(No40)
『行ってきました!』 そういう名前のお土産がありました。 このページは、お土産を食べてはいただけませんが、“チョット出掛けてきました”−ご紹介いたします− のコーナーです。
 お楽しみください !

-リメイク版-

神戸・厳島神社物語(下)    
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 広島県「安芸の宮島」、朱の鳥居が海上に浮かび、同じ朱を基調にした能舞台が海の上に荘厳に広がる。春の新緑、秋の紅葉と、周囲の自然豊かな景観と海を従え、人々の感銘を一心に集める。
 社の名前は「厳島神社」。
 前回は、この社名が神戸市内に存在するとして中央区「花隈厳島神社」、兵庫区「兵庫厳島神社」を訪ねた。そして源平時代の歴史とのかかわりを見た。


 ところで、今回は「厳島神社」がさらに市内各地に9社存在することが判り、これらすべてに足をのばした。

安芸の宮島
 (広島県)
 「厳島神社」は推古元年(593年)創建。現在の姿は仁安3年(1168年)平清盛により社殿造営、納経がされる。ご祭神は通称「宗像三女神」といわれる「田心姫命」「瑞津姫命」「一杵島姫命」。航海安全の海神系の代表的な神様。平成8年には「世界文化遺産」に登録されている。

「厳島神社」
(場 所)東灘区御影町西平野伊賀塚27
(ご祭神)市杵島姫神

 東灘区でただひとつの「厳島神社」。御影地区にあり阪急神戸線の近くに位置する。周辺は閑静な住宅地で、大都会の一角とは思えない落ち着いた雰囲気の境内があった。
 創建は、元禄5年(1692)の「社寺書上帳」に「辯才天宮座若太夫」とあるのがもっとも古い記録だが、境内の老木などからそれより古いと考えられる。石鳥居の柱には「元禄14年(1701)」と刻まれ、区内で最も古い鳥居とされる。
 御祭神が女神様であるため、祭典や境内の保全などすべて氏子の女性が携わる習慣が今も残るとされる。

 明治元年に「厳島神社」と改めたとある。

(場 所)灘区篠原北3-16-7
(ご祭神)市杵島姫神・素佐男命・菅原道真公
 灘区でただひとつの「厳嶋神社」。社名が「嶋」と表すのが特徴。区内山手の海星病院の近くにあり神戸港を一望する。
 創建は「福原新都の節、布引の滝より夜な夜な光物有と清盛公よりある。これを退治すると白玉を頂く大竜なり。この白玉を此所に安置し奉った」と古老より言い伝えられることより、治承4年(1180)とされる。
 ここでは「だんじり」も有名で、5月の春祭りでは市内1,2番の大きさとされる勇壮なだんじりがねり歩く。訪ねた時はちょうど保全のための作業に出され不在であった。神戸の「厳島神社」の中で一番の活動規模とうかがえた。


(場 所)北区山田町坂本字後坂398-8
(ご祭神)市杵島姫神
 正式社名は「坂本厳島神社」。山登り愛好者の中では名の通った西区「丹生山」登山口近くに位置する。
 創立年月日は不詳であるとされるが、明治6年に村社に列さられている。
 神域には杉の巨木がそびえ、幽玄な世界が広がる。拝殿裏には崖から湧水がしたたり落ち、小池になっている。崖の中ほどに水神祠がありお供えがみられた。
鳥居前境内の反対側には農村舞台(建物)があり、昔はここで舞の奉納などされていたことがしのばれた。 境内社として丹生大明神、荒神社、水神宮の三社が祀られる。深い緑に囲まれた静寂な神域との印象を受けた。

(場 所)北区山田町字札場64
(ご祭神)市杵島姫神
 正式社名は「原野厳島神社」。県道三木−箕谷線から国道428号線にはいってすぐのところに位置する。
 創立年月日不詳とされるが、丹生の山田に住む男性・真勝は47代淳仁天皇(758〜764在位)に仕えていたが、左大臣の次女−白滝姫をみそめた。その思いが伝わらないことを知った天皇は二人を夫婦にした。真勝は喜び姫を山田へ連れ帰ったという。しかし結婚後3年、子1人を残してなくなったので、その邸内に弁財天の社をたてて姫を祀ったのがはじまりと伝えられる。
 この社の前には池があり、旱天でも清水が絶える事が無く、その名を「栗花落(つゆ)の井」と呼び県の史跡に指定されている。

(場 所)北区淡河町東畑563
(ご祭神)市杵島姫神
 正式社名は「東畑厳島神社」。県道三木−三田線を通り山陽自動車道の高架をくぐるとこの社が見えた。
 創建は、明治3年刊の「奉社伝記」によると「五穀成就を祈り、明応2年(1493)、市杵島姫命を祀る。以後豊作となり一村繁栄す」と記されている。
 社殿を囲むように常緑樹が茂り、落ち着いた雰囲気の境内となっている。訪ねた時は境内に植えられたモミジの木が色づきはじめ、盛りの時の素晴らしさが予感された。
 手入れの行き届いた神域は、氏子当番制がしっかりした証と伝わっているという。
「厳島神社」
(場 所)北区淡河町北僧尾1682
(ご祭神)市杵島姫神
 正式社名は「北僧尾厳島神社」。国道428号線は有馬街道箕谷から左に別れ吉川町を目指す。その途中、県道三木−三田線を横切り北へ5分ほどの右奥にある。
 創建は「奉社伝記」(明治3年)によれば「田畑開発、五穀豊穣を祈り、延文4年(1359)、市杵島姫命を祀るに一村繁栄す」と記される。現在の社殿は平成6年に新築され、まだ木の目も新しい。
 ここでの特筆は、境内北側に安永年間(1771〜)建築の茅葺農村舞台があること。この種の建物では日本最古のものとして、兵庫県有形文化財に指定されている。独特な構築形式は近代芸能史上の貴重な建物とされる。

