解釈とは

 

ここでは、曲を解釈する上で必要となるような知識のお話をしたいと思います。その前に私なりに「解釈」という言葉を定義しておきましょう。難しそうな言葉ですね。

 

楽譜の記譜法が確立されてから現在まで、多くの音楽が作られて演奏されてきました。それどころか、記譜法が成立する前にも、私たちには知る由もありませんが、さまざまな音楽が演奏されてきたことは想像するに難くありません。そして、これからも音楽は創られ演奏され続けるでしょう。演奏するということは、これまで伝えられてきたものを私たちの持つ最良の技術で再現して、次の世代に伝えていくことだと思います。となると、演奏に携わる方々はもちろんのこと、それを聴いていく私たちの責任は重いものですね。

 

楽譜にはさまざまな情報が記されています。作曲家、校訂者、作品番号、作曲された時代、指定テンポ、音符、楽語、作曲家や校訂者の指示など。作曲家は、自分の表現したいと思うものを最良と思われる形で楽譜に残しました。任期のある曲もありましたし、残念ながら廃れてしまった曲もあります。作曲家自身が忘れ去られてしまったこともあったかもしれません。作曲家自身が改訂をしたこともありましたし、別の作曲家が編曲したこともありました。

 

時代が下るにつれ、演奏法の流行も変わりました。作曲当時の演奏が今現在行われているという保証はありません。たとえば、バロック時代では楽譜に書かれていなくても装飾するということは常識でした。古典派の時代、テンポを揺らすのは下品と考えられていましたし、逆にロマン派では、ルバートをきかさないと面白みのない曲として響いてしまいます。楽器そのものも大きく変わりました。

 

これを書いている2007年は、いわゆる原典版に忠実な演奏がもてはやされています。楽譜に書かれていることすべて、それ以外は排除というものです。またしばらくしたら、新しいトレンドが生まれるかもしれません。

 

私は基本的に楽譜というのは演奏の近似と考えています。お芝居の台本のような感じですね。どんなにすばらしいセリフも、棒読みでは感動しないでしょう。「ア イ シ テ ル」と感情のこもってない声で言われてもあまりうれしくありませんよね。

 

私の理想は、頭の中で流れている新しい曲をそのままピアノに向かって演奏しているという感じです。今、即興で演奏しているんですよ、練習なんてしてませんから、という感じです(実際には多くの時間をかけて練習していても、即興なんですよという演技ですね。私にできるでしょうか)。

 

というわけで、私のいう「解釈」とは、「演奏家が一番美しいと考える表現、またはその方法」ということにしておきます。本当は一つ一つのフレーズを吟味して解釈するべきで、ルールとしてまとめるのはちょっと乱暴かとも思いますが、目安程度に考えていただければ幸いです。