| ULTRA WORLD ウルトラマン 第24話後編 |
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| 海底センターに閉じ込められた4人の命を救うべく、 イデ隊員のニューアイテム作成が始まった。 しかし時間は限られている。 海底センターに残された酸素量はあとわずかだ。 もちろんそれは承知のイデ隊員は、 焦ることなく素早い手つきで作業を進めていった。 時は刻々と進み、事件発生以来1時間がたっていた。 海底センター内部では、今はどうしようもない、と腹をくくったムラマツキャップ。 気晴らしにトランプでも、とはじめてみたのだが、 「わしは止めた。こんなことで気がまぎれるとでも思っているのか」 その気になれないヨシムラ総裁。 ![]() 初めてこういった危機に直面したヨシムラ総裁。 幾多の死線を越えてきたムラマツキャップと同じように 落ち着け、という方が無理なのかもしれない。 「ヨシムラさん」 それでも落ち着かせようとなだめるムラマツキャップだったが、 「トランプなんかで我々の命が助かるとでも思っているのか。もう我慢できん!」 ついにヨシムラ総裁は錯乱し始め、部屋を出て行った。 「ヨシムラさん、ヨシムラさん!」 何かあったら一大事だ。 すぐさま追いかけようとするムラマツキャップ。 だがその横にいるジェニーの様子がおかしい。 どうやら酸欠のようだ。 ホシノ隊員が懸命に介抱する。 今はホシノ隊員に任せるしかない。 ヨシムラ総裁を追いかけなければならない。 「ジェニーを頼むぞ」 ムラマツキャップはジェニーをホシノ隊員に任せ、ヨシムラ総裁の後を追った。 ムラマツキャップがヨシムラ総裁に追いついた時、 ヨシムラ総裁は信じがたい行動を取っていた。 ハッチを開け、外に出ようとしていたのだ。 「ヨシムラさん!」 ムラマツキャップはヨシムラ総裁を突き飛ばし、あわててハッチを閉めなおした。 「死ぬつもりですか!」 もはや狂気に走っているとしか思えないヨシムラ総裁を、 ムラマツキャップは真正面から怒鳴りつける。 「ヨシムラさん!ここから外へ出ようったって無理なことがわからないんですか! 水圧であなたもぺちゃんこですよ!」 だがもはや精神状態が普通ではないヨシムラ総裁は、 ムラマツキャップに掴みかかり、突き飛ばし、 それでもハッチを開けようとするのだった。 「どうせじっとしていても死ぬんだったらやるだけやって死んだ方がましだよ!」 ムラマツキャップは、今度は本気でヨシムラ総裁を突きとばした。 「総裁!この基地を建設した日本の科学を信頼してください!」 フラフラと立ち上がり、よろめくヨシムラ総裁。 その目はうつろとなり、ムラマツキャップの声すらも耳に届かぬようであった。 「いや〜出来た出来た!博士!!」 管制基地では、待ちに待った特殊バーナーが完成した。 「はい!」 空飛ぶ円盤のような形をした自身の傑作を博士に手渡すイデ隊員。 そしてイデ隊員は自慢げに海底センターに通信を入れた。 「お待ちどうさまでした、キャップ。 ただちにそちらに救助に向かいます」 センターの酸素はいよいよ限界が近づいてきていた。 ジェニーの意識が朦朧としてきたのだ。 「キャップ、ジェニーが!」 ホシノ隊員の叫び声。 ムラマツキャップは最後の策を執った。 「それはなんだね」 「酸素ボンベです」 「なにぃ」 酸素ボンベとムラマツキャップを交互に睨みつけるヨシムラ総裁。 「なぜこれを早く使わないのかとおっしゃるんでしょう」 「すぐ救助船が来ると言ったじゃないか。 基地からここまで何分もかからんだろう」 「救助船が来てもここを脱出して浮上するにはこれが必要なんだ!」 「それを使い出したんだからいよいよ君も科学に見切りをつけたと見えるね」 目が血走り、もはや理性も飛んでしまったヨシムラ総裁。 ムラマツキャップの物言いも厳しくなっていく。 「総裁!このままにしておいたらジェニーが死んでしまう!」 