中小殿筋刺鍼
中小殿筋刺鍼の適応症
中殿筋と小殿筋この2つは同時に刺鍼することが非常に多いのでまとめて説明していきます。中小殿筋も大腰筋と並び下肢症状を治療するのに欠かすことができない筋肉です。ここでもまずは中小殿筋の緊張だと思われる症状を挙げていきます。
・腰の真ん中ではなく両サイド、腸骨稜や殿部が痛む。
・座っていると増悪する。
・靴下をはく時等、足が上がりにくい。
・殿部に圧痛がある。
・ぎっくり腰のように痙攣が激しい場合は、重心を患側にかけられず上体が健側方向に傾く。
大腰筋が悪いと腰の真ん中が痛みますが、中小殿筋は左右どちらが患側か区別がつけやすいです。また大殿筋が上から覆っているのの緊張していれば圧痛が確認できます。変形性股関節症を初めとして腰下肢の症状があると緊張している場合が多く必ず診た方がいいでしょう。また大腿の外側(胆経のライン)が痛む外側大腿皮神経痛では小殿筋の治療が必須だということも覚えておいて下さい。
中小殿筋の解剖事項
次に中小殿筋の場所をおさらいです。
・中殿筋
起始:腸骨の殿筋面(前殿筋線と後殿筋線の間で腸骨稜の下)
停止:大腿骨大転子の外側面
支配神経:上殿神経(L4-S1)
作用:筋全体:股関節における外転、冠状面での骨盤の安定
前部:屈曲と内旋
後部:伸展と外旋
・小殿筋
起始:腸骨の殿筋面(中殿筋の起始の下方)
停止:大腿骨大転子の前外側面
支配神経:上殿神経(L4-S1)
作用:筋全体:股関節における外転、冠状面での骨盤の安定
前部:屈曲と内旋
後部:伸展と外旋
お尻は体の後にあるというイメージが強いですが、中殿筋の前部は上前腸骨棘に付着しており、また小殿筋も同様、前にまで走行しています。
中小殿筋の刺鍼法
どちらも大転子に付着しているので、大転子から筋の走行している方向に3cm位離して刺鍼します。体格や部位にもよりますが2~3寸の鍼を使用します。そこから筋の起始に向かって扇状に刺入していきます。触診や問診から前部線維が悪ければ前部線維に後部が悪ければ後部に刺鍼すればいいです。筋全体にうつ必要はありません。また全体にうつとなったら側臥位でないと一度に前部から後部まではうてません。
ポイントはしっかりと腸骨まで当てるということです。ガンコな場合ではこれは骨じゃないかと思うくらいに中小殿筋が固く凝り固まっていることが結構あります。北京堂式はなるべく刺激を与えず病巣部に鍼尖を到達させたいので基本的に提挿や捻転は使用しませんが、送り込み刺法で入らない場合は鍼を捻転させて硬結に刺入します。
しかしいくら腸骨に当てるといっても前部線維をうつ時は注意が必要です。というのは中小殿筋の前縁を直刺すると奥には腸骨はなく、腸に刺入することになります。腸に刺鍼しては腹膜炎が起きる可能性があり刺鍼事故となります。よって前縁をうつなら直刺せず背側方向へ斜刺し確実に鍼尖が骨に当たっているのを確認して下さい。


