ULTRA WORLD
ウルトラマン


第31話後編

レストルームでケロニアに遭遇し、気を失っていたフジ隊員が発見されたのは、
ハヤタ隊員たちが帰還して間もなくのことだった。
ハヤタ、アラシ、イデの3隊員は休む間もなくレストルームに向かい、
ゴトウ隊員から事情聴取を開始した。

「現場の状況からして、フジ君を襲った何者かは
 あの衣装ケースの中に潜んでいたものと思われますが」
「不思議ですね。私がいる間はなんともなかった。
 フジ隊員が入ってきたのは、
 私が出掛けてからあまり時間が経っていなかったはずです」
ハヤタ隊員の質問に対し、ゴトウ隊員は表情を変えず、冷静に受け流そうとする。



その間に、アラシ、イデ両隊員は部屋内をくまなく調査しているが、
「おい、別に変った所は見当たらないな」
クローゼットを調べ終えたアラシ隊員が首をひねりながらハヤタ隊員に伝えた。

ゴトウ隊員は部屋の隅にある黒い機械に手をつき、
3人を見つめている。

ゴトウ隊員が手をかけていた機械が突然作動しはじめた。
あわてた様子でゴトウ隊員が機械から離れる。
「おっ?あれえ??さっきオレがいじった時は、
 うんともすんとも言わなかったのに、変だな」
機械音に反応したイデ隊員がすぐさま近寄り様子を見た。

「どれどれ、そんなバカなことがあるかい。
 はぁ?おかしいなあ」
アラシ隊員も近寄って、何がしかといじってみるが、
機械は停止し、うんともすんとも動かない。
「未完成の機械です。接触不良でしょう」
ゴトウ隊員は事もなげに言う。

「荷物はあと、このスーツケースだけですね」
「そう、それは着るものだけ」
洋服の入ったケースを指差すハヤタ隊員をにらみつけ、
ゴトウ隊員はぶっきらぼうに答える。

だがハヤタ隊員はゴトウ隊員を見ず、
その後ろにいるアラシ隊員とアイコンタクトを交わした。
「あ、ゴトウ隊員、フジ君を襲ってからの賊の行動ですが、
 ちょっとこちらへ」
ハヤタ隊員の意図を察したアラシ隊員は、ゴトウ隊員を部屋の外に連れ出した。

誰もいなくなった部屋でハヤタ隊員は、
ゴトウ隊員のスーツケースに手を伸ばした。
ハヤタ隊員はこのスーツケースが怪しいとにらんでいたのだった。
ケースを開け、中の洋服を取り出し、仕切り板をどける。
すると、ハヤタ隊員のにらんだとおり、
その中には奇妙な緑色の物体が収められていたのであった。

ハヤタ隊員は緑の物体を手早く採取し、
何事もなかったかのようにスーツケースを元に戻した。



奇妙な植物の一部は、ハヤタ隊員によって、ニノミヤ博士の元へ届けられた。
「これはまぎれもない、吸血植物ケロニアだ。
 ゴトウ先生が発見した当時から比べると、驚くべき進歩を成し遂げている。
 もはや、人間をしのぐ、高等生物に進化してしまっているんだ。
 それにしても、先生の息子と偽って、こんな恐ろしいものを持ち込んできた、
 あのゴトウという男は一体・・・」

だがさすがのニノミヤ博士も、ハヤタ隊員が採取し持ち込んできたこの緑の物体が、
ゴトウ隊員と通信を取れるとは思っていなかった。

事情聴取が一通り終わったゴトウ隊員は、
先ほどいきなり作動した黒い機械=緑の物体との通信機を使い、
ハヤタ隊員によって持ち去られた仲間の居場所を突き止めたのである。
「分かった。ニノミヤ博士を殺す」
ゴトウ隊員はニノミヤ博士抹殺のため、レストルームを抜け出した。

