EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD
第9話後編
by しぃさぁ

アベ町のウラン貯蔵庫を狙って侵攻してきたガボラを撃退することに成功した科特隊であったが、
事もあろうかガボラは少年団のキャンプ場に向かい始めてしまった。

だがハヤタ隊員の提案で、ヘリにウランを積み、
ガボラを安全地帯まで誘導する作戦が実行に移されようとしていた。

搭乗者はもちろん、ハヤタ隊員だ。
アラシ隊員とイデ隊員も準備に余念がない。



「キャップ、準備完了」
いよいよ作戦開始だ。ムラマツキャップはハヤタ隊員に全てを託した。
「よし。頼むぞ」
「任してください」
自信満々でヘリに乗り込み離陸するハヤタ隊員を見送るムラマツキャップと隊員たち。

その姿を上空から見下ろしながら、ハヤタ隊員はひとつ気がついたことがあった。
「ウン?フジ君とホシノ君の姿が見えないなあ・・・」
確かにフジ隊員とホシノ少年が見送りの中にいない。



ハヤタ隊員はあたりを見回してみた。
しかしハヤタ隊員の疑問はすぐに解決されたのだった。
「心配ないよ。ここにいるよ」
「ええっ?」
突然後部席からホシノ少年の声がした。あわてて振り向くハヤタ隊員。
すると、後部席のシートにホシノ少年と、事もあろうかフジ隊員までが隠れていたのだ。



「ホシノ君に教わったの。だって、こうでもしなきゃ乗せてくれないでしょ?」
こうなってはもうどうしようもない。ハヤタ隊員も苦笑いをするだけだ。
「仕方がない。しかし帰島したら懲罰もんだぞ」
「わかってるわかってる。それより早く早く!」
すっかりゴキゲンのホシノ少年であった。

だがフジ隊員はいち早くあたりの状況視察を始めていたのである。
「あっ、ガボラ!」
フジ隊員の指差す方には、ゆっくりと山間部を這うガボラの背中が認められた。



早速ウラン入りのカプセルをガボラに見せつけ、安全地帯に誘導を始める。
すぐ目の前にちらつくカプセルがウランであることに、ガボラはすでに気付いていた。
ハヤタ隊員のヘリを追い始めるガボラ。ここからがハヤタ隊員の腕の見せ所だ。

「ガボラが気付いて追い始めたぞ」
「ハヤタ、うまくやってくれよ」
地上でもその様子は確認されていた。ムラマツキャップとアラシ隊員が祈るように叫んだ。

「右、右、いや、左だ、左。左へ回って」
ヘリの中ではホシノ少年が興奮状態だった。しかし、
「少しうるさいぞ外野席」
ハヤタ隊員に一喝され、あっさりと沈黙する。

すぐ目の前には空腹のガボラがいる。そう、ハヤタ隊員も命がけなのだ。
ガボラの手の届きそうな位置を必死でキープしながら、
それでもどうにかガボラを安全圏まで誘導することに成功しそうなハヤタヘリ。

作戦成功を確信したのか、地上のムラマツキャップにこの時はじめて笑みがこぼれた。
「これで一安心だ。ハヤタ、うまくやってくれ」

目的地に近づいた。ハヤタ隊員は次なる指示を仰ぐべくムラマツキャップに無線で連絡を取る。
「キャップ、聞こえますか?こちらハヤタ。
 市外中心より北方25キロの山岳地帯に誘導しました。次の指示をどうぞ」
「ハヤタ、30キロの地点まで誘導。付近に人影がないことを確かめてカプセルを切り離せ。
 繰り返す。30キロの地点まで・・・」

無線連絡中のムラマツキャップの言葉を捕まえたイデ隊員が、疑問を口にする。
「近くに人がいると、なぜいけないんだ?」
すぐ横にいたアラシ隊員が小声でイデ隊員に説明した。
「ガボラはな、ウランを食べる時にも放射能を出すんだよ」
アラシ隊員の答えに納得の表情を浮かべるイデ隊員。放射能の怖さは誰もが熟知していた。

