ULTRA WORLD
ウルトラマン


第29話後編

地中でベルシダーから思わぬ攻撃を受けたゴルドンは、
前足でベルシダーを払いのけ、地上に姿を現した。

もちろん地上では、ハヤタ、アラシ、フジが待機している。
一度取り逃がしたアラシ隊員は、今度こそと息巻き、
休む間もなくゴルドンにロケット弾を浴びせた。



しかしゴルドンは弱る様子はない。
「ちきしょう、しぶといヤツだ。ロケット弾がもうない」
全段撃ち尽くした。それでも仕留められないとは。

だがここでハヤタ隊員が一計を案じた。
「アラシ、ヤツは地底怪獣だから光に弱いはずだ。
 着陸してコロナ弾を目に撃ち、できるだけ近寄って心臓を撃つんだ」
「了解!」
早速ビートルを着陸させるアラシ隊員。

コロナ弾を抱えるハヤタ隊員を先頭に、アラシ、フジ両隊員がゴルドン目指して走り出す。
しかしゴルドンは大きい。
しかも先ほどまでさんざんロケット弾を撃ち込まれ、
怒りにまかせて大暴れの真っ最中。

ゴルドンがシッポで大地を強く叩いた。
大地はまるで地震のように揺れ、、ハヤタ隊員たちはその波にのまれた。
「危ない!」
ハヤタ、アラシの両隊員はなんとか踏ん張ったが、
フジ隊員は耐え切れず、崖下に転落。

「アラシ、コロナ弾を頼む!」
ハヤタ隊員はフジ隊員救助に赴く。
「了解、フジ君は任したぞ」
「よし!」
アラシ隊員はコロナ弾を抱え、ゴルドンに更に接近した。

崖下に転落したフジ隊員は意識はあるものの、頭部に負傷を追い出血している。
「大丈夫か?」
気遣うハヤタ隊員だったが、
「早く怪獣を」
フジ隊員は怪獣のことしか考えていない。
「アラシが今コロナ弾を撃つ」
そして二人が見守る中、前線のアラシ隊員が放ったコロナ弾の閃光が光った。



目もくらむような閃光にゴルドンは完全にグロッキー。
そしてこの機を逃がすものかとハヤタ隊員がゴルドンの心臓にスーパーガンを撃ち込む。
さすがのゴルドンもこの攻撃には耐えられなかった。
ゴルドン撃破。科特隊の完全勝利だ。

「やったやった!キャップ、ゴルドンを倒しました」
喜び勇んでムラマツキャップに勝利の報告をするアラシ隊員。
「ハヤタ、アラシ、フジ、よくやった!異常はないか!?」
「フジ隊員が負傷しました」
「なに?すぐ病院へ運べ!」
フジ隊員の負傷を聞いたムラマツキャップは即座に病院行きを命令するが、
「キャップ、たいしたことないわ。
 それより早く上がってきてください。
 黄金の胴がキラキラ輝いて、とてもきれいだわ」
病院行きを拒絶し、フジ隊員は気丈に答えた。

ロマンティックなフジ隊員の言い回しだったのだが、
ムラマツキャップの答えは地上にいる3人を一気に現実に引き戻した。。
「ところがそうはいかんのだ。
 さっきゴルドンと闘った時のショックで、ベルシダーが故障した」
「えっ?故障!?」
アラシ隊員が聞き返す。
「今、イデが修理中だ。そのうち動くだろう」

「何だイデ!そんな未完成なシロモノにキャップを乗せたりして!!
 万一のことがあったらどうするんだ!!!」
アラシ隊員のどなり声が地中に響いた。
イデ隊員は顔中泥だらけになりながら、そのどなり声を聞いていた。
「そんなこと言ったってゴルドンに振り飛ばされれば故障ぐらいしますよ」
渋々修理を続けるイデ隊員だったが、エンジン点火スイッチを入れると、
「動いた!キャップ、動きますよ!!」
ベルシダーが前進した。これで帰れる。

しかし問題はここから始まったのであった。
「キャップ大変!カジが利きません。
 このままだと地球の真ん中を通り抜けて、向こう側に出てしまいます」
「あわてるな落ちつけ、ブレーキをかけるんだ」
「だってブレーキも故障なんです。止まらないんですよ」

地中でのやり取りは地上に敏感に反映した。
「キャップ、どうしたんですか、なにかあったんですか、キャップ!」
「ハヤタか、動いたのはいいが今度はブレーキが利かなくなってしまったんだ」
ムラマツキャップの叫び声が無線から伝わる。

地中ではイデ隊員から悲痛な報告がムラマツキャップに入ってくる。
「空気が濁ってきました。予備のボンベを使ってもあと10分しか」
ムラマツキャップは努めて冷静にイデ隊員に話をした。
「落ち着くんだイデ。この操縦装置は自動車と同じだな。
 バックにはギアのチェンジで入るんだな」
「だって、ギアが、入らないんですよ」
今にも泣き出しそうなイデ隊員だが、ムラマツキャップはあきらめていない。
「よし、操縦はオレが代わる。イデはギアとブレーキを調べてくれ」

