はじめに

 

 日本経済はバブル崩壊後「失われた10年」といわれるほど失速している。1990年代に入り、景気上昇局面が2回あったが、それはいずれも回復感なき回復であった。2000年までの10年間に政府は200兆円以上の経済対策や補正予算を組み財政支出を拡大させてきた。しかしながら景気の自律的回復は今だ見えて来ず、金融政策に対しても積極的な景気対策を求めるようになった。とくに、1998年以降頻繁に「デフレ・スパイラル」という言葉が新聞の紙面を賑わせるようになり、景気対策の手段としてアメリカの経済学者のクルーグマンをはじめとして、マネーサプライを増加させる量的緩和策、「調整インフレ論」が叫ばれることとなった。

また、デフレ・スパイラルへの対応策として1980年代にイギリスをはじめとした先進国や恒常的な高インフレーションに悩む発展途上国で採用されている「インフレーション・ターゲティング」の導入が本格的に議論されることとなった。ここでは、金融政策の中間目標としてインフレーション・ターゲティングを採用することについての考察をする。

 そのためには、1990年代の金融政策・財政政策・経済政策を検証し、1年6ヶ月間に及ぶゼロ金利政策の内容とその効果、結果を見ることが必要である。また金融政策の最大の目標は物価安定であり、最近の物価下落がいかに経済に悪影響を与えるかをみることで、物価安定のための手段としてのインフレーション・ターゲティングの導入を提案する。

 本論の内容としては、まず1では、1990年代の金融政策・財政政策・経済政策を振り返る。特にバブル崩壊後の金融政策を詳しく振り返ることで日本経済に内在する問題点を明らかにする。2では、デフレーションを需要サイドの要因と供給サイドの要因にわけ、需要サイドのデフレーションが経済をいかに不安定にするかを負債デフレーション理論やIS-LM曲線を用いて理論的に分析する。またその解消策として日本銀行が行なってきた、ゼロ金利政策の評価をする。さらに3では、物価安定の手段として、各国で取り入れられている、インフレーション・ターゲティングの効果やその内容を分析し、日本で採用が可能かを検討する。

 最後に4では結論として、インフレーション・ターゲティングを、短期的には、日本経済に起きているデフレーションを改善する目的として、中長期的には物価安定の手段として、また金融政策の透明性を確保し、それによる市場からの信認を得る手段として導入の意義を述べる。

 

 

 

 

 

1 1990年代の経済政策

 

1−1 1990年代における日本の金利政策

@)公定歩合推移

まず、バブル崩壊後の1990年代における日本の公定歩合状況をみる。その状況は以下のとおりである。

1990830日 6.00%へ引き下げ

19917 1日 5.50%へ引き下げ、同年1114日 5.00%へ引き下げ、同年1230日 4.50%へ引き下げ

19924 1  3.75%へ引き下げ、同年727日 3.25%へ引き下げ

199324日 2.50%へ引き下げ、同年921日 1.75%へ引き下げ

1995414日 1.00%へ引き下げ、同年9 8日 0.50%へ引き下げ(以降200012月末まで変更はなされていない)

以上のことから分かるとおりバブル崩壊後の1990年代に入り公定歩合の引き上げは一度も行われていない。さらに、1990年の8月の時点で6.00%であった公定歩合は5年間で5.50%も引き下げられたのである。また、1995年に0.50%に変更されて以降今日まで5年以上公定歩合の変更は行われていない。この公定歩合0.50%という金利水準は、世界的にも非常に低水準である。

A)短期金利推移

次に短期金利の状況である。以下1995年以降の無担保コール市場の状況である。

1995331日 短期市場金引き下げ、同年77日、98日にも段階的に下げる。

199899日 短期市場金利を0.25%に誘導。

1999212日 短期市場金利をゼロ金利へ誘導、短期金利0.03%へ。

2000811日 ゼロ金利政策解除。

20009月以降 短期金利0.25%前後で安定している。

1995年に短期金利を下げて以来、ゼロ金利政策の解除までの約5年間一環として下落していた短期金利が811日のゼロ金利政策解除で5年ぶりに金利が上昇した。これは、バブル崩壊後初の事態である。しかしながら、上昇したといっても、今日まで1998年の短期金利水準と同様の0.25%前後という非常に低水準の金利で安定している。

 

1−2 1990年代後半の財政政策・金融政策・経済政策の背景

 1990年代後半における一連の経済政策[i]の背景には、バブル崩壊後の消費低迷や、民間設備投資の回復といった通常の景気対策のほかにクレジット・クランチ[ii]とデフレ・スパイラル[iii]の防止があった。経済政策はバブル崩壊による逆資産効果がもたらした、個人消費低迷の回復のために所得税の恒久減税やケインズ的な大規模な公共投資を行なった。これにより総需要を刺激し、経済の自律的回復をねらったが、企業の不良債権の規模が大きく、金融不安を招き個人消費者の消費マインドは回復しなかった。