「わしはどうなるんだね」 ムラマツキャップはそれに答えず、ジェニーに酸素を供給する。 「これを加えて、ジェニー」 力なく酸素吸入口を加えるジェニー。 コンピューターの非常ランプが点滅の数を増した。 「キャップ、第1第2第3のステージが浸水しました」 「なに!?」 更なる追い討ち。 もう猶予はならない。しかしムラマツキャップには打つ手がない。 管制基地からの救援を待つことしかできないのだ。 中央コントロール室にも海水が入り込んできた。 4つある酸素ボンベのひとつはジェニーのために使い切った。 残りはあと3つ。 「さあ、早く!」 ムラマツキャップはホシノ隊員をせかせ、 できるだけ浸水を避けるため上階へ非難させようとした。 酸素ボンベをもぎ取るように、さっさと上階へ非難を始めるヨシムラ総裁。 だがホシノ隊員はボンベが足りないことに気が付いた。 「キャップ、ボンベがひとつ足りません」 見ればムラマツキャップはボンベを背負ってはいない。 「うん、さっき使ってしまったからな」 「キャップはどうするんですか?」 「心配はいらん」 「キャップ!」 すがりつくホシノ隊員の両肩に手をやり、優しく微笑むムラマツキャップ。 「いいかいホシノ君、科特隊の名誉にかけてジェニーを頼むよ」 尊敬するムラマツキャップからこの場を任された。 ホシノ隊員は力強くうなずいた。 その顔はもはや少年ではない。 立派な科学特捜隊員の顔になっていた。 「キャップ。ボク絶対ジェニーの手を離しません」 酸素ボンベのおかげで幾分回復し、歩くことができるようになったジェニー。 そのジェニーの小さな手をしっかりと握り、ホシノ隊員は上階へと導いていった。 一方管制基地で出発を待つトータス号船内では、フジ隊員が驚くべき行動を取っていた。 「フジ君」 イデ隊員が叫ぶ。 それもそのはず、見ればそこには アクアラングに身を包むフジ隊員の姿があったのだ。 ![]() 「私に行かせて」 「君・・・」 フジ隊員はイデ隊員の元に歩み寄る。 「私に任せられない気持ちは分かるけど 科特隊員の責任を全うさせてほしいの」 フジ隊員の決死の決意。 イデ隊員は戸惑った。 だがイデ隊員は決断した。 「よし」 もはやフジ隊員を止められるものはいない。 「こちらS-25.出発準備OK」 ハヤタ隊員の声がスピーカーから流れてきた。 「こちらもOKだ」 イデ隊員も決意を固めた。 「よし、出発だ」 ハヤタ隊員の合図で管制基地を離れるS−25とトータス号。 向かうは海底センター。ムラマツキャップの元だ。 海底センター最上階へと非難する4人のメンバー。 いつまでもつわけでもない。救援が早いか、浸水が早いか。 それは天のみぞ知る。 今ムラマツキャップができることは、とにかく時間を稼ぐことだけだった。 しかし酸素ボンベを持たないムラマツキャップは、やはり真っ先に酸欠に襲われた。 それをホシノ隊員たちに悟らせぬよう、そっと列から離れるムラマツキャップ。 その時、胸の通信機が受信を示した。 「ムラマツだ」 「キャップ、我々は海底センターの上に到着。 ただ今から救助活動を開始します。 基地の一番上にきてください」 「来たか!」 頼もしいイデ隊員の声に勇気づけられるムラマツキャップ。 ![]() 「キャップ、もうしばらくの辛抱です。がんばってください」 いよいよフジ隊員の出番が来た。 自分のミスで命を晒されている4人のメンバーを救出すべく、 彼女は今、トータス号から海中に飛び出そうとしていた。 ![]() その時だった。 「おい、ハヤタ!」 イデ隊員が無線マイクを掴み、S−25に救援を求めた。 トータス号前方から、真っ直ぐこちらに向かってくる1匹の怪獣の姿を確認したからだった。 その姿はS−25でも確認していた。 「ちくしょう、あれが犯人だな」 怪獣=グビラの姿を見たとき、ハヤタ隊員は全てを悟った。 ![]() そう、この一連のトラブルはフジ隊員のミスなどではない。 