ULTRA WORLD
ウルトラマン


第27話後編

連絡を受けた自衛隊の火器部隊は、ただちに大阪城に向かった。
ゴモラ対策本部と連携をとり、ゴモラ出現を今か今かと待ち構える。

〜現在、科学特捜隊と自衛隊の火器部隊が、続々と大阪城に向かっています。
 500年の伝統ある我らが城も、ついにゴモラの手によって破壊されるのでしょうか〜
そんなゴモラ情報を伝えるラジオ放送が流れているこちらは殿下一家。

「あなた、これからでも間に合いますよ。
 早く、早く逃げましょう!」
「ゴモラは東に向かっているというじゃないか。
 だから、団地でじっとしてたほうがずっと安全なんだよ」
「冗談じゃないわよ。
 オサム、手伝ってちょうだいよ」

相変わらず、せわしなく動き回る殿下ママだったが、
怪獣殿下は大切なことに気づいていた。
「そうだ、これをウルトラマンに届けなくっちゃ」
その手にあるのは、そう、あの時拾ったベータカプセル。
怪獣殿下はパパとママの目を盗み、
ウルトラマンにベータカプセルを届けるべく、こっそりと家を抜け出した。

待ちに待ったニューヨーク支部からの連絡が、ゴモラ対策本部に入った。
「もしもし、はい、そうです。どうぞ、繋いでください。
 キャップ、ニューヨーク支部から国際電話です」
フジ隊員から奪うように受話器を受け取るムラマツキャップだったが、
その顔が硬直したのは、その受話器を耳にあてた直後のことだった。
「なんだって!?」
ムラマツキャップはナカヤ教授に向かって叫んだ。
「スミス博士のところに、UNG弾の在庫がないそうです」
ナカヤ教授は愕然とし、失意にうなだれた。

「あっ、ゴモラの動きが止まったわ!」
ビーコンを監視していたフジ隊員が叫んだ。
いよいよ最終決戦。自衛隊火器部隊は攻撃準備を整えた。

土ぼこりが上がった。ゴモラだ。
逆巻く土埃の中からゴモラが姿を現した。
それを待っていた自衛隊の一斉射撃が始まった。



科特隊主力もちょうどその時オオサカ城に到着した。
「予想通りゴモラ出現。自衛隊と協力して、撃滅します」
イデ隊員の通報を合図にオオサカ城に躍り出る科特隊メンバー。
ハヤタ隊員はウルトラマンになれない。
UNG麻酔弾も来ない。
それでもゴモラを始末しなくてはならない。
果たして科特隊に勝機はあるのだろうか。

ハヤタ隊員たちが戦闘態勢に入った時、すでに自衛隊の激しい砲撃が繰り出されていた。
何が何でもゴモラのオオサカ城侵攻は阻止する。
自衛隊は手を休めることなくゴモラへの砲撃を続けた。



しかしゴモラは相変わらず強靭だった。
自衛隊の砲撃をものともせず、易々と城壁をまたぎ、
一気に自衛隊の布陣へと接近してくる。
「くそ〜、しぶといヤツだ」
アラシ隊員が歯ぎしりするがどうする事も出来ない。

ハヤタ隊員の通信機が受信をキャッチした。
「こちらハヤタ」
「ムラマツだ。3度目の正直、今度こそゴモラを叩き潰すんだ。
 ゴモラを運んだのは我々だ。科学特捜隊の名誉挽回のためにも、
 ゴモラからオオサカ城を守ってくれ!」
「がんばります!」

悲壮なまでのムラマツキャップの通信に、3人は決意を固めた。



「行こう!」
激しい攻防が繰り広げられているオオサカ城内。
ハヤタ、アラシ、イデ各隊員はゴモラ殲滅を胸に突入を開始した。



そのころ城下では、警備に当たっている警官に一人の少年があることを訴えていた。
その少年とは、もちろん怪獣殿下である。
殿下はハヤタ隊員にベータカプセルを届けるためにここにきた。
本当は直接ハヤタ隊員のところまでベータカプセルを持って行きたかったのだが、
それがかなうはずもなく、警備に引っかかってしまったのだ。

警官は怪獣殿下に理由を尋ねた。
「用事?誰に用事があるんだ」
「科学特捜隊の人にこれを渡したいんだ」
「なんだこれは」
「おじさんには分からないけど、とても大事なものなんだ」
「ボウズ、これを届けるためにわざわざ来たのか?」
「そうだよ。だから早く通してくれよ」