しかし脇にあった温度計の目盛りに目をやった時、
さすがのムラマツキャップも不安に襲われた。
「摂氏50度。イデ、冷房装置も故障したぞ」
「私の責任です」
イデ隊員の落ち込みは激しかった。
もともと責任感の強い彼は、今回のそれを一身に背負ってしまった。

だが今は反省などしてもなんの解決にもならない。
「バカなことを言うな!努力を続けろ!
 最後まであきらめないのが科学特捜隊の精神だ!!」
ちょっと自分が弱気になったせいで隊員を失意の底に突き落としてしまった。
ムラマツキャップは必死にイデ隊員を勇気づけた。

「アラシ、フジ隊員を早く病院に運んでくれ」
地上では重傷を負ったフジ隊員が限界だった。
「しかしキャップが」
ムラマツキャップの安否もある。
後ろ髪ひかれる思いのアラシ隊員だが、
「オレたちが地上でうろうろしててもキャップの危機が救えるもんじゃない!
 それより早くフジ隊員を病院に運ばなきゃ」
ハヤタ隊員は一喝する。

「私は大丈夫よ。キャップの無事な姿を見るまでは、病院なんて」
相変わらず気丈に振る舞うフジ隊員だったが、ハヤタ隊員は認めなかった。
「アラシ早く行くんだ。さあ、アラシ早く!」
「分かった。フジ君を病院に置いたら、すぐ戻って来るからな。いいな!」
コロナ弾をハヤタ隊員に渡し、フジ隊員をつれ、病院に向かうアラシ隊員。
「頼むぞハヤタ!」
叫ぶアラシ隊員に深くうなずくハヤタ隊員だった。



「ギアが直りました。バックに入れてください」
元気が戻ったイデ隊員の叫び声を聞き、ムラマツキャップがギアをバックに入れた。
ベルシダーは前進を止め、地上に向けてバックで走り出す。

「よかったぁ〜」
ムラマツキャップもイデ隊員も、今度こそ安堵の表情を浮かべた。
「ハヤタ、ハヤタ、故障が直った。地上へ戻る」
ムラマツキャップは修理完了の旨を地上に伝え、無線を置くとイデ隊員と顔を見合せて笑った。
今度こそ地上へ戻れる。
しかし、ベルシダーを襲う魔の手は、これで振り払われたわけではなかったのだ。

突然激しい衝撃がベルシダーを襲ったのだ。
「どうした!?」
「何かに、絡まりました」
ベルシダーは原因のわからない横揺れに遭い、翻弄されている。
「ベルシダーは前後の圧力には強いんですが、こう横に引きずられては、いつ壊れるか」

たった今脱出の通信を送ったばかりなのに。
「キャップ、キャップ、どうしたんです?キャップ」
ハヤタ隊員の声がベルシダー内に響く。
「何かわからん地底の怪物につかまった!もうダメだ!」
ムラマツキャップも万策尽きた。

だが、怪物、の声を聞いて目覚めた者一人。
「怪物???ゴルドンだ!!ゴルドンだ!!!」
そう、地中で救助したあの男が、この衝撃で目を覚ましたのだ。
「ゴルドンは地上にいる科学特捜隊が始末した!」
イデ隊員が叫ぶが、男はそんなことを聞くはずもなく、
「降ろせ!ゴルドンがいるんだ!」
そう言ってハッチを開け外に出ようとする。

「何をするんだ!」
イデ隊員が飛びかかり、男を抑え込んだ。
しかし男にはゴルドンしか見えていない。
「ゴルドンだ!ゴルドンがいるんだ!!」
やむを得んとばかりにイデ隊員が男を突き飛ばすと、
男は壁に頭をぶつけ、再び気を失った。

異常音がする。イデ隊員がそれに気づき確認する。
「キャップ!酸素タンクが破れています!」
その報告を聞いたムラマツキャップの視界には、
見覚えのある1匹の怪獣の姿が映っていた。
「ゴルドン!!ゴルドンは1匹じゃなかったのか」
誤算だった。まさかゴルドンが2匹いたとは。

「キャップ、酸素メーター0!空気が汚れてきました」
目の前にゴルドン、酸素は0。
ベルシダーは未知の世界ともいえる地中で最悪の状況に追い込まれた。
ゴルドンは暴れ狂い、弾き飛ばした岩のかけらがベルシダー本体を直撃した。
ベルシダーは壊滅的打撃を受け、もはや操縦不能となった。
「ダメです。操縦装置は、メチャメチャです・・・
 光線銃も、撃てません・・」

完全沈黙したベルシダーにゴルドンが迫ってくる。
だがムラマツキャップもイデ隊員も、もはや体力を消耗し、
動くことさえままならない。
「チキショウ・・・チキショウ・・・光線銃が放てればなあ・・・・」
悔しそうにゴルドンをにらみつけるイデ隊員だが、もはやどうする事も出来ない。

