算数・数学でのつまずき
実態や要因は、さまざまで主なものとその対応も様々である。以下典型的なケースについて述べる
@数の概念ができていない
*聴覚的・言語的シンボルである「数詞」
*視覚的・言語的シンボルである「数字」
*視覚的にとらえられて操作の対象である「具体物」(連続量・分離量)
以上の三つを対応づける。「数詞を言いながら、数字を見て、具体的なものを動かす」活動をゲーム感覚で行う。
連続量から分離量への指導は。何本かの長さの違う線分を提示し、長さを比べ、各線分に正方形のタイルを敷き詰めて、これを比較するときの単位として数えさせ、数の概念へ結びつける。このように目で見る形に置き換える指導が必要。また、数を見えるかたちにする(可視化)タイルを用いた位取り記数法の指導。
ここで、必要とされる5個の原則
(1)安定した順序の原理
用いる数詞はいつも同じ順序であるということ。つまり「いち」「に」「さん」「し」が同じ順序で唱えられること
(2)一対一対応の原理
集合の各要素には、ただ一つの数詞が対応するということ、例えば、りんごの集合があったら同じりんごを二回かぞえないということ
(3)基数の原理
最後の数詞が集合の要素の数であるということ、
(4)抽象性の原理
この手続きは、どのような集合でも用いられる。りんごでも鉛筆でも
(5)順序無関連の原理
この手続きは、どこから数えてもよいということ
従来、数え主義による指導は十三を103としてしまうので適切ではないという説があったが、認知心理学の知見によれば、日常生活で様々な場面で数えさせるということは、数の概念の獲得にとって必要なことであるというデーターもある
吉田甫「子供は数をどのように理解しているのか」(新曜社)
吉田甫「認知心理学からみた数の理解」(北大路書房)

A図形でのつまずきは、「視知覚認知」「空間認知」を引き上げるトレーニングを行う
・図と地、形の恒常性、空間の位置・方向感覚、空間関係のトレーニングを行う。具体的には、図形のマッチング、形の分類、ペグボード、ジオボード、パズル、デザイン構成、タングラム、パターンブロック、テトラドンや工作。見取り図等は点がついたヒントがあるもので書く練習をさせる。

B計算では、空間認知が弱い子は、数字をタテにそろえて書くことが難しいことがある。マス目のある用紙に書かせ、ワーキングメモリが少ない子供には補助数字を書く欄をつくる。また、計算の手順を言葉で言ったり、表にしたりして示す。かけ算九九が覚えていない子には九九表を使わせる。
加法の提示の仕方
例 2+3=5
・継次処理が強い子
数字2の半具体物を並べさせる
数字3の半具体物を並べさせる
半具体物を合わせる
それを数える
かぞえた最後の数詞を=のあとに書く
・同時処理が強い
数2と3のカード(トランプでも可)を並べて置く
合計数5のカードを置く
=の後に数詞を書く
減法については、減加法、減減法その子に合った方法を用いる

C文章題では、言語性が高く動作性が低い子には、場面を絵や図に書かせる。その逆の子には、文章の中のキーワードや数字に、色を付けたり、四角や丸でかっこたりする。そして「あわせていくつ」「ちがいはいくつ」「のこりはいくつ」「一人分はいくつ」を演算とともに覚えさせる。

Dコンパスや定規の使い方が上手く使えない子に、目と手の協応や巧緻性のトレーニングを行う。

E生徒によっては、実際の生活を考えて、電卓をなどの使い方を教える。実際場面で使えるようにするためには、四則計算の使い分けが分かることを目的とする。