エージェンシー問題(プリンシパル・エージェンシー問題)

今回は、経営者と従業員の問題についてです。

 ここでは、議論を簡単にするために、経営者をHさん、仕事場をT、そこで働いているアルバイトを、ようちゃんと留学生さんを暇人さんにしましょう。

 経営者にとって、従業員を働かせるのはことのほか大変です。このことをバーナードは「誘因>貢献」と表現しています。つまり、何かしらの誘因以上の貢献はないということです。経営学では、賃金以外のカリスマ性などといったものにも誘因を求めるのですが、ここでは話しを簡単にするために、賃金のみが誘引だとします。(なんて、野暮ったいのだろうとお思いでしょうが、経済学でいうところの市民というものはそんなものなのです。)

 話を戻しますと、ようちゃんや、留学生や暇人達は基本的には怠け者です。Hさんの見てないところでは何をするか分かりません。このことをモラル・ハザードといいます。このモラル・ハザードをなんとか解決しようとするのがエージェンシー問題です。

 例えばここで時給が1000円だったとします。この3人はこの時給には満足ではありません。そうするとどうなるでしょうか?やめちゃいますね当然。しかしこの不景気の世の中、1000円でも仕方がないと文句をいいながら働きます。

 ここでこの3人が稼ぎ出す利益がいくらかということになりますが、1時間当りこれを6000円だとします。まあこれでも満足なんでしょうが、Hさんはもっと儲けたいと思います。そこでどんな行動に出るでしょうか?しりをたたいて働かせるということも考えられますが、彼らはそんなことでは働きません、だから時給アップですね。時給を上げればもっと働いてくれるだろうと、しかしそこで心配がおこりました、自分は、いつも、いつも3人の行動を見ていない、時給を上げたからといって怠けて売上が変わらないじゃないか?と、当然ですね、基本的に怠け者の3人は時給を上げたからといって働きません(そんなことはない?っていう反論がきそうですがここは無視して)

 そこで、出来高制を導入しました、つまり売上にともなって時給が上がるというのです。例えば、売上が12000円なれば、時給が1500になると、そうすると3人で4500円、粗利は差し引き7500円です。変化ない場合の粗利は3000円ですから、4500円の増益です。

 ここで売上に変化なかった場合についてみてみましょう。例えば、固定給のアップの場合は、1500円にしたとして、6000円では1500円のマイナスになってしまいますが、(この経済的余剰の損失、これをエージェンシー・コストとよびます)出来高制の場合は3000円のまま変わりません。

 確かに、時給を変えずに12000円の売上を達成できればそれにこしたことはないですが、怠け者の3人を働かすにはそう簡単ではありません。努力させるためのインセンティブが必要なのです。それが時給アップ(しつこいって?

 さらに追加として、

ホールド・アップ問題

 この怠け者のくせに優秀な3人に、Hさんは全部任してしまい、自分は遊びに行くとどうなるでしょうか?今度は営業に対しての交渉力はこの3人が握ってしまいます。つまりこの3人がいなくなれば営業に差し障りが出てくるっていうことです。そうなるとこの3人は、そういう行動に出るでしょうか?

 留学生が言いました「経営者はなにもやってない」、暇人は「そうですね、なら、彼の分の給料を俺達がもらったら?」、ようちゃんは「そんなこと彼が見とめるはずがないよ」、留学生はすかさず「俺達が全員やめるって言えばなにもいえないよ」、暇人は「そうですね、なにせこのTは自分達がいなかったら動きませんから」ようちゃんも「そうですね」

 もうこうなったらHさんはなにもできません、交渉力を失ってしまったからです。これが「ホールド・アップ問題」です。

 以上で今日は終わりです。最近では、この出来高制というか成果主義がはやっていますが、これと同様のことです。じゃあなぜ今までは違ったのかといえば、今までは、経営家族主義という名のもとに、従業員丸抱えだったからです。つまり、このまま一生懸命働いていれば、どんなに不況になっても首も切られないし、賃金は上がっていく。この誘因が日本型経営を支えてきたのです。首にされない変わりに、不況時には、ボーナスのカットに応じ、将来賃金が上がる変わりに、若い頃の低賃金に文句を言わなかったのです。しかし、今は首切られます。だから成果主義にしろってことも要因の一つです、この問題は奥が深いのであまり突っ込みませんまた、別の機会に別の物語でってことで…

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