施策目標・評価基準等の検証と改善提案

 三重県の施策は66本ありますが、全部に目を通すのは大変なので分りやすそうな施策名から内容を覗いてみました。そして一県民の視点で施策目標(数値目標)を見て、もっと分りやすく、知りたい目標で評価してもらえないかと気になるものを見つけました。次にその事例を掲げます。
県職員の方たちの多大なご努力に敬意を表し、感謝したうえで一県民としての意見を申しあげます。私の思い違いや思い込みや誤解もあるかと思われますので、ご意見を頂戴できれば幸いです

T.施策目標


1.「施策目標」について一県民から見た意見

 「施策目標」について、e−デモ会議室で議論しようとDさんからのご提案を頂いており、議論のテーマになればと思いここに提示しました。

 施策名
(施策番号)
  施策目標
  (数値目標)
県の成果 県による
主な取り組み
一県民の視点から見た意見
学校教育の充実
 (122)
学校生活が充実していると感じている児童・生徒の割合 2001年度の69.7%が72.8%と上回った ・新学習指導要領のリーフレット配布
・教員研修等
・「学校生活の充実」を調べるアンケートは、設問の内容や学校で先生が実施するのか家庭で実施するのかで異なる結果になるように感じます。
・県による取り組みは、国や学校現場や市町村の取り組みのうち、どの程度を占めていると見ればよいのでしょうか。
・新学習指導要領は、「学校生活の充実」を感じさせる内容のみから成り立っているのでしょうか。どういうことを「充実」と感じるのでしょうか。
働く場の確保と勤労者生活の支援
 (441)
勤労者のゆとり実感度 2001年度の
38.6%が45
%と下回った
・臨時的雇用創出
・経済団体への求人要請・資格取得支援等
・雇用確保の施策なので、「ゆとり実感」のような間接的指標よりも、失業率、雇用創出率等の具体的数値で評価するのが適切ではないでしょうか。
.アウトカムで評価する場合は、「勤労者の雇用不安解消度」等と具体的なものがよいように思います。
・国や市町村の雇用対策と県の対策の連携度と独自性も評価したら如何でしょうか。

(注)「施策名」の青い文字列をクリックすると、「みえ政策評価システム」の該当施策にジャンプします

 「施策目標」を概観して気づいた課題

 1.シェアード・アウトカム(成果の分担)概念の必要性 


 2.施策目標の設定方法

各施策の施策目標を概観すると、上記事例のように県民の感じ方をアンケート等で把握して評価する施策と、統計数値を用いるものとがあるように見受けられる。 いくつかの事例を羅列すると次のようなものがある。

  ○県民の感じ方を施策目標とする事例  

 
  ○統計数値を施策目標とする事例

   
 これらはランダムに羅列したものであるが、様々な課題を思いつかせるくれます。「県民の感じ方」は、アンケート等による設問等によってかなり結果が異なるのではないかという危惧を感じ、当該施策の本来的な趣旨に適合した目標なのだろうかという疑問も感じます。
  また、統計数値を利用したものも、例えば「休日に30分以上スポーツ・・」と限定すると、平日に毎日通勤時に一駅前に下車して歩くことでスポーツの代替している人は対象外になる等の矛盾を孕んでいると思います。




e−デモ会議室の議論


1.事務事業の実績自己チェック
Jさんは、次のように提案されました。
例えば、「NPO推進強化事業」の場合には、NPOにアンケート等で行政を評価して貰えばよいのではないかということです。

このご提案は、現在の自己チェックと行政監査(評価)とは、異なる視点からの評価になるので、客観性を広げる意味でも試みる価値のあるものだと思います。ただしNPOは、行政から補助金を受け取る利害関係者であることにも留意は必要かと考えられます。

2.「e−デモクラシー」構築事業費評価表について
これもJさんからのご提案です。
(1)この事業の「目標指標」は、「投稿数」と「アクセス件数」の二つだけだが、参加者の満足度も評価すべきではないか。
(2)「人件費」は、本当にこんなにかかるのか。「所要時間」の算定根拠はどうなっているのか。
(3)「実績自己チェック」以外にも事業の対象者のアンケート調査が必要ではないのか。

これに対して、e−デモ事務局からのご回答が次の要旨で投稿されました。( )の番号は対応しています。

(1) 「目標指標」は数値化する必要があります。「参加者の満足度」のような指標は、県のすべての事業についていえるもので、アンケート調査をすれば出せるのでしょうが、費用対効果(対象サンプルや回収率、継続調査)等の問題で実施されていないのが実情です。
 行政の体質改善については、内部への働き掛けを数値目標にすることになり、茶番劇を演じかねないことから採用していません。

