なぜ、大腰筋が拘縮するの?


実は筋肉には、自動車のシートベルトのような仕組みがあります。

シートベルトは、ゆっくり引っ張ると普通に出てきますが

急に引っ張るとロックがかかってガチンと止まります。

筋肉も同じで、急に引っ張られたりするとギュッと縮むのです。

それは、急激な負荷が筋肉にかかった時に、筋肉が傷つかないための仕組みです。

ガチンと止まってしまったシートベルトは

無理矢理引っ張っても絶対に伸びませんね。

それと同じように、急に引っ張られて縮んだ筋肉も

上記のような一般的な方法では元に戻ってくれません。

そして、そうやって縮んだ筋肉は、放っておいても緩むことはなく

ロックされたシートベルトを、ずーっと引っ張っているようなもので

慢性化してますます緩みにくくなっていきます。

筋肉を護る装置 筋紡錘

車のシートベルトの仕組みは、人の体の場合

筋肉を構成する「筋繊維」に巻き付いている「筋紡錘」にあります。

少し複雑ですが、筋肉というのは...

筋原繊維が束になって、筋繊維になり

筋繊維が束になって、筋束になり

筋束が束になって、筋肉になっています。

この複雑な構造のうち、筋紡錘は筋繊維の所にあります。

筋紡錘の仕事

筋紡錘は、筋肉の伸び縮みを感知する装置です。

筋紡錘の働きのひとつに「筋肉を護る」というものがあります。

どうやって筋紡錘が筋肉を護るのか、というと...

筋紡錘は「筋肉が過剰に伸ばされた。」と感じたときに、脊髄に信号を送ります。

脊髄は危険防止のために筋肉を収縮させる信号を筋肉に送り、その信号を受けて筋肉は収縮します。

これを「伸張反射」といいます。

この反射は、脳からの信号で起こるのではなく、筋肉と脊髄の間で起こるので

「脊髄反射」という言い方もされます。

もし、この「伸張反射」が起こらないと、過剰に伸ばされ続けた筋肉は切れてしまいます。

「伸張反射」は、筋肉が不意に伸ばされた時はよく働き

意識してゆっくり伸ばされた時は働きが鈍い
という特徴があります。

シートベルトと全く同じですね。

例えば...

電車の中でコックリコックリと居眠りをしているとき、急に首がガクンと倒れそうになると

反射的に首の後ろの筋肉が収縮して、頭が元に戻る、という経験をされたことがある方がおられると思います。

あるいは、それこそ自動車に乗っているときに、急ブレーキをかけたときや、追突された時

シートベルトはガチンとロックして、フロントガラスに突っ込むのを防いでくれます。

同じように、首の筋肉(実際は、肩や背中、衝撃の強さによっては腰の筋肉まで)が、瞬間的に収縮し

首の筋肉が切れて、首の骨が折れるのを防ぎます。

勤勉な筋紡錘

そういう風に筋肉が切れないよう、筋肉を護る仕事をする筋紡錘ですが

負荷の強さ、急激さ、持続時間の長さ、他、「伸張反射」が起こったときの条件により

収縮した筋肉がそのまま元の状態に戻らなくなることがあります。

筋繊維にずっと負荷がかかり続けている、と筋紡錘が感じる訳です。

収縮し続けた筋肉は、やがて「拘縮」という状態になります。

※拘縮:1回だけの刺激によって生じる筋肉の持続的な収縮。痙縮(けいしゅく)。 by大辞泉

シートベルトでいうと、ロックがかかったまま、外せなくなってしまった状態、です。

拘縮してしまった筋肉は、揉む・叩く・押す・暖める・冷やす・引っ張る(ストレッチ)・電気を当てる、等

通常行われる対処方法では、元の状態に戻すことが非常に難しくなります。

むち打ちの後遺症で悩んでいる方、ぎっくり腰の後の慢性腰痛で悩んでいる方、等が多いのも

そういう風に一般的に行われる治療方法では、拘縮した筋肉が元に戻らない為

筋肉自体の血行不良や、背骨・骨盤の歪み・関節の可動不全等を引き起こしたまま

それが持続し続けるからです。