EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD

第8話前編
by しぃさぁ

火山噴火のために無人島になっていたタタラ島に、2年半ぶりに定点観測所を再開することになり
4人の先発隊が島に向かうことになった。

それから1週間過ぎた。先発隊からは何の連絡もなかった。

更に3日が過ぎた。先発隊からはやはり何の連絡もなかった。
4人のことを心配した気象庁では、島になんらかの事故が起こったものとみて、
遂に科学特捜隊に測候所員の救出を要請した。

早速ジェットビートルでタタラ島へ向かう科特隊であった。



「キャップ、あと2分でタタラ島です」
アラシ隊員の報告にうなずくムラマツキャップ。その横ではイデ隊員が念入りにスパイダーを点検している。
一体なぜ、先発隊は失踪してしまったのだろうか。
島には何が起こっているのか。科特隊も緊張していた。



「現地の天候はどうか」
「少々霧がありますが、まもなく晴れます」
ムラマツキャップに問われ、フジ隊員がタタラ島の天候を報告する。

しかしこの時島で起こっている事象は、
科特隊の想像をはるかに超えるものだということを、彼らはまだ知らなかった。

そのころタタラ島では、科特隊の想像を絶する大変な騒ぎが起こっていた。
レッドキングとチャンドラーの大喧嘩の真っ最中だったのだ。



二頭の怪獣は所狭しと暴れまくり、島中に大音響を轟かせた。

すでにチャンドラーは右足に致命傷を負っていた。
さらに襲い掛かるレッドキング。チャンドラーは大きな翼で砂埃を舞い上げ、レッドキングをかく乱する。
たまらずレッドキングは後退。今度はチャンドラーが隙ありとばかり襲い掛かる。

レッドキングはこれを蹴り返し、チャンドラーとの間に間合いをとった。
自慢の怪力で大岩を持ち上げチャンドラーに投げつけるレッドキング。
その後は取っ組み合いの大格闘だ。

だが、レッドキングがチャンドラーの右翼をもぎ取った事でチャンドラーは戦意喪失。
そのまま山の向こうに逃げ帰っていった。

勝利の雄たけびを上げるレッドキング。その時ジェットビートルが島上空に到着したのだった。



「くっそお!犯人はこいつだったのか。」
島に来るなり、凶暴そうな怪獣に出くわした科特隊。いきなりの展開に皆穏やかでない。



コックピットから見えるレッドキングは本当に凶暴そうだ。
こんなヤツが島を荒らしていたとすれば、先発隊も無事ではないだろう。

「キャップ。ロケット砲を一発、やつのどてっぱらに叩き込んでやりましょうか!」
アラシ隊員は早くも戦闘態勢に入った。しかし、
「アラシ、やめるんだ!」
ムラマツキャップに抑えられ、不満をあらわにする。

「しかしねぇキャップぅ」
「島には4人の人間がいるんだ。下手に手を出して暴れられでもしたらどうするんだ」
ムラマツキャップは冷静に事を説明し、アラシ隊員を抑える。
「我々の任務は4人の測候所員を救出することだ。怪獣退治はそのあとでいい。
 ハヤタ、測候所のそばに着陸しよう」
逸るアラシ隊員に、人命救助が第一と伝えたムラマツキャップは、まず測候所の探索を優先した。

「こいつはひでえや。おい!誰かいないか!」
測候所近くの安全と思われる場所に着陸した科特隊。
しかし測候所はもはや壊滅状態だった。さすがの科特隊も言葉を失った。

「よし、みんなで探してみよう!」
ムラマツキャップの命令で、建物内部に散る隊員たち。

「きゃー!」
いきなりフジ隊員が悲鳴を上げ、イデ隊員がかけよってくる。
「うん?なんだビックリするじゃないか!」
「だって、クモが!」
「クモぐらいで驚くようじゃ・・・」
そういって笑うイデ隊員には、瓦礫の一部が降りかかってきた。
「ヒャー!」
イデ隊員もびっくり。まるでお化け屋敷である。



「誰もいないようですね」
「うん、そうか」
ハヤタ隊員の報告にうなずくムラマツキャップ。
「キャップ、観測室の方にも誰もいません」
観測室から戻ってきたアラシ隊員も状況を報告。

「この島には、ジャングルや天然の洞穴がいっぱいある。そこに逃げ込んでれば助かってるかもしれん」
ムラマツキャップはそう言うと、胸ポケットから島の地図を取り出した。
「よし、二班に分かれて捜索しよう。アラシ、イデ、フジの3人は西のジャングル地帯を。
 我々は東側の溶岩地帯を回ろう。落ち合う地点はここだ。」

