EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD
第7話後編
by しぃさぁ

「見ろ、立派な城門だ」
町に入り城門の前に立つ科特隊。アラシ隊員は感嘆の声を上げた。
隊員たちは皆、その大きな作りの城門に目を奪われた。

すると、どこからとも無く、聞いた事もない音楽が隊員たちの耳に飛び込んできた。
「ウン?どこだ?」
「こっちだ!」
人がいる。音のする方へ科特隊メンバーが走る。

すると程近いところに町の住民とおぼしき老人達が、民族衣装を身にまとい笛を吹き音楽を奏でていた。
老人達は、突然舞い込んだ訪問者たちに驚く様子も見せず、
ただ科特隊をものめずらしそうに眺めるだけだった。

「ジム、聞いてみろ」
ムラマツキャップは事情聴取のため、ジムに通訳を命じた。



ジムはさまざまな外国語で老人達に事情を聞くが、老人達に反応は無い。
ただ黙って笛を吹くばかりだった。
「おい、通じないぞ」
「ダメだ、アラビア語も、○○語も通じない」

そうしているうちに、外部から入ってきた科特隊を珍しく思ったのか町のいたるところから人が集まり、
科特隊を指差して何事かを話し始めた。見れば皆老人ばかりだ。
「わからん。ジム、一体何語をしゃべってるんだ?」
目の前の不可解な老人達に理解に苦しむムラマツキャップだったが、
「わからない!」
さすがのジムも少々やけ気味。お手上げだった。

「チャータム!」
不意に一人の老人が叫び城門をみつめてひざまずいた。
すると他の老人達もそれに習い、チャータム、の名を呼び城門に向かってひざまづく。
何がなんだか訳がわからないムラマツキャップと科特隊は、老人達に習い城門を見た。



すると城門の中からは、一人の美しく着飾った女性が姿を現し、こちらに向かい歩いてくる。
その女性は科特隊の前まで来て足を止めた。どうやら敵意はないようだ。
一人の老婆が女性の前にひざまづく。
女性は老婆に「この人たちは怖い人たちじゃないわ」と諭すように微笑みかける。

ハヤタ隊員が一歩前に出た。
「あなたは?」
「私の名前は、チャータム」
ハヤタの呼びかけになんと女性=チャータムは日本語で答えたのだった。

「日本に来たことがあるんですか?」
チャータムの日本語に安心したのか、今度はアラシ隊員が前に出て質問する。

しかしチャータムはゆっくりと首を横に振った。
「私はこの町から出たことありません。日本人に会ったこともありません」
キツネにつままれたような話だ。ムラマツキャップがゆっくりとチャータムに近づいた。
「じゃあどうして日本語を?」
「私には、あなた方の頭の中を読み取る力があるのです」
チャータムの言葉にジムが叫ぶように言った。
「ああ、エスパー!」
やはりジムはバラージに詳しいのだろう。チャータムのこの能力のことも知っているようだ。

「この能力は、私の一族にだけ伝わっているものです」
その「エスパー」という能力が安全を教えているのだろうか。
チャータムは初めて見る科特隊のメンバーを恐れることなく、バラージの過去について話し始めた。

「遠い昔、人々はみんながこの力を持っておりました。
 そのころの町は、シルクロードの公益地として、栄に栄えておりました
 ところが、ある日からこの町へ、急に人が来なくなりました。この町を出て行った人も、二度とは帰ってきません。
 アントラーの仕業なのです。人はだんだん少なくなり、いつの間にか、老人ばかりが住む町になってしまったのです」

話し終えるとチャータムは、科特隊の面々に寂しげな視線を投げかけた。
何とかして欲しい、助けて欲しい。その目はそう語っていた。

「アントラー!?」
ハヤタ隊員がアントラーの名に疑問を持った。
「恐ろしい怪物です」
チャータムはそれ以上答えない。

「それじゃあ、あの怪物はそんな昔から・・・しかし、あの怪物はなぜこの町を襲わないのです?」
ここまでの話を総合し、ムラマツキャップは、アントラー=先ほどの怪物、という事を理解したようだ。
「ノアの神の守りです」
チャータムはまたしても不思議な名前を口にした。
「ノアの神?ジム、もしかしたらノアの箱舟の?」
「ウン、私もそれを考えていた」
ムラマツキャップにとってはジムの知識が頼りだ。
そのジムが自分と同じ考えを巡らせていたことで、ムラマツキャップは内心ホッとしていた。

