ULTRA WORLD
ウルトラマン


第26話後編

UNG弾の効果で見事ゴモラを眠りにつかせ、
そのまま空路で万国博会場まで運ぶ計画の科特隊。

ついにジョンスン島から3機のジェットビートルが飛び立った。
1号機にはムラマツキャップとイデ隊員。そしてナカヤ教授が。
2号機にはハヤタ隊員。3号機にアラシ隊員が乗り込んだ。
そして3機はそれぞれワイヤーをぶら下げ、
そのワイヤーの下には大きな網に入れられたゴモラが。
こうして寝ているうちに網に入れたゴモラを運んでしまおうという作戦だったのだ。



そのゴモラの到着地、
六甲山一帯に、万が一を予想して非常線が張られた。

だがなんと、その到着地には、あの怪獣殿下の姿が。
入口付近で警備員とモメているではないか
「ダメと言ったら絶対ダメだよ!」
「見てるだけだよ」
「万国博まで待ちなさい」
「それまで待てないよ」
「ダメダメ!さあ、早くうちへ帰って!!」

殿下とそのお付きの少年たちはにべもなく警備員に追い返される。
当然のことではあるが。

そこへ科特隊の車が乗り付けた。フジ隊員だ。
フジ隊員はゴモラ到着の時刻に合わせ、
やはり万一に備えて駆け付けたのだった。

「ご苦労様です」
「ゴモラは?」
警備員にあいさつを返す間も惜しむかのように、フジ隊員はゴモラ情報を尋ねた。
「あと10分で到着します」
あと10分。この間に何も起こらなければ、計画は成功ということになる。
フジ隊員は祈るようにビートルが飛んでくる方向を見つめていた。

この時、殿下たちが警備員の目を盗んで
万博会場内に進入したことなど全く気づくこともなく・・・

「いやあうまくいった。もうすぐ研究所に到着だ。ありがとうムラマツ君」
オオサカを目と鼻の先に捉え、ナカヤ教授は全く気を許していた。
ここまでくれば作戦は成功したも同然。
あとは万国博でどういう展示をするか。
ナカヤ教授はそのことを考え、心躍らせていた。



しかし、計算通りに行ったのはここまでだった。
突然、乱気流に突入したかのようにビートルの機体が大きく揺れた。
ゴモラだ。ゴモラが目覚めてしまったのだ。
見ればビートルの下で宙づりになっているゴモラはしっかりと目を覚まし、
自由を利かせようと大暴れしている。

「先生、これは一体どういうことですか。まだ5時間しか経ってませんよ」
一気に緊張に包まれるビートル機内、ムラマツキャップがナカヤ教授に向かい叫ぶ。
「恐らくUNGの効力が弱かったことと、気温の変化変化で目が覚めたんでしょう」
ムラマツキャップは2号機3号機に無線を飛ばした。
「ハヤタ、イデ、全速力で飛べば六甲まで5分だ。急げ!」

空の異常はすぐさまフジ隊員にも伝えられた。
「キャップ!どうしたんです!?」
いても立ってもいられないフジ隊員。
だが地上の彼女にはどうする事も出来ない。
スピーカーからムラマツキャップの声が響いてきた。
「フジ君!非常事態だ!ゴモラを研究所まで運ぶことはできん!
 このままではビートルが危険なんでゴモラを切り離すことにした!
 大至急付近一帯に人払いを頼む!」
「大丈夫です。会場には誰も入ってません」
フジ隊員は殿下たちが会場内に立ち入っているとは夢にも思わなかったのだ。

フジ隊員の報告を信じたムラマツキャップはついに苦渋の決断を下した。
「ハヤタ、イデ、ゴモラを切り離す。
 いいか!スリー・ツー・ワン・ゼロ!」
ビートルからワイヤーが切り離され、2000メートル上空からゴモラが落下した。
そして大音響とともに、ゴモラの体は強烈に地面に叩きつけられた。

ゴモラ落下を目の当たりにしたのは殿下一行だった。
突然空から降ってきたゴモラ。地面に叩きつけられた衝撃。
殿下一行はそのすべてを見、そして耳にした。



「ゴモラのやつ、木端微塵だ」
「せっかく大阪まで運んできたのに」
あの高さから落ちれば生き物なら間違いなく死ぬ。
誰もがそう思った思った中、殿下だけはゴモラの強さを信じて疑わなかった。。
「死なないよ。ゴモラは大怪獣だぞ。絶対死ぬもんか!」
殿下はきっぱりと言い放つ。

「空から落ちたんだから死んでるはずだよ」
「じゃあ見に行こうぜ」
怪獣殿下に恥じない、その臆せぬ行動。
「ボク、おっかないから帰るよ」
「弱虫!ケンちゃん行こう」
さっさと帰る仲間を見送り、殿下は更に前進した。

