39回キャンドルコンサート

新堀ギタークリスマスコンサート「平和を願って」DVD発売記念

新堀寛己先生&田中典弘氏(WPPS,五井平和財団会員)対談

月刊「ハーモニー」(新堀ギター)2004年11月号より

(この対談は新堀寛己氏と田中典弘氏の了解を得て、

Webにアップさせていただいております)

 昨年、第39回キャンドルコンサートは、日頃、新堀先生が提唱していた「音楽で平和を」「音楽で地球一家!」をテーマに、国連NGOの一つであるWPPS(World Peace Prayer Society),「五井平和財団」のご協力・後援を得て開催する事が出来ました。この「平和を願って」と題されたクリスマスチャリティーコンサートでは、ステージは万国旗に囲まれ、美しい地球の生命=水・空気・大地・森をテーマにした曲を4人の女性指揮者により演奏。また、美しい宇宙・地球の映像や、次代を担う子供達の歌声、平和を願った詩の朗読などを交えながら行なわれました。このコンサートは大きな反響を呼び、内外より「ぜひビデオやDVDの発売を!」の声も多く、ついにそれが実現しました!

 

 今回、このDVDの発売を記念して、この会実現に尽力された新堀寛己博士とWPPS及び五井平和財団賛助会員の田中典弘氏に対談して頂きました。

 

田中 お話の前に、新堀先生が今年(‘04年)の1月に国際学士院から「世界平和特別功労賞」を受賞された事、本当におめでとうございます。それから「ギターオーケストラ大教本」を発行(‘03)されたという事で、新堀先生が尽力された事が認められ、またこれまでの集大成が発表されるなど、新堀グループの皆様には、非常に記念すべき年だと思います。

 

新堀 ありがとうございます。「ギターオーケストラ大教本」は形として残るものですから、何十年たってもテーマにできますし、それをベースに更に発展していけばいいと思って書きました。

 

「世界平和への願い」に共感して

 

田中 本題ですが、このクリスマスコンサートで、私共は万国旗と映像で協力をさせて頂きました。WPPS(世界平和を祈る会)の活動内容ですが、主旨は、全人類一人ひとりの心の中に誰にでも「世界平和の願い」はあるはずで、それを形や言葉に表わす=「祈り」に表わそうという所から始まった運動なんです。それを日本語だけでなく、英語,フランス語その他、世界各国の言葉に置き換えて運動を展開していったわけです。それが1990年に国連NGOとして認められ、同年12月に国連の本会議場で…その当時はソ連が崩壊する前でしたから180ヶ国程度でしたが…当時の世界中の国旗をあげて世界各国の人達が集まって世界平和を祈ったんです。これをWPPC(World Peace Prayer Ceremony)またフラッグセレモニーと言うんですね。

 

 これは世界中の国で開催されているのですが、台湾・高雄の短期大学でやったこのセレモニーが、沖縄の教育関係の月刊誌「理想教育」に載っていたのを、当時、世界平和文化財団理事でホノルル大学の教授であったアーサー山田先生がご覧になられて、「世界平和宣言大会」をハワイで開催したいから、とお話しがあって…、この1997年ホノルルで行なわれた「世界平和宣言大会」で音楽を担当されたのが、新堀ギターの皆さんで、その時初めて新堀先生にお会いしたんですね。その時の出会いから、今日までのご縁が始まったわけです。

 

 その時、新堀先生が「あなた方のやっている事は、私達の精神と同じですね」とおっしゃったんです。それがずっと心に残っていて…「40年に渡って世界平和という事でやってきたんですよ」と。それを聞いて、新堀先生と心が通うような気持ち、私達と非常に精神的に近いものを感じました。その時以来からずっと、お付き合いをさせて頂いております。

 

