指の動かし方(打鍵の方法)

 

前回、「こちょこちょ」できればピアノは弾けるといいました。それでは「こちょこちょ」からピアノの演奏に次元を上げましょう (上がりますように)。

 

テレビのリモコンを使うことを思い浮かべてください。チャンネルを変える際に数字のボタンを押しますが、よほど調子の悪いリモコンでなければ、一瞬ボタンを押すだけでチャンネルは変わりますよね。このとき、指全体に力を入れなくてもボタンを押すことはできます。そして一瞬だけ押せれば(正確にはテレビの方でリモコンから押された信号をキャッチできれば)、目的は達成されます。あるいは、ボリュームを上げることを考えましょう。ボタンを押したあと、力を入れ続けなくてもボタンを押された状態を維持することはできます。お好みの音量になったら、ボタンから手を離します。このときの指の動かし方はほとんどそのままピアノに応用できます。

 

ピアノを弾くということは鍵盤を押すということです(なんか機械を扱うような表現で申し訳ありません)。この鍵盤をテレビのリモコンのボタンとして考えてみます。指に力を入れるのは一瞬だけです。指全体に力を入れる必要はなく、指先だけちょうどお友達の肩を人差し指でツンツンつつくような感じで充分です。鍵盤が下がれば音は鳴り続けますし、鍵盤を上げれば音は消えます。鍵盤を下げ続けるのに押し続ける必要はありません。下がってしまえば、あとは指の重さで下がり続けるものです。ピアノを弾くということは指の瞬発力を連続させるということなんです(この説明は若芽先生の「 ピアノ教室のなにげない日常 」からお借りしました)。

 

「そんなの当たり前でしょ」とおっしゃる方がほとんどでしょう。そうなんです。当たり前なんです。鍵盤を押す一瞬指を動かし、鍵盤が下がったら、力を抜く。それだけなんです。ピアノは打鍵楽器なので、鍵盤が下がってしまえば、それ以降どんなに力を入れても音が大きくなったりしません。ですから、鍵盤が下がった後に力を入れるのは、力の無駄遣いです。そうされている方がもしもいらっしゃったら、それをやめる努力をするところからはじめましょう。力を節約できるところで節約して、他のところで使いましょう。下がった状態を維持できるだけの重さがあればいいんです。

 

話は変わりますが、ピアノの特徴の一つに、弾き方によって音を大きくしたり、小さくしたりすることができるということがあげられます。このことについて少しお話しましょう。

 

音の大小と指の力の大小に関係はありません。打鍵が早ければ大きな音は出ますし、打鍵が遅ければ音は小さくなります。ゆっくりと打鍵する方法は説明は省略します。その代わり、早く打鍵する方法(すなわち大きな音を出すこと)について説明しておきます。

 

方法はいくつかあります。下にリストにしておきますから、もしもやったことがないというものがあったら試してみてください。

 

  1. 自由落下
    物理をご存知の方にはちょっと間抜けな説明になりますが。地球には引力があります。すなわち地球上にあるものは落っこちるんです。落っこちる速さは4.9メートルに時間(秒)を2乗したものをかけるんだったかな?で、加速度は9.8メートルに時間(秒)をかければ求められたような。えっと、ここで重要なのは速度を求めることではないのでこれ以上説明しませんが(できませんがの間違いかな)、大切なのは加速度が0でないということなんです。つまり、落ちる距離が長ければ長いほど、その速度も上がるということなんです。つまり、高いところから指を落とせば落とすほど、重力に抵抗しない場合、音は大きくなるというわけです。
  2. 体の重さを利用
    大きな音を出す際に、一瞬椅子から体を浮かして落下することによって打鍵の速さを上げる方もいらっしゃいます。ある程度、指に上半身の体重を乗せるわけですね。そのとき、ピアニストの体は前方に傾いています。なかなかかっこいいですよね。
  3. 体の動きを利用
    これについては、次回以降お話していきたいと思っています。

 

いずれの方法にしても注意しないといけないのは、音質です。あまりにも大きな音だと、「やかましい」音になります。私は「テメエを殺してやる」というような攻撃を加えるかのような音は避けるべきだと考えています。が、こればかりはピアノの個体差や演奏する人の好みの問題ですから、これ以上の深入りは避けておきます。

 

ここまでお読みの方は、「速度を上げる方法」をお知りになりたいという方もいらっしゃるかと思いますが、その方法をお話しする前に、手や手首、腕などの動きをおさえておきたいと思いますので、今しばらくお待ちください。