特 殊 講 義

 

判例から学ぶ「日常生活と法」

 

 

講義の内容

<到達目標>

 日常生活の法である民法全般の基本知識を確認しつつ,特に不法行為分野を中心として代表的判例にどんなものがあるか,その内容について修得することができるようにする。

 

<講義概要>

 日常生活の法である民法の基礎知識を確認しつつ,より身近な不法行為の判例を中心に,それに加えて民法全般から注目される重要な基本判例を取り上げて解説する。
 毎回,判例2〜3件を取り上げたい。
 取り上げる判例は当然ながらすべて実際にあった紛争であり,また,社会的にも注目された事件のものも少なくないので,興味をもって学ぶこともできる(はずである)。法的な知識・論点だけでなく,その事件に関連する事柄にもできるだけ触れ,教養・社会常識として知っておいてよい知識を把握・確認する機会にもできるとよい。

 実際に裁判になった事件(代表的判例ないし基本判例)を取り上げ,それがどのような事件であったか,どのようなことが争点(議論)となり,どのような判決がくだされたか,その問題点は何かなどを分かりやすく解説する。法律論を離れて,その事件に関連する資料や常識として知っておいてよい周辺領域の事柄についても,スライドを使用して,写真や資料をできるだけ見せながら,紹介・解説したい

 大学の講義としての学問水準を維持しつつ,初心者にとっても「分かりやすく」「役に立つ」授業にしたい。

 

<講義計画>

 講義は下記のテキストにそって行う。

 まず民法の基礎知識ととにも,民法全分野から代表的判例(宇奈月温泉事件・塩釜レール入事件・有毒アラレ事件・カフェー丸玉女給事件など)を取り上げ(下記注1)参照),その後に,不法行為法分野からは網羅的に主要な基本判例を取り上げたい(下記注2参照)。

<教科書>

(1)良永和隆『不法行為法 基本判例解説』(日本加除出版、2010年)

 授業中にテキスト掲載の事案や判旨(特に下線の部分)を各自で読んでもらうので,必ず持参してもらいたい(前期試験も主にこの教科書から出題する)。

(2)我妻栄・良永和隆『民法〔第9版〕』勁草書房,2013年)

 民法全般の入門的基礎知識を確認するのに用いる(持っていると学習するのに便利ではあるが,必ずしも授業時に持参する必要はない)。

 

成績評価方法・基準

(1)前期試験による成績評価

 前期試験を実施し,その成績で評価する。なお,試験は平易な問題とし,教科書持込み可で行う予定である。


 昨年(平成27年度)の単位取得率は,94.4%(不可は3人),一昨年度(平成26年度)は単位取得率は88.3%(不可は11名),3年前(平成25年度)は単位取得率は83%(不可は9名),4年前(平成24年度)は単位取得率94.5%(不可は3名)であった)。このように,普通であれば,不合格になることはないはずであるが,出席しているだけで勉強になると思うので,できるだけ授業に出席するようにしてもらいたい。

2)前期試験以外の評価方法

 レポートの提出は求めない。通例,出席はとらないが,出席調査や小テストを実施したとしても,それは前期試験の成績への加点事由(平常の授業への取り組みの積極評価要素)として用い,欠席してもそのことを成績評価において不利には扱わない(より具体的には,最初の授業のときに説明する)。

 

履修上の留意点

1.民法を含む法律科目を過去及び現在,履修している必要はない(初心者でも真面目に聞いていれば分かるように説明する)。

2.スライド資料は配布しない。また,写真撮影や録音も禁止する。

3.予習・復習のやり方については,最初の授業で説明するが,一般的にいえば,予習はテキストの該当箇所に目を通してきてもらい,復習については,その授業でとりあげた法制度や法理論が理解できているかを確認してもらいたい。

4.2部の場合仕事などの都合もあるので,遅刻や早退は構わないが,授業中の私語は厳禁。

 