新堀 9.11テロで、カーネギーホール公演や国連本会議所での演奏が延期になり、いてもたってもいられない気持ちから、何かもっとはっきりと行動を起こそうと考え、去年初めて「平和を願って」というテーマでクリスマスコンサートを行ないました急に思いつきでやったのではなく、ずっと以前から田中さんと同じ気持ちが私達にもあって、それを具体的に今まで以上に自分達で表わしていきたい気持ちが高まっていっての事なんです。こうしている現在でも戦争が行なわれている国や地域がありますから、尚更でした。

 

昨年、初めて万国旗に囲まれてクリスマスコンサートを行なった時、万国旗から凄いパワーをもらい、こんなにも「平和が大事なんだ!」という気持ちを体の中に自然に呼び起こしてくれるものだとは思いませんでした。それは大変な感動で、つい、お客様の前でその事をお話ししたら、お客様も同じ気持ちだったのでしょう、ものすごく熱い拍手をもらい、忘れられません。また音楽家として嬉しかったのは、あの日(‘03年12月20日)が、世界中で平和を願う歌=「Let’s there be Peace on Earth」を歌うんだという最初の日と偶然に合ったんですね。あの歌はこれからもずっとクリスマスコンサーとで世界に向かい演奏して行きたいと思います。

 

音楽の持つ「平和心」を育む力

 

新堀 音楽家には今日現在、3つの大きな役割があると思うんです。

 

1つは、音楽を演奏する事によって、人の心を癒し、慰めたり、勇気付けたりするもの。

 

2つ目には、ミュージックセラピーの分野。音楽によって人間の乱れた精神や身体を整えたりする音楽療法の分野です。アメリカでは、すでにこの分野に於ける学術的なものが整っていて国家資格も取得できるそうです。数年後には、最先端を行く病院や薬局にはCDがたくさん並んでいるコーナーがあって「この症状にはこの曲がいいですよ」なんて薬みたいに処方されるかも…()、薬と同格か、予防学から言ったらもっと重要なコーナーになるかもしれません。それ位、音楽に対する価値観や地位が上がってきている。これは近い将来、必ず実現されるだろうと考えています。

 

3つ目は“平和心”についてです。新堀ギター音楽院を創立してもうじき50周年になるのですが、しみじみ思う事は、この3つ目が最も重要であると気付き始めたのです。世界中でギターオーケストラの演奏をしている内に、色々な所で「聴いた後、とても心が穏やかになった」という声を聞いて、人間というのは国や文化・風習が違っても、美しいと感じる心・感動する心というのは同じなんだという事が益々わかって来たのです。これが、“平和心”が芽生える基につながるのではないかと…。

 

音楽は、人々の心を癒す分野やから、精神を補修していくセラピーの分野に、そして“人類は地球一家”なんだという事を目覚めさせる分野へとなっていくと思うんです。ですからこれからの音楽家は1・2・3を意識して実践して行く事が大事だと思います。

 

それで、話はこのDVDの事に戻りますが、このDVDは、この3つ目の、音楽による平和心の育成(平和への願い)を具体的に表わした最初の記念すべき大切な価値高いDVDだと思います。

 

特に第1曲目から地球の森の美しさを表わし(森のワルツ)、次に水の大切さを表現し(水上の音楽)、その次が大気の価値を想う曲で(虹の彼方へ)4曲目は大地の役割・恩恵を示した曲(牧場の小径)で構成してみました。これらの曲からはじまって、万国旗に囲まれる中、プログラムの中盤では次の世代を担う少年少女達が平和を願う合唱や詩を朗読して、平和を願う心を具体的に表わし演奏していくスタイルを試みました。結果、多くの人に抵抗感なく、受け入れて頂けたと思います。これは画期的な方法だと思います。

 

田中 このコンサートは、音楽を通じて今までにない新しい価値観を示してくれました。

 

最近、テレビで見た実話ですが…広島で暴走族がすごく増えてしまった時の話ですが、警察でも暴走族の取締に色々手をつくしたが、治めきれなかった。それをある一人のミュージシャンが、その少年達に連日ギターの弾き語りで夢や希望、様々な事を歌い聞かせ諭すと、暴走族の数が減少、やがて消滅していったんです。これはまさに音楽の力によって起こした具体的な話で、私が思うに、例えば、警察を軍隊としましょう。そうすると、軍隊(武力)で抑えつけると、その場は治まるかもしれませんが、再び現われてくる。必ずどこかに歪を生じ、反発が出てくる。ところがハートで訴えたものは、本当の平和な心を育んでいくんです。