急を要する研究を続行するニノミヤ博士は、一つの事実をつかんでいた。
「それにしてもおかしい。
 この植物から採取される液体は、人間の血液の組織そっくりだ。
 ひょっとするとケロニアは、人間の地だけを吸って生きているのではないか」

ニノミヤ博士の出した結論はとても恐ろしいものだった。
なんとケロニアは、人間だけを狙って襲っていたのだ。
ニノミヤ博士は今、その事実をここに突き止めたのである。

「これはなんという恐ろしいことだ」
驚愕の事実に青ざめるニノミヤ博士。
その時、研究室の扉が開いた。
驚き振り向くニノミヤ博士の視線の先には、
殺気に満ちたゴトウが立っていた。

「あっ!分かったぞ!ついにお前の正体が読めたぞ!!」
その殺気で、ニノミヤ博士はすべてを理解した。
ゴトウがケロニアだということを。

ゴトウはついに、ニノミヤ博士の前でケロニアの姿に変化し、
ニノミヤ博士を抹殺すべく行動を開始した。
部屋の隅に追いつめられたニノミヤ博士はライフルで応戦するが、
ケロニアにライフルは効かず、
逆にケロニアの麻酔光線を浴び、意識を失ってしまった。



あとは殺すだけ。
ケロニアはゆっくりとニノミヤ博士に近づいた。
その時、研究室にハヤタ隊員が飛び込んできた。
科特隊はケロニアが動く事を予測し、ずっとレストルームを張り込んでいたのである。

ケロニアはハヤタ隊員を突き飛ばし、部屋を飛び出した。
「待て!この怪物め!」
後を追うハヤタ隊員。
入れ違いにアラシ、イデ両隊員が研究室に入ってきた。
「あっ!ニノミヤ博士!
 大丈夫ですか、博士!」
アラシ隊員が気を失っているニノミヤ博士を発見、救助した。

そしてイデ隊員は、
机の上にあったニノミヤ博士の研究結果が書かれた書面を見つけ出した。
「ケロニアは驚くべき高等生物として、我々の目の前に現れた。
 彼らは他のどの動物よりも、人間の血のうまいことを発見し、
 ついに人間制服の野望を・・・
 そうか、あのゴトウのやつ、実は吸血植物が化けていたのか」
ニノミヤ博士のレポートのおかげで
イデ隊員にもすべての謎が解けた。



逃げるケロニアはハヤタ隊員の追跡を振り切れず、
これまでとばかりビルの谷間で巨大化した。
建物を打ち壊し、巨大化したケロニアは暴れ狂う。
そしてケロニアは、
ついにその計画の全容を明らかにしたのだった。

「奢れる人間ども。
 もうお前たちの世界は終わりだ。
 我々植物人間がお前たちに取って代わるのだ。
 海の向こうから我々の仲間が来る。
 我々はついに高度の文明を持つようになり、
 お前たち人間どもを滅ぼして、植物人間の王国を打ち立てるのだ」

植物人間の開発したエアシップコンビナードは、続々と各地に飛んでいく。
地球上が植物人間の手によって征服されるのも、あと数時間に迫っていた。
防衛隊が必至にケロニアを攻撃するが、ケロニアは全くダメージを受けてはいない。

「科特隊全員に緊急連絡。
 ビートルによる特殊攻撃に切り換える。
 ただちに本部に帰還せよ。全員本部に帰還せよ!」
ムラマツキャップの緊急指令が飛んだ。
アラシ隊員とイデ隊員は即座に車に乗り込む。
が、ハヤタ隊員はその命令を無視し、
一人ケロニアの暴れる方に向かって走り出した。

「ハヤタ!おいハヤタ!おいハヤタ!
 聞こえんのか!!!」
アラシ隊員が叫び制止するが
ハヤタ隊員は振り向きもせず、建物の向こうに姿を消した。

そして薄暗い倉庫に入ったハヤタ隊員は、
誰もいないことを確認すると、
ポケットからベータカプセルを取り出し天高く突き上げたのである。



ウルトラマンの登場だ!
突然目の前に現れたウルトラマンに、ケロニアは闘志満々で向かっていく。
だが格闘となればウルトラマンの方が一枚も二枚も上だ。
背負い投げ、巴投げ。ケロニアはウルトラマンにいいように投げられ、
地面に転がされるばかり。