隊を二班に分け、島中を探索する作戦を執ったムラマツキャップであった。
隊員たちに地図を見せ、再合流地点を確認させた。
「何かあったらすぐ連絡を取り合う。いいな」
「了解!」



西のジャングル地点に向かったアラシ、イデ、フジの3人は、早速手がかりを発見した。
つぶれた金物のバケツだった。所員の誰かが水を求めてここまできたのか。
「こんな所にこんなものが・・・きっと、人が倒れているかもしれんぞ」
バケツを見つめながらアラシ隊員が二人に注意を促した。
イデ、フジ両隊員もあたりを注意深く探索しはじめる。

アラシ隊員が近くの草むらにあった一枚の布切れを発見した。
「カワダ所員のものだ」
手に取って確認すると、それは紛れもなくカワダ所員の上着だったのだ。
しかもその上着にはカワダ所員のものと思われる血が相当量付着していたのだった。
「ひどいなあ、なんにやられたんだろう」
イデ隊員とフジ隊員も駆け寄ってきた。3人はカワダ所員の上着を覗き込んだ。

「キャップに連絡して」
フジ隊員の要請で、イデ隊員がムラマツキャップに無線を飛ばす。
「こちらイデこちらイデ、ウワッ!」
無線を発信したとたん、とても聞くに堪えないノイズがイデ隊員の耳に飛び込んできた。
イデ隊員は思わず頭を押さえた。無線が使えない。

ところが・・・
「うわあ、きれいな花」
自分で連絡を要請しておきながら、フジ隊員は一輪の花に目を奪われていた。

「こちらイデこちらイデ、おかしいなあ」
何度も無線連絡を試すが、やはりムラマツキャップに連絡は取れない。首をかしげるイデ隊員。

「おい、お前のは壊れてるんじゃないのか?こちらアラシ、こちらアラシ、キャップ、応答願います」
業を煮やしたアラシ隊員だったが、結果はやはり同じことだった。
激しいノイズ。アラシ隊員も、先ほどイデ隊員がしたと同様に、自分の頭を抱え込んでしまった。



「地底の変動で、ジャングルの地磁気が狂ってるんだ」
ここではじめて地磁気に異変があることにイデ隊員は気付いたのだ。
あわててコンパスを試すが、針はグルグルと回転し、全く機能していない。
「見ろ、コンパスもダメだ」

そんな時なのにもかかわらず、フジ隊員は相変わらず花に夢中である。
しかし、隙だらけのフジ隊員に襲い掛かる魔の手がのびていたのだ。

「キャー!助けて!アラシさん!イデさん!助けて!」
突然の出来事にパニックに陥るフジ隊員。脱出しようともがくが身動きが取れない。



フジ隊員を襲ったのは、巨大吸血植物「スフラン」だった。
長いツタで巻きついて、動物達の血を吸うという恐ろしい植物だ。
「大丈夫か!うわ!」
あわてて助けに入ったイデ隊員だが、スフランはそれを待っていたかのように、今度はイデ隊員に巻きついたのだ。
「おいイデ!」
アラシ隊員も現状が理解できない。助けるといってもどうすればいいのだ。



するとイデ隊員が、苦しみながらも手に持っていたスパイダーをアラシ隊員に向かって放り投げた。
「アラシ、スパイダーで、スパイダーで、早く!」
その手があった。
アラシ隊員はスパイダーの能力を火炎に切り替え、スフランを焼き切ろうと試みたのだ。



「待ってろ!動くな!」
スフランの強力な力で締め付けられ、苦しむイデ、フジ両隊員。
やっとの思いでそのスフランを焼き切り、脱出に成功した。

「カワダ所員もこれでやられたんだ。さあみんな、早くここを脱出するんだ!」
これでカワダ所員たちの行方不明の原因が解明されたが、まずは自分が逃げ切らねばお話にならない。
スフランはまだ3人の血を狙っていた。
3人は必死で走り、スフランから遠ざかった。

一方、東側の溶岩地帯を探索中のムラマツキャップとハヤタ隊員は、
それらしい手がかりをなにも見つけることは出来ずにいた。

「キャップ、こんな所に観測隊員はいないんじゃないですか?」
ハヤタ隊員が疑問を口にした。
「万が一ということがあるが、もし、こんな所に逃げ込んだとしても、食べ物がないから無事に発見できるかどうか」
ムラマツキャップも同じようなことを考えていたのだろう。
あまり歯切れのいい返事は返ってこなかった。