 

ですから私は、新堀先生が創始したギターオーケストラを通して、オケの団員皆は「平和心」を育てて行っている、地球単位で平和に寄与貢献しているという事が言えます。

 

人間の心には平和を生むパワーがある。ただ口先だけの平和主義ではなく、本当に心から生まれたエネルギーで、一生懸命音楽を奏で、その音楽を通じて平和心を養っていく。そこからはじめて本当の平和心が生まれてくる。ところが言葉と知識だけで、平和だ!平和だ!と唱えても真の平和は生まれにくい。まして「自分達が正しく、相手が悪いから平和ではない」、ただ自分と価値観の違う人・国を非難するのでは争いはなくならないでしょう。

 

皆さんの様に、ギターを通して音楽を表現し、皆と心を一つに合わせ「調和」の道を辿っていく。そこから一人ひとりの平和心が育って行くのだと思いますね。これは本当に素晴らしい事で、世界平和の大きな源になると確信しています。

 

平和づくりのキーポイントは「調和」

 

新堀 私は、「平和」を別な言い方で表現すると、先程、田中さんがおっしゃった「調和」を意味すると思います。これをズバリ、私はギターオーケストラを通して学べると思っています。自分が主役として前面に出るところ、また主役を支える所などの音楽的な事柄から、時間を守る事、相手を思いやる事、悩む人があれば元気づけてあげる事、人に教える事・教わる事、これらは全て社会の縮図であると思うんです。これにより皆で一つのものを創り上げ、心と心を寄せ合って生まれた充実感を得て、その想いが伝わってくる。ですから実際に具体的にそういう事を行なって育って行く事が「平和の実現」につながると思います。

 

田中 私もそう思います。

 

新堀 だからプラカードを掲げて「戦争反対!」「世界に平和を!」と唱える事も、やらないよりはいいかもしれませんが、それだけでは具体的な方向がなかなか示されていない。

 

田中 私は新堀ギターオーケストラの皆さんが、本当の意味での地球救済の為に尽力されていると痛感しています。新堀ギターはすでに平和を実現させていく大きな力を持っていると強く感じました。コンサートの中で披露された新堀先生作曲の「森のワルツ」からも、先生の心から平和を愛するやさしい気持ち…先生が幼少の頃、空襲が終わって防空壕から外に出られた時の気持ち…。

 

新堀 心の底から平和を求めている…。太陽は何も言わないけれど、あの明るく燦燦と輝いている太陽を見て「ああ、これが平和なんだな」「平和っていいな!」「生きる事ってなんて素晴らしいんだろう!!」と、あの小学4年生の時、心から思いました。それ以来、美しい光・地球を忘れた事はありません。

 

田中 WPPSの祈りの言葉「世界人類が平和でありますように」をベースに考えた場合、誰もが共感して人類が一つの目的を結束するのは何か!と言うと「地球の大自然を守る事」、これは人類生存の基盤ですから…。英国のジェイムズ・ラブロック博士が発表された「地球は一つの生命体である」というガイア理論…人間と地球は、お互いの健康を保ちながら生きている。その健康のバランスを崩したら地球の生態系が壊れてしまい死んでしまう。そうすると人類も終末を迎える…という非常に詳細な論文を発表・提唱されました。

 

「五井平和財団」もそこに照準を合わせています。地球というのは一つの進化する生命体であると。我々はその生命体の一員として進化の為に協力をする。その目的の為に人類は心を一つに合わせて平和を築いていく。あらゆる人類の英知=芸術・科学・医学・教育などを結集して本当の平和を築こうではないかと打ち出したのが「五井平和財団」の理念でもあるんです。

 

