EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD
第6話後編
by しぃさぁ

不運にもダイヤモンドキックに捕らえられたホシノ少年たちは、キックのアジトに監禁されていた。
だが、未来の科学特捜隊を夢見るホシノ少年は知恵を絞って、脱出しようと一生懸命だった。

 

針金を使って鍵穴をいじるホシノ少年。
ダイヤモンドキックはラジオに聞き入っていた。

〜ゲスラの行方はまだ分かっておりません。
 そのため科学特捜隊が目下トウキョウ湾上空にあってゲスラーを探索中です〜

「ちっ、ゲスラ騒ぎがなけりゃダイヤは今頃この手に入っていたのになあ」
嘆いてみるが始まらない。
ダイヤモンドキックも現状ではかたなしの状態だった。

一方、上空では科特隊、ハヤタ、アラシ、フジ隊員がジェットビートルで
対ゲスラ緊急パトロール中であった。

「しかしなんだって急にゲスラのヤツあんなに大きくなったのかなあ」
「トウキョウ湾の水にはいろんなものが含まれすぎてるからな」
アラシ隊員の疑問に、ため息混じりに答えるハヤタ隊員。
「いろんなもの?」
「うん、なんだってかまわず捨てるだろ」
「そうよ!みんなが廃液やなんか勝手に捨てるからそんなことになったのよ。
 罰ね。きっと神様が怒ったのよ!」
ハヤタ隊員の言葉にはフジ隊員も同調。この時とばかり怒りをぶちまける。

そういうことかと納得するアラシ隊員は何気なく地上を見下ろした。
「あっ、おい!あれを見ろ!」
アラシ隊員が目をやったところには白い大きな波が立ち、やがて海中からゲスラが姿を現したのだ。
「もっと降下するぞ!」
ハヤタ隊員の指示でゲスラに接近するビートル。

そのころムラマツキャップとイデ隊員は、湾内事務所でゲスラ情報を収集中だった。
「そう、ゲスラはもともとこんなに小さなトカゲですが、
 大きな音や強い刺激を受けるとものすごく凶暴になり、
 ジャガーにさえ向かっていってこれを倒してしまいます」
先ほどホシノ少年たちにゲスラの話をしていた船乗りが、ムラマツキャップに説明していた。

「弱点は」
「頭の触覚を取ると死んでしまいますが、でも、難しいですね。この体の針には
 人間など簡単に死んでしまうくらいの猛毒があるんです」
船乗りの言葉にうなり声を上げるムラマツキャップ。

そのキャップの通信機が受信反応した。
「ムラマツだ」
「こちらハヤタ。チバ、カタイハマ5キロの海域でゲスラ発見」
「なんだって!?」
事務所に詰めるメンバーの顔つきが変わる。

「キャップ、これから攻撃を開始します」
「待て!」
はやるアラシ隊員を即座に止めるムラマツキャップ。
「えっ!?どうしてです?」
不満をあらわに聞き返すアラシ隊員に、ムラマツキャップは今聞いたばかりの事情を説明する。

「ゲスラはカカオの実さえ十分に与えておけばおとなしい生物だが、
 必要以上の強い刺激に遭うと狂いだし、恐ろしく凶暴になるんだ。
 それにスーパーガンは水中では威力が半減する」

キャップの話をビートルで聞く3人の隊員。
「スーパーガンを浴びせなくてよかったな」
ハヤタ隊員はそういうと、視線を再びゲスラへ。

「あっ、ゲスラが方向を変えたわ」
フジ隊員がいち早くゲスラの異変に気がついた。
「ハヤタよりキャップへ!ハヤタよりキャップへ!ゲスラがナラシノ桟橋方面に向かって
 ぐんぐん前進を始めました」
ハヤタ隊員の通信を聞いていた警官が顔色を変えた。
「なんだって!?すると今度はこの一帯の船を狙ってるってわけだ」
「しかし、この付近ではカカオビンズの荷揚げは行われていませんよ」
船舶管理担当者も考えを巡らす。