 (2)「概算人件費」が年間約4,000万円というのは、当事業は5人の職員で運営していることから、給与や手当、共済費などの合計が1人平均800万円掛かっていることになります。
 「所要時間」の9,660は、8時間/1日×20日/月×12月×5人+60(時間外勤務時間数)の計算式で算定されていると思われます。

 (3)言われるとおりと思いますが、アンケート調査については上で述べたように、例えば不特定の県民を対象とした事業では回収率(50%を下回っても有効か)、サンプルの抽出(事業を知らない・関心が無いとの答えが50%を越えても有効か)、調査の継続(経年変化を見るために同一対象に同一調査を繰り返す必要性)などの問題が考えられます。
 e-デモに限れば、参加者の皆さんに対してネット上でアンケートを取らせていただくことは可能ですが、「みえ政策評価システム」に載せることは難しいと思われます。


3.「勤労者のゆとり実感度」
エディターからこのページの最初の表に示した施策番号441の「施策目標」に違和感があると投稿したところ、Jさんからご賛同頂き、指標は「個別具体的」な数値がふさわしいと言われました。それと同時に上位の政策が「充実した職業生活の推進」なので、やむを得ない面もあるとご指摘になりました。

そこで、この事業を含む「政策−施策−事業」の体系を改めて眺めると次のようになっています。
http://www.pref.mie.jp/GYOUSEI/plan/jimu02k/jiiseki.htm

この中の政策W.「産業を盛んに経済を活性化するために」は、4つの柱からなり、1〜3までは、「農水産業振興」「戦略的産業振興」「競争力の強化」であり、政策にマッチしている感じがします。しかし、4.「充実した職業生活の推進」は、少しニュアンスが異なります。確かに「充実した職業生活」が「産業・経済の活性化」の基盤であることは言うまでもありません。
しかし、この4.項の中に「雇用対策」が含まれており、その「施策目標」が「失業率」のような実態を表現するものではなく「ゆとり実感度」では、マネジメントサイクルを巧く回すことに支障が出るのではないかと懸念されます。
「雇用対策」は、県民の生活基盤になるのでむしろ、政策U.「安全で安心な支えあう社会をつくるために」に含めたほうが全体最適になるように思えるのですが、如何でしょうか。



U.評価基準
 
行政評価に詳しい西尾勝氏(国際基督教大学教授)は、『行政評価の潮流』(行政管理研究センター/2000年10月)の8ページで次のように述べています。

 「・・・多くの自治体で採用されている評価基準は、必要性(住民ニーズの強度)、緊急性、妥当性(民間または市町村に委ねられないかといった当該自治体による関与の当否)、適合性(手段が自己目的化していないか)、有効性(目的・目標の達成度)、効率性(より費用の低い代替方策はないか)などである。ここで注目しておくべきことは、必要性、緊急性、適合性、有効性などがいまのところ主たる評価基準になっており、費用対効果の分析と相対評価を要する効率性や経済性の評価基準は副次的な評価基準に止まっていることである。・・・」

このような西尾氏の分析をもとに三重県の評価システムは、どうなっているか検証してみました。
事例として対象に選んだのは、前T.項で見た「働く場の確保と勤労者生活の支援」(441)施策の下位にある「地域求職者就職促進事業」です。(評価基準の詳細は事務事業レベルでないと表現されていない)

                 みえ政策評価システムの評価基準(2002年度)

