側頚部刺鍼
側頚部刺鍼の適応症
側頚部の鍼も頚肩部の症状に欠かすことができません。主に後頚部や後頭下筋群の鍼と併用します。
そして耳鳴りや難聴には椎骨動脈周りの筋肉を緩める事が重要です。この場合は翳風や完骨を併用します。また肩甲背神経が中斜角筋の中を走行していることが非常に多く、肩甲骨内側縁の症状にも側頚部の鍼が効果を発揮します。
・頸肩腕症候群(肩こり・肩関節周囲炎・寝違い等)
・耳鳴り・難聴
側頚部の解剖事項
側頚部というと左の図をみても胸鎖乳突筋が大きく目立ってますが、治療のポイントはその胸鎖乳突筋と「入」の字のように交叉している前中後の斜角筋群になり、その後方は肩甲挙筋があります。特に前斜角筋と中斜角筋の間の斜角筋隙は鎖骨下動脈と腕神経叢が通過するので、絞扼されると上肢や胸背部への症状が現れる可能性があります。
大腰筋における腰神経叢、梨状筋における坐骨神経、固有背筋における神経根もそうなのですが、このように神経と筋肉が並走しているのではなく垂直に交わる箇所は絞扼を受けやすいです。
・肩甲挙筋
起始:C1~4横突起 停止:肩甲骨上角、内側縁上部 支配神経:肩甲背神経(C4~5)
作用:肩甲骨の挙上、下方回旋
・斜角筋群
前斜角筋
起始:C3~6横突起前結節 停止:第1肋骨 支配神経:頚神経叢(C4~C7)
中斜角筋
起始:C2~6横突起 停止:第1肋骨 支配神経:腕神経叢(C5~C8)
後斜角筋
起始:C3~6横突起後結節 停止:第2肋骨 支配神経:頚神経叢及び腕神経叢(C5~C8)
作用:上部肋骨の挙上、頚部の屈曲・側屈
側頚部の刺鍼法
側頚部に肩甲挙筋、前、中、後斜角筋と縦に4列を4本ずつ寸6の鍼でうっていきます。先に後頭下筋群の鍼をうっているので、上風池の下に肩甲挙筋、上完骨の下に後斜角筋、その外側に中斜角筋、前斜角筋にうちます。
ここで最も注意すべき事は気胸です。肺尖がT1まできているので、首から肩に移行するカーブより少し上から刺鍼します。特に大柄な人はこのカーブが不明瞭ですのでギリギリではなく余裕を持ってうちます。カーブより上からうっても鍼尖を下や前に向けると肺に刺さる恐れがあるのでそちらには向けません。上にある頚部の断面図を見るとわかるのですが首の前方には大して筋肉がついていません。大体後や横ですので前斜角筋や中斜角筋の鍼は前に向けないようにします。
また側頚部は血管や神経が豊富に走行していますから、捻鍼せずに送り込みで刺入して硬いものに当たったらそこで鍼を留めます。抜鍼時もゆっくりと行い内出血を起こさないようにします。