注1)民法全体から代表的判例・基本判例

民法全体(下記の不法行為分野を除く)から授業で紹介する予定の判例(事件)として,

宇奈月温泉事件,阪神電鉄事件,ロストボール事件,九官鳥事件,カフェー丸玉女給事件,芸娼妓契約事件,塩釜レール入事件,東京地裁厚生部事件,有線放送スピーカー事件(塩釜声の新聞社事件),自衛隊事件(安全配慮義務違反),いちごジャム事件,八幡製鉄政治献金事件,南九州税理士会事件,群馬司法書士会事件,ブルドーザー事件,ビル改修事件,有責配偶者事件(ふんだりけったり判決),代理母事件など。

 

 

注2)不法行為分野から代表的判例・基本判例

授業では,不法行為分野からはできるだけ網羅的に紹介する予定である。

具体的には,シラバス参照(特に,教科書掲載〔1〕〜〔34〕〔37〕+追補〔9〕〔15〕など)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<毎回扱うテーマのおおむねの目安です

(あくまで予定ですので,このとおりにならないこともあります)

〔順番が逆なので下からみてください〕>

 

第15回

 授業中に紹介・説明する判例等

(1)被用者への求償権制限事件(最判昭和51年7月8日民集30巻7号689頁)(不法行為法[追補16]221頁)

(2)井の頭踏切事故事件(最判昭和46年4月23日民集25巻3号351頁(不法行為法[17]67頁)

(3)牛馬仲買商事件(最判昭和40年9月24日民集19巻6号1668頁)(不法行為法[18]72頁)

(4)山王川事件(最判昭和43年4月23日民集22巻4号964頁)(不法行為法[19]77頁)

(5)6歳児死亡事件(最判平成13年3月13日民集55巻2号328頁)(不法行為法[20]81頁)

この後,特別法として,原子力損害賠償法(原賠法),自動車損害賠償保障法(自賠法),製造物責任法(PL法)についてその要点を説明したい。

これで前期の授業範囲はすべて終了。

 

第14回

 授業中に紹介・説明する判例等

(1)予防接種禍事件(最判平成10年6月12日民集52巻4号1087頁)(不法行為法167頁)

(2)小学校教諭殺害事件(最判平成21年4月28日民集63巻4号853頁(不法行為法[36]関連)

(3)中学生強盗殺人事件(最判昭和48年11月16日民集27巻10号1374頁)(不法行為法[14]54頁)

(4)株券偽造事件(大連判大正15年10月13日民集5巻785頁)(不法行為法[15]59頁)

(5)協同組合約束手形事件(最判昭和36年6月9日民集15巻6号1546頁)(不法行為法[15]関連)

(6)幸福相互銀行事件(最判昭和42年11月2日民集21巻9号2278頁)(不法行為法[15]関連)

(7)通産省事件(最判昭和30年12月22日民集9巻14号2047頁)(不法行為法[16]63頁)

(8)暴力団抗争警察官射殺事件(最判平成16年11月12日民集58巻8号2078頁)(不法行為法[追補15]220頁)

 

第13回

 授業中に紹介・説明する判例等

(1)単純承認・相続放棄・限定承認について説明した(民法236頁〜238頁)

(2)首の長い女性事件(最判平成8年10月29日民集50巻9号2474頁(不法行為法[31])

(3)白系ロシア人スパイ容疑事件(最判昭和48年11月16日民集27巻10号1374頁)(不法行為法[33])

(4)ロス疑惑下野新聞社事件(最判平成14年1月29日民集56巻1号218頁)(不法行為法[34])

(5)土地不法占拠事件(大連判昭和15年12月14日民集19巻2325頁)

(6)不発弾処理事件(最判平成元年12月21日民集43巻12号2209頁)

 

第12回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)被嫡出子相続分違憲判決(最大決平成25年9月4日民集67巻6号1320頁)

(2)神経症女性事件(最判昭和63年4月21日民集42巻4号2040頁(不法行為法[28]関連124頁)

(3)電通過労自殺事件(最判平成12年3月24日民集54巻3号1155頁)(不法行為法139頁[31]関連)

(4)タクシー運転手一酸化炭素中毒事件(最判平成4年6月25日民集46巻4号400頁)(不法行為法139頁[31]関連)

上記(1)判決の前提として,相続分の規定を確認し,第一順位・第二順位・第三順位の相続人とその相続分を説明したい(平成25年12月の民法改正に伴う「民法[第9版]」200頁の訂正)。

 