クレジット・クランチに関しては、バブル崩壊の影響から引き起こされた金融機関の不良債権問題が主な要因である。この不良債権はバブル期の過剰投資と緩い貸出し基準がもたらしたものである。不良債権がいかに信用収縮をもたらすかといえば、金融機関は、BIS規制により自己資本比率を一定水準[iv]以上に保たなければならない。不良債権を処理するにあたり、処理方法としては直接償却と間接償却の2種ある。金融機関は不良債権を処理するにあたり貸倒引当金を当てなければならないが、これが金融機関の自己資本[v]の減少を招く結果となった。さらにこの自己資本比率には保有株式の時価評価の45%が自己資本として認められることから、バブル時には保有株式の価値が上がり自己資本比率を上昇させたが、バブル崩壊による株式市場の低迷は金融機関の保有株の減価を招き自己資本比率の一層の低下[vi]を引き起こした。このために、金融機関は自己資本比率の分母にあたる貸出しを引き締めそれが、「貸し渋り」[vii]とよばれる信用収縮につながったのである。

 この金融不安と企業の新規設備投資刺激のために、金利が下がったがこれが、バブル時に設定していた保険の予定利回りに悪影響を与えた。逆鞘によってソルベンシー・マージン比率の下がった保険会社が2000年に相次いで破綻した。

 また、バブル崩壊による個人消費の低迷は物価下落を引き起こした。この結果企業収益は圧迫[viii]され、倒産または、赤字に転落する企業が続出した。倒産に追い込まれなかった企業も収益改善のために、また社会背景として少子高齢化社会の到来といった社会的要因と

あいまって、給与の削減に引き続き人員削減をも開始した。これは戦後日本経済を支えた、「三種の神器」と呼ばれた、終身雇用制、年功序列型賃金体系、企業別労働組合の崩壊を意味し、それが、消費意欲のいっそうの減退[ix]を引き起こし、日本経済は物価下落の歯止めが効かないデフレ・スパイラルに陥りかけた。つまり、需給バランスの悪化が物価下落を招き雇用調整や給与減少をし、それが需要減退を引き起こしさらなる物価下落を起こすということの繰り返しを招く結果となったのである。(図1、図2、参照)

 さらに、一時的な物価下落は、家計の実質的な可処分所得増加を意味する[x]のだが、終身雇用性や年功序列型賃金の崩壊が消費者の恒常所得への不安をあおる結果となり、個人消費が回復することはなかった。つまり物価下落がスパイラル的に続いたのである。また企業側からすると不況期には低金利[xi]になり、設備投資を行ないやすい環境になる。実際に公定歩合は95年以降0.5%という低水準が続いているが、企業の投資意欲を回復させ、民間設備投資の回復にはつながらなかった。それはバブル時の過剰設備投資と、需要の低迷が重なった結果であり、新規設備投資が起きない状況[xii]が続いている。むしろ、日産自動車のように、大規模な工場閉鎖や、既存工場の効率化を図ることによって有形固定資産の圧縮を計るリストラクチャリングやダウン・サイジングを推し進める企業が多い状況である。

 

 

 

2 デフレーションとゼロ金利政策

 

2−1 デフレーションの不安定性効果

@)負債デフレーション[xiii]

 ここでは、予期されない物価下落が債務者の債務残高の増加を引き起こし、経済に悪影響を与えることを検証することにする。まず、物価水準の予期されない変化が、債務者と債権者の間に所得の再配分を起こす。例をあげると名目負債額を1000万円とおく、実質負債額は物価水準Pで割った1000/Pである。予期されない物価水準の下落は、債権の実質購買力を高め、結果として債務者の実質的な債務残高を上昇するのである。そして、この債権者が金融機関である場合、金融機関の担保価値が減少し、債務者が債務を払えなくなる場合、不良債権化するのである。

A)IS‐LM分析

次にここでは、物価の予想された変化がどのように所得に影響を与え得るかをIS‐LMモデルによって分析する。

投資は実質利子率に依存し、貨幣需要は名目利子率に依存する。

したがってIS‐LMモデルは

と表すことができる。(図3参照)

予想されたデフレーションは、任意に与えられた名目利子率に対応する実質利子率を上昇させ、それは投資需要を減少させる。この投資の減少はIS曲線を下方にシフトさせる。その結果として所得水準は下落する。[xiv]

 ここでは主に総需要からの物価下落をみたが、流通構造の改革や、技術革新による物価下落、輸入品価格の下落、原油価格の下落にともなう総供給曲線下方シフト、供給サイドからの物価下落は、可処分所得の上昇効果をもち、景気には好影響を与える。一方消費低迷から起こる総需要からの物価下落は経済に多大な悪影響を与える。(5参照)

 日本経済は現状では、高度情報化の進展にともなう流通改革や、技術革新によっての物価下落と、逆資産効果や期待インフレ率のマイナス化という総需要からの物価下落の両方が起き、物価が下落しているものと思われる。

 