地上に叩きつけられたゴモラはぴくりともしない。
やはり死んだのか?
いや、動いた。確かに今、ゴモラが動いた。
「生きてる!」
「ボクの言った通りだろ」

覚醒したゴモラは2本の足でしっかりと立ち上がり、
そしてついに、凶暴なゴモラザウルスの性格を露わにしたのだった。



ゴモラ落下後に着陸し、様子をうかがいにきたナカヤ教授もこれには驚愕した。
「2000メートルの上空から落下しても死なないなんて、
 一体これは・・・ボクにはとても考えられん」
生物の法則に反するこのゴモラの頑丈さ。ナカヤ教授は言葉を失った。

だがムラマツキャップはすでに先を考えていた。
「どうします?」
すぐさまナカヤ教授の耳元でゴモラの処分を問うと、
さすがのナカヤ教授も生け捕りは断念せざるを得なかった。
「万国博ははく製で我慢します。お任せします」

互いにうなずき意思を確認したナカヤ教授とムラマツキャップ。
ムラマツキャップは即座に攻撃命令を下した。
「オオサカはすぐそこです。市民に不安を与えないためにも。
 ハヤタ、イデ、アラシ!3方から攻撃!」

かくしてこの万国博会場を舞台に、
科特隊自衛隊連合軍対大怪獣ゴモラの一大決戦が始まった。
勇猛果敢に最前線に飛び出すアラシ、ハヤタ、イデの3隊員。
科特隊主力の銃砲がゴモラを狙う。



ところが、撃っても撃ってもゴモラが弱る様子はない。
科特隊だけではない。自衛隊も総攻撃をかけているのだ。
それでもなおゴモラに対し、致命傷はおろかかすり傷ひとつ負わすことができないのだ。

その光景にアラシ隊員がうめいた。
「チクショウ、ヤツの体はまるで鋼鉄だぜ」
2000メートルの高さから落ちてなんともない怪獣。
これだけの砲撃を喰らってもなんともない怪獣。
さすがの科特隊もこれだけ強靭な怪獣は見たことがなかった。

しかもゴモラは、砲撃を喰らえば喰らうほど凶暴になっていくようで、
今にも自衛隊の戦車を踏みつぶさんばかりに接近してきた。
「ゴモラは落下のショックで元の生活力を取り戻し、恐ろしい怪獣に変身したんだ」
唸るナカヤ教授。戦況を見守るしかないムラマツキャップ。

ゴモラの左に走りこんだハヤタ隊員は、ここで殿下の姿を発見した。
「君たち!」
「あっ、科学特捜隊のハヤタ隊員」
「危ないじゃないか!」
「だってかっこいいんだもんかっこいいんだもん」
「さあ、すぐ帰るんだ。うちの人が心配してるぞ」
「やっつけるまで見せてよ」
「ダメダメ」

大戦闘が繰り広げられている最中、子供たちがいては危険極まりない。
ハヤタ隊員は無理やり殿下たちを追い返す。
「ちぇ、つまんないの」
ハヤタ隊員に叱られ追い返され、うつむき戻る怪獣殿下。

そのころ、先に帰った子供の母親が、殿下の母・・・以後殿下ママと呼ぼう・・を訪ねてきた。
「奥さん、大変よ!オサムちゃんが怪獣を見に行ったんですって!」
「えっ!?オサムが!?!?」
殿下ママは一気にパニックに陥る。
「うちの子は途中で怖くなって、今帰ってきたんだけど」
「どうしたらいいの?なんてバカな子なんでしょう」

ただただオロオロするばかりの殿下ママ。
折しもラジオからは、最新のゴモラ情報が流れてきた。
〜ゴモラの大阪侵入を食い止めるために、科学特捜隊が必至の戦いを続け、
 更に、自衛隊からは〜

窓の外でサイレンが響く。殿下ママはベランダにかけだした。
窓の下でパトカーが止まった。そして降りてきたのは、殿下だ。
「ママ!」
「オサムちゃん!!」
「ゴモラ見たよ!すごいんだ!!弾があたってもへっちゃらさ!!」
自分が危険に晒されたことなど全く感じることない殿下は、
母親の心配などよそに、ゴモラの話で一人盛り上がっていた。

科特隊、自衛隊連合軍の砲撃が白熱。砲煙であたりが真っ白になり、
ゴモラの姿すら確認できなくなった。
「攻撃やめ!」
自衛隊隊長が攻撃を中断させた。
一度ゴモラの姿を確認する。



白煙がおさまり視界が利くようになった。
だが、そこにゴモラはいなかった。
「すっ飛んじまったかな」
攻撃のすごさを目の当たりにしたナカヤ教授はゴモラ殲滅の期待を寄せたが、
ムラマツキャップは驚くべきひとつの光景を発見していた。
「あの土の盛り上がりは、ゴモラが地中に潜った印だ」