新堀 そうですね。私は月刊「ハーモニー」で以前にも述べた事があるのですが、私の言う「調和」とは人間と動植物だけではなく、地球上の物体・鉱物にいたるまで全てのものがお互いに関わっていると思うんです。その全てのものがバランス(調和)をとっていく事が、平和へつながる方向だと思うのです。ですから五井平和財団の掲げている理念には、非常に共感し尊敬に値します。新堀ギターの機関誌としてスタートした月刊ハーモニー誌(1960年創刊)も、ネーミングを「○○ギター」とはしないで、「ハーモニー=和音・調和」としました。

 

未来の平和までも担う「教育」

自然に平和心が育まれる市民ギターオーケストラ

 

新堀 また最近、田中さんから贈って頂いた財団の発行の雑誌「平和の創造」を拝見して感じたのは、非常に「教育」が大切であるという事です。「教育」と言うと、何か一つの指導法やメソードがあって、それを教師が生徒に講義等で伝えて行く事かと思われがちですが、それだけではないと思うんですね。例えば、オーケストラの活動のように、みんなで調和・バランスをとる為に一緒に過ごす場を提供すると言うのも「教育」の方法の大切な一つだと思います。平和を皆が想う(育む)ような場を各市町村や国にもっとたくさん作っていくと、それがまた融合して更に大きな調和を作っていく、それがやがて“地球は一家である”という事につながって行く。これが、私達の「市民ギターオーケストラ」の理念でもあるのです。このように、一緒に共同作業や生活を行なう事によって、様々な価値観に目覚させる「教育」が非常に大切であると思うのです。

 

また、「市民ギターオーケストラ」の活動=あらゆる人々が心を一つに調和して、一つの音楽を作り上げて行くという行為は、音楽が、神(創造主)が人間に与えてくれたものだとすると、平和・バランスを願っている創造主が理想とする最も重要な行為のような気がします。

 

更に、「市民ギターオーケストラ」が、管弦オーケストラと違うのは、「誰もがすぐに参加できる」事なんです。どこの国のどんな立場の人もすぐにです。なかなかこのようなものが今までは無かったんですね。付き添いで来た方もその場ですぐ参加出来るものを、私は幼い時から夢見ていたんです。それが漸く形になってきたんじゃないかと思います。

 

田中 新堀先生が開発された楽器から編成にいたるまで、市民ギターオーケストラを通して平和心を育む理念というのが伝わってきますね。今までの教育というのは…今日現在も色々な場所で教育論議が行なわれていますが…教育というのは、一つの型に収められるものではなく、また一つの決められたパターンでもなく、一人ひとりの中に存在するもの、それをどう引き出すかがポイントであり、それがこれからのテーマなんですね。

 

それを新堀先生はすでに実践しておられる。これが実際に平和を育む原動力になっているわけで、その輪がもっと広がっていけばいいと思っています。

 

新堀 「音楽」「芸術」に関する科目というのは学校教育の中でも、もっと重視されるべきもの、中心になるべきもの、そういう時代が来ればいいと思っています。

 

戦前のように、「これから徳育教育の時間が始まります! こういうマナーを学びましょう!」と、先生が卓上で教えていくのも一つの方法かもしれませんが、自ら社会の縮図のようなギターオーケストラ等のサークルの中で、自ら色んな事を学ぶ。例えば、「勝手に休んでしまってはどれだけ大勢の人が迷惑するか」とか、皆で協力する事で「ああ、一人で出来ないものが、皆で協力する事によって、こんなに素晴らしいものが出来るんだ」という事を体験していく。それを私達(教育者)が、専門的にその場を作ってあげる、というのが新しい教育の考え方の一つだと思うんです。

 

田中 私も、それがこれからの教育のあり方だと思います。国のエゴとか都合によって歪を生じて、人間の本来持っている愛のエネルギーを抑えてしまうような教育にしてしまってはダメだと思います。

 