2−2 ゼロ金利政策の導入背景

 したがって、1990年代後半の日本経済にとって総需要要因のデフレ・スパイラルの防止は急務であったことは明白である。実際に日本銀行によるゼロ金利政策[xv]の導入に対する説明はデフレ・スパイラル防止であった。背景には財政健全化の棚上げによって経済対策が行われ、それに伴う国債発行の増加が1998年末から長期金利の上昇を招いたことと、円高への防止もあったが、金融政策のスタンスはデフレ・スパイラル防止であったといえる。またゼロ金利政策の導入の背景には、公定歩合が0.5%と史上最低の水準であり、これ以上公定歩合の低下が不可能という政策的な行き詰まりもあったといえる。つまり、金利水準が下限に到達すれば、日本経済が流動性の罠に陥る可能性が高まってくるということである。また、経済対策として総需要刺激策がうまく行かず金融政策による景気対策を望んでいたことも事実として存在する。これにより日本経済は小康状態を保ち、日経平均株価[xvi]は、一時期の12,000円台からは脱し、20004月には20,000円台を回復した。企業DIも改善されており、一定の成果を得ていたといえるのではないだろうか。

 しかしながら、ゼロ金利政策時において金融政策の幅が狭くなったことは確かであり、これ以上の金融緩和政策を取らざるを得なくなった場合の危険性や金利生活者への配慮や、企業年金、保険[xvii]等の運用に負担がかかっている状況があったことも確かである。特に保険等の運用に負担がかかると個人消費者の不安心理は増加すると予想されるからである。

 

2−3 ゼロ金利政策の結果

そこで問題となってくるのが、ゼロ金利解除の時期である。これは様々な憶測が行き交っていたが、2000年度の第2四半期の経済成長がプラスに転じたとすれば解除の方向となると一般的にはいわれていた。つまり2000年内、しかも第3四半期以降に解除の方向というのが全体的な流れであった。日本銀行も「デフレ・スパイラルの払拭」が確実になった時期としていた。しかしながら、20007月にはゼロ金利解除の方向に転じ、同月の「そごう」倒産もあり、同年7月は見送られたが周囲の予想に反して同年8月の金融政策決定会合で、ゼロ金利政策の解除が決定された。この背景には、やはりゼロ金利という異常な状況を一刻も早く是正したいという日本銀行の考えがあったものと思われる。

しかしながら、日経平均は20004月に20,000円台を回復したあと右肩下がりの線を描いていた。これは、日経平均の銘柄変更も影響を与えているが、TOPIXでも同様の傾向があることから、解除には多くの疑問が残った。実際に金融決定会合での論議ではデフレ・スパイラルの払拭という問題から日本銀行の独立性という問題に変わっていったという感が否めない。この金利引き上げによって、短期金利は0.25%になり、長期金利も上昇するかと思われたが、市場への影響は少なく極端な上昇や、景気の失速には直接結びついたとはいえない。

 

 

3 インフレーション・ターゲティング

 

3−1 金融政策としての物価安定の重要性

金融政策のなかで最も重要な政策目標である物価安定についてこれから考察していくことにする。やはり物価の大幅な下落は、経済に重大な支障をもたらすことは明白であり、またそれは物価上昇局面でも同じことがいえる。日本も1960年代、1970年代とインフレーションに悩まされていた。

事実19984月の新日本銀行法においても「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること[xviii]」が明示されている。ここでの物価安定とは、「家計や企業等の様々な経済主体が、物価の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行なうことができる状況[xix]」である。

さらに物価安定の状況についても1980年代後半に日本が経験したバブルは物価指数が安定的だったにもかかわらず、資産価格が大幅に変動した。特に不動産価格と株式の高騰が激しかった。こうした資産インフレ、バブル防止も金融政策の役割の1つである。

そして、一般的な物価上昇も需要サイドの要因か、供給サイド要因かで金融政策の在り方も当然変わってくる。したがって、物価下落における場合でも、技術革新や、流通改革等によるポジティブな物価下落もあるからである。実際に現在の日本における物価下落は、先ほども述べたようにIT革命等による労働生産性の上昇や物流の効率化、エマージング・マーケットからの安い原材料の輸入等による物価下落と、消費不況による需要不足の二重の物価下落であるといえる。しかし、現段階では需要不足の物価下落の影響が非常に大きく、その対策としての景気対策も効果が限定されているのである。

 

3−2 インフレーション・ターゲティング[xx]

@)インフレ・ターゲティングの定義

 次にここでは、物価安定の政策手段としての1980年代から1990年代にかけて多くの国々で採用されている(表1.11.2参照)インフレ・ターゲティングについて述べる。まずインフレ・ターゲティングの定義としては@インフレ率にある程度長い目で見た数値目標を設定し、Aその達成を目的として金融政策を運営するとともに、Bインフレ目標値と関連付けた形での政策の透明性を確保すること(例えばインフレ見通しなどを公表すること)を通じて、C「物価安定」に向けた政策運営に対する国民の信認を高めることである。[xxi]

A)インフレ目標値の設定権限者

 設定権限者には、おもに@中央銀行、A政府、B中央銀行が主体となって政府(大蔵省)と設定、C政府が主体となって中央銀行と設定の4種類がある。これは各国の金融政策や政治状況によって様々である。

 

B)インフレ目標値

 このインフレ目標数値の指標も各国で様々であるが、その目標値の指標として比較的多く採用されているのが消費者物価指数[xxii]か、CPIコアである。そしてインフレ目標値であるが、先進国ではおおむね2%前後、発展途上国では、各国の状況によって3%から7%近くまでとばらつきがある。比較的に短期的なインフレ目標値が高い発展途上国では、長期目標として、徐々に低いインフレ率を目指すことを目標としている。これは先進国では、おおむね物価が安定的なのに対して発展途上国では、経済成長率も高いが、物価上昇率も非常に高いという背景があるからである。日本も1960年代、1970年代を通して高かった物価上昇率も、1980年代、1990年代を通して低くなってきている。