「もしかすると・・・」
思い当たる節があるのか、船乗りがつぶやいた。そのつぶやきに警官が振り向いた。
「心当たりでも?」
「ナカシオの倉庫にはカカオビンズがいっぱいに詰まっている」
船乗りはカカオビンズの在庫がどこにあるのか把握しているようだった。
「さてはその匂いをかぎつけたな」
頭脳明晰のイデ隊員が即座に理解した。

その時ムラマツキャップにはある名案が浮かんでいだ。
ムラマツキャップは作戦を実行に移すべく、ビートルに向かって指令を出す。
「よし、これから、ゲスラ防御作戦を執る。君たちもすぐ戻って合流せよ!」
「了解!」
「パトカーをお借りします」
通信を切ったムラマツキャップはそばにいた警官にパトカーの借用を願い出たのだった。

「今夜あたり、もう一度コロンビア丸から上がったカカオを調べるぞ」
「ええ。でも、コロンビアなら沈んじまったんですよ」
「わかってるよ、荷揚げした分だけでも調べるんだ」
密輸ダイヤをなんとしてでも探し出さねばならないダイヤモンドキッズ。
思い通りに事が運ばないため、イライラしているのが見て取れる。

そのせいで注意力散漫になっていたのか、
二人の後ろを、見事に鍵を開けて監禁部屋から出てきたホシノ少年たちが
脱出しようとしていることに気付かない。

抜き足差し足、こっそりと抜け出そうとするホシノ少年たち。しかし・・・
「ハックシュン!」
こんなときにチロ少年がくしゃみ。おかげでダイヤモンドキッズに見つかってしまった。
途端に少年たちとダイヤモンドキッズの追いかけっこが始まった。

そのころ科特隊の5人は合流地点で集合。
「ゲスラは!」
パトカーで急行したムラマツキャップは、ハヤタ隊員の顔を見るなりゲスラの現状を聞いた。
「あと5分で上陸します」
「何とか上陸を食い止めるんだ」
そのままハヤタ隊員たちをパトカーに乗せ、ゲスラの上陸予測地点に向かった。

ゲスラの上陸予測地点。そこはホシノ少年たちが監禁されていた倉庫の目の前だった。
パトカーから降りた科特隊員たちの耳に、ホシノ少年たちの助けを求める叫び声が聞こえてきたのだ。



「誰か〜!」
「助けて〜!」
「誰かきてくれ〜!」
必死に助けを呼ぶ少年たちの声に、いち早く気付いたのはフジ隊員だった。
「ホシノ君たちの声だわ。ダイヤモンドキックがいるのよ!」
ゲスラのことなど忘れ、倉庫に駆けつけようとしてハヤタ、アラシ両隊員に制止される。

「あっ、あそこだ!」
倉庫の窓に子供の姿を見つけたアラシ隊員。
今度はアラシ隊員が救出に向け走り出そうとしたその時だった。
この時とばかり、倉庫の屋根よりも高くゲスラが姿を現わしたのだ。
ついにゲスラの上陸を許してしまったのだった。

「チクショウ!」
ゲスラにむけスパイダーを構えるアラシ隊員をムラマツキャップが押し留める。
「撃つな!ゲスラが狂いだすぞ!」

倉庫の中ではダイヤモンドキッズとホシノ少年たちの追いかけっこが続いていた、が、
「このやろう!・・・・・ん!?なんだ?」
いまだにゲスラ襲来を知らないダイヤモンドキッズ。
その鳴き声に驚き、様子を見るため窓に近づく。
そこでダイヤモンドキッズが見たものは、
今にも自分たちのいる倉庫にのしかかってきそうなゲスラの姿だった。

「逃げるんだ、早く!」
ホシノ少年たちはこの隙にとばかり、倉庫の出口に向かって全力で走り出す。
ダイヤモンドキックは子供どころではない。ゲスラの姿に驚き、
ついにはゲスラに向けてピストルを撃ってしまったのだ。

突然にあらぬ刺激を受けたゲスラは途端に凶暴化し、
あたり一面の倉庫という倉庫を破壊し始めた。その力たるや、並ではない。

外から見ていた科特隊はあわててホシノ少年たちが監禁されている倉庫に向かって走り出す。
少年たちの救出のためだ。
ホシノ少年たちは、ダイヤモンドキッズがゲスラに気をとられているうちにやっと出口にたどりついた。
やっとの思いで脱出成功だ。

