EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD

第4話前編
by しぃさぁ

「木星開発用の原子爆弾6個を宇宙ステーションへ輸送する任務を持って基地を飛び立ったロケットは、
 事故のため太平洋上へ墜落した」
科特隊本部ではムラマツキャップがあるロケット事故について説明しているところだった。
何でも、原爆を6個も積んだまま、太平洋に堕ちたというのである。

  
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事が事だけに、いつになく神妙な面持ちで事件の説明をするムラマツキャップ。

「そして、このうちの1個は、日本海溝5千メートルの深海で爆発した。
 残る5個のうち4個までは発見されたが、1個だけはいまだに見つかっていない。
 現在、海底捜査を続行中だが、発見までにはまだ時間がかかるそうだ。
 引き上げられた原爆の安全装置は全てはずれていたらしい。だから、残るひとつの原爆も同じ状態だろう」

ムラマツキャップの説明に、さすがの科特隊員たちも言葉がない。
まかり間違えば、関東中が焦土と化すのだ。迂闊には行動を開始できなかった。

ムラマツキャップは、今度はボードに貼ってある一枚の図面の内容を説明し始めた。
「これがその原爆の外見図だ。原爆にショックを与えると、このパイロットランプがつく。
 それから20秒経てばドカンだ。」
キャップの表情に隊員たちも真剣だ。

「すると、あらゆる船舶は知らぬが仏で、全く危険な海の上を走らされてるって訳じゃないですか!」
アラシ隊員が非難の声を上げる。
「ウム。もし、それが東京で爆発したら、関東地方全部が一瞬にして灰になるだろうね」
さすがのキャップも沈痛な面持ちだ。

だがここに、常にプラス思考の男が一人いた。イデ隊員だ。
イデ隊員はムラマツキャップの説明を聞き終わると、
「よし!」
と叫んで出動準備を始めた。

「イデ、どこへ行く」
「その原爆を探すため我々科学特捜隊も行動開始、でしょ」
さっそうとヘルメット片手に出動しようとするイデ隊員を、ムラマツキャップがたしなめる。
「あわてるな。海上保安庁が我々に依頼してきたのは、ここだ」
そういってキャップは自分の頭を指差して見せた。

「頭!?」
イデ隊員はその意味が理解できなかったようだ。キャップは海上保安庁からの依頼内容を話して聞かせた。
「海底に潜らずに、その原爆を探しだす方法だよ。」
依頼内容を聞いたイデ隊員は目を見開いた。あまりにもすごすぎる内容だったからだ。
「いやー、そいつはムリだ。なんてったって太平洋は広すぎる。」
「知恵を絞るんだ。」
とはいうものの、ムラマツキャップにもいい考えは浮かばない。

みんなで途方にくれていたとき、自動扉が開き、フジ隊員が入ってきた。
「オス!」
なにやら楽しげなフジ隊員。イデ隊員はいぶかしげにフジ隊員を見る。


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「あれっ、旅行にでも行ってたの?」
イデ隊員の質問に、
「ううん、行くの、これから」
軽く簡単に、笑顔で答えるフジ隊員。
「なんだって!キャップ!我々が任務と真剣に取り組んでいる最中に、
同じ隊員である彼女が旅行に出かけるとは何事です!」
イデ隊員はムラマツキャップに食って掛かる。

「おいおい、ひがむんじゃないの」
「し、しかしだなぁ」
笑いながらなだめるアラシ隊員の言葉にも、イデ隊員は納得できない表情だ。

そんなイデ隊員を今度はムラマツキャップがなだめる。
「しかしだな、フジ隊員は入隊以来1日として休んだことがないんだぞ。
私が特別休暇を与えたんだ、ウン。」
キャップの一声にイデ隊員はまだ不満顔だが、フジ隊員はそんなことはおかまいなしだ。

 
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「というわけで、今晩はハヤママリーナへ一泊するの。お許しあれ、イデ隊員」
「チェ、でも、一人じゃつまらないよね」
「ご心配なく。ちゃんと連れがありますから」
「ええっ!」
「連れぇ?誰だい?」
連れ、の言葉にびっくり仰天のイデ隊員。アラシ隊員も興味津々だ。

「ウフ、それは内緒よ」
「おいおい、なんだよ」
ざわめくアラシ隊員たち。
するとちょうどその、フジ隊員の「連れ」が現れた。
「お待ちどう様」
その「連れ」の顔を見た途端、アラシ隊員が笑顔になった。
「イサム君か」
笑いながらホシノ少年を迎えるアラシ隊員。

だがこの時ハヤタ隊員だけはその会話に入らず、心配そうに先ほどキャップが説明していた
原爆落下推定地点の地図に視線を移していたのだった。

一方こちら、原爆探査船では大変な事態が勃発していた。
「船長!右舷に白い航跡が!」
ものすごいスピードで、まっすぐ船に向かってくる白い航跡。
すると次には、海の中から巨大な緑の怪物が現れた。
「原爆が!」
船員が叫んだ、と同時に巨大な怪物は探査船を力づくで海に沈没させてしまったのだ。