C)金融政策運営

 またインフレ・ターゲティングが設定されているからといっても、機械的な金融政策が取られているわけではない。目標数値からの乖離が一時的なものなのか、どのような状況によって起きているか(需要面か供給面か)、さらに金融政策の政策効果のタイム・ラグを考慮に入れた政策運営が行われている。インフレ・ターゲティングは「枠にはめられた裁量政策」であるといわれているが、まさにその通りである。金融政策にとって裁量的か、計画的かという問題は非常に難しい。インフレ・ターゲティングを採用していないアメリカでは、その理由を「金融政策は裁量的にならざるを得ない」としている。しかしながら、FRBは金融政策の透明性を確保し、議長への信認を確立することで、機動的かつ、信頼性の高い金融政策運営を行なっている。

D)説明責任

 そしてインフレ率の状況に関しての報告は、インフレ・ターゲティング導入国ほぼすべての国においてなされている。その形式は簡単な公表から、具体的にグラフに表して説明する国、年2回や四半期ごとなど様々である。インフレ目標値と関連付けた形での政策の透明性を確保することを通じて、「物価安定」に向けた政策運営に対する国民の信認を高めることとあるように、説明責任はインフレ・ターゲティングにおいて重要な位置付けである。これは、金融政策のスタンスを明確化することで、期待インフレ率を変化させるという意味合いも持っている。

E)インフレ・ターゲティングの導入の必要性に対する批判

 実際にインフレ・ターゲティングを金融政策として導入している国は、導入前の80年代と比較して導入後の1990年代は物価が安定している。しかしながら、非インフレ・ターゲティング導入国においても、1980年代と比較して1990年代は物価が安定している。(表2参照)1990年代は情報通信技術の発展や新興市場国の台頭などによって、世界的にディスインフレ傾向が強かった時期[xxiii]であり、1970年代に2度起きたオイル・ショック以降、1980年代、1990年代を通して原油価格の低下が物価安定に寄与していたとすると、インフレ・ターゲティングの導入が必ずしも物価安定にはつながらないということになる。また、課題として金融当局の掛け声だけで期待インフレ率が動くかどうかわからない、金融政策によって物価をコントロールできるのかという問題も指摘されている。これは、物価上昇局面に関しては、金利やマネーサプライをコントロールすることで比較的物価をコントロールできるが、物価下降局面を上昇へと変更できるかは、疑問であるということである。また、物価安定がなされている状況下で、資産インフレが起きた場合の金融政策に対するスタンスをどのように設定するのかという問題もある。

3−3 各国のインフレ・ターゲティング導入背景

@)導入背景

各国の導入背景は主に、

@それまで重視していた為替相場やマネーサプライの金融政策上の役割が低下したこと

A中央銀行の権限や責任をより明確にすべきとの認識が高まってきたこと

B現在高インフレ率、もしくはその記憶が新しいこと

である。インフレ・ターゲティング導入国すべてに共通していえることは、インフレーション・リスクへの高まりからの導入であり、日本のように物価上昇率がマイナスの状況で導入している国は現段階ではない。

A)導入国

 導入国に関して、先進国から発展途上国まで数多くの国が採用している。(表1.11.2参照)しかしながら日本におけるインフレ・ターゲティングの導入を考えた場合ここでは先進国を中心に採用の背景を詳しく述べてみることにした方が適切である。理由としては、発展途上国は、景気拡張策によるインフレーション・リスクの高まりや、通貨危機後の金融政策改革の手段としてといった理由が多く。また、物価上昇率が非常に高いという特徴があるからである。そこで、ニュージランド、カナダ、イギリス、スウェーデン、オーストラリア、韓国の6カ国の導入経緯をこれから述べることとする。尚、以降の文章は「諸外国のインフレ・ターゲティング」、各国の事例集より引用した。

@       ニュージーランド

 1980年代前半までは、ニュージーランドは、自国通貨を主要貿易相手国の通貨バスケットに連動させる為替ペッグ制を採用しており、金融政策も、そうした為替政策との整合性を重視してきた。しかし、1984年に通貨危機が生じ、19853月には為替ペッグ制を放棄して変動相場制に移行することとなった。このため、金融政策の考え方についても見直しが必要となり、大蔵大臣は、「物価安定」を金融政策の目的とするとともに、中央銀行に事実上の政策運営上の独立性を与えることを明確にした。

 そうした新しい金融政策の枠組みのもとで、19884月、大蔵大臣が、当時6%程度であったインフレ率を数年間で01%程度に抑制する意思を表明した。ニュージーランド中央銀行では、これを持ってインフレ・ターゲティングの開始としている。その後、198912月に、「物価の安定」を明確に政策目的として位置付けた新しい中央銀行法が成立した。大蔵省と中央銀行総裁は、同法に基づいて19903月、第1回の「政策目標に関する合意(Policy Targets AgreementPTA)」を設定し、インフレ率目標値等を正式に明文化した。