外に出ると、大好きなオレンジのユニフォームがホシノ少年の目に飛び込んだ。
科特隊が救出に来てくれたのだ。
「ホシノ君!」
「ハヤタさん、ダイヤモンドキックが中にいるんだ」
こんな切羽詰った時でも冷静に中の状況を報告するホシノ少年。



「よし!アラシ、この子たちを頼む!」
ハヤタ隊員は子供たちをアラシ隊員に任せ、自分は一人、倉庫の中へ入っていく。
子供たちをパトカーに乗せ、非難しようとする科特隊。
しかしゲスラはハヤタ隊員とダイヤモンドキッズがいる倉庫を、この時とばかりに破壊し始めたのだった。



「ハヤタさん!」
ハヤタの名を叫び、倉庫へ戻ろうとするフジ隊員をアラシ隊員が必死に止める。
「ダメだ!ダメだ!」
「フジくん!」
イデ隊員も一緒にフジ隊員を押さえつけるがフジ隊員はハヤタの名を叫び続けるばかり。



その時ハヤタ隊員は、倉庫内で倒れてきた大きな鉄骨の下敷きとなり、身動きが取れなくなっていた。
しかも、下敷きになった際、ベータカプセルを手から落としてしまったのだ。
ウルトラマンに変身するにはベータカプセルまでたどり着かねばならない。
1メートル先に無造作に転がっているベータカプセルに、ハヤタは懸命に手をのばした。

 

「アラシ、スパイダーショット!」
泣き叫ぶフジ隊員を強引に車に押し込めたムラマツキャップは、ついにゲスラへの攻撃を命じた。
しかしゲスラには全く効かない。それどころかますますもって凶暴になるばかり。
「ダメだ、アラシ、車へ」
どうにも手がつけられない。科特隊は一時退却を余儀なくされた。

「ハヤタの敵を!」
それでもスパイダーを握り締め、ゲスラに狙いを定めるアラシ隊員だが、
「子供たちを道連れに出来ん!アラシ、下がるんだ!」
強引にアラシを車に乗せて退却する。

だがこの退却は時期を逸していた。ゲスラはすでに科特隊のそばまで迫っていたのだった。
科特隊の乗ったパトカーに狙いを定めるゲスラ。大きく一歩、足を出し、パトカーを踏み潰そうと試みたのだ。
ゲスラの足がすぐ目の前に!思わず顔を伏せるムラマツキャップ。危ない!科特隊!!

しかし次の瞬間、科特隊の乗るパトカーは、高々と宙に浮き、見事ゲスラの攻撃から逃れていた。
「あっ、ウルトラマンだ!ウルトラマンが助けてくれたんだ!」
ホシノ少年が叫んだ。



そう、ゲスラに踏み潰される直前、ウルトラマンがパトカーをその両手で軽々と持ち上げ救ってくれたのだった。
ウルトラマンはパトカーをそっと地面に置く。パトカーは再び走り出す。
パトカーが安全圏まで逃げたことを確認するウルトラマン。

その背後から、いきなり怒りのゲスラが襲い掛かってきた。
背後からのゲスラの体当たりに、たまらずその場に倒れこむウルトラマン。
更にその上にのしかかるゲスラ。



体制を立て直し、再び組み合う両者を、安全圏まで逃げ切った科特隊は見守るしかなかった。
「あの触覚さえ折れば・・・」
ムラマツキャップが指差す、ゲスラの背中についた黄色い触覚。
これこそがゲスラの弱点だった。



当然ウルトラマンもそのことは知っている。ゲスラの背後に回り込み、触角を折ろうとするのだが、
そこはゲスラも分かっていて、なかなかウルトラマンを背後には入れさせないのだ。
しかもまわりに生えている猛毒のトゲに手を焼き、ウルトラマンはなかなか触覚を掴むことができない。

「ウルトラマンのカラータイマーが」
ついにカラータイマーが点滅をはじめた。

ウルトラマンを支える太陽エネルギーは地球上では急激に消耗する。
太陽エネルギーが残り少なくなるとカラータイマーが点滅を始める。
そしてもしカラータイマーが消えてしまってら、ウルトラマンは二度と再び立ち上がる力を失ってしまうのである。