「どうぞ」
チャータムは、まるで旧知の仲のように科特隊メンバーを城門の中へと誘った。
その科特隊の背中を村の多くの老人達が見守っていた。

城門の中には大きく立派な寺院がそびえていた。
チャータムの誘いにより、科特隊もその寺院に足を踏み入れた。

中は思いのほか静かだった。
1枚のレッドカーペットが敷かれ、その先は一段高く、何かが祭られているようだった。
しかしそこには赤いカーテンがかけられ、中の様子はうかがえない。
チャータムはその赤いカーテンの前でひざまずき、祈りを捧げた。

やがて静かに立ち上がるチャータム。彼女が紐を引くと音もなくそっとカーテンが開いた。

しかしカーテンの奥にあったもの、科特隊メンバーはそれを見て愕然とした。
「ウルトラマンだ!」
イデ隊員が叫ぶ。そう、そこにはウルトラマンに酷似した像が立っていたのだった。



「どうしてここに?」
アラシ隊員も驚きを隠せない。

それを見たチャータムは、全てを解しているかのようにうなずいてみせた。
「ノアの神です。この青い石が、この町を、アントラーから守っているのです」
チャータムの言う、像の左手の部分に置かれた青い石に科特隊は注目した
「あの石が?なぜだろう?」
「ウン、一種の魔よけかもしれん」
イデ隊員とアラシ隊員が疑問を口にするなか、ムラマツキャップもまた衝撃を受けていた。

「ノアは、宇宙人だったのか・・」
そうつぶやき呆然とするムラマツキャップ。
「5000年の昔、ウルトラマンの先祖は地球に現れ、その時もやはり、人類の平和のために戦っていたのか・・・」
意外な真実を目の当たりにし、さすがのアラシ隊員もただウルトラマンに酷似した像を見つめるばかりである。

突然の衝撃の事実、そして事の大きさに驚くメンバー達。
「ウン、我々人類にとって、ウルトラマンは平和のための大切な神なのかもしれん」
ムラマツキャップもここにひとつ、ウルトラマンの偉大さを見たような気がしていた。

その時だった。
「アントラー!」
一人の老婆が叫びながら寺院に駆け込んできた。その老婆を追うかのように、
外からは、あの聞き覚えのある咆哮がこだましたのだった。
アントラー出現だ。



「よし!行こう!」
現実に戻った。いや、引き戻されたムラマツキャップ。
すぐさま現場へ急行するムラマツキャップと科特隊。

寺院の外に出ると、地上からは大量の砂が空に向けて舞い上がり、
高く、大きな砂柱となってうなりを上げ、町に迫っていた。
そして城壁が破壊され、アントラーが恐ろしいその姿を現したのだった。
「とうとう、バラージの町が滅亡する、運命の日が来ました」
悲しみに打ちひしがれるチャータムをよそに、アントラーはバラージに破壊の限りを尽くそうとしている。
ひざまずき、ノアの神に祈りを捧げる老人達。

ムラマツキャップと科特隊は一斉にスーパーガンを構えた。
「行くぞ!」
「おう!」
全員はこの町を魔の手から守るため、アントラーに向かって走っていく。
我が物顔で暴れまくるアントラー。もう城壁はアントラーに破壊され、跡形もなくなっていた。

科特隊はアントラーに対し一斉射撃を開始。スーパーガンがアントラーを襲う。
しかしアントラーはスーパーガンを全く寄せ付けない。
そして、うっとおしい、とばかりに例の磁気光線を天に向かって放射した。

金属で出来ているスーパーガンは、いとも簡単に科特隊員たちの手を離れ、磁気光線に吸い寄せられてしまった。
何事もなかったかのように破壊を続けるアントラー。
敵はあまりにも強大だったのだ。