A       カナダ

カナダでは、1975年以降、マネーサプライを金融政策の運営上の中間目標としていたが、その後、マネーサプライとインフレ率の関係が不安定化した。このため、同国は1982年、マネーサプライを中間目標として用いることを停止した。

その後これに変わる金融政策上の指標を見出せないまま1990年代に入ったが、新間接税の導入と石油価格の上昇によりインフレ懸念が強まった。そうしたインフレ圧力を抑制するため、19912月、中央銀行総裁と蔵大臣が共同でインフレ・ターゲティングの導入を宣言した。

B       イギリス

イギリスでは、199010月に自国通貨を欧州通貨のバスケットに連動するERMに参加し、為替相場の安定を重視する金融政策運営を行っていたが、19929月の欧州通貨危機をきっかけにフロート制に移行した。こうした中で金融政策に対する信認を維持することなどを目的として、199210月、大蔵大臣から「RPIXの前年比を14%の範囲内とする」旨の発表があり、インフレ・ターゲティングが導入された。

C       スウェーデン

 スウェーデンは従来、自国通貨を他国通貨のバスケットに連動させる為替ペッグ制を取っていた。為替相場の安定に重点を置いた金融政策運営を行なっていたが、199211月ヨーロッパ通貨危機の影響を受け、フロート制へ移行した。そうした環境のもとで金融政策への信認を維持するべく、19931月にインフレ・ターゲティングが導入された。

D       オーストラリア

 オーストラリアは、1976年以降、マネーサプライに目標値を掲げた金融政策を行なってきた。しかし、マネーサプライとインフレ率の関係が不安定化したことから、1985年に廃止した。1992年から1993年にインフレ率が十分に低下した時期を捉えて、中央銀行の総裁が当時のインフレ率23%を今後も目標として政策運営を行なうと繰り返し表明した。

E       韓国

 韓国は、1997年に、財閥の破綻等に端を発した金融危機および通貨危機に直面し、同年12月には、それまでの管理フロート性から完全なフロート制へ移行した。これを契機に、中央銀行法の改正が行われ、「物価安定」を政策目標とすることが明確にされた。また、その中でインフレ・ターゲティングが制度として明記され、19989月に、1998年のインフレ目標値(9±1%)が発表された。

 同国の中央銀行では、現在でもマネーサプライを政策目標としているが、実態的には、インフレ・ターゲティングに重点を移していく方針を明らかにしている。

 

 

4 結論

 

現在の日本銀行の金融政策状況に関する情報公開手段は、金融決定会合の議事要旨公開、総裁の定例記者会見、金融経済月報の公表である。改正日本銀行法により、いっそうの情報公開の体制が整えられたといえる。

しかしながら、20008月の金融決定会合における、ゼロ金利政策の解除の経緯とその説明は不満足なものであったといわざるを得ない。日本銀行はゼロ金利政策自体に対する批判に対しての、または、ゼロ金利政策解除に対しての批判に対しても真摯に説明をしていかなければならなかったのではないかと考える。FRBがインフレ・ターゲティングを採用していないにもかかわらず、市場からの信認を得ているのは、市場との対話を重視し、金融政策に対する説明をしているからである。また、その説明が、市場に十分信認されるに値するものであるからである。

日本銀行の情報公開の拡充理由としては、市場との対話と重要視することで、説明不足やコンセンサスの不足したの金融政策の変更による市場へのネガティブ・ショックを与えることを回避する理由からである。また、それにより金融政策に対しての効果も上がると考えるからである。実際に今回のセロ金利解除の例を見ても、市場に対して信認を得るに足る説明が成されていなかったと考える。

また、1990年代後半に景気対策として行った数々の総合経済対策等の景気刺激策をおこなった。この結果、公的債務は2000年度末には645兆円という巨額になる。この額は先進国内でも最も高く、対GDP比でも先進国中最低である。ゆえに日本の財政状況は、特にプライマリー・バランスを見るかぎり、厳しさが見えてくる。サスティナビリティという点に関しても、経済白書の指摘の通り厳しい状況である。さらにこれから少子高齢化社会の到来による貯蓄の切り崩しが本格化することを考慮に入れれば、中長期的なインフレーション・リスクは非常に高いといえる。実際には少子高齢化社会による貯蓄の切り崩しが起きるのは、まだ10年以上先のことではある。現状では経常収支黒字であり、I-Sバランスでみても貯蓄超過の状態が続いている。そのことからもクラウディング・アウト効果が起きる心配も現段階ではない。しかしながら、このことが近い将来の増税への不安を高めれば、中立命題を成立させる要因になる。事実将来への増税から消費支出を抑える傾向が見えてきている。そうなれば、政府の経済対策は意味を持たなくなるのである。

そして、現状の日本経済を見ると1999年は当初目標であった年成長率0.6%を上回る1.2%成長であった。しかし名目経済成長率は‐0.2%と依然としてマイナス成長であった。日銀短観や月例経済報告では、依然として厳しい状況が続いているなか、企業の景況感は改善の方向へと向かっているとしている。また、雇用の需給バランスも改善に向かっている。このことからも、日本経済は最悪期からは脱したといえるが、20004月以降株価の下落傾向は続いており、企業の景況感も2000年後半から、不透明感が高まってきている。