この時警官に直感が走った。
「よし、じゃああれに乗ってけ」
「ホント?」
「うん。さ、早く早く」
あわてたのはもう一人の警官である。
「ヨシムラ!この非常事態にいちいち子供の言うことを!?」

しかし、ヨシムラ、と呼ばれた警官は意に介すことなく、
「子供は正直っていうからな。それに、ちょっと気になるんだ」
さっさと殿下をパトカーに乗せ、科特隊のところへと向かったのである。

「オレはゴモラの横から攻撃する」
言うが早いかハヤタ隊員はゴモラの横方向に展開した。
オオサカ城天守閣のすぐ前まで接近してきたゴモラを抑えるべく、
二方に別れて攻撃を加える科特隊。
そして雨あられの一斉射撃を繰り返す自衛隊。

だがゴモラの前進は止められなかった。
そしてゴモラは天守閣の前で足を止め、ついにその一撃をオオサカ城に加えたのだった。



木端微塵に吹き飛ぶ天守の瓦。
恐るべきパワーを持つゴモラの前に、
500年の歴史を持つオオサカ城は、見る見るうちにその美しい姿を崩していく。
そして数分の後、ゴモラの怒りの前に、
オオサカ城は見る影もなく全壊してしまった。

それでもなおゴモラは前進してくる。
オオサカ城を壊滅させたくらいでは、ゴモラの怒りは収まらなかった。
自衛隊の火器部隊も蹴散らされ、戦局は益々不利になっていく。
マルス133で応戦するハヤタ隊員も、じりじりと後退を余儀なくされていた。

ゴモラのパワーに押され、退却を余儀なくされる科特隊。
ハヤタ隊員が後退を迷ったその時、背後からハヤタ隊員の名を叫ぶ声がした。
「ハヤタさ〜ん!」
その声にハヤタ隊員が振り向くと、一人の少年が駆け寄ってくる。
「危ない!ここは危険だ来ちゃいかん!!」
あわてて諭すハヤタ隊員だが、少年は不服そうにつぶやいた。
「ちぇ、ボク、せっかくこれを持ってきてあげたのに」



「あっ、君は」
その言葉でハヤタ隊員は、この少年が誰だったかを思い出した。
「ボク、怪獣殿下だよ。だから何でも知ってるんだ。
 これ、ウルトラマンの大事なものなんだよ。
 だってウルトラマンとゴモラが闘ってる時に拾ったもん」

殿下の手に握られていたのは紛れもないベータカプセル。
殿下は命がけでウルトラマンにこれを届けようとしたのだ。
「ありがとう怪獣殿下。ウルトラマンもきっと喜ぶよ。
 さ、ここは危険だから向こうに行ってて」
ハヤタ隊員は殿下が安全圏まで逃げたことを確認し、
そして、ついに、殿下から受け取ったベータカプセルを天高く突き上げたのである。



ウルトラマンの登場だ!
ゴモラとの再戦。負けるわけにはいかない。

またこいつか。ゴモラが余裕で突っ込んでくる。
そんな突進は怖くない。ウルトラマンは軽く首投げでゴモラを地面に転がした。

転がされて怒りのゴモラ。ここまでは前回の戦いと同じパターンだ。
しかし、ゴモラはいまだに自分にシッポがあると思っていたのだ。
自慢のシッポで一撃を加え、前回同様ウルトラマンをノックアウトしてやろうと考えていた。
だが、今のゴモラにシッポはない。
ゴモラはただ、ウルトラマンの前でフラダンスのようにお尻を振っているだけだ。



科特隊の攻撃がウルトラマンに勝機を与えたのだ。
余裕のウルトラマンはゴモラの背後から蹴りを入れると、
ゴモラはもんどりうって顔面から地面に突っ込んだ。

間髪入れずにウルトラマンはゴモラに馬乗りになり、
頭部にある2本の角をつかんでゴモラの顔を地面に叩きつける。
自慢のパワーでこれをはじき返すゴモラ。だがシッポがないのは致命傷だった。
倒れこんんだウルトラマンに放つ二の矢がない。



しかたなく蹴りを入れようとウルトラマンに接近したところを、
足をすくわれあっさりと形勢逆転。
シッポのないゴモラはウルトラマンにとって、もはやただの怪獣。
頭から突っ込んだところをウルトラマンはがっちりと抑えこみ、左の角をもぎとった。