「イデ隊員の方で、何か手がかりがつかめそうな気がするんですけど」
「連絡を取ってみろ」
溶岩地帯で何も手がかりがつかめない以上、ジャングル地帯に向かった隊員たちに期待をかけるしかない。
ムラマツキャップもハヤタ隊員も、心境は同じだ。

「こちらハヤタ、こちらハヤタ。あっ、キャップ、トランシーバーが使い物になりません」
「地磁気が狂ってるんだ」
この時点ではじめて東チームも、島の地磁気が狂っていることが判明した。
すぐにムラマツキャップはコンパスを確認する。ハヤタ隊員もムラマツキャップの元へ。

その時突然不可解な音があたり一面に反響し、地面の一部が大きく盛り上がった。
「キャップ、あれを!」
ハヤタ隊員が指差す方向には、1匹の怪獣が地面から姿を現したのだ。
マグラーだ。

「さっき見たのと違うやつですよ」
「どうやら怪獣は1匹や2匹ではないらしい」
二人はこの島がどういう状況なのかおぼろげながら掴みかけてきた。



「まるで怪獣動物園ですね」
「のんきなことを言ってる場合じゃないぞ!」
「どうします?」
「やっちまおう。やらなければ前進できん。ハヤタ、ナパーム手榴弾」

とにかく目の前の敵を倒さないことには探索は進められない。
ムラマツキャップの攻撃命令でハヤタ隊員はナパーム手榴弾を手に怪獣に近づいていった。

そのころスフランの魔の手から命からがら逃れた西チームの3人は、新たな手がかりを発見した。
「マツイ」
アラシ隊員が手に取ったもの。それはマツイ所員のネームの入った帽子だった。
フジ隊員が駆け寄ってきた。
「ここまで逃げてきたんだわ」
「頼むから、生きててくれよ」
マツイ所員の生存を願うあまり、アラシ隊員の顔は苦悩にゆがんだ。

「マツイさ〜ん!」
3人は大声でマツイ所員の名を叫んだ。もしかしたら近くにいるかもしれない。
だが島の恐怖はまたしても3人に襲いかかろうとしていたのだった。

「ちょっと静かにして、何かが聞こえるわ」
気付いたのはフジ隊員だった。
不気味なうなり声。それは東側でムラマツキャップたちと対峙しているマグラーの鳴き声だったのだ。

ムラマツキャップとハヤタ隊員は、目の前のマグラーに手を焼いていた。
ナパーム手榴弾でマグラーを仕留めるには出来るだけ近づかなければならない。
しかしマグラーは、エサでも探しているのか、やたら落ち着きなく動き回り、
そのためあたりの岩石が飛ばされてくるのである。危険この上ない。

しかしハヤタ隊員は危険をかえりみず、岩陰に身を隠しながら、着実にマグラーに接近していく。
「20メートルまで引き寄せるんだ。しくじったら、一巻の終わりだぞ」
ムラマツキャップの指示に気持ちを引き締める。
マグラーはあたりの小岩を飛ばしながら近づいてくる。
小岩といっても相当大きい。当たれば人間など即死だ。
ハヤタ隊員は恐怖との戦いでもあった。



マグラーが射程圏内に入った。
岩陰に隠れ、マグラーが見えないハヤタ隊員に、ムラマツキャップが叫んだ。
「ハヤタ、早くナパームを投げろ!」
指示に従い、身を起こしてマグラーにナパームを放り込もうとしたハヤタ隊員。
しかし運悪く、マグラーが飛ばした小岩がハヤタ隊員に直撃してしまったのだ。

しかもハヤタ隊員の投げたナパームは的をはずし、その爆風でハヤタ隊員はがけ下に転落してしまったのである。

 

「ハヤタ!!」
ムラマツキャップが身を乗り出して叫ぶ。
崖下に転落していくハヤタ隊員を見守るがどうすることも出来ない。

ハヤタ隊員は大岩に強く体を打ち付けて気絶した。
しかも大岩にぶつかった衝撃で胸のポケットにしまってあったベータカプセルが落ち、
更に崖下へと転がってしまったのだ。



ムラマツキャップはマグラーの隙を見つけるとすぐさまナパームを叩き込んだ。
ナパームの威力でマグラーは絶命した。



「ハヤタ!ハヤタ!!」
ムラマツキャップは崖下に転落したハヤタ隊員の名を呼ぶが返事はなかった。
崖下に見える、動かないハヤタ隊員の姿。
ムラマツキャップは周囲の状況も確かめず、ただひたすらハヤタ隊員救出のために、
我を忘れて急な溶岩壁を駆け下りていったのだった。

(後編に続く)

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