完全失業率に関しても4%後半のままであり、企業のリストラクチャリングやIT化による新規の失業が起きる可能性もあり、失業率の改善と有効求人倍率の回復がなされないままでは先行き不透明感が個人消費者から消え去ることはない。

この日本経済の回復のカギとされているのがIT関連投資である。世界的に2000年後半の段階でIT関連企業の株価の下落が見えているが、それはIT関連企業に対しての過度の期待感からであり、情報通信技術に対しての疑問にはつながらない。IT投資が本格化すれば、アメリカで起きたことと同様に企業の生産性が上昇し企業収益の増加につながる。一方雇用に関しては、ネットワーク化された企業は人件費の削減が可能になり、労働需要は減るものと思われる。しかしながら、その一方でのIT関連の波及産業での雇用増や、景気回復にともなうサービス産業での雇用増加が見込まれる。結果として、全体では雇用増大になる。そして、IT関連投資や、IT関連企業の成長により、設備投資や雇用が回復基調になれば、日本経済は本格的な回復局面へとむかうと予想される。新規設備投資が起きない理由としてバブル期の過剰設備投資があげられるが、IT関連投資はバブル期のそれとは違うためその影響は少ない。そのためには、不安定な物価下落を止めることによって、実質金利を引き下げることが重要になってくる。

次に物価下落であるが、近年の物価下落の原因には総需要と総供給の2つの要因がある。(5参照)はじめに、総供給要因であるが、これは、価格破壊という言葉があるように、物流、流通革命による価格の低下、もしくは技術革新による価格の低下である。特に衣料品、電子製品への価格下落は激しい。衣料品の低価格化は「ユニクロ」に代表され、電子製品特にパーソナル・コンピューター関連の価格下落は激しい。パソコンのハードの価格、CPU価格、デジタルカメラ、プリンター、スキャナー等の周辺機器の価格は、昨年に比べ50%以上下げている製品も少なくない。また、価格だけでなく性能と価格の比率で見る実質価格は大幅に下がっている。衣料品の低価格化は、流通改革が要因であり、PC関連の価格下落は、技術改良が要因である。

つぎに、総需要要因であるが、これは、逆資産効果や終身雇用制、年功序列型賃金体系といった「三種の神器」の崩壊による恒常所得への不安感からきている。また、日本経済成熟化が、人々を豊かにし、同時に商品の成熟化が新規需要を生み出さない状況もあるといえる。GDPの約6割を占めている個人消費の回復がなければ、需要サイドの物価下落は止まらない。それには、新製品・新サービスの開発という技術革新も必要になってくる。そのためにも、実質金利の引き下げは重要な課題である。

以上のことからも、金融政策の透明性の確保と同時に物価安定に対する日本銀行のスタンスを明確化する必要性はあるといえる。これは、日本銀行法でおいても、日本銀行の通貨及び金融の調節に関する意志決定の内容及び過程を国民に明らかかにするように努めなければならない、としていることからも明白である。[xxiv]また、信頼性という観点からも金融政策の透明性を確保したほうがよいのである。「市場との対話」という言葉が近年聞かれることとなったが、金融政策への信頼性を高めることによって、市場へのネガティブ・ショックを減少させることが可能である。

以上のことから金融政策の手段としてのインフレ・ターゲティングの導入を検討したほうが良いといえる。その具体的な導入例としては、イギリス型がもっとも適切であるといえる。(表3参照)その理由としては、インフレ・ターゲティング導入国での導入例にさほど差はないが、イギリスでは、乖離した場合の説明責任があるからである。しかしながら、イギリスが、インフレ・ターゲットの政策決定が大蔵省であることに対しては、やはり日本では中央銀行がその責任を負うべきである。これは、日本銀行の通貨及び金融の調整における自主性は、尊重されなければならない[xxv]としている日本銀行法との整合性からである。この際の物価安定は、上記したように、「家計や企業等の様々な経済主体が、物価の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行なうことができる状況」であり、現在のような消費低迷からの物価下落に対しても、資産インフレに対する監視も怠っていけない。資産インフレは、資産価値の上昇が、資産効果をもたらし個人消費の拡大を起こす。しかしながら、行き過ぎた資産インフレ「根拠なき熱狂」であり、バブルである。日本ではバブル崩壊後の逆資産効果により、長期低迷から脱することはできず、また、アメリカでも行きすぎた個人消費は貯蓄率をマイナスにするという事態を起こしている。1980年代後半の資産インフレは、物価安定していたが、金融緩和を続けすぎてしまったために資金の流れが資産へ流れたことで起きてしまった。このことから、PERや不動産価格を金融政策の指標の一つに取り入れることができれば、資産インフレの早期是正は可能である。

また、各国の導入状況を見てもデフレ時においてインフレ・ターゲティング導入をした国はまだない。インフレ・ターゲティング導入国のすべてが物価上昇に対する対策として導入している。また、物価上昇の理由として、為替レートの不安定化という理由も多い。日本の状況は、インフレでもなく、また、為替レートの変動という外的要因でもない。逆資産効果による消費の減退、長期低迷からの不安心理といった内的要因による、総需要曲線の下方シフトという物価下落である。しかしながら、インフレ・ターゲティング導入に関して物価変動している状況の是正という点から問題はないといえるのではないだろうか。また、金融当局の掛け声だけで期待インフレ率が動くかどうかわからない、ということに対しては、インフレ目標値と関連付けた形での政策の透明性を確保することと、物価安定に向けた政策運営に対する国内外に対する金融政策への信認を高めることにより可能だと考える。それには、日本銀行の説明責任の拡大と市場との対話が重要である。