評価基準    みえ政策評価システムの該当する項目と感想等
必要性 「事務事業の目的」欄に「抱えている課題やニーズ」が定性的に説明されおり、これが該当するものと考えられる。
緊急性 緊急性を説明する項目は見当たらない。あえて言えば「抱えている課題やニーズ」の中に、「政府の構造改革によりさらに失業者が発生することが懸念・・」との認識を示している。
妥当性 「公共関与の根拠」は、「ナショナル・ミニマム」であるとし、「県の関与の根拠」を「複数市町村にまたがる広域事業」との立場を表明し妥当性を表現している。
適合性 適合性を説明する項目は見当たらない。事業内容から類推するのみか。
有効性 目的・目標の達成度から見ると、2002年度は有効求人倍率0.7に対して、実績は0.66であり数値は近づいている。
しかし、取り組み内容は商工会議所に委託して人材受け入れ情報の収集・提供と企業説明会の開催であり、国や市町村の雇用対策、ハローワークの活動等とのシェァード・アウトカムは不明である。また、事業の目的欄の意図としては、中勢、南勢志摩、伊賀に重点を置いているが、有効求人倍率の実績値が三重県全体なのかその地域に限るのか関連は不明である。
効率性 効率性を説明する項目は見当たらない。シェアード・アウトカムが不明確の状態で、効率性を論じることはできないと考えられる。
指標の達成状況   指標A  有効求人倍率 達成度 1/5  シェアード・アウトカムでないため測定困難
指標B  求人情報提供件数       達成度 5/5  アウトプットのため努力と直結しやすい。
その他 三重県では、「評価項目」欄に「顧客ニーズの理解と対応」「人材開発と学習環境」「プロセス・マネジメント」「情報の共有化と活用」「行政活動の成果」が自己評価されている。
これらの項目は、行政内部の質の向上に資するものであり、測定は困難であるが有効性や効率性を向上させる要素であると思われる。


次に上記の自己評価と、監査委員評価とを対比してみると次のとおりです。監査委員評価では、事務事業レベルは扱われていないので、その上位にある基本事業(この事例では「就労ニーズに応じた雇用支援」)のものを引用します。       (監査の結果報告書(その1)    54/95ページを参照してください)


          行政監査(評価)結果(「就労ニーズに応じた雇用支援」(44101)事例)

    評価項目(基準)   評価結果          評価項目の扱い方と感想等
事業妥当性(事業の必要性と公共性) 「妥当性」を関与の当否からではなく、必要性と公共性から判断している
目標達成度(指標からみた業務の水準) 情報提供量とHPアクセス件数はアウトプットである。
就業情報提供者のうち何%が就職したかの情報がないので、アウトカムが不明で目標達成度は測定できないのではないか。
有効性(事務事業の基本事業等への寄与度) ここでは、もう一つの事業である「パート相談センターの運営」のうち、相談件数と就職率(6.7〜15.2%)を説明して評価している。就職率はアウトカムだが、15.2%を有効性としてどの程度に評価するかは悩ましい問題である。
経済性・効率性(行政資源の投入効果) 委託先の商工会議所の求人開拓に差があることで低い評価になっている。県民としては実績のない商工会議所への補助金引上げ等「合規性」も気になるところである。
品質十分性(サービス内容の適正度) 利用者のニーズ調査が実施されていない等により低い評価となっている。国・市町村等との連携も気になるところである。
公平性・計画性(平等性と長期的視点) 「おしごと三重」HPにより県内何処からでも情報が得られ、雇用の空白地域を補完しているとの理由で比較的高く評価している。しかし、空白地域のみのアウトカムが不明である。
行政活動(事業の経営手段) 地方労働局、商工会議所との協働を評価している。


         みえ政策評価システムの自己評価と行政監査(評価)の対比による感想


上に対比した二つの表から気づいたことや感想を次のように纏めてみました。

(1)担当部局の「評価表」における数値評価項目は「達成度」と「プロセス・マネジメント」等の途中経過を評価するものが多く、監査委員の評価項目である「必要性」「有効性」「経済性」等が明示的に示されていません。

(2)自己評価される「評価表」と、監査委員による監査(評価)は、「評価基準(項目)」名が噛みあっておらず、直接的な対比ができない。上の表のように翻訳する必要がある。従って、自己評価が甘い評価であったものを監査委員が厳しく評価するとか、その逆とかの対比は困難である。因みに東京都や名古屋市では、担当部局の自己評価を評価委員会や知事部局が同じ評価基準で評価しているので、そのまま対比できます。


(3)監査委員の評価内容には、担当部局の評価表に書かれていない情報が含まれており、県民としては県行政の情報提供として活用することができる。これはe−デモ会議室の議論でもVさんが指摘されています。すべての施策についてではないが、全国平均や他府県との対比等もあり参考になります。

(4)評価基準は、会計検査的要素としては「正確性」「合法性」「合規性」があり、従来の監査が実施してきた項目であると思われます。しかし、行政評価においては、それらはクリアされているとの前提で「経済性」「効率性」「有効性」の3E(それぞれの英語の頭文字がE)の重要性が説かれるようになったと言われています。
しかし、この3Eはいずれも自己評価においても監査評価においても、まだ「深み」がなく不十分であると感じます。