このグビラが起こしたことなのだ。 海底センターを建設したことにより、縄張りを侵略されたと判断したグビラが、 パイプラインも、センタードックも破壊したのだった。 「よし、あいつは我々が引き受けた。救助を頼むぞ!」 早速戦闘態勢に入るアラシ隊員とS−25は、 グビラにミサイルを撃ち込みそのまま岩陰に逃げ込む。 こうしてグビラの気を引いている間にトータス号は海底センターの鉄板を焼き切り、 中の4人を救助する作戦だ。 そのためにもS−25は、出来るだけ遠くまでグビラを引きはなさなればならない。 海底センター最上部まで上がってきたムラマツキャップたち4人。 もうこれより上はない。海水がここまで来る前に、救助がなければおしまいだ。 酸欠でふらつく体を必死でこらえるムラマツキャップ。 トータス号ではいよいよフジ隊員が行動を開始した。 「フジ君、君にもしもの事があったら4人は全滅するんだ。 危ないと思ったら必ずここへ逃げてくるんだぜ。いいね」 いつになく真剣な面持ちで諭すイデ隊員の顔を見て、力強くうなずくと、 特殊バーナーをしっかりと手に持ち、ハッチから海中へと入っていった。 グビラはS−25が引きつけている。 その間にセンター上部を焼き切り、トータス号とドッキングさせ、 中の4人を救出しなければならない。 フジ隊員はしっかりとした泳ぎでセンターの上部に到達した。 早速バーナーで焼き切り作業に入る。 中ではいよいよ酸欠がひどくなったムラマツキャップが咳き込みはじめている。 「キャップ、大丈夫ですか?」 「大丈夫だ・・・」 自らの酸素ボンベを指す出すホシノ隊員の手を、ムラマツキャップは押し留めた。 あと少し、あと少しで焼き切れる。 だが、グビラが戻ってきた。 S−25の追跡をなぜか途中でやめたグビラは、 フジ隊員とトータス号に向かってまっしぐらに突っ込んでくる。 トータス号はなんの武器装備も持っていないのだ。 「フジ君危ない!戻って来い!」 グビラの姿を再確認したイデ隊員が叫んだ。 しかしフジ隊員は逃げる気など全くなかった。 それどころかこの深海で作業を続行しようとしているのである。 「私にかまわず逃げて!トータス号がやられたらおしまいです! 早く!早く逃げて!!」 苦汁の決断を強いられたイデ隊員だったが、ひとまず退却。 フジ隊員の言うとおり、バーナーで天上を焼ききれても、トータス号がなければどうにもならない。 トータス号岩陰に姿を隠した。 グビラは、センター上部に伏せるフジ隊員のすぐ上を、 岩陰のトータス号のすぐ横を通過し、再び去っていった。 ![]() 作業開始だ。 執念のフジ隊員がセンターの鉄板を焼ききった。 そして岩陰にいたトータス号がすぐに接近。ついにドッキングを果たしたのだった。 フジ隊員はすぐさま内部に入り込み、4人のもとへと急ぐ。 他の者には目もくれず、一番にトータス号に乗り込むヨシムラ総裁。 酸欠で倒れこむムラマツキャップを支え、トータス号に移すフジ隊員。 急がなければ。今グビラに襲われたらひとたまりもない。 4人を救出したトータス号はすぐに海底センターを離れ管制基地へと向かった。 そのころグビラは再びS−25を追い回していた。 自由自在に海底を動き回るグビラを、S−25はもてあまし始めていた。 なんとかグビラの背後をとっていたS−25だったが、ついにグビラに背後に回られた。 グビラはそのままS−25に体当たりを敢行。 S−25はコントロールを失い撃沈されてしまった。 「アラシ!おい!アラシ!!」 衝撃で気を失ったアラシ隊員。 ハヤタ隊員がゆすり起こすが、アラシ隊員は気付く気配すらない。 ハヤタ隊員はアラシ隊員をそのままにして、そっと胸ポケットからベータカプセルを取り出し、 自らの目の前、まっすぐに腕を伸ばした。 ![]() ウルトラマンの登場だ。 この深海でウルトラマンとグビラの追いかけっこが始まった。 海の中では自由自在に動き回るグビラだが、ウルトラマンも負けてはいない。 