したがって、繰り返しになるが金融政策としてインフレ・ターゲティングを導入すべきである。その目的としては、短期的にはデフレ経済からの脱却と実質金利の低下である。中長期的には、公的債務の増加にともなうインフレーション・リスクの削減による物価安定と金融政策の透明性のさらなる向上による市場の信認を高めることである。(図4参照)それにより、最終目標である、物価安定、雇用拡大、景気回復が達成されるのである。

 

5 図表

 

【表1.1】 各国の事例その1

国名

採用開始時期

ターゲットとする指標(現行)

目標インフレ率(現行)

目標設定主体

ターゲットから乖離が生じたときに求められる対応

インフレの見通しの公表形式

ニュージーランド

884

CPI総合前年比

0〜3%

96年〜)

中銀総裁と大蔵大臣の合意

免責条項[xxvi]に該当する以外の事象で乖離した場合、総裁は罷免され売る。また、乖離が生じた場合等には、説明責任を負う

四半期毎に、約3年先までの見通しを数値及びグラフで発表

カナダ

912

コアCPI前年比[xxvii]

2±1

(95年〜)

中銀総裁と大蔵大臣の合意

明示的な規定なし

四半期毎に、半年〜1年半程度先までの見通しを発表

イギリス

9210

RPIX前年比[xxviii]

2.5

97年〜)

政府(大蔵省)

目標値から上下1%を超えて乖離した場合、その理由、対応策、回復までの期間等を内容とする公開書簡を大蔵大臣に発出する

四半期毎に、約2年先までの見通しをファン・チャート等で公表

スウェーデン

931

CPI総合前年比

2±1

95年〜)

中銀

明示的な規定なし

四半期毎に、約2年先までの見通しをファン・チャート等で公表

オーストラリア

93年央

CPI総合前年比

中期的に平均23

93年〜)

中銀が設定し、大蔵省が支持

明示的な規定なし

四半期毎に、1年半〜2年程度先までの見通しを発表

 

【表1.2】 各国の事例その2

国名

時期

指標(現行)

目標インフレ率(現行)

設定主体

対応

インフレの見通しの公表形式

チリ

909

CPI総合前年比

3.5%近傍

2000年末)

継続目標として3±1

2000年〜)

中銀

明示的な規定なし

政府予算案提出と同時期に翌年の見通しを数値で発表

イスラエル

9112

CPI総合前年比

3〜4

200001年)

政府[xxix]

明示的な規定なし

公表されていない

チェコ

9712

ネットインフレ前年比[xxx]

4.5%±1

2000年末)

3±1

2001年末)

長期目標として2±1%(2005年)

中銀と政府の合意

明示的な規定なし

四半期毎に、約1年先までの見通しを数値(レンジ)で発表

韓国

989

CPI総合前年比[xxxi]

2.5%±1

2000年平均)

中期目標として年平均2.5

2001年〜)

中銀[xxxii]

明示的な規定なし

2回、翌年の見通しを数値で発表

ポーランド

9810

CPI総合前年比

5.4%〜6.8%(2000年末)

中期目標として4%以下

2003年までに)

中銀

明示的な規定なし

四半期毎に、約1年先までの見通しを発表

ブラジル

997

IPCA前年比[xxxiii]

6±2

2000年末)

4±2

2001年末)

政府[xxxiv]

目標値から乖離した場合、その理由、対応策、回復までの期間を内容とする公開書簡を政府に発出する

四半期毎に、約2年先までの見通しをファン・チャート等で公表

インドネシア

20001

CPI総合前年比[xxxv]

35%近傍

2000年)

中銀

明示的な規定なし

四半期毎に翌四半期の見通しを数値で公表

(データ出所)日本銀行企画室「諸外国におけるインフレ・ターゲティング」

 

 

【表2】 年代別平均インフレ率(%)

インフレ・ターゲティング

非採用国

 

ニュージーランド

カナダ

イギリス

スウェーデン

オーストラリア

日本

アメリカ

ドイツ

70年代

11.5

7.4

12.6

8.6

9.8

9.1

7.1

4.9

80年代

12.0

6.5

7.4

7.9

8.4

2.5

5.6

2.9

90年代

2.0

2.2

3.7

3.3

2.5

1.2

3.0

2.3

(注)インフレ率はCPI総合(イギリスはRPI総合)の前年比

(データ出所)IMF International Financial Statistics

 

【表3】 日本のインフレ・ターゲティング導入例

ターゲットとする指標(現行)

目標インフレ率

目標設定主体

ターゲットから乖離が生じたときに求められる対応

インフレの見通しの公表形式

CPIコア前年比

2±1

日銀

目標値から上下1%を超えて乖離した場合、その理由、対応策、回復までの期間等を内容とする公開書簡を大蔵大臣に発出する

四半期毎に、約2年先までの見通しをファン・チャート等で公表

(出所)拙者作成

 