その理由は、度々論じているように、例えば「雇用対策」は、国・県・市町村・企業・NPO等の役割分担が巧く定義されておらず、かつ、県の実施した事業が全体にどの程度の効果をもたらしているのか測定することが困難であることがその理由ではないかと思います。
また、アウトカムの測定にはコストが必要であり、事業規模から見て測定に要する費用の占める割合が高い場合は安価で効果的な評価方法を模索する必要があると考えられます。

企業がテレビ等のマスコミにコマーシャルや広告を出した場合、それぞれがどのような効果で商品の売上に貢献しているかはとても難しいと思います。テレビの場合は「視聴率」、新聞・雑誌の場合は「発行売上部数」等を参考にすると思いますが、行政の場合はどうすればよいのでしょうか。
このことは、今後の行政評価システムの大いなる進化のために避けて通ることのできない課題ではないかと思います。

(5)評価基準の用語の使い方が、まちまちであると言えます。冒頭に引用した西尾氏は「妥当性」評価を「民間または市町村に委ねられないかといった当該自治体による関与の当否」としているのに対して、監査委員の方は、「事業妥当性」と「事業」がついてはいるが、関与の当否は所与のものとして必要性と公共性で評価しています。
「行政評価」という概念は、学者の間でも定説が定まっていないとされている。中央政府も各地方政府もそれぞれが模索しながら毎年進化を続けているので、まちまちであることに特に問題はないと考えられますが、三重県庁内では、執行部と監査委員間での用語使用についての合意はあった方が県民には分りやすいと思われます。



V.事例研究「雇用対策」施策
 NEW!!  (2003.11.17)

T.項で「働く場の確保と勤労者生活の支援」施策を概観したので、この施策を事例として更に詳しく分析してみることとします。

1.2003秋の衆院選マニフェストにおける「雇用対策」

 2003年秋の衆院選はマニフェスト選挙とも言われ、財源、期限、数値目標を明示した政党ごとの政権公約を示した選挙が行われました。これは、三重県の始めた「事務事業評価システム」が全国の各自治体に普及し、中央省庁にも導入されたマネジメント・サイクルを回して有権者の付託に応えるという方式が、ついに政治の世界で実現されたものと考えられます。
自民、民主両党の「雇用対策」は、次のとおりです。(朝日新聞朝刊 2003.10.18より抜粋)    

自民党 300万人以上の雇用創出。民間業者を活用した職業訓練などで「1人一技能」を実現
民主党 失業率を4%台前半以下に。失業者、廃業者に最大2年間、月10万円の手当てを支給

これを政策評価的な視点から眺めると、次のようなことが言えそうです。
(1)300万人以上の雇用が創出できたとしても、テンポの早い技術革新によって求職・求人のミスマッチが問題視される昨今、失業率がどの程度になるかは予測できない。評価用語で言えば、「アウトプット」を示したものと言える。
(2)失業率4%前半以下という目標は、求職・求人のミスマッチも克服したうえでの公約であるから、評価用語で言う「アウトカム」(成果指標)に近いと思われる。

2.「みえ政策評価システム」における「雇用対策」

雇用対策を含む政策体系は次のようになっています。

          「充実した職業生活の推進」政策の体系(14年度)

