『ギリシア詩華集』(The Greek Anthology .LCL)とはBC7世紀〜AD10世紀までのエピグラム(短詩)約4500篇、作者300名以上の作品をおさめた、ギリシア詩の一大集成である。このXIV巻のエピグラムNo1〜7、No11〜13、、No116〜146は、算数(一部は方程式を使う)の文章題が集められている。これらは、文法家のMetrodorus(メトロドロス)が編纂したものとされている。中性の古典注釈者は、各問題ごとに、紛らわしい算術的解答を残している。また、GMUp512nによると、これらの問題の中にはプラトンの時代のものもあるという。

Metrodorusはおそらくカンスタンティヌス(ローマ皇帝在位306〜337)と同じ時代の人物らしい..Heathは5世紀の人している。文献3、2ーp,442

プラトンにおける計算術に関して・・・・・プラトンは計算術をエジプトと関連づけて述べている。また、文章題では林檎や玩具の分配の問題がこの時代にあったことを述べている。従って、問題によってはBC5世紀までさかのぼれる。Heath文献3、2−p,442
 
資料1 「国家」(525a1〜
計算術と数論はみな数に関わるものである・・・戦士にとっては戦列えお整えるのにこれらを学び知る必要があり、哲学者にとっては生成から離脱して実在にふれねばならないために、これらを学び知る必要がある。そうした目的がなければ計算者になる必要など全くない。・・・・彼ら(戦士、哲学者)は貿易商人や小売商人のように売買のためにそれを勉強するのではなく、戦いのために、また魂そのものを生成から真理や実在へと容易に転換させ
るために、研究するのである。

資料2 「法律」817E〜820d
自由民はこれらの諸学科について、少なくともエジプトでひじょうに多くの子供たちが読み書きとともに学ぶ程度のものは、学ぶべきだといわなければなりません。まず算数に関して、文字どおり子供たちのために遊び楽しみながら学ぶように工夫された勉強があります。たとえば一定数の林檎(玩具の羊)や花冠を、多くの数の子供たちや少ない数の子供たちに分けることや・・・・こうして・・・基礎的な数の使い方を遊びのなかに組み入れ、それを学ぶひとたちに、軍隊の編成、指揮、行進、また家政のも役たたせ・・・・

資料3 プラトン「カルミデス」への古注
計算術は、いわゆるギリシアとエジプトの方法、分数の乗法、除法、加法、減法を含む。・・・林檎や(水や酒)を入れる器の問題・・・


『ギリシア詩華集』の中の問題の分析 (1)〜(6)(Heath文献3参照)

(1)次の例のように、ディオファントスの年齢を求める問題と同じ型の問題が23題(この型の問題は、私立中学校の入試問題によく出る。算数で解ける。)

資料 No126(ディオファントスの年齢を求める問題)
 これは、ディオファントスの墓である。驚くことに、その墓には彼の正確な生涯が書かれている
 神は彼に次のような生涯を与えた、「一生に六分の一を少年として、十二分の一をほほに髭たくわえ、七分の一の幸福な結婚生活を送り、その五年後に息子が生まれた。ああ、遅く生まれた気の毒な子供、冷淡な運命、息子の一生は父親の二分の一であった。その深い悲しみを慰め、(息子の死の)四年後、死んだ」
解答
彼は少年として14年間、青年として7年間、33才で結婚し、38才で息子が生まれ、42才のとき息子を亡くした。父親はその後4年間生き84才で死んだ。
注ディオファントスの年代はよく分かっていないが次の資料より、だいたい250年頃と推測されている。年齢だけが正確にわかる、不思議なことですね。
ディオファントスの年代 Heath Diopantus of Alexandria(p1-3)による、資料はGM2-515にすべてある。
ディオファントスの年代の確定は、難しい。アブファラジ?というアラビアの歴史家はその著作「王朝の歴史」においてディオファントスは、ローマ皇帝ユリアヌス(在位361-3)の時代としている。しかし、これはユリアヌスの時代に生きたスイダスの著作における修辞学者との混同によるものである。決定的な根拠は、ごく短いものでしか現存しない。上限はディオファントスが「多角数について」という著作において、正多面体についての「原論」14巻を追加したヒュプシクスを引用している(GM2-515)ことから、BC150年頃以降である。下限はディオファントスはアレクサンドリアのテオンによって引用されている(GM2-515)ので350年以前となる。最上の資料はプセロス(11世紀頃)の手紙にディオファントスとアナトリウスが言及されていることである。プセロスによれば、ディオファントスとアナトリウスはエジプトの計算方法について研究し、「ディオファントスは、精密に研究したが、アナトリウスはディオファントスがしめしたものとは違う方法で、より簡潔に原理をの本質的な部分を収集し、自らの著作をディオファントスに捧げた」(HeathまたはGM2-515参照)という。このことから、ディオファントスとアナトリウスはほぼ同時代であり、ディオファントスはアナトリウスよりやや年長であるようである。アナトリウスは、280年に司祭になっていることから、ディオファントスは250年頃の年代であるとされるさらに、ニコマコス(100年)、スミュナルのテオン(130年)、イアンブリコス(3世紀後半)の著作はディオファントスを引用していないことからも補強できる。(イアンブリコスの著作の古注にはディオファントスよりの引用がある)
資料 No127
 Democharesは、一生の四分の一を少年として、五分の一を青年として、三分の一を大人として、13年間を白髪まじりの老人として生きた。
解答、彼は、15年間少年として、12年間青年として、20年間大人として、13年間老人として生きた。合計60
 