ムラマツキャップの指さすところ、確かに土が丸く大きく盛り上がっている。
ゴモラが地中に潜った!?ということは・・・
「するとゴモラは、いつどこに飛び出してくるかわからないんですか?」
ナカヤ教授は震えた声でムラマツキャップに問いかけた。

オオサカ市民は、ゴモラがどこに出現するかわからないため、恐怖のどん底に叩き込まれた。
一方、ナカヤ教授と科学特捜隊は、
見晴らしの良いオオサカタワーのゴモラ対策本部に集結した。
「今のところ、どこに姿を消したのか・・・」
皆目見当がつかないというムラマツキャップのもとに
パトロールから戻ったイデ、ハヤタ両隊員が駆け寄った。

「オオサカの街はまるでゴーストタウンです」
イデ隊員の言葉を横で聞いたナカヤ教授は思わずうつむいた。
「全て私の責任だ。科学者として恥ずかしい」

ムラマツキャップが紅潮した顔をナカヤ教授に向けた。
「今はそんなことを言ってる場合じゃありませんよ。
 それより早くゴモラを発見して始末することを考えましょう」
地中に潜るゴモラを引きずり出し、そして必ず始末する。
ムラマツキャップはオオサカタワーの眼下に広がる街並みを力強く見つめたのだった。



科特隊が躍起になって探すゴモラは、なんの縁であろうか、
殿下の住む団地のすぐそばに現れた。
近くの空き地で友達とウルトラマンごっこをして遊んでいた殿下は、
急に逆巻き立つ砂塵に体を硬直させた。
「あっ!」
「ゴモラだ。タケシ、みんなに知らせてこいよ」
「殿下は?」
「ボク、ここで見張ってる」



殿下は友達のタケシ少年を走らせると、自分はブルドーザーの蔭からゴモラを監視する。
しかしゴモラはまっすぐに殿下の方に迫ってくる。
殿下はブルの蔭から退却すると、工事現場の大きなくぼみに身をひそめ、
そばにあった棒きれをつかむと天に大きく振りかざし、
自分が最も信頼しているその名を叫んだ。
「ウルトラマ〜ン!!」

殿下の声はウルトラマンに届くのか?
今一度、高い空に向かって殿下は叫んだ。
「ウルトラマ〜ン!!」
すると、届いた。
殿下の声がウルトラマンに届いた。
はるか彼方の上空から、ウルトラマンが飛んでくる。

さっそうと地上に降り立ったウルトラマンは早速ゴモラと戦闘を開始した。
ゴモラはやる気満々で突進してくる。
軽く首投げでいなすウルトラマン。
だが、ここから一気に形勢はゴモラに傾いた。
怒り狂ったゴモラはウルトラマンに体当たりを敢行。
今度は軽く吹っ飛ばされるウルトラマン。



しかも、ゴモラは動きが早い!
ウルトラマンに起き上がる暇も与えず、そのパワーを持って踏みつける。
ウルトラマンはかろうじて跳ねのけ起き上がるが、
今度はゴモラの太いシッポが襲ってきた。
右から!左から!間断なくウルトラマンを襲うゴモラのシッポ。
あっけなくゴモラのシッポに吹っ飛ばされ、ウルトラマンは防戦一方。

その時、物陰からウルトラマンの戦いを見守っていた殿下の目の前に何かが飛んできた。
「あっ!!」
殿下が拾い上げたそれは、なんと、いつもハヤタ隊員が持っているベータカプセルだ。
殿下はすぐさまベータカプセルを拾い上げた。

強大なパワーを持つゴモラの前に勝機が見いだせないウルトラマン。
スペシウム光線で応戦しようとするが、
構える前にゴモラのシッポが飛んでくる。

ウルトラマンを支える太陽エネルギーは、地球上では急激に消耗する。
太陽エネルギーが残り少なくなると、カラータイマーが点滅を始める。
そして、もし、カラータイマーが消えてしまったら、
ウルトラマンは2度とふたたび、立ち上がる力を失ってしまうのである。
ウルトラマンがんばれ!残された時間はもうわずかなのだ!



ウルトラマンの意識は朦朧とし始めたころ、ゴモラは再び穴を掘り始めた。
またしても地中に潜ろうとするゴモラ。そのスピードが早い!

やっとの思いで片ひざついたウルトラマンがスペシウム光線の構えをとった時、
ゴモラはその姿をすでに地中に埋めていた。
カラータイマーが点滅する。エネルギーが残り少ない。
ウルトラマンはやっとのことで立ち上がると、大空へ戻っていった。

地球にきて初めて怪獣を仕留めそこなったウルトラマン。
そして再び地中に潜り、鳴りをひそめるゴモラ。
科特隊とウルトラマンに勝機は見いだせるのだろうか・・・

(27話前編に続く)

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