インフレターゲット論というのがマスメディアでも盛んに行われはじめてきた。 しかし、インフレターゲットは、非常に危険な政策である。ここで、その理由を考えていこう。

【インフレ後の国債販売】


金融政策による、強制的なインフレが成功し、年率3%のインフレが実現したと
しよう。この状況で、銀行は、国債を果たして購入するのだろうか?
日本:銀行さん、国債買って下さい。

銀行:日本さん、私は、国債で大損をこいたのですよ。
   日本さん、インフレターゲットを設定してインフレ起こしたでしょ。
   10年後に約束どおりお金を返してもらっても、インフレでその価値が
   目減りしてるのですよ。
   今、3%のインフレ率だから、10年後には、返してもらったお金の価値は、
   1/(1.03)^10= 0.74 倍ですね。つまり、25%以上も損しているわけです。
   今更、国債なんて買えないな。

日本:それは、あいすみませんね。でも大丈夫ですよ。今度は、インフレ連動
   国債を販売しますので、これならインフレリスクもありません。どうです
   魅力的でしょ。

銀行:分かってないなー。あんたは、『意図的』にインフレを起こしたでしょ。
   それで、『確信犯的に』借金の棒引きをしたわけですよ。
   これは、『デフォルト』を起こしたのと同じですよ。「借金は全額は、返
   せません25%割り引いて返します。」そう宣言したのと同じですよ。そんな
   人を信用できますか!

日本:でもね。インフレのおかげで、私の財務体質は改善しましたよ。簡単に、
   返せる額になってきたと思いません。

銀行:馬鹿ですか、「借金のうち75%しか返さない」と宣言して、
   「借金棒引きのおかげで、財務体質改善です。安心して、お金を貸して
    いただけると思います。」という理屈が通ると思うのですか!
   そんなんで、世の中回るならば、この世の中にお金を貸す人なんて
   存在しませんよ。

日本:インフレのおかげで、地価や株価も上がったでしょ。まるまる借金の棒
   引きをしたわけではありませんよ。

銀行:はいはい。確かにあがりましたね。確かにそれで、メリットもありました。
   でもね。私は、あなたの言うことに従って、不良債権処理をしたのですよ。
   土地を売り、株を売り、債権放棄もした。だから大してもうけてないです。
   あなたがやっていることはムチャクチャですよ。
   それに、地価上昇などの恩恵をうけない、海外の国債購入者の人はからの
   借金棒引きには目をつむるわけですね。
   しかもインフレのおかげで、皆、外貨預金をして、必要なときだけ円に
   変えているでしょ。私の懐事情は、大変厳しいのですよ。
   それにね、繰り返しますが、あなたは、ある意味で「デフォルト」をおこし
   たのですよ。他の銀行も皆、あなたに不信感をもっています。さらに、海外の
   投資家の不信感は、国内の比ではないですよ。きっと先物を使って国債の売り
   浴びせをするでしょう。つまり、誰も国債を買わない可能性が高いわけ
   ですね。そうなると、今度は、本当のデフォルトを起こすことになり
   かねません。私一人、損するのはいやですよ。絶対国債なんて買いません。

日本:しかたない。困ったときの日銀さんに国債を買ってもらうか。

日銀:なにを考えているのですか、今ね、過度のインフレを抑えようと必死なのです。
   国債を売って、売りオペをしているときです。
   いまさら、新しく国債を買えますかー!!!