さすがのゴモラもこれでグロッキーだ。
またしても地中に逃げようと地面を掘りだすが、もはや体力がないのか穴が掘れない。

余裕で近づくウルトラマン。
ゴモラのお尻をつかんで放り投げると、頭部めがけてスペシウム光線をお見舞いした。



ゴモラの最後だ。
がっくりと膝をつき、そのまま仰向けに倒れこみ、ゴモラは二度と動かなくなった。

激しい戦闘だった。

「とうとう死んじまったか。
 憎むべき奴だったが、可哀そうなことをした」
ジョンスン島での発見からずっとゴモラと付き合ったアラシ隊員は、
少々後味悪そうにつぶやいた。



「うん・・・はく製にして、万国博の古代館に飾ってやろう。
 オオサカ城は500年だが、ゴモラは1億5000万年前の遺産だからな」
それはイデ隊員も同様であった。
戦いを終え、少しのむなしさを覚えた二人は、オオサカ城の石段を、後ろ髪惹かれるように降りて行った。

そのころ怪獣殿下はハヤタ隊員と再開していた。
「ハヤタさ〜ん!」
「君のおかげで、ウルトラマンも無事ゴモラをやっつけることができたよ」
「そうか!すると、するとボクはウルトラマンのために役に立ったんだね」
そのとおりだ。殿下の働きがなかったら、ハヤタ隊員はウルトラマンになれなかった。
そうなれば、戦局はどう転んだかわからないのだ。

殿下、お手柄!
しかし・・・
「しっ!」
ハヤタ隊員が口にチャック!
おっと!その辺はみんなに秘密だった。
「誰にも言っちゃダメだよ。これはボクからのプレゼントだ」
ハヤタ隊員は胸の流星マークをそっと殿下の胸につけてあげた。
「絶対に言わないよ。ハヤタさん。これ前から欲しかったんだ」
得意満面の怪獣殿下。

夕日の中を飛ぶビートルより殿下の通信機へ。
「ハヤタより殿下へ。
 あんまり怪獣に夢中にならないで、これからはしっかり勉強するんだぞ。いいかね?」
「了解了解。もっかがり勉中。
 がんばりますからハヤタさんも元気でね」
怪獣の絵を夢中になって書きながら、怪獣殿下は無線に応えたのであった。

一人の少年の勇気ある行動で、ウルトラマンと科特隊が勝利することができた。
一人の少年の勇気で再び平和がおとずれたのだ。
怪獣殿下、ありがとう!

あとがき
久々のウルトラワールド更新は2話連続という離れ業で(笑)
これは正直疲れました(o|o)

今回活躍してくれたのはゴモラ。
1億5000万年前の恐竜ゴモラザウルスの子孫だそうです。

光線技も持たず、火炎を吐くこともできない。
しかし強靭な体から生み出される強力なパワーの前に、
さすがのウルトラマンも一度は敗退してしまいます。
恐ろしい怪獣でした。

元々はジョンスン島で眠っていたのですが、
なんの偶然かナカヤ教授が行った時にたまたま起きてしまったのが運の尽き。

ゴモラにしてみれば、「冗談じゃねえよ!どこ連れてく気だよ(-"-)」っていう感じですよね。
そういった意味ではゴモラは一番の被害者で、
人間のエゴ、という面がクローズアップされた、これもいい作品だったと思います。

それと、当時行われた大阪万博もテーマになっていましたね。
大阪万博に出品するためにゴモラを生け捕りにしようとして失敗。
更にはその復讐で大阪城を襲うゴモラ。

このあたり、当時の万博を巡るなにかを言わんとしているのでは??
と感じる部分でありました。
大きなイベントがあれば賛否両論ある。
ゴモラにかこつけて、万博に物申す、的なお話だったのかもしれませんね。

ともあれ今回のお話のMVPは、27話後編に登場した、
怪獣殿下をパトカーに乗せてハヤタ隊員の元まで送ったあの警官さんじゃないでしょうか。

普通であればかなりの非常識ですが、
「なんか気になるしな」といって簡単にパトカーを出すあたり、
う〜む、この警官、ただ者じゃないな、と唸ってしまいました(笑)
警官さん、あなたのおかげでハヤタ隊員はウルトラマンに変身できましたよ(^_^)v

さあ次回28話は、

サンプル採取のためにはるか彼方からやってきた宇宙人。
ムラマツキャップの運命は!?

一度見たら忘れない、こんな濃いキャラが登場します。



次回もぜひお付き合いください。

今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました

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