(場 所)北区淡河町南僧尾493
(ご祭神)市杵島姫神
 正式社名は「南僧尾厳島神社」。場所は社名の通り北僧尾地区の南側に位置する。なだらかな丘陵地帯の田畑が広がる一角に大きな杉の老木を従え存在する。
 創建は「奉社伝記」(明治3年)によれば「悪疫流行に加え凶作続きにより村人難渋する時、市杵島姫命を祀るに、難病止み、豊作となる。永正12年(1515)の創祀」と記される。
 小さな本殿を収める建物は、覆屋兼拝殿の構造となっている。写真手前の石灯籠には安政4年(1775)と刻まれる。ここには神戸市無形民族文化財の「獅子舞」があり、天正年間(1573〜)、当地に住した能の一派の福王流家元が創始したとされる。

(場 所)西区伊川谷町小寺478
(ご祭神)市杵島媛尊
 正式社名は「小寺厳島神社」。地元で“小寺のべんてんさん”の愛称で呼ばれる。市営地下鉄−伊川谷駅から南を望むと、点在するは住宅と畑の先にこんもりした小山が見えるところが場所。
 創建は定かではないが、宝永6年(1709)小寺村庄屋が上司に報告した文書の中「弁財天女」や「踊堂森」「阿弥陀森」等の存在が報告されたとある。また近年の歴史調査の結果、弁天宮は享保7年(1722)に村人の総意をもって建て替えられたことも判明している。
 農道風の道をたどり社殿への緩やかな階段をたどると、想像以上に広い境内にはいる。木々の多い空間では、夏にセミ採りに熱中する子達の姿も見られる。

(場 所)西区伊川谷町有瀬554
(ご祭神)市杵島媛尊
 正式名称は「漆山厳島神社」。西区に学び舎を開く神戸学院大学の近くに存在する。
 創立年代は定かでないが、古い棟札には「奉再興辯財天女祐一宇請願漆山村中敬白貞享2年8月2日」と記され、翌貞享3年(1686)には、当村開拓者、明石藩主松平日向守の功徳を讃える碑も建てられている。この事から最初の社の建設はもっと以前であったことが伺える。
 入口鳥居のすぐ左手は保育園があり、なごやかな子達の声が響く。この園、名を「べんてんほいくえん」という。ご祭神は安芸の宮島にも通ずる海の神、宗像三女神の一人、市杵島姫尊が祀られている。

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街 角 点 描
茅葺農村舞台(北僧尾厳島神社) 広告塔を見て移動(三木−三田線) 神社の横は保育園(漆山厳島神社)
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 今回で神戸市内に存在する「厳島神社」11社をひと回りすることができた。当初、神戸にこれほど多くの「厳島神社」が存在するとは思いもよらなかった。しかし、そこを訪ねてみると、多くの人々と地域に親しまれ、厚い信仰を得ていることが実感された。それは「厳島神社」の持ち合わせた地域密着性と霊験あらたかさよるところが大きいと想定できる。またご祭神の「市杵島姫命」は水との関係も深く、人の生命誕生に結びつく奥深いものがあると考えられる。
 また、前回訪れた2社(花隈厳島神社、兵庫厳島神社)は源平時代の歴史と深く関わった点がうかがえたが、今回訪れた9社のうち8社は創建時代からして平清盛との関係はみられない。地域に生活する村人たちの願いを込めて創建されたと言えるだろう。
 一方「厳島神社」命名の由来として、安芸の宮島のご祭神が「宗像三女神」の一人市杵島姫命をいただくため、その共通性からと命名された考えられる。そのほかに次の理由も伝えられている。つまりご祭神「イチキシマヒメノミコト」の“イチキシマ”が「イツクシマ」になったと。
 
 最後に各「厳島神社」の主神「市杵島姫命」を紹介し、このシリーズの幕をおろすこととします。
『市杵島姫命は、高天原において天照大神が素戔鳴尊と誓約をされた時にお生まれになった神で、国土と海上を守る神です。広く水を司る神として人間の生命に関わり深く、神仏習合の結果「弁才天」と称え福徳円満、長寿無量を施される福の神として、一方、弁舌、音楽の守り神として信仰されています』

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〔取材:街角取材班−2006年10〜12月〕(remake2010年1月)〕
      −参考資料−
「神戸の神社」          兵庫県神社庁神戸市支部・編著
「神戸の史跡」          神戸市教育委員会編
「厳嶋神社由緒略記」      兵庫厳島神社発行
「神戸の伝説」          田辺眞人 著
「神戸歴史トリップ」       神戸市中央区役所編
「日本の歴史」          中央公論社

※リメイク版=別サイトに掲載していた当方ページを、一部編集し本サイトに紹介しました

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