経済学基礎知識編

ギリシア文字一覧表

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景気循環論

 

  図1

10

        

 

          D

        C

5                                   

 

        

 

 

〇                                    t

 

加速度理論

 ≪t≫でt期の変数を表す。乗数理論によると、t期の財市場の均衡は以下で示される。

    ≪t≫=≪t≫+≪t≫+≪t≫

 さて、(@)消費は1期前の国民所得に比例し、(A)投資需要は消費の変化分の一定割合生じるとし、(B)政府支出g(t)は毎期一定でgに等しい、と仮定する。(A)の過程を投資の加速度理論という。(@)―(B)の過程を式で表すと、

  ≪t≫=αy≪t−1≫  i≪t≫=β(c≪t≫−c≪t−1≫) g≪t≫=g

以上の4式から、

≪t≫=c≪t≫+g≪t≫={αy≪t−1≫}+{β(c≪t≫−c≪t−1≫)}+g

   =αy≪t−1≫+β(αy≪t−1≫−αy≪t−2)+g

   =α(1+β)y≪t−1−αβy≪t−2≫+g

を得る。これはy≪t≫に関してみると、いわゆる二階の定数係数線型定差方程式となっている。この式を満たす数列y0、y1、y2…は図1に示すA曲線、B曲線、C曲線、D曲線の4種類の曲線のうちいずれかの動き方をすることを示せる(図1ではα=0.8、g=1の場合を描いてある)。

 A〜Dの各曲線において、すべて初期値y02である。しかし、以後のytの動き方はαとβの値に応じて、A〜Dいずれかの場合になる。A曲線のような動き方は単調収束と呼ばれる。この場合、時間の経過と共に、((11−α)gである)5に近づいて行く。B曲線のような動き方は、発散と呼ばれる。この場合、時間の経過と共に常に増大して、収束値5から離れて行く。C曲線の場合は、減衰的振動と呼ばれている。上下動を繰り返しながら、時間と共に収束値5に近づいて行く。D曲線の場合は、発散的振動と呼ばれる。上下動を繰り返しながら、時間と共に次第に収束値5から離れて行く。A曲線やC曲線は、時間と共に国民所得は一定値に近づく。すなわち、現実の景気変動を説明するものと考える。

加速度理論

二階の定数係数線型定差方程式

t−α(1+β)y≪t−1+αβy≪t−2≫=g

特性方程式

xA−α(1+β)x+αβ=0 (xAはXの二乗)

 

ヒックスの景気循環論

 ヒックスは図1において、B曲線ないしはD曲線のような発散的な場合がより現実に近いものとした。この場合、国民所得は時間と共に無限に増加しようとする。しかし、生産要素の制約のために、国民所得は完全雇用国民水準以上には達し得ない。これを国民所得の天井という。国民所得が天井に留まるとしよう。すると前節の式に従うと、やがて国民所得の下降が始まることが示せる。すると、今度は国民所得は無限に減少しようとする。しかし、粗投資は負になり得ない。このため、国民所得が十分小さくなると、加速度原理が働かなくなる。このとき、国民所得は一定値に近づく。これを国民所得のという。国民所得が床に達して留まると、今度は国民所得の上昇が始まる。このように国民所得は天井と床の間で上下運動を繰り返すことになる。これをもって現実の景気循環の説明とするのが、ヒックスの景気循環論である。

 

実物的景気循環論

 1980年代後半に、ロング(LongJ.)=プロッサー(PlosserC.)やキックランド(KydlandFE.)=プレスコット(PrescottEC.)は実物的景気循環論を提唱した。経済主体が時間を通じて効用を最大化する理論模型を作り、そこにおける経済主体の最適な消費・投資・労働供給の時間的推移を調べる。この模型の中の生産関数に(天候・技術革新などを表す)不規則な衝撃を導入し、最適な産出の時間推移の特徴を調べると、現実の産出の変動パターンの特徴に酷似することが一定の条件下に示せる。このような実物的景気循環論の功績は、景気循環に伴なう国民所得や雇用の変動は資源配分上最適である可能性を示した点である。景気循環上生じる失業は、資源配分上非効率ではないことになる。

 

経済成長理論

経済成長とは実質国民所得(=産出)が長期的に増加する現象をいう。カルドア(Kaldor,N.)は先進国経済の経済成長について以下のような定型化された事実をあげている。

 (@)1人あたり産出の増加

 (A)1人あたり資本の増加

 (B)資本収益率一定

 (C)資本‐産出比率一定

 (D)労働所得率と資本利益率一定

 (E)1人あたり産出の増加率は国ごとに異なる。

 これらの特徴を説明するような理論モデルを経済成長理論という。なお、発展途上国の経済成長についての研究は別の理論分野を形成し、経済発展論と呼ばれる。

 

ハロッド=ドーマー型成長理論

 ハロッド(HarrodRF.)とドーマー(DomarEd.)は生産関数を資本と労働に関して固定係数型であると想定した。資本の投入に関しては、追加的な1単位の産出Yを得るために、追加的なv単位の資本が必要とされるとしよう。vは限界資本係数と呼ばれる。資本蓄積によって増加する資本がすべて需要されるような産出の成長率を保障成長率wという。保障成長率は、s/vに等しくなることがしめされる。また、労働の投入に関しては、Nだけの労働投入はe‘gt’Yだけの産出を生むとする。e‘gt’は技術進歩による労働生産性の上昇を表し、gは技術進歩率と呼ばれる。労働Lはnの速度で増加する。このとき、増加する労働がすべて雇用されるような産出の成長率を自然成長率nという。自然成長率Gnn+gに等しくなる。現実の経済成長率をGとしよう。資本と労働が完全に利用されるような均斉成長が成立するためには、成長率Gが保障成長率Gwと自然成長率Gnとの双方に等しくなくてはならない。すなわち、

 s/v=n+g

が均斉成長のための必要条件である。しかし、s、v、n、gは外生的に決定される変数であるから、この条件が成立するのは偶然に過ぎない。この条件が成立しないとしよう。保障成長率が自然成長率より高いと長期的に遊休資本が生じる。逆だと失業が累積する。さらに、たとえ

 s/v=n+g

が成立したとしても現実の成長率Gがこれらと異なった場合、その乖離はますます増加することが示される。つまり、ナイフエッジの上の均衡と呼ばれるほど資源の完全雇用をともなう経済成長は成立するのが難しい。このようにハロッド=ドーマー理論では経済は長期的に不安定である。

 

新古典派成長理論

 

オークンの法則

 オークン(Okun,A.M.)はアメリカでは不況時において失業率が1%増加するたびに、産出がおよそ3%低下することを発見した。これをオークンの法則という。オークンの法則を用いると、短期フィリップス曲線を物価上昇率πと産出yとの関係を示すと解釈できる。これより、

      π=α(y−yF)+π‘e

という式を得る。ただし、yFは自然失業率に対応する産出水準であり、ケインジアンの言う完全雇用国民水準である。この式は総供給曲線を動学化したものなので、インフレ供給曲線と呼ばれることがある。

 

 

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