新堀 そうですね。話が冒頭に戻りますが、昨年の「平和を願って」のクリスマスコンサートには、アマチュアの人も出演しましたし、聴衆との熱い拍手でステージと会場が一体になれたし…色々なメッセージが、あの中にいっぱい入っていると思います。ですから、これからもシリーズ化して続けていきたいと思います。このDVDが世に出るのは非常に大きな意味があると思います。

 

田中 私があの時に感じたのは、やはり人類が目指すべき平和というのは、人間だけのものではなく、大自然! この大自然を抜きにして人類の生存と平和はありえないという事をあのコンサートを通じて強く感じましたね。

 

新堀 今までの半生を振り返った場合、一瞬だったような気もするし、ものすごく長かったようにも思えます。一瞬だったと思うのは、最初に色んな事に目覚めた小学生の頃、それがそのまま、今日までやってきたような気がします。やはり平和というのは人間だけの平和という意味では考えませんでしたから…地球全体のバランスがとれた姿が素晴らしい。そこを想うと、あまりにも行動に時間が掛かり過ぎた気もしてしまいます。でもやっとしっかり気付きました。

 

田中 森の素晴らしさや、水がなければ生きられないんじゃないかとか、動物達も私達の仲間なんだと、そういう思いやりの心を持つ。だから、収奪しないで皆で分かち合っていく「心」が育っていけば、人類も地球も平和になると思います。

 

新堀 今、田中さんが非常に重要な事をおっしゃいました! 全ては「心」なんですね! そういう心が一人ひとりに芽生えれば、色々な所で自動的に良い方向に行く事ができる。その心を養うのに、市民ギターオーケストラがとても大きな役目を果たすと思います。

 

田中 正に、その通りだと思います。最近の教育では知識ばかりを教えて、その知識や学科の点数が高ければ高いほど優秀であると。でも(世間でいう)優秀な大学を出て、人様から尊敬される高い地位についた人でも罪を犯すとか…。そうなってしまうのも皆、「心を忘れた教育」から起こる問題なんですよね。だからとにもかくにも、心を養う事。人間の心というものを養わなければならない。それが本当の教育だと思うんです。

 

ですから私は、新堀先生のやっていらっしゃる事が真の理想的な教育だと思います。たくさんの方達をお育てになって、平和という事について自分が地球の一員として、今までの人類の歴史は破壊者だったかもしれないけれど、これからは地球の守護者になるという人種というか、そういう人達を育ててくれると思います。そういった意味でも、あのクリスマスコンサートのDVDを観て大変感動しています。

 

新堀 実例としてこのような事があるのです。私が学長をしている専門校では、年に数回学生たちの心を見るために作文を書かせているんです。それで、最近はとても暖かい心の学生が増えている事を感じます。私は規則や偏差値で縛る方針ではなく、人を思いやる気持ち…どうすれば自分も周りの人達も幸せになるかを自分で考える力を身に付けていくというような、先に言ったような教育をすれば、地球は素晴らしい方向に行く事ができると思っています。

 

作文に「あなたは、この半年間で最も感動した事はなんですか?」というテーマを出題するのですが、年々、自分だけの事だけではなく、自分達の演奏で多くの人に感動が与えられて嬉しかった等、他の人の事を考えられる学生が増えている。平和心にしても調和をとる事が大事だという事も、こちらから口をすっぱくして言わなくてもギターオーケストラを勉強している学生達は書けるようになってくるんです。彼等が大人になったら、大勢の人と語り、「平和づくり」を具体的に実践できると思うんですね。

 

そして市民ギターオーケストラみたいなフルハーモニーサウンドの中で育った人は、非常に音楽をバランスよく身に付けているし、言動やものの考え方も平和心を養える方向へ向かっていると思います。ですから私は「もっと大勢の人がこのギターオーケストラを体験してほしい!」という事を、声を大にして言いたいですね。

 

