手の「回転」親指編

 

ピアノを弾くのに大切なことはいろいろありますが、指が速く回ることはかなり重要です。以前、「人をくすぐることができればどんなピアノ曲も弾ける」というような論旨で記事を書きましたが、ピアノを弾くには人をくすぐって長時間大笑いさせるほどの力は必要ありません。必要なのは、あらゆる動きを使って指の動きの速さをコントロールするための能力で、その能力は体系的に説明されれば誰でも習得できるようになります。打鍵のスピードが速ければ速いほど大きな音が出るのですが、速すぎれば「やかましく」なってしまうので、その辺を見極められるようになりましょう。

 

ここで、素朴な疑問です。人間が歩いたり走ったりするよりも速く移動できる交通機関があるとします。バスですとか、飛行機ですとか。そのような乗り物に乗って、乗り物がかなり速く動いている状態で、乗り物の進行方向と同じ方向に乗り物内で歩行している人がいるとします。このとき、その人の移動の速度は乗り物そのものよりも速くなるのでしょうか?同じなのでしょうか?それともゆっくり?

 

物理をきちんと勉強していないため(いつかきちんと勉強したいと思っています)、これからお話しすることの真偽がちょっとわからないのですが、間違えていたらごめんなさい。このとき、私はその歩行している人の速度は移動している乗り物よりも速いと考えます。そして、この仮定のもとでお話を進めていきます。

 

手全体を乗り物として考えます。そうすると指は乗客さんになりますね。手と同じ方向に指を動かせば、指の速度は上がります(=音が大きくなる、速いパッセージの場合はきちんと音が鳴る)。ピアノを弾く場合、打鍵をする際、指は下に動くわけですから、手全体を下に動かし、なおかつ指も下に動かせればいいわけです。もちろん、音量を抑えて弾く場合には指の速度を落としたり、手全体を下の方向に動かす速度を落としたり(この場合、速度が極めてゼロに近くなることも考えられます)することによってデリケートなタッチになります。

 

ところが、です。手や指を下に落とすにはまずある程度の高さに手や指が上がっていなければいけません(物理では位置エネルギーと呼んだと思います)。速いパッセージの場合、下に移動したらすぐに位置を上に戻さないと次の音に間に合わなくなってしまいます。というわけで、手の「回転」運動をする場合、他の動きを利用する場合もそうですが、必要最小限だけ使うことが重要になります。下にその方法を述べますが、かなり大げさに説明してありますので、実際にどの程度動かすのか(必要最小限)は各自ご研究ください。

 

親指で弾く場合です。

  1. 小指が回転の軸になります。
  2. 親指が打鍵する音を確認します。
  3. 親指、人差し指、中指、薬指(小指以外の指ですね)を鍵盤に垂直に立てます(空手で、「アチョー」とブロックを壊すときの位置といえばいいでしょうか)。右手の場合、手のひらは左側に、左手の場合は手のひらは右側にきます。
  4. 親指を動かしながら(鍵盤がある方向に、つまり下に)、手全体を鍵盤に倒します(他の指が打鍵しないように注意しましょう)。
  5. 打鍵が終了したら、すぐに親指から力を抜くようにしましょう。

 

このような感じになります。3で「垂直」と書きましたが、慣れてきたら、この角度をどんどん小さくしていきます。この角度が小さければ小さいほど効率よく演奏できるようになります(限りなく鍵盤に平行に近づければ完璧です)。次回は小指の回転運動について考えます。