ついにケロニアが観念した。
座り込み、両手を合わせ、ウルトラマンに降伏の意を示す。
一度は腕を十字に組んだウルトラマンだったが、
ケロニアの態度に反省を見たのか、両腕を下げた。

これがケロニアの狙いだった。
油断したウルトラマンを狙い、ケロニアは麻酔光線を撃ち込んだ。
しかし全てをお見通しのウルトラマンは、ケロニアの反撃をきっちりと防御し、
今度こそスペシウム光線をお見舞いした。



だが、効かない。
スペシウム光線が効かない。
以外に強靭な皮膚をもったケロニアは、
反撃とばかりウルトラマンに襲いかかった。
組み合う両者。お互い一歩も譲らず、ここで戦いは互角となった。

そのころ上空では、ビートルに乗り込んだムラマツキャップ、アラシ、イデ両隊員が、
ケロニアのエアシップを撃滅すべく戦いを挑んでいた。
「キャップ、あれです!あれがケロニアが乗っているエアシップです」
「ミサイル攻撃用意」
「用意よし」
「撃て!」
アラシ隊員の狙いは寸分狂うこともなくエアシップをたたき落としていく
だが、あまりにも数が多い。

「キャップ、これじゃあ弾がなくなってしまいます。
 掃いても掃いても落ちてくる、枯れ葉みたいなものじゃありませんか」
そうは言うものの、イデ隊員に策はなく、
「チクショウ!猫の手も借りたいってのに、ハヤタは一体何をしてるんだ」
アラシ隊員も、走り去ったハヤタ隊員に八つ当たりする始末。
世界征服の野望をあきらめないケロニアと
青い空に無数に散らばるエアシップ。
ビートル1機ではとても太刀打ちできない。

そのハヤタ隊員は今ウルトラマンとなり、巨大化ケロニアと死闘の真っ最中だ。
背後からギリギリと締め付けるケロニア。
カラータイマーが点滅を始めた。



ここにきてケロニアの動きが急にすばやくなった。
まさか、またここで進化をしたというのか。

これ以上長引けばウルトラマンが不利だ。
ウルトラマンは意を決し、必殺技を繰り出した。
ウルトラアタック光線だ。



スペシウム光線すらはじいたケロニアの体が、ウルトラアタック光線によって凝固した。
こうなればウルトラマンのものだ。
ウルトラマンはウルトラ念動力でケロニアの体を粉砕した。
巨大ケロニアの最後だ。

だがまだ終わったわけではない。
上空には無数のケロニアエアシップがたむろしている。
ウルトラマンは大空高く跳びあがった。

巨大ケロニアの仇とばかり、エアシップはビートルに向かってくる。
ビートル援護に向かったウルトラマンは
片っぱしからスペシウム光線でエアシップを破壊していった。
そしてエアシップ最後の1機を撃墜すると、
そのまま空の彼方に飛び去って行ったのである。

ウルトラマンと科特隊の活躍で平和が戻った。
本部に帰還した科特隊メンバーはレストルームに集合し、
フジ隊員から事情聴取をすることとなった。

「つまりフジ隊員は、この衣装ケースから飛び出した植物人間にビックリして気絶し、
 意識不明に陥ったのでありまして・・・」
おどけてベッドに飛び乗り倒れこむ演技をするイデ隊員を目の前に、
フジ隊員が笑って応えた。
「気絶は余計よ。現場検証は正確に願いますよイデ隊員」
「つまりぃ・・植物人間の怪光線によって・・・」
「イデ、もういい」
全ての事件が解決し、やっと緊張を解いたムラマツキャップが笑顔でイデ隊員を制止する。