第11回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)親子関係について,民法の考え方をいくつかの事例をあげて紹介したい(嫡出子/非嫡出子/嫡出否認の訴え/親子関係不存在確認の訴え等)。

(2)保母引率事件(最判昭和42年6月27日民集21巻6号1507頁)(不法行為法[30])。

(3)「配偶者の過失」事件(最判昭和51年3月25日民集30巻2号160頁(不法行為法134頁[301]関連)

(4)「内縁の夫の過失」事件(最判平成19年4月24日判時1970号54頁)(不法行為法134頁[301]関連)

(5)「恋愛関係にある男女」事件(最判平成9年9月9日判時1618号63頁)(不法行為法134頁[301])

(6) 共同暴走行為事件(最判平成20年7月4日裁時1463号1頁・判時2018号16頁)(不法行為法[追補9]214頁)

第10回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)代理母事件(最決平成19年3月23日民集61巻2号619頁)(民法203頁)。

(2)藁の上からの養子事件(最判昭和50年4月8日民集29巻4号401頁(民法205頁関連)

(3)慰謝料請求権相続事件(最大判昭和42年11月1日民集21巻9号2249頁)(不法行為法[27]116頁)(不法行為法[27]116頁)

(4)10歳女児顔面負傷事件(最判昭和33年8月5日民集12巻12号1901頁)(不法行為法[28]121頁)

(5)被害者の夫の妹慰謝料請求事件(最判昭和49年12月17日民集28巻10号2040頁(不法行為法[28]関連124頁)

(6)ミキサー車事件(最大判昭和39年6月24日民集18巻5号854頁(不法行為法[29]126頁)

  

第9回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)踏んだり蹴ったり判決(最判昭和27年2月19日民集6巻2号110頁)(民法193関連)。

(2)有責配偶者離婚請求肯定判決(最判昭和62年9月2日民集41巻6号1423頁(民法193頁)

(3)死後懐胎子事件(最判平成18年9月4日民集60巻7号2563頁)(民法203頁)

(4)女子中学生死亡事件(最判昭和62年1月19日民集41巻1号1頁)(不法行為法[24]101頁)

(5)パキスタン人指切断事件(最判平成9年1月28日民集51巻1号78頁(不法行為法[25]106頁)

(6)貝採事件(最判平成8年4月25日民集50巻5号1221頁(不法行為法[26]111頁)

(7)残念事件(大判昭和2年5月30日新聞2702号5頁(不法行為法[27]関連118頁)

そのほか,生殖補助医療のAID・AIHの父子関係についても説明したい。

 

第9回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)ブルドーザー事件(最判昭和45年7月16日民集24巻7号909頁)(民法176関連)。

(2)ビル改修事件(最判平成7年9月19日民集49巻8号2805頁(民法176頁)

(3)以前説明した代々木診療所事件の判決文(最判昭和39年1月28日民集18巻1号136頁)(不法行為法[7]26頁)→差額説の部分

(4)差額説を採用した最判昭和42年11月10日民集21巻9号2352頁の事案の概要と判決文(不法行為法94頁) 

(5)損害の意義に関する研修所技官事件(最判昭和56年12月22日民集35巻9号1350頁)(不法行為法[22]91頁)

(6)長崎本舗事件(最判昭和48年6月7日民集27巻6号681頁)(事案は省略)(不法行為法[23]96頁)

 なお,上記(1)と(2)の前に不当利得の要件・効果について説明したい。

 

第8回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)苺ジャム事件(最判昭和33年6月14日民集12巻9号1492頁)(民法144頁)。

(2)八幡製鉄政治献金事件(最判昭和45年6月24日民集24巻6号625頁(民法156頁)

(3)南九州税理士会事件(最判平成8年3月19日民集50巻3号615頁)(民法156頁)

(4)群馬司法書士会事件(最判平成14年4月25日判時1785号31頁)(民法156頁)

(5)尼崎公害訴訟(神戸地判平成12年1月31日判時1726号20頁(不法行為法86頁関連)

(6)国道43号線事件(最判平成7年7月7日民集49巻7号2599頁(不法行為法[21]86頁)