一人の老婆が怒りに震え、杖を振り上げてチャータムの元から走り出す。
そして前線で戦う科特隊を押しのけ、アントラーに立ち向かっていく。
しかし、アントラーの破壊した建物の破片が老婆を直撃。老婆はその場で意識を失った。

「おい、危ないぞ」
「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」
ハヤタ隊員がかけより、老婆を救出。
「下がれ!下がれ!」
ムラマツキャップの必死の退却命令が飛ぶ。場面は一気に逼迫した。

強大な力を持つアントラーの前に、科特隊は一時撤退を余儀なくされた。
しかしこの時ハヤタ隊員は撤退する科特隊とは別の方向に逃げた。
そして人目の無い寺院の壁に身を潜めたのだ。

そしてハヤタ隊員は、抱きかかえた老婆をそっと地面に降ろし、
胸ポケットからベータカプセルを取り出すと、天に向かって高々と突き上げた。



「あ、ウルトラマンだ!」
寺院の前まで退却してきた科特隊は、そこでウルトラマンの勇姿を見た。
「ノアの神」
チャータムと老人達もノアの神の姿に希望の笑顔を見せ、その場にひざまづいて祈りを捧げる。



遂にアントラーと対峙したウルトラマン。
しかしウルトラマンにはアントラーの凶暴さがわかっているようで、迂闊には手を出さない。

先制攻撃はアントラーだった。ウルトラマンに砂煙を浴びせ目隠しをすると、自らは砂中に身を隠した。
砂煙でアントラーを見失ったウルトラマン。あたりを見回すがアントラーはどこにもいない。
突然アントラーがウルトラマンの足元に現れ、足を引っ掛けた。
不意を突かれたウルトラマンはその場に倒れこむ。

アントラーは再び砂塵を吹きかけ、砂に潜ろうとする。
ウルトラマンはいったん空へ逃れた。アントラーは再び砂中に姿を消した。
着地して再びウルトラマンはアントラーを探す。しかしアントラーはウルトラマンの背後に現れ、
磁気光線を噴射したのだ。アントラーに背を向けたままのウルトラマンが吸い寄せられる。
アントラーの、クワガタのような2本の大あごがウルトラマンを挟み込もうとしていた。
あぶない、ウルトラマン!



しかし、ウルトラマンはすんでのところでしゃがみこみ、アントラーの攻撃を避けた。
そしてついに、振り向きざまにアントラーを捕らえたのだ。
ウルトラマンとアントラーの力比べが始まった。双方互角だ。



だが、この時ウルトラマンのカラータイマーが点滅を始めてしまったのだ。

ウルトラマンを支える太陽エネルギーは地球上では急激に消耗する。
太陽エネルギーが残り少なくなるとカラータイマーが点滅を始める。
そしてもし、カラータイマーが消えてしまったら、ウルトラマンは二度と再び立ち上がる力を失ってしまうのである。
ウルトラマンがんばれ!残された時間はもうわずかなのだ!

ウルトラマンはアントラーを突き放し、距離を取ると必殺スペシウム光線を発射した。
しかし甲層の固いアントラーは、スペシウム光線をも難なくはじき返してしまったのだ。そんな、バカな!

絶対の決め技を封じられたウルトラマンは更なる窮地に追い込まれた。
突進してくるアントラー。投げ飛ばすウルトラマン。一進一退の攻防。
このままではいたずらに時間を費やすだけだ。ウルトラマンが不利になるだけだ!

その時だった。寺院でウルトラマン・・・いや、ノアの神の戦いを見守っていたチャータムが、
突然何かに導かれるかのように寺院の中へ駆け込んでいった。
彼女は無意識にノアの神の像にの前にくると、ノアの神が持つ、青い石を両手に掴んだ。
そして大切そうに握り締め、ノアの像を一目見ると、ムラマツキャップの元へ走っていったのだった。

「この石を、早くアントラーへ!」
いきなりのことで何事かととまどうムラマツキャップに、
「ノアの神のお告げです」
チャータムはためらうことなく石を渡した。



アントラーに苦戦し、決め手が見つけられないウルトラマン。
「よし!」
ムラマツキャップはチャータムから青い石を受け取ると、アントラーめがけて走り出した。
そして最大限アントラーに近づくと、その石をアントラーめがけて投げつけたのだ。



