地よさそうな
スペースを見つけると、あっという間にぐうぐうと昼寝を決め込みます。

楽子:「これだから・・・。」

暫く、彼を寝かせておいてから、「義経隠れ塔」と「西行庵」に向かいます。

耕助:「そういや、前回京都に行った時も、義経絡みだったような記憶があるな」
楽子:「ああ、そうだった。すっかり忘れていたわ」
耕助:「どこに行っても縁の地がある。有名人だな、義経君も(笑)」


 源氏の追っ手から逃れた義経が、身を隠したという塔を見物します。丁度、そこを管理している
方が居合わせたので、中に入れてもらいました。説明を聞きながら、管理人さんが塔の扉をゆっくり
と閉めていきます。

楽子:「うわ、ま、真っ暗」
耕助:「こ、こりゃ、真の闇ですな。は、鼻の先も分からんですな!」

管理人:「はははは、怖いじゃろぉ」(〜じゃろぉ、とは言わなかったかもしれない・・・)

 思いがけず、暫しの異空間を体験するはめになりました。これは中々どうして楽しい!
「三つ首塔」を思い出したよ、という耕助さん。楽子は、次回はぜひ、耕助さんに「胎内めぐり」
を体験して貰いたいと思いました。
 山を下って暫く行くと、道の両側には沢山の土産物屋、旅館、休憩所が建ち並んでいます。
耕助さんはここに来て、俄然元気を取り戻しました。有名なお宿、桜花壇を横目に、土産物屋を
ひやかし、吉野名物の葛切りを食します。

耕助:「おお、ガマガエルの置物がいるぞ!こりゃあ、面白いなあ・・・」

「陀羅尼助丸」という薬を売るお店に興味津々の耕助さん。古い町並み、長い時が刻まれた風景を
見て何やら彼は感慨深げな表情。心が過去へ過去へと戻るにつれ、まるで安心するかのように。

その後は、「脳天神社」という名前に惹かれて、長い長い階段を下ります。
不思議な空間です。もし吉野を訪れる予定のある方は、金峰山神社などの有名所も良いですが、
この「脳天神社」もお勧めです。

耕助:「どんな風にお勧めかですって?それは行ってみてのお楽しみ。僕にとっては面白かったんです(笑)」

天川神社(こうすけの一人旅〜楽子さん宛ての手紙より)

耕助:「さて、楽子さんは用事があるらしく、先に帰っちまったんですよ。だから、ここからは僕の一人旅」

耕助は一人旅の気楽さで、のんびりと地図を広げる。

耕助:「せっかくここまで来たから、天川まで足を伸ばしてみるかな。何でも変わった神社があるらしいし。ふむ、
ここから下市口まで行って、そっからはバスだな。さあ、俗世からとんずらだー!」


バスはどんどん山奥に分け入っていく。人里離れれば離れるほど耕助の顔はほころんでいく。

「金田一耕助第一報
楽子さんへ。
吉野の山深く分け入り、随分と遠くまで来た感がある。日本の森はまだまだ捨てたもんじゃないね。
あれから僕は、風の向くまま、気の向くまま、天川村へやってきました。のろのろと山道を走る
バスを降りて、天川神社を目指し歩いていくと、大きな銀杏の古木に出会う。樹齢は軽く数百年は
超えているだろうその銀杏は、見るものを圧倒し、不思議な静けさで来るものを迎えてくれるようだ。
暫し、その古木の元で休息。その後、天川神社へ向かう。いやあ、ここは本当に静かで、何とも言えない
神秘的な雰囲気の場所だよ、楽子さん。
ああ、君は神秘的という言葉が好きじゃあなかったっけ。失敬。
それはさておき、僕は結構、神社仏閣に関しては色々と見てきたつもりだけれど、この天川神社は
僕の知っているそれとは随分趣を異にしているのです。何しろ、神社の社そのものがすぽーんと開放的
なんだよ。言葉にするのは難しいけどねえ。あ、どうやら神主さんらしき人が出てきた。
ちょっと観察するつもりだから、この続きは、また。
第二報を期待していてくれたまえ。
ほいじゃ!

耕助」

耕助:「ほう、こりゃあ・・・」

「金田一耕助第二報
楽子さんへ。
前回の続き。あれから僕は、神殿の外にじっくりと腰をすえて、不思議な光景を見つめてた。
神式の奉納儀式のようなものが、何の前触れもなしに始まる。神主さんの衣装は、真っ白な着物に
袴で、特に装飾はない。とても質素な出で立ちだ。特筆すべきは、その神主の歩き方だ。
神殿には、階段があって−その最上段にここの神様が祀られているんだろうな−、それを昇るのに、
一段一段、ものすごくゆっくりとした動作で昇っていくんだ。すり足というのか、お能の役者がやるような
所作で歩みをすすめる。僕は、半分口を開いて見ていた。
あんまり近くによるのも気が引けたので、離れての観察だ。祝詞が始ったけど、まったく厳かこの上ない
ね(実は何を言っているのかさっぱりだけど)。まあ、久しぶりに見が引きしまる思いをしたよ。
 そうそう、ここの社は一風変わっているって前回の手紙にも書いたね。どう変わっているかというと、
ここには奥行きというのもが殆どないんだ。社殿の向こうには、山木立が顔を見せているし、自然と
一体化しているというのかな。人口の建造物と自然とが融合したような、不思議な場所だ。
僕の説明ではよく分からないだろうから、是非、楽子さんにもここへ来ることをお勧めする。
神社の脇にある奉納所で、お土産を買ったから、楽しみに待っていたまえ。
なんでも、妙なる響きのする鈴のお守りだ。
ほいじゃ!

耕助」

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