資料 No2 「パラス(女神)」の像
私ーパラス(の像)は、愉快な詩人たちが送ってくれた金でできている。Charisiusは二分の一の金を、Thespisは八分の一の金を、Solonは十分の一の金を、Themisonは二十分の一の金をAristdicusは9タタント(ギリシアの重さの単位、貨幣の単位)金を送ってくれた、像はAristdicusの作品。
解答、40(20+5+4+2+9)
 
資料 No118
Myrtoは、収穫したりんごを友達に配った。(収穫したりんごの個数の)五分の一をChrysisiに、四分の一をHeroに、十九分の一をPsamathe二十分の一をParthenopeに、たった12個をEvadenのあげた。Myrtoには120個残った
解答、380

(2)つぎの例のように、水道の問題、日本では仕事算とよばれている形の問題が6題。            

資料 No7
目や口や足に穴が開いているライオンの像がある。右の目から出る水で、瓶をいっぱいにするのに2日かかる。左の目から出る水で、瓶をいっぱいにするのに3日かかる。足から出る水で、瓶をいっぱいにするのに2日かかる口から出る水で、瓶をいっぱいにするのに6時間かかる。一度にすべてから水をだすとき瓶いっぱいなるまでの時間を求めよ。


資料 No130
タンクに水をいれる蛇口が4個ある、それぞれの蛇口でタンクをいっぱいにするのに、1日、2日、3日、4日かかる。4個の蛇口を全て開けたとき、タンクがいっぱいになるまでの時間をもとめよ。

(3)連立三元一次方程式になるものが1題

資料 No51
A:私は、二番目と、三番目の1/3(の合計)をもっている。B:私は、三番目と、一番目の1/3(の合計)をもっている。C:私は、10ミナ(貨幣の単位)と、二番目の1/3(の合計)をもっている

(4)連立四元一次方程式になるものが1題

資料 No49
私に、60ミナ(重さの単位)の王冠を作れ。金と青銅を混ぜて2/3(60ミナの以下同じ)。金とすずを混ぜて3/4。金とよく精錬した鉄を混ぜて3/5。鉄、青銅、すず、鉄をそれぞれどれだけまぜればよいか。

(5)不定方程式になるものが以下のように2題

資料 No48
それぞれ同じ数の林檎を入れたかごを持っている三人の女神が、九人の女神にあった。三人の女神は九人の女神に同じ数の林檎をあげた。そうしたら、三人の女神にもそれぞれ、九人の女神にあげた同じ数だけ林檎が残った。その数はいくつか。(かごいっぱいの林檎をx個、あげた林檎をyとすると。3xーy=yとなる)

資料 No144
A:私(像)が乗っている台座はなんと重いのか。B:私が乗っている台座と私の重さの合計は、Aが乗っている台座と私の重さの合計と同じである。A:私だけの重さはあなた(B)の台座の二倍だ。B:私の重さはあなた(A)の重さの三倍だ。

(Aの重さをA、台座の重さをa、Bの重さをB、台座の重さをbとすると。A+a=B+b、A=2b、A=3Bとなる)

(6)簡単な連立二元一次方程式になるものが23題。たとえば次ぎの例

資料 No 145
A:私に10ミナください、そうすれば私の持っているお金はあなたの三倍になります。B:同じように10ミナ私がもらうと、あなたの5倍になります。
( x+10=3(y−10) 5(x−10)=y+10 この型の連立方程式の問題は、必ず中学校の教科書にある)

資料 No 13
ZethusとAmphionの兄弟二人の体重の合計は20ミナ。Zethusの体重の三分の一とAmphionの体重の四分の一の合計は6ミナ二人の体重をそれぞれ求めよ。
 (x+y=20、1/3x+1/4y=6 この型の連立方程式の問題は、中学校の教科書によくある)

資料 No5
最高の時計よ、今日は何時間たったのか。過ぎた時間の2×2/3残っている。
(x:y=1:4/3, x+y=12)


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