石はアントラーの頭部に命中。途端にアントラーは大爆発を起こし息絶えたのだった。
あとには、戦いを終えたウルトラマン・・・いや、ノアの神が立っていた。
「ノアの神!」
チャータムは笑顔で、天空に飛び立つウルトラマン=ノアの神にいつまでも祈りを捧げた。



「キャップ!」
ムラマツキャップにかけよる隊員たち。
「あの青い石も、ウルトラマンが宇宙から持ってきたんだろうか?」
「いや、ウルトラマンではない。ここではノアの神だ」
イデ隊員とアラシ隊員も満足げに話す。とにかく任務は完了だ。

「おや?」
アラシ隊員がふと気付くと、ハヤタ隊員が気を失った老婆を抱えて戻ってきた。
「大丈夫。気を失ってるだけだ」
ハヤタ隊員はチャータムの前にそっと老婆を寝かせた。

「ありがとう。青い石のおかげでアントラーを退治できた」
ムラマツキャップはチャータムにお礼を述べた。
「いいえ、ノアの神のお力です。青い石を怪物に投げろと、ノアの神が私におっしゃったのです」
チャータムはあくまでノアの神を敬う。

「青い石は無くなったが、これからはこの町にも人々が集まり、昔の平和が甦るだろう」
ムラマツキャップは笑顔でチャータムとバラージの町を激励する。
しかし・・・・・

「バラージへの道は、遠い昔、砂に埋まりました。旅人ももう、この町を思い出すことはないでしょう」
チャータムは静かに、遠くの山々を見つめた。
「チャータム、そんなことはない!」
ハヤタ隊員が励まそうとするが、チャータムは、ただかすかに首を横に振った。
「いいえ、たとえ旅人が通りかかったとしても、もう、この町を蜃気楼だと思うことでしょう。
 でも、私達はこの町を離れません。みんなの心の中に、バラージは生きているのです」
そう言いながら科特隊のメンバーを見るチャータムの目は、決して悲しみに暮れるものではなかった。



チャータムと老人達の大切な町、バラージ。
そこに生きた者の誇りなのか、それとも、町を守らねばならない使命感なのか・・・
ハヤタ隊員はチャータムの気持ちまで推し量ることは出来なかった。

町の外れまで見送りを受ける科特隊。そんな科特隊の後姿をいつまでもみつめるチャータムだった。

「蜃気楼の町か・・・また地上から都が滅んていく。だが我々は、それをどうすることも出来ない・・・」
遠く丘の上からバラージを見つめるムラマツキャップ。任務を遂行したのに後味の悪さが胸を締め付ける。
後ろで見つめるジムにはその気持ちが痛いほど理解できた。
「ミスタームラマツ、任務は終わった。行こう」
ジムはそういってムラマツキャップの肩にそっと手を置いた。



そしてもうひとり、万感の思いでバラージを見つめる隊員がいた。
「おい、ハヤタ」
アラシ隊員に促され、未練を残しながらも視線をバラージからそらすハヤタ隊員。
彼の胸中を知る隊員は、彼の他にはいなかったのだった。

こうしてフジ隊員で迎えのビートルで科特隊は燃える砂漠に別れを告げるのであった。

やっとUPできました。お待たせしました。
今回はアントラーが活躍です。いやー、強かったですね。
なんてったって、スペシウム光線が効かないんですから。
さすがのウルトラマンもこれまでか!?というところまで追い詰められましたが、
あの謎の青い石のおかげで救われました。

しかし、あの「ノアの神」本当にウルトラマンの先祖だったのでしょうか?
ウルトラマンの年齢は約2万歳。ノアの箱舟は訳5千年前、と、いうことは・・・?
あれはウルトラマン本人だった可能性もありそうですねえ。

さて次回第8話は、年内最終UPとさせていただきます。ご了承ください。
そして!次回はこんなにたくさん出てきます。



今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございます。
次回もまた、よろしくお願いいたします。