「空気の汚染度、80」
「万事・・・休すだ・・・」
もはや動く力も残っていない。酸素もない。
ムラマツキャップも失意に支配された。
二人はただ黙って、ゴルドンに踏みつぶされるのを待つしかなかった。



しかしイデ隊員はその時あることに気がついた。
「そうだ、地底魚雷が1発あったぞ。
 こうなったら、ヤツを地上に追い出すんです」
設計者だからこそ気づいたのだろう。

だがそれは、切り札、と呼ぶべきものではない。
最後の最後、どうせダメならせめてゴルドンを地上に追い出し、
地上で待つハヤタ隊員たちの手で始末してもらおうという、
自らの帰還はまったく考えていない、
ただ、ゴルドンを退治するためだけに放つ一発なのである。

「よし、やってみよう」
ムラマツキャップが、最後の命令を下した。
イデ隊員が地底魚雷の発射ボタンに手を伸ばす。
だが受けたダメージが大きい。もう体が動かない。
「よし、オレがやろう」
ムラマツキャップが手を伸ばした。
ゴルドンはもうそこまで迫っている。
せめて一発。最後の一発をお見舞いしなければ・・・
必死の形相でスイッチに手を伸ばすムラマツキャップ。

届いた!魚雷発射スイッチに手が届いた!
ムラマツキャップは全ての思いをこめ、スイッチに届いた指先にありったけの力を込めた。
地底魚雷は狙いを外すことなくゴルドンに命中。
驚いたゴルドンはあわてて体を反転させ、地上へ逃げて行った。

そして、地上では、ゴルドン出現と同時にハヤタ隊員がベータカプセルを天高く突き上げたのだった。



ウルトラマンの登場だ。

ウルトラマンはゴルドンに馬乗りうになり、長い首を絞める。
ゴルドンは長いシッポを巧みに使い、ウルトラマンを振り落とそうと躍起になる。
両者互角の戦い。

しかしウルトラマンが一枚上手だった。
ゴルドンの長い首とシッポを逆手にとり、尻尾を首に巻きつけた。



こうなるとゴルドンは全く自由が利かない。
やっと尻尾を首から外したと思ったら、そこにウルトラチョップをお見舞いされる。
更にはジャイアントスイングで叩きつけられ、弱ったところをスペシウム光線だ。



どうと倒れたゴルドンは、断末魔を残して絶命した。

しかしまだ事は片付いていない。地中ではベルシダーが、
ムラマツキャップとイデ隊員が地中で瀕死の重傷を負っているのだ。
休む間もなくウルトラマンは地中深く潜っていった。



気を失っていたムラマツキャップが目を覚ました時、
窓の外からはまぶしい光が差し込んでいた。
「おいイデ、イデ」
ムラマツキャップはイデ隊員をゆすり起こした。
いったい何が?どうなっているのだ?

ムラマツキャップとイデ隊員は、周りの状況を急には理解できなかった。



だが、ベルシダーのモニターに偶然映っていたその雄姿を見て、
ムラマツキャップは全ての状況を把握した。
「ウルトラマンが助けてくれたのか」
「よかったなあ・・・」
二人とも顔は土と汗で汚れ、真黒である。
そして、またしても目を覚ましたあの男も。

黄金怪獣ゴルドンの死体からは、150tの純金が取れた。
科学特捜隊は、ゴルドンのために全滅したムロオ町の復興資金として、
その金を町に進呈したということである。

あとがき
今回は、黄金怪獣ゴルドンが活躍してくれました。
金を食べるというとんでもない贅沢な怪獣です。

それほど強いとは思わないのですが、地中にいるというのが厄介で、
さすがの科特隊も思わぬ苦戦を強いられ、ムラマツキャップも一度は死を覚悟したほどです。

しかも2匹いた、というのは意外でした。
私はこのお話、記憶になかったので、
本編を見ていた時、思わず「やられた!」と叫んでしまいました。
怪獣は1匹、というのは規定概念。
そう思い込んでしまったところにも科特隊苦戦の原因がありましたね。

科特隊は今回、ずいぶん被害を出しました。
ベルシダーに乗り込んだムラマツキャップとイデ隊員。
それにベルシダーも使用不能。

更に地上ではフジ隊員が負傷。
最後までまともだったのはハヤタ隊員とアラシ隊員だけという惨状。

この結果を見れば、やはりゴルドン大活躍、と言えるでしょう(笑)
ゴルドンさん、本当におつかれさまでした<(_ _)>

さて次回30話は、とても悲しいお話。
雪山の少女、忌み嫌われるその訳とは・・・
こんな真っ白なやつが登場です。



次回もぜひお付き合いください。
今回もまた、長文にお付き合いいただきありがとうございました。

このページのTOPへ