数学におけるピュタゴラス派のものとされている業績(アルキュタスのように個人名が残っているものは除く)とその出展および証言

その2、数論(幾何学については別のサイトで作成する予定)

奇数・偶数論(2)・・・・原論9巻における奇数・偶数論(元論文は参照できないので、ファンデルベルデン、サボー、Mueller、Burkertを参照した。

原論9巻には、その前後にある命題群に何ら関係ない一連の命題群(21−34)が見いだされる。オスカー・ベッカー(この論文は参照できません、ごめんなさい)によれば、9巻命題36とともに古風でしかも典型的にピュタゴラス派の流儀の数学の一部をなしている。それは次の命題群である。さらに、アリストテレスが報告する次の帰謬法(背理法)による無理数の証明もピュタゴラス派のものとする。ファンデルベルデンp136)つまり、原論成立以前にあったひとまとまり理論がのが原論に挿入されたかのように。

資料、アリストテレス(分析論前書41a23−30)     
 「不可能によって(帰謬法によって)(結論を)決定づける諸理論は、まず偽を推論して、最初の論点を仮定から証明するが、このとき矛盾が措定されることによって、結果としてなにか不可能にことが生ずるわけであってたとえば正方形の対角線は辺と通約不可能であることが、もし対角線が通約可能と措定されると奇数どもが偶数どもと等し結果が成立してくることによて証明される場合のごとくである。すなわちそこではまず奇数どもが偶数どもと等し結果が成立してくることを推論して、つぎに矛盾によって偽が結果として生じるがゆえに、対角線が通約不可能であることを仮定から証明するわけである。」
注、奇偶数の存在を認めるピュタゴラス派にとっては矛盾ではない
注、ピュタゴラス派の小石を並べる奇数・偶数論と、このような演繹的な推論と両立しない

資料、原論9巻 命題21〜34、命題34
21、偶数の和は偶数である
22、偶数個の奇数の和は偶数である
23、奇数個の奇数の和は奇数である
24、偶数引く偶数は偶数である
25、偶数引く奇数は奇数である
26、奇数引く奇数は偶数である
27、奇数引く偶数は奇数である
28、偶数の奇数倍は偶数である
29、奇数の奇数倍は奇数である
30、もしある奇数が一つの偶数を割り切るならば、それはこの偶数の半分も割り切るであろう
31、もし奇数がある数と互いに素であれば、前者は後者の2倍とも互いに素であろう
32,2から始まり、(順次)2倍された数は、すべて偶数の偶数倍のみである
33、もし一つの数の半分が奇数であるば、その数は奇数の偶数倍に限る
34,32と33でのべたもの以外の偶数は、すべての偶数の偶数倍であるとともに奇数の偶数倍である
36、2n(1+2+2+2+・・・2n)という数は、1+2+2+2+・・・2nが素数であれば完全数である

この命題36は、命題21〜34だけから証明できることをベッカーは示した。なお、ユークリッドは多少ことなる証明をあたえている。ファンデルベルデンp136)さらにHeathは、ピュタゴラス派がどのようにして導きだしたかわ明らかでないが命題36の完全数概念に到達していたしている。そして、8巻から9巻の平面数、立体数や両者の相似数は、やや疑問があるがとしながら、ピュタゴラス派がプラトン以前に導き出したと、推測している(p216)しかし次にあげるように、完全数の理論をピュタゴラス派に帰することについては疑問点が指摘されている。

いくつかの疑問点
★ユークリッド以前の資料には、約数の和という現在の意味での完全数という概念は無かった(LCL、p71注)さらにBurkert(p431)は、アリストテレス以前にユークリッド的な意味での完全数の痕跡はないとしている
.さらに、アリストテレスは、ピュタゴラス派における完全数は10であるとしているので、命題36をピュタゴラス派のものとすることについては無理がある。
★Muellerは、命題21−34は、10巻で必要とされる、合成数を分類するための独立した命題群であり、命題35、36はユークリッドが完全数に特別な重要性みとめたのでこの命題群の最後に取り入れたと推測している(p106)

資料、「パルメニデス」(143e-)によれば「偶数の偶数倍とか、奇数の奇数倍とか、偶数の奇数倍とか、奇数の偶数倍とか」、Heathはこれはプラトンによるものとしている(p292)。従って命題32−34は、プラトンの時代のものとなる。Burkertは、完全数の理論は、プラトンのアカデメイアで初めて研究されたもので、古いピュタゴラス派の奇数・偶数論の一部をなすものではないと推測している(p435)。前のサイトの資料によれば、いかにプラトンがいかに奇数。偶数に関心があったかがわかる。なお、プラトンは、「法律」において、5040という1〜10までの数が約数となる数をあげている。

結論
素朴な小石や点を使った奇数・偶数論や、図形数は古いピュタゴラス派のものであるが、これは、演繹的な推論をともなう数学の発展がピュタゴラス派にあったとすることとは矛盾してしまう。また、完全数の理論はピュタゴラス派のものではないとしてよいと思う。またアリストテレスの証明は奇数・偶数論とは関係なく発展したもののようである(サイト無理数2を参照)

プロクロスによるとピュタゴラスは、ピュタゴラス数を求める公式を導き出している
資料、プロクロス「ユークリッド原論第一巻注釈」(p428)
ピュタゴラスの方法は、奇数から始められる。その方法は、直角をはさむ短い辺方としてある一つの奇数をあてがう。次にその平方をとり、それから1をひく、そしてその半分を直角をはさむ2辺のうちの大い方とする。そして、それにいを加えたものを、残った辺、つまり直角に向かいあった辺とする。
aをある奇数とすると、a/2-1/2、a2/2+1/2となる

注、偶数から始めるものはプラトンのものとしている
注、これをピュタゴラス本人に帰するのは無理があるように思われる

最後に、無理数の発見についてはそのサイトを、比例の理論についてはプロクロスの摘要の部分は後代の挿入である。また、ピュタゴラス派は、各種の平均を導き出しているが、これは、ヒッパソスや、アルキュタスのものである

数学とはかけはなれているが、ピュタゴラス派は数をいろいろなものに当てはめた

資料、アリストテレス「形而上学」(1o78b-22)
ピュタゴラスの徒は、・・・たとえば、好機とか正義とか、結婚とかのなにであるかえを、それぞれの数に結びつけつけてた(女2、男3、結婚5)
資料、アリストテレス「断片集」(203)
彼ら(ピュタゴラス派)によれば、5は結婚である。それは、雄と雌との結合であり。奇数は雄、5は偶数の最初である2と奇数の最初である3とから生ずる最初の数である。1は理性で実体、2は思断、運動、付加、

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