  
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この情報はすぐさま科特隊に連絡された。

「ニュースだ、原爆捜査中に沈没した船の生存者が今、国立病院へ送られてきた。」
ムラマツキャップの一報に、ざわめく隊員たち。
「病院へ?」
ハヤタ隊員が聞き返したが、ムラマツキャップはそれには答えず
「それが、うわごとを言ってるらしい。何かを見たってね」
と、気になる点を付け加えたのだった。

「ちょっと気になるな」
「何かを見た?」
「そうなんだ」
「キャップ、その何かって一体?」
「残念ながら、それ以上のことはわかっていない」
それぞれ口々に話してはみたものの、現状では情報不足ではっきりしたことがわからない。

「ハヤタ、行ってもらおうか、セタガヤの国立病院へ」
ムラマツキャップはハヤタ隊員に、生存者への事情聴取を命じた。

「し、白い・・・・白い航跡だ!怪物が・・・船が・・・原爆・・原爆があった!!」
病院に急行したハヤタ隊員は、その生存者のうわごとを医師と共に聞いた。
「ここへきてからずっと同じことを叫んでいるんですよ。」
医師の説明にうなずくハヤタ隊員。しかしこれでは見たままのことを本部に連絡するしかない。

「キャップ、キャップ、ハヤタです。白い航跡、怪物、原爆があった、それだけを繰り返しています」
ところがムラマツキャップからは驚くべき情報がもたらされたのだった。

「白い航跡!?本当にそう言ったのか?
 実は今、アメリカ航路の旅客機から、海上に巨大な白い航跡を見たという報告が入った。
 巡視船沈没地点から100キロ日本本土寄りを北北東に向かって進んでいる」

キャップの情報に敏感に反応するハヤタ隊員。
「何者かが本土に接近中、ということですねこのままだと・・・」
「チバのノジマザキあたりに来る。」
「チバへ行ってみます」
ハヤタ隊員は今度はノジマザキに向かって車を走らせた。

一方、休暇中のフジ隊員とホシノ少年は、リゾートで知り合ったミチコという少女と3人でバドミントンの真っ最中。
「6対1、お姉ちゃんたら大きなくせに弱いのね」
「もう、ミチコちゃんもうちょっと静かにしててちょうだいよ」
「だって、本当なんだもん」
どうやらフジ隊員は、このミチコという子をもてあましているらしい。


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「君はずいぶんおしゃべりでおしゃまな子だな」
ホシノ少年もフジ隊員の援護射撃だ。
「ホントホント」
「あ〜ら、私、おしゃべりなんかじゃないわよ〜だ」
フジ隊員にからかわれ、少々むくれ気味のミチコ。

そこへミチコの母親ががやってきた。地獄に仏、のフジ隊員とホシノ少年。
しかし・・・・・
「ミチコちゃん、ママ出かけますよ」
「行ってらっしゃい」
「ミチコちゃん」
「いいの、ミチコ行かない」
ミチコの方はフジ隊員がすっかり気に入ってしまったようだった。
更に、困った母親はフジ隊員に驚くべきことを告げたのだ。
「じゃあ、3時ころには帰ってきますからミチコのことお願いできます?」
「ええっ!?か、かまいませんわ、どうぞ」
「じゃあ、お願いしますわね、本当にすいませんわねごめんなさい」
丁寧に頭を下げて出かけていく母親。
笑顔が引きつるフジ隊員。
むくれ顔のホシノ少年に向かって
「しょうがないじゃないよあきらめなさいよ」
一喝するが、次には更なる難関が。
「ミチコ、おなかぺこぺこなの」
「ええっ!」
「ミチコ、スパゲティとかサンドイッチ、大好きよ」


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結局レストランで食事をすることにした3人。
しかし、ミチコがフジ隊員の服の汚れを指摘したことで、こちらも状況が一変する。

「お姉ちゃん、何かついてるわ。赤ちゃんみたい」
ミチコがフジ隊員の汚れを手で払う。この時偶然ミチコの手が襟の通信機のアンテナに引っかかり、
ムラマツキャップとハヤタ隊員の通信を傍受したのだ。

「ハヤタ、ハヤタ、捜索隊の報告ではオオシマ南東2`の地点で白い航跡を見失ったらしい」
「了解。こちらは予定どおり、ノジマザキへ直行します」

二人の会話にただならぬ雰囲気を感じ取ったフジ隊員。その顔はもう休暇中ではない。
「白い航跡ってなにかしら」
ホシノ少年に尋ねると、
「あっ!あそこに」
ホシノ少年が指を指す方向、確かに目の前の海面に白い航跡が伸びていく。

「白い航跡って、きっとあれだよ」
偶然にもホテルのそばを通る白い航跡をホシノ少年が発見したのだった。

「本部ですか?こちらフジ。今、ホテルの前の海に白い航跡らしきものを発見しました。沖の方かなりのスピードです」
「何、白い航跡が?うん、すぐ調べてみよう」
休暇中のフジ隊員からの報告にも一切動じることなく、
ムラマツキャップは通信を切ると向き直り、アラシ隊員に命令した。
「アラシ、ハヤママリーナ沖に白い航跡らしいものが現れた。ジェットビートルで急いでいってくれ」
「ハイ!」
ヘルメット片手にアラシ隊員は、ハヤママリーナに急行したのだった。

 
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(後編に続く)

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