ハヤタ隊員がケロニアの通信機=例の黒い機械を持ってきた。
「キャップ、これは彼らの通信用に使われてたわけですか」
「うん、植物人間はふとしたことから自分の体内に、
 ある殊の電気を作ることを覚えたんだ。
 電源がないのにこの機械が始動したのはそのせいだ」
「ははあ、なるほど」
聞けば聞くほど恐ろしい生命体だったといえるであろう。
ケロニア。まさにこの地球上で最高の文明を持った最強の生命体だった。

「キャップ、タカラ市のキノコの化け物ですが、
 一応全部処分しました」
額の汗を拭きながらアラシ隊員が報告する。
「御苦労」
「いやあ変な植物ですよ。ひと汗かきました。
 でもねキャップ、あれは細かく砕くと大変よく燃えるそうで、
 近所の人が喜んで持って帰りましたよ」
「うん、それで分かったろ」
報告を聞いたムラマツキャップはにっこりと笑ってアラシ隊員の顔を見た。
「はあ?何がです?」
「植物人間ケロニアはその幼年時代、
 非常に燃えやすいという弱点を持っている。
 そのため、彼ら独特の精神感応で炎を消してしまったんだ」
「なるほど。それであの時いくらマッチを擦っても火がつかなかったんですね」

イデ隊員が何度もうなづいた。
全てを理解し、説明するムラマツキャップ。
だがそんなムラマツキャップもハヤタ隊員の質問には眉をひそめた。
「しかしキャップ、
 なぜ植物がこんな高度な文明をもつようになったんでしょうか」
「それは全く、謎です」



ハヤタ隊員のその質問に即答したのは・・・
「ニノミヤ博士!」
全員が同時に振り返ると、
いつしかテラスにはニノミヤ博士の姿があった。
「こんなに科学が発達した世の中でも、なんと不思議なことが多いんでしょう。
 しかし、このような事件が、再び起こらないとは誰も言えない。
 いや、ふたたび三度起こりうるでしょう。
 我々人間は、心しなければならない。
 いくら高度に発達しても、血を吸って身を肥やすのは、
 もはや、文明とは言えないのです」

ニノミヤ博士のその言葉が、胸に重くのしかかる。
ムラマツキャップはその言葉をしっかりと受け止め、
今一度平和のために戦う決意を胸に刻み込んだのであった。

あとがき

前回のウーで力尽き、3か月も更新をさぼったしぃさぁです(><)

さて今回はケロニアが活躍してくれました。
ウルトラQの流れをくんだオカルト的内容でしたが、
これ、重いお話でしたね。

「いくら高度に発達しても、血を吸って身を肥やすのは、
 もはや、文明とは言えないのです」
というニノミヤ博士の最後の言葉がこのお話の全てなのでしょうが、
高度急成長に差し掛かったこの時代に
警笛を鳴らす作品だったと言えるでしょう。

植物が人間にとって代わる。
実際にありえないことではありますが、
それを作品にし、奢る気持ちをいさめたこの作品は、
やはりウルトラマンの中でも名作だったと思います。

それともうひとつ!
今回ニノミヤ博士役で中山昭二さん出演!
もうお分かりでしょう。中山さんはウルトラセブンのウルトラ警備隊隊長。
ここでムラマツキャップと共演があったんですね!
これはもうウルトラマンファンにとってたまらないキャスト!
最高です!!!

個人的には、前半はいつもより台詞が多く、
内容を思ったように書くと後半とのバランスが取れなくなってしまうため、
その辺ちょこっと苦労しましたが、
後半はセリフも少なく、思ったことが結構書けるし、
内容も面白いしで、どんどん進んでいきました。

やっぱりウルトラマンはいいですね(^^ゞ
だったらもっと更新しろ!というコメントは・・・ご容赦を<m(__)m>

というわけで次回は、
あの有名女優が登場!
地震・怪獣・ウルトラマン!
こんな熱いやつが大暴れしてくれます。



次回もぜひお付き合いください。
今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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