ウルトラマンの右手に猛毒のトゲが刺さった。
猛毒に右手をやられ苦しむウルトラマンを、ゲスラは正面からの体当たりでふっ飛ばす。

戦局が不利だと悟ったウルトラマンはいったん空に回避。
空中からゲスラの背後に回り込もうとするが、
ゲスラの動きはなかなか俊敏で、そう簡単には背後を取らせないのだ。

そして正面からウルトラマンにぶつかり、ついには海の中へ突き落としてしまった。

海の中ではゲスラに分がある。科特隊も心配そうに見守るだけだ。
案の定地上よりも数段動きがよくなるゲスラは、ウルトラマンに馬乗りになろうとする。
これをかろうじてかわすウルトラマン。

実はこの時、ウルトラマンはゲスラに生まれる隙を待っていたのだ。
海の中で優位に立ったゲスラ。
だからこそ、ここで必ず隙が生まれる、とウルトラマンは読んでいた。

勢い込んで突進してくるゲスラ。ウルトラマン危うし!
しかしウルトラマンはここにゲスラの隙を見た。
突進してくるゲスラをきわどく横にかわし、背後に回ることに成功!
見事、黄色い触覚を掴み引き抜いたのだった。



弱点である触覚を引き抜かれたゲスラに、もう戦う力はなく、断末魔の叫びを残し海に沈んだのだった。
激しい戦闘の末の勝利に沸く科特隊と少年たち。
しかし・・・
「でも、ハヤタさんは・・・」
フジ隊員ひとり、ゲスラに潰された倉庫で犠牲になったハヤタ隊員を思いやった。

ところが、
「あっ!」
ホシノ少年が叫び、フジ隊員の肩を叩き指差してみせる。その指の先には
なんと、ダイヤモンドキッズの一人を肩にかかえ、もう一人の腕をねじりあげ連行してくるハヤタの勇士が!
「ハヤタ!」
イデ隊員が飛び出した。
「いや、こいつらを助け出してるうちに、今日もまたウルトラマンの活躍を見損なったよ」



「君たちのおかげで宝石密輸団も捕まった。ご苦労さん」
科特隊本部で今回の功績をたたえられる少年たち。
「あっ、チョコレート!」
チロ少年は本部内に香るチョコレートの匂いに気付く。

その時、フジ隊員がごほうびのチョコレートを持って登場だ。
大好きなチョコレートに早速ありつくチロ少年。
「ちぇ、ゲスラみたいなやつ」
ホシノ少年の言葉に笑いで包まれた科特隊であった。

あとがき
今回活躍してくれたのはゲスラでした。
いかにもトカゲらしい、緑と赤を彩った、トカゲらしい怪獣です。

背中の猛毒トゲがやっかいで、人間などは簡単に死んでしまうそうですから、
ウルトラマンはよく無事だったなと思います。

その前に、なんで今回はスペシウム光線を使わなかったのかが一番の疑問ですけど(笑)

ホシノ少年の活躍も目を見張るものがありました。
あんなピンチにも動じることなく、冷静にお友達を守り抜いた彼の度胸と判断は、
立派に未来の科特隊員としての資格があるでしょう。

そしてハヤタ危機一髪。これは見ごたえあります。
またしてもベータカプセルを落としてしまうハヤタ隊員。
こういう意味ではベータカプセルというアイテムは
ストーリー構成上、相当貢献しているアイテムなのだなあ、と感じています。

さて、次回は第7話。
次回はこいつが大暴れなんです。・・・が・・



次回分、資料集めと情報収集に少々手間取っていまして、UPが少々遅れそうです。
次回UPは12月15日ごろを予定しています。ご了承ください。
それでは今回はこのへんで。
またおつきあいください。


追伸
この作品を制作中、実相時監督がお亡くなりになりました。
監督の作品は今尚ウルトラマンでも語り継がれています。
私も、実相時監督の作品をここで制作するのが楽しみだったのですが、
ひとつも手がけないうちに監督は天に召されてしまいました。

今後、ウルトラワールドで監督の作品を手がける時は、
よりいっそうの力を入れて、いいものにしようと新たに思い直す次第であります。

実相時監督、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
監督のご冥福をお祈りもうしあげます。
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