ウルトラマンからは逃げ切れないと悟ったグビラは、 鼻先にある鋭く大きなドリルを使い、岩に穴を開け逃げ込んでいった。 ウルトラマンも後を追う。 グビラは地上に姿を現した。 ドリルで開けた大穴から這い出し、地上で所狭しと暴れ狂う。 その眼前には管制基地。グビラは管制基地を破壊目標に設定した。 ウルトラマンがグビラの大穴から飛び出してきた。 そのままグビラに馬乗りになるウルトラマン。 ![]() だがグビラも負けてはいない。 ウルトラマンを振りほどき、猛然と突っ込んでくる。 すれすれでかわしたウルトラマンはグビラの背びれを掴む。 しかし背中から鯨さながら毒潮の目潰しを噴出され、ウルトラマンは両手で顔を押さえ倒れこんだ。 その隙をグビラは見逃さない。 今度は倒れたウルトラマンにグビラが馬乗り。 鼻先の大ドリルでウルトラマンの顔を狙う。 グビラのドリルをかろうじて避け、ウルトラマンはグビラを突き放す。 再び対峙する両雄。 グビラが先に仕掛けた。 グビラの体が宙に舞い、ウルトラマンめがけて飛んでくる。 これぞグビラの得意技、フライングボディアタックだ。 これまたかろうじて巴投げでかわすウルトラマン。 ![]() そして間合いを取った。 必殺の八つ裂き光輪だ。 だがグビラはドリルでこれを受け止め、軽々と弾き返してしまった。 ![]() ![]() ドリルだ。あのドリルを何とかしなければ。 三度グビラが突っ込んできた。 ウルトラマンはスッと横に飛び、グビラのドリルを狙ってウルトラチョップを繰り出した。 グビラのドリルが鼻先から折れた。 とたんにグビラの動きが鈍くなる。 ドリルが弱点だったのだ。 もはやすばやい動きは出来ないグビラ。 ウルトラマンはトドメのスペシウム光線を放った。 ![]() 大爆発を起こすグビラ。 ここに戦いは終結した。 管制基地に帰還したトータス号。 ジェニーを連れ、ホシノ隊員が入ってきた。 ジェニーの父親が姿を現し、ジェニーをしっかりと抱きしめた。 こちらも任務完了。フジ隊員とホシノ隊員は、ジェニーの姿を見つめ笑顔になっていた。 ![]() しかし・・・ グビラにやられたS−25では・・・ 「ハヤタ!ハヤタ!!」 やっと気がついたアラシ隊員が船内にハヤタ隊員の姿を探していると、 コックピットからはエンジン音が。 見ればハヤタ隊員がコックピットに座り、S−25は浮上し始めている。 「なんだ、人騒がせなやつだ」 そんなアラシ隊員の笑顔を乗せ、S−25もまた管制基地へと戻っていった。 深海の恐怖。それもまたウルトラマンと科特隊の活躍で、全て解決したのであった。 |
あとがき
今回活躍してくれたのはグビラ。
海の王者、とでも言いましょうか、水陸両用、と言いましょうか、
ある意味便利な怪獣でした(笑)
フジ隊員の操縦ミス、という勘違いから始まった今回のお話ですが、
あれは誰でも勘違いしますね。
それを償うべく命をかけるフジ隊員はすごいの一言でした。
しかしグビラ、強くて嫌なヤツでした。
モデルはシーラカンスですか???
まあ海は自分の縄張り、と思っているやつですから、
海底にあんな設備を作れば襲ってくるのはわかる気もしますが、
結構的確に攻めてきてましたね。
お話の最初の方はほのぼのしてたのに、
急に緊迫してしまう。
これは一重にグビラのおかげです。
ヨシムラ総裁がえらいさんの代表として描かれてました。
しかもこれがかなりの自分勝手。
ジェニーを差し置いても自分が助かろう、という見習うべき(?)根性。
そのわりに、最後はどこに行ったのでしょう???
どなたか、その後のヨシムラ総裁の消息をご存知の方がいらしたら、
ご一報お願いします<m(__)m>
くだらないことはこの辺でやめにして、
さて次回。
新彗星地球接近!地球滅亡!?
こんなヤツらが活躍です。



今回も長文にお付き合いいただきありがとうございました。
次回も面白いですので、ぜひお付き合いください。