政策名 充実した職業生活の推進

施策名 基本事業名 事務事業名 主担当部局、所管所属等
441 働く場の確保と勤労者生活の支援 勤労・生活分野
  44101 就労ニーズに応じた雇用支援 雇用・能力開発チーム
  パート相談センター運営費 雇用・能力開発チーム
地域求職者就職促進事業 雇用・能力開発チーム
44102 雇用の創出と失業なき労働移動 雇用・能力開発チーム
  緊急地域雇用創出特別交付金事業 緊急雇用対策プロジェクト
中高年雇用支援事業 緊急雇用対策プロジェクト
キャリアカウンセリング事業 緊急雇用対策プロジェクト
三重県建設業経営革新緊急促進事業 建設業チーム
雇用情報提供システム拡充事業 雇用・能力開発チーム
(再)求職者資格取得サポート事業 緊急雇用対策プロジェクト
(再)森林環境創造事業費 森林環境創造チーム
若年者雇用対策事業費 雇用・能力開発チーム
44103いきいきと働くことができる就労環境等の整備 勤労福祉チーム
  地方労政総務事務費 勤労福祉チーム
非正規労働者の「キャリア・デザイン」調査事業費 勤労福祉チーム
三重県版「ワークシェアリング」を考える事業費 勤労福祉チーム
仕事探しネットワーク事業費 勤労福祉チーム
労働関係調査事業費 勤労福祉チーム
中小企業労働相談事業費 勤労福祉チーム
ファミリーサポートセンター設置促進事業費 勤労福祉チーム
啓発月間推進事業費 勤労福祉チーム
学生就職準備事業費 勤労福祉チーム
(再)女性活用推進サポート事業費 勤労福祉チーム
職場でのパートナーシップ事業費 勤労福祉チーム
勤労者福祉推進事業費 勤労福祉チーム
中小企業勤労者福祉サービスセンター・リード事業費 勤労福祉チーム
ワークセミナー事業費 勤労福祉チーム
ウイークプラザ事業費 勤労福祉チーム
労働者福祉対策資金貸付等事業費 勤労福祉チーム
労働福祉団体事業資金貸付等事業費 勤労福祉チーム
地方労働委員会運営事業 地方労働委員会事務局
不当労働行為審査事業費 地方労働委員会事務局
労働争議調整事業費 地方労働委員会事務局
三重県勤労者福祉施設協議会負担金 緊急雇用対策プロジェクト
442 勤労者の能力開発の機会の提供 勤労・生活分野
  44201 多様な職業能力開発の推進 雇用・能力開発チーム
  民間職業訓練支援事業 雇用・能力開発チーム
公共職業訓練事業 雇用・能力開発チーム
IT化対応訓練事業 雇用・能力開発チーム
求職者資格取得サポート事業 緊急雇用対策プロジェクト
職業訓練手当支給事務費 雇用・能力開発チーム
職業訓練事務費 雇用・能力開発チーム
短期職場実践訓練事業 緊急雇用対策プロジェクト
44202 技能尊重社会の形成 雇用・能力開発チーム
  技能振興事業 雇用・能力開発チーム
地域人材育成総合プロジェクト事業 雇用・能力開発チーム


3. 「働く場の確保と勤労者生活の支援」施策に関する考察
この政策の中の「働く場の確保と勤労者生活の支援」(441)施策−「就労ニーズに応じた雇用支援」(44101)基本事業−「パート相談センター運営費」及び「地域求職者就職促進事業」について、数値目標、具体的な取組内容を要約すると次の表になります。
                「働く場の確保と勤労者生活の支援」施策の数値目標と取組内容               

施策名 基本事業名 事務事業名  数値目標 具体的な取組内容
441 働く場の確保と勤労者生活の支援 勤労者のゆとり実感度(%)         基本事業以下の手段による
44101 就労ニーズに応じた雇用支援 就業情報提供者数(人)         事務事業の手段による
パート相談センター運営費 求職等来室者数(人) 国の機関(職安)と連携してパート労働希望者が求人情報を受け、ニーズに応じた就労ができるようにした
求職者等相談件数(件)
地域求職者就職促進事業 有効求人倍率(%) 6商工会議所に対して、@人材受入れ情報の収集・提供 A企業説明会の開催 を委託した
求人情報提供件数(件)
44102 雇用の創出と失業なき労働移動 新規雇用就業者数(人) 緊急地域雇用創出事業では、教員補助、警察支援要員、森林作業員等、中高年雇用支援事業では企業説明会、労働市場分析等。
8つの事務事業がある       (略)
44103 いきいきと働くことができる就労環境等の整備 中小企業勤労福祉サービスセンターへの加入率(%) ワークシェアリング導入実態・意向調査、再就職相談、サービスセンター加入推進体制強化等。
 21の事務事業がある       (略)

                  上表から、気づいたこと、感じた疑問、課題等
(1)この施策は、3つの基本事業、それを支える31の事務事業から成り立っている。施策名の前半「働く場の確保」は、最初の2つの基本事業により実現し、後半の「勤労者生活の支援」は、3番目の基本事業が実現する構造になっている。

(2)3つの基本事業の数値目標である「就業情報提供者数」「新規雇用就業者数」「中小企業勤労福祉サービスセンター加入率」が目標値に達すれば、施策の数値目標である「勤労者のゆとり実感度」が向上するという構造になっている。基本事業の数値目標は統計的に入手できる数値であり、施策の数値目標はアンケート調査等で入手できる数値であると考えられる。また、施策の数値目標は、勤労者の情緒・感性から得る情報であり不確実性が高いと思われる。
島田晴男『行政評価』によると、「インプット(予算・労働等の投入)やアウトプット(行政活動が供給する財・サービスの量)という行政が何をしたかを測るよりも、事業の評価指標を選定する場合、その事業が行政サービスの顧客に対していかなる効果を及ぼすかというアウトカム(成果)を測る指標を採用すべきである」(213ページ)としている。
しかし、そこに「アウトカムのワナ」があるとも言われる。施策の指標をアウトカムにしなければならないという呪縛が、この事例のように「失業率」という明確な指標を使わずに不確実性のある指標にしてしまった要因ではないかと考えられる。