(出所)諸外国におけるインフレ・ターゲティング図表3

 

 


【図4】 金融政策の中間目標

 

 

 

 


【図5】 AD・AS曲線

   物価

          AD0                        AS0

          AD2                      AS1

 

          AD1

 

 

 

          y120         国民所得

(出所)拙者作成

 

 

参考文献

 

井上 謙吾 『何が正しい経済政策か』 日本経済新聞社 2000.6.7

斉藤 誠、岩本 康志、大竹 文雄、二神 孝一 『経済政策とマクロ経済学』 日本経済新聞社 1999.10.15

中谷 巌 『入門マクロ経済学』 日本評論社 2000.4.15

野口 悠紀雄 『バブルの経済学』 日本経済新聞社 1992.11.25

Mankiw N. Gregory 『マクロ経済学T』 東洋経済新報社 1996.4.26

Stigliz Joseph E. 『入門経済学』 東洋経済新報社 1995.5.28

経済企画庁編 「平成11年版経済白書」 大蔵省印刷局 1999.7.19

経済企画庁編 「平成12年版経済白書」 大蔵省印刷局 2000.7.19

中小企業庁編 「2000年版中小企業白書」 大蔵省印刷局 2000.5.25

日本経済新聞社編 『ゼミナール日本経済入門』 日本経済新聞社  2000.4

日本銀行企画室 「諸外国におけるインフレ・ターゲティング」 2000.6

日本銀行 「「物価安定」についての考え方」 2000.10

日本評論社 「経済セミナー11月」 2000.10

参考ホームページ

経済企画庁 URL http://www.epa.go.jp/j-j/menu.html

日本銀行 URL http://www.boj.or.jp/index.html

Bloomberg http://www.bloomberg.com/jp/markets/index.html

 

 



脚注

[i] 経済政策に関しては、橋本、小渕、森政権下における緊急経済対策、総合経済対策等が挙げられる。

[ii] 信用収縮のことである。90年代後半の現象は貸し渋りというよりは信用収縮のほうが適切な表現であると考えている。

[iii] 物価下落(デフレーション)が連鎖すること。

[iv] 国際業務を行なうには8%、国内業務には4%以上が規定とされている。

[v] 株主資本ともいう。この場合は当期利益以上の貸倒引当金を当てる場合である。

[vi] 当時日経平均株価が1000円下がると0.51%の自己資本比率が下がるといわれていた。

[vii] 貸し渋りは起きておらず、需要がなかったからだとする見方もある。

[viii] バブル時におけるエクイティ・ファイナンスも企業収益に悪影響を与えた。

[ix] デフレ・スパイラルの定義としては、@景気のスパイラル的落ち込みを総称する場合2物価下落をともなった不況のスパイラル的の場合3物価下落から実体経済への因果関係が明確で、両者がスパイラル的に落ち込む場合等が挙げられるが、逆資産効果、可処分所得の減少、雇用不安に代表される恒常所得への不安ということからも、ここではBの定義を採用する。

[x] ピグー効果

[xi] 株式市場から国債市場への資金の還流を招き、国債価格の上昇が、長期金利を下げる、また、公定歩合に引き下げも、長期金利を下げる。

[xii] 2000年版中小企業白書によれば、大企業の40%、中小企業では60%が今後1年以内に新規設備投資は行わないと答えている。

[xiii] アーヴィング・フィッシャー

[xiv] マクロ経済学TP290292より引用。

[xv] 短資会社等を通じて、日本銀行がコール市場においての貸し出し金利をゼロへと誘導することである。

[xvi] 20004月以降の日経平均株価の動向は日経225の銘柄入れ替えも影響を与えているので3月の段階と一概には比較できない。

[xvii] 200010月には、協和生命、千代田生命が倒産へ追いこまれた、これは株式市場の低迷、金利の低下による逆鞘がソルベンシー・マージンの低下を招いた要因の一つである。

[xviii] 日本銀行法第2

[xix] 日本銀行 「「物価安定」についての考え方」P3より引用

[xx] 以降インフレ・ターゲティングとする。

[xxi] 日本銀行企画室「諸外国におけるインフレ・ターゲティング」P27より引用。

[xxii] 以下CPI

[xxiii] 日本銀行企画室「諸外国におけるインフレ・ターゲティング」P628より引用。

[xxiv] 日本銀行法第3

[xxv] 日本銀行法第3

[xxvi] 間接税の変更、輸入価格の変動等。

[xxvii] CPIから食料、エネルギー、間接税の影響を除外

[xxviii] RPIX…小売物価指数(RPIからモーゲージ利払い分を除外)

[xxix]蔵相が首相、中銀総裁と協議の上、設定

[xxx] CPIから、政府統制価格、間接税、補助金の影響を控除

[xxxi] ただしCPI総合前年比から穀物以外の農産物、石油関連製品を控除

[xxxii] 政府と協議

[xxxiii] 大都市圏CPI総合

[xxxiv] 中銀と協議

[xxxv] ただしCPI総合前年比から公務員の給与、米穀・砂糖輸入課徴金、ガソリン・石油補助金、電力料金の影響を控除