また、「何故ギターを中心としたオーケストラが最適か」という事ですが…長い人類史の中で様々な楽器が生まれ滅んでいきました。この中で何が最も長く多くの人々に愛され残ってきたかという事なんでが、それはやはりギター属でした。胸に抱えて指がじかに弦に触れて、最も身近な楽器として、あらゆるシーンで奏でられてきた楽器、それがギター()なんですね。最も心が表現しやすい楽器なのかもしれません。その起源を調べていくと紀元前から、約6000年も続いているんですね。歴史を木に例えると「木の幹」に値する所にギター(属)があって、そこから伸びた枝葉に様々な楽器があったわけです。

 

ですから、この長年愛され続けてきたギターを中心(幹)として、色々な楽器とも融合してやっていく「フルハーモニーオーケストラ」のスタイルというのは、しっかりと平和心を養うのではないかと思います。

 

人類の無償の愛を表わしているギターのフォーム

 

田中 新堀先生が、よくその事(ギターオーケストラが平和心を育む)を本に書いておられるのを拝読して考えたのですが、ギターを抱えて弾く姿そのものが、赤ちゃんを抱いている姿と同じなんですね。

 

新堀 そう! ギリシャ語で「胸」という意味もありますから。

 

田中 例えば拳と拳をつき合わせれば、闘いの波動が生ずる。剣の構えにしても、生きるか死ぬかの世界ですから。だけどこのギターを抱えた姿というのは、無条件の愛の姿ですね。

 

新堀 本当! 本当にその通りですね! 素晴らしいお言葉に強く感動しました! この言葉はギターを抱く全ての人が肝に命じておきたいですね。

 

田中 慈愛に満ちた母親の姿。だから新堀先生も遺伝子の事をお話しになりますが、その何千年、何万年もの間に培われてきた遺伝子の中で、母親が子供に対する無償の愛、愛情の最高の表現だと思うんです。それがギターを抱いた時にそうなるという事は、楽器(ギター)と人間のハートがすごく通じ易いと思うんです。

 

新堀 ですから、神(創造主)が、平和をベースとして私達を創造されたとしたら、そこへ帰るというか、その事を忘れるな、というメッセージが盛り込まれた楽器であるのかもしれませんね。

 

田中 私もそう思いますね。

 

新堀 これは誰かに教わった事ではないし、本にも書かれている話ではないのですが、50年の実践の中で、平和を想う気持ちが出てきて、漸く最近になって、その事を文に書けるようになりました。

 

田中 ギターを通じて愛と平和が広がっていく。新堀先生も地球の平和の創造者として人を育てていらっしゃる…。

 

新堀 いや、恐れ多いです! 平和の創造を実践している方が、世の中には大勢いらっしゃる。そうした中で五井さんや田中さんと知り合ったり、色々な文献も読ませて頂いて、そういう考え方を持っている人は世の中にいっぱいいらっしゃる事がわかりました。ですから、今まで音楽家が、こういう話をするのはおこがましいので、話したり書いたり、なかなかしなかったのですが、最近になってようやく発言出来るようになって来ました。

 

田中 新堀先生もオーケストラの皆さんも、この事は自信をもって続けて頂きたいものです。

 

新堀 そうやって言って頂けますと、ものすごく嬉しいです! 戦時中、日本の音楽家はごくつぶし同様に扱われていましたから、だから逆に「音楽家がもっとしっかりしなければならない!」と強く思ったんです。

 

田中 これからの音楽家の使命は、ますます人類にとって大きな役割が出てくると思います。去年のクリスマスコンサートのような素晴らしい会をやって頂いて、本当に嬉しくて、感慨深いものがありました。

 

新堀 国や人種が違っても、私達と同じ気持ち・思想の方達が世界には大勢いるという事が更にわかりました。昨年のクリスマスコンサートでも、その手ごたえを強く感じました。その事をつぶさに観る事の出来るDVDが完成した事は、実に幸せです。どうか、多くの皆さんに、このDVDを観て頂き、また広めて頂きたいと願っています。

 

そして、今年も各地でクリスマスコンサートを行ないます。私も1214日の藤沢公演ではタクトをとります。どうぞ皆さん、ご来駕ください。心からお待ちして居ります。

       

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