(3)「働く場の確保」は、社会一般では、「雇用対策」と表現され、失業率等によって社会問題として扱われている。しかし、みえ政策評価システムでは、定量評価に失業率という尺度を用いておらず、定性的説明にも、失業率という用語が使われていない。

(4)「中小企業勤労福祉サービスセンター加入率」は、加入すれば就労環境が整備されるという前提であり、加入率の向上を数値目標にしているが、その前に、このサービスセンターが就労環境整備にどのような効用があるかの評価が必要である。そのためには加入者にアンケートをとりサービスセンターの事業項目ごとの評価を求める必要がある。

(5)国の機関である職業安定所(ハローワーク)と連携して雇用対策をすすめているとの記述があるが、国と県との役割分担比が不明である。それぞれが税金を投入しているので、どのように費用対効果を評価してよいのか分らない。

4.「働く場の確保と勤労者生活の支援」施策の数値目標改善提案

現在、三重県で検討中の「しあわせプラン」における「雇用確保」施策は次のようになっていることも念頭に、数値目標の改善案の提案をさせて頂きます。改善案のコンセプトは、県民から見てもっと分りやすいこと(アカウンタビリティの向上)、生活者の視点、行政のマネジメントサイクルを回す場合の関連性を明確にさせることに重点をおいています。
この提案に対するご意見や反論等についてe−デモ会議室にお寄せください。

○「しあわせプラン」における雇用関係の政策−施策体系          

 政策 施策
安心を支える雇用と就業環境づくり 1.地域の実情に応じた多様な雇用支援
2.職業能力の開発と勤労者生活支援

改善案の内容 

施策名        基本事業名  数値目標 記      事
地域の実情に応じた多様な雇用確保 失業率(%)     
就労ニーズに応じた雇用確保 雇用確保率(%)  就労ニーズに対する雇用確保率
 国・県・市町村ごとの雇用確保率を併記すること
雇用の創出と失業なき労働移動 新規雇用就業者数(人) 国・県・市町村ごと創出した新規雇用就業者数を併記すること
職業能力の開発と勤労者生活支援 中小企業勤労福祉サービスセンター事業の貢献度(%) サービスセンターが勤労者からアンケートをとり事業ごとのサービス水準を調査して貢献度とする。

  (注) 赤字は改善点を示します。「職業能力の開発と勤労者生活支援」の基本事業は省略しています。

    改善案の理由説明
(1)国会を構成する与野党のマニフェストにも「雇用対策」が取り上げられており、地方政府がそれを更に具体化した政策とするためには、雇用は「支援」ではなく、「確保」するという強い決意を表現するべきではないかと思います。また、数値目標は、雇用確保というアウトプットの効果として効果を示す「失業率」というアウトカムにした方が行政サービスの効果が明確化し県民に分りやすいと思われます。

(2)施策の目標を達成するための基本事業では、就労ニーズを100とした場合の雇用確保率という直接的なアウトプットを指標にした方が行政サービスの効果が明確化し、県民、それも失業中の人達には分りやすいと思います。

(3)職業能力開発等を支援する中小企業勤労福祉サービスセンターの効用は、県民には今ひとつ分りかねます。このセンターを利用する人達にアンケートをとり、センター事業が利用者にどの程度の貢献(サービス提供)をしているのか評価した方が県民には分りやすいと思われます。また、評価結果をマネジメントサイクルに活かして改善を重ねれば、自ずと加入率も向上すると考えられます。    

(4)雇用対策は国・県・市町村でそれぞれ取り組まれていると思います。作業によっては、連携するものもあり役割分担を雇用確保の比率では表し難いかも知れませんが、全体の雇用確保等の数量を国・県・市町村に比例按分して評価に反映すれば、費用対効果の評価が明確になると思われます。





 「評価システムの検証と改善要望」の議題項目は、今後のe−デモ会議室の議論も反映しながら、「工事」を進めて いく予定です。