その一言で伊達が不意に現われた二人に付いて行くことは決定したも同然であった。
寺には幼い修行僧も沢山居たし、口減らし同然に預けられている子供も大勢居たが、
山門の前で行き倒れ、口がきけぬというわけでも無いのに名前以外は何処から来たの
かも語ろうとはせず、そして腕に不気味な刺青と得体の知れない強さをもつこの少年を
明らかに持て余していた。
無口だから大人しいのだろうと思えば、かっとなると手の付けられない激しさを持ってい
ることも修行の一環として武道を学ぶことが多いが、大半は穏やかな此の寺の僧を困ら
せている元だった。
此の寺の住職の知己であるという二人の僧が、その少年を引き取って行ったとき僧達は
心からほっとした。

そして数日後、二人の僧と一人の少年はある寺に辿り着く。
山門の向こうから何やら声が聞こえたかと思うと高い塀の上に小さな人影が現われ、そ
のまま舞い降りてきた。



どうして、そうしようと思ったのかは判らない。
ただなんとなく降りてきたその身体に手を伸ばした。
受け止めなければならないと思ったのかもしれないし、もしかしたら手に入れなければ
と思ったのかもしれない。
あまりに咄嗟の出来事で何を考えていたのかは覚えていない。