そのほか,医療過誤訴訟の特色,アメリカの懲罰的損害賠償(ステラ・リューベック事件)などを紹介・説明したい。

 

第7回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)東大ルンバール事件(最判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁)(不法行為法[12]45頁)。

(2)医師の不作為と患者の死亡との因果関係に関する最判平成11年2月25日民集53巻2号235頁(不法行為法51頁)

(3)心筋梗塞死亡事件(最判平成12年9月22日民集54巻7号2574頁)(不法行為法[13]49頁)。

 

第6回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)芸娼妓事件(最判昭和30年10月7日民集9巻11号1616頁)(民法60頁)。

(2)塩川レール入事件(大判大正10年6月2日民録27輯1038頁)(民法61頁)

(3)崔昌華事件(韓国人氏名日本語読み事件)(最判昭和63年2月16日民集42巻2号27頁)(不法行為法[10]36頁)

(4)明日では遅すぎる事件(ホステス不倫事件)(最判昭和54年3月30日民集33巻2号303頁)(不法行為法〔11〕40頁)

(5)パートナーシップ事件(最判平成16年11月18日判時1881号83頁(不法行為法追補〔6〕211頁)

 

第5回

 授業中に紹介・説明する判例

(1)債権の効力(請求力・給付保持力・訴求力・執行力)を踏まえた上で,カフェー丸玉女給事件(大判昭和10年4月25日新聞3835号5頁)(テキストには未記載)(民法50頁関連)。

(2)マリアンヌちゃん事件(横浜地判昭和31年12月5日)(民法51頁「子の引渡請求」関連)

(3)九官鳥事件(大判昭和7年2月16日民集11巻138頁)(テキストには未記載(民法40頁関連)

(4)署名狂やら殺人前科事件(最判昭和41年6月23日民集20巻5号1118頁)(不法行為法〔8〕29頁)

(5)北方ジャーナル事件(最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁(不法行為法〔9〕32頁)

 

第4回

 授業中に紹介・説明する判例等

(1)民法・民事訴訟法・民事執行法の関係や裁判・調停・各種ADRについて(民法25頁〜28頁)。

(2)ロストボール事件(最判昭和62年4月10日民刑集41巻3号221頁)(テキストには未記載(民法40頁関連)

(3)九官鳥事件(大判昭和7年2月16日民集11巻138頁)(テキストには未記載(民法40頁関連)

(4)「エホバの証人」輸血拒否事件(大判平成12年2月29日民集54巻2号582頁)(不法行為法〔6〕21頁)

(5)代々木診療所事件(最判昭和39年1月28日民集18巻1号136頁(不法行為法〔7〕26頁)

 

第3回

 授業中に紹介する判例等

(1)有毒アラレ事件(最判昭和39年1月23日民集18巻1号37頁)(民法22頁)

(2)「車馬通行止め」の解釈(民法23頁)

(3)桃中軒雲右衛門浪曲レコード事件(大判大正3年7月4日刑録20輯1360頁)(不法行為法15頁)

(4)大学湯事件(大判大正14年11月28日民集4巻670頁(不法行為法〔4〕)

(5)信玄公旗掛松事件(大判大正8年3月3日民録25輯356頁)(不法行為法〔5〕)

 

 

第2回

 授業中に紹介する判例

(1)阪神電鉄事件(大判昭和7年10月6日民集11巻2023頁)(民法15頁)

(2)電気窃盗事件(大判明治36年5月21日刑録9輯874頁)(民法22頁)

(3)東大輸血梅毒事件(最判昭和36年2月16日民集15巻2号244頁)(不法行為法〔2〕)

(4)日赤高山未熟児網膜症事件(最判昭和57年3月30日裁判集民事135号563頁(不法行為法〔3〕)

(5)姫路日赤未熟児網膜症事件(最判平成7年6月9日民集49巻6号1499頁)(不法行為法〔3〕)

 

 第1回

授業中に紹介する判例

(1)宇奈月温泉事件(大判昭和10年10月5日民集14巻1965頁)(民法13頁)

(2)板付基地事件(最判昭和40年3月9日民集19巻2号233頁)(民法13頁)

(3)大阪アルカリ事件(大判大正5年12月22日民録22輯2474頁)(不法行為法[1])