生活保護受給の方へ
生活保護は捕足性の原理に基づき、あらゆる資産や能力を活用して生活を維持し、なお不足する部分について支給するものとされています。したがって、両方を同時に受給することはできません。本来、障害年金の受給権を取得できる場合は、優先的に受給したうえで、なお不足する部分について保護されるべきものです。
障害年金は簡単にもらえる年金ではありません。
しかし行政窓口ではまだ申請書をだせばもらえる簡単な年金という認識が残っている面が見受けられ、受給可能な状態にあるにもかかわらず、難しい申請を本人任せで放置されているのが実情です。結局手続きは進まずどこからも支援されない事態が続くことになります。いつまでこうした事態を放置するのでしょうか?
障害の状態になり、継続的な就労ができず、やむなく生活保護を申請するような方のケースについて、当事務所でも専門家のアドバイスや手続代理によって適性に障害年金を受給していただきたいとの観点から、請求人さまより支援要請を受けた場合には当然、受給に向けた支援をさせていただきたいと思っています。ただし、成功報酬と返還金(※)の問題が以前よりネックとなっており、保護費を受給している場合等には専門家に依頼できない状態となっていました。この問題は非常に根が深く、
専門家に相談、依頼できる権利が著しく阻害され、放置されたままの状態が続いています。
生活保護申請については福祉相談窓口でもなかなか相談しづらいと思われます。望んでなった境遇ではないにもかかわらず罵られたり、二度とあの窓口には行きたくない、行くくらいなら死んだほうがましだ、と考える方もいらっしゃると聞きます。行政窓口の担当者として明らかにその適性を欠く人による対応や、法律的な取扱を知らなかったりで不利益を被るようなことは決してあってはならないことです。 いっぽう、生保は受給者が過去最高を更新し続けるなど、生保担当職員の負担が増加して、障害年金を適性に受給させることが困難な状況にあることも事実です。障害年金の受給の可能性があっても、CW(ケースワーカー)さんに相談して「社労士に依頼するなんてもってのほかだ、自分でやれ」、「そんな資力(お金)があるなら保護費はでない」というような指導をされるかもしれません。
そのような場合でも
どうか声をかけて下さい。
受給可能かどうか、お伺いして請求方法等をご提案させていただきます。
最近(平成27年9月)になってはじまった新たな取り扱い
年金裁定請求に係る必要経費について
問
年金の裁定請求を保護開始申請前から社会保険労務士等に委任していた場
合であって、保護開始後に裁定(支給決定)された場合、社会保険労務士への
成功報酬等を必要経費として控除することは可能か。なお、可能とした場合、保
護受給中の者が委任した場合の取扱いも同様か。 答
年金の裁定請求を保護開始申請前から社会保険労務士等に委任していた場
合に限り、 次第8−3−(2)−ア−(イ)により、成功報酬等を必要経費として控除
することとして差し支えない。
なお、保護受給中の場合には、福祉事務所の支援等により手続きを行うことが
可能であると考えられることから、原則として、社会保険労務士の成功報酬等を
必要経費と認めることはできないものである。 |
保護開始申請前より業務委託契約し、社労士が代理人をしているような場合は
受給権取得に要した費用は、経費としての控除が可能となっています。つまり、返還金から社労士への報酬の支払いが可能ということを意味します。例えば、十分に働けなくなって障害年金手続きを社労士に依頼したが、受給権取得までに時間がかかり、やむなく保護申請をした後に障害年金の受給権が遡って決定したような場合が該当します。
また、なお書き以下についても、
福祉事務所の支援が有効に機能していない場合は、原則どおりの取り扱いではなく、例外的な取り扱いも認めるのが一般的な解釈となります。即ち、福祉事務所等で適切に障害年金手続き支援が行われないような場合に、保護されるべき人が社労士に支援依頼して障害年金の受給権を取得し、手続き報酬が発生しても「必要経費と認めることはできないもの」には該当しないと解されます。
福祉行政が他法優先(障害年金)をどの程度、真剣に考えているかは分かりません。生保担当職員一人当たりの件数が多すぎるとも聞きますし、不服申し立てをしてでも取得するべきものとは考えていないかもしれません。そもそも障害年金請求に関して専門性も担保されていないため、代理請求までは不可能と考えられます。障害のある人が放置される要因は、こうしたところにもあることをどの程度認識しているでしょうか?
障害年金請求支援は「ただ書類を届けるだけ」ではないです。
保護費は100%税金です。不服申立てまで戦える、社労士のような障害年金制度に精通した専門家を活用することはメリットが非常に大きいはずですが、二の足を踏む理由が分かりません。連携をしていくべきと私は考えます。
平成28年4月より、障害者差別解消法もスタートしています。障害のある人の不当な差別的取り扱いは許されません。
当事務所でも生活保護受給者で受給権獲得に成功した事案があります。これを契機として、該当市町村に申し入れ、専門家を頼って受給できた場合の、成功報酬と返還金との調整を要する事案の基準作りが進められています。県内の福祉行政窓口では、社労士に障害年金請求支援依頼することはそもそも想定されておらず、立ち遅れています。支援をすすめるにあたっては市町村等との調整が必要になります。最低限、CWにも障害年金を相談し、専門家に依頼することをお話下さい。それも困難な場合は当職でもサポートいたします。
社労士等の専門家に依頼できるかどうかは、依頼する必要性、報酬額の妥当性の判断等、
障害年金を熟知していない実施機関(市町村福祉事務所等)が事前に決めることになっています。我が国の社会保障制度としてこのようなプロセスが適切なのか疑問は残りますが、現状、被保護者、代理人、CWで事前の調整が必要です。しかし、下記の根拠条文等に基づき、隣県の長野県をはじめ、全国的に障害年金専門の社労士が生保受給者やCWにできなかった受給権取得を成功に導いています。山梨だけその適用を認めない、選択できない差別的な取扱いは認められないものと考えられます。実施機関としても、税金から支給した保護費を年金で賄うことができるわけで、下記通達等から社労士に依頼するメリットを見出し、社労士を臨時雇用するような対応をする市区町村もみられます。
厚生労働事務次官通達
第8 − 3 −(2)就労に伴う収入以外の収入
ア恩給、年金等の収入
(ア)恩給、年金、失業保険金その他の公の給付については、その実際の受給額を認定すること。
(イ)(ア)の収入を得るために必要な経費として、交通費、所得税、郵便料等を要する場合又は受給資格の証明のために必要とした費用がある場合は、その実際必要額を認定すること。
(別冊問答集問450 答(2)エ)
「当該世帯の自立更生のためやむを得ない用途にあてられたものであって、地域住民との均衡を考慮し、社会通念上容認される程度として実施機関が認めた額」は控除できる。
(別冊問答集問450 答(2)オ)
「当該収入があったことを契機に世帯が保護から脱却する場合にあっては、今後の生活設計等から判断して当該世帯の自立更生のために真に必要と実施機関が認めた額」は控除できる。
※返還金とは、保護費を受給しているときに収入(この場合失業給付や障害年金等)とみなされるような給付がある場合、保護費を返還しなければならないとする、生活保護法63条に規定されている取り扱いです。