「了解。30キロの地点まで誘導します」
「あと5キロなんて我慢できるかな?ガボラのヤツ、食いしん坊なんだぜ」
通信を聞いていたホシノ少年が口を尖らせた。
確かにホシノ少年の言うとおり、ガボラの動きは先ほどよりも早く、荒々しくなっていたのだ。

「やるより仕方がないわ。町から少しでも離さないと、放射能はとっても恐ろしいのよ」
即座にホシノ少年を諭すフジ隊員。
さすがはフジ隊員だ。恐らく彼女はヘリに乗り込んだ時から、自らの身を危険にさらす覚悟があったのだろう。

いよいよカプセルを切り離す時が来た。まずは状況確認だ。ハヤタ隊員から指示が飛んだ。
「下をよく注意しといてくれ。きこりや登山者がいるかもしれんからな」
「O・K」
フジ隊員とホシノ少年はあたりを注意深く見回した。

町まで食料の調達に出かけたタケシ君とトシオ君であったが、
あまりの難関の連続に、すでに体力は限界だった。

「少し休もう」
「なんのこれくらい!さあ、急ごう!みんなボクたちを待ってるんだ」
それでも気力だけはまだ十分。先を急ごうとするタケシ君であったが、捻挫した足が言うことを聞いてくれない。
歩き出そうとはするものの、すぐによろめき、倒れこんでしまったのだ。



トシオ君があわててタケシ君に駆け寄った。
「少し休まなきゃダメだよ」
トシオ君の言うとおりだ。トシオ君はタケシ君を座らせ、ハンカチで汗を拭いてあげた。

「大丈夫かい?」
心配そうなトシオ君。だがそんな二人を更なる窮地が襲った。
二人のすぐ上空を、ハヤタヘリが通過して行ったのだ。
爆音に気付きヘリを見やるタケシ君とトシオ君。すると、その後にはなんと、
大きな体のガボラが、二人のすぐ横を通過して行ったではないか。



「あっ!ガボラだ!」
あまりに突然な出来事に放心状態になる二人。しかし、すぐに行動を起こしたのはトシオ君だった。
「急ごう!」
あわててタケシ君を支え、自転車まで戻る。

しかし事態は更に最悪の状況へ落ち込んでいく
「しまった!チェーンが切れてる!」
タケシ君が叫んだ。そう、崖が崩落した衝撃で、二人の乗ってきた自転車のチェーンは切れ、
地面に垂れ下がっていたのだった。
度重なるアクシデント。これにはさすがのトシオ君も泣き顔になっていた。

ガボラの空腹はもう限界だった。
ついには顔面防御のために閉じていたヒレを開き、ハヤタヘリにウラン光線を発射してきたのだ。
モタモタしてはいられなかった。



「あと3キロだ」
ホシノ少年が叫ぶ。
「よおし、少し飛ばすぞ」
その声に後押しされたようにハヤタヘリはスピードを上げた。
いよいよ急がねばならない。カプセル投下地点に急ぐハヤタヘリ。

しかし地上の安全を確認していたフジ隊員は、目的地付近にある二人の人影を発見したのだ。
「あ、あれは何?」
フジ隊員の見たものは、そう、チェーンの切れた自転車をおしながら町に向かう途中のタケシ君とトシオ君だったのだ。



「人間だ!27キロの地点に2名の人影を発見!」
ハヤタ隊員からムラマツキャップへ緊急無線が飛ぶ。
「ムラマツだ。その人影に連絡の方法はないのか」
ムラマツキャップもこのイレギュラーに困惑の表情を浮かべる。
ここで頓挫するわけにはいかなかった。

「キャップ。こちらハヤタ。一番確実な方法はいったん着地して連中に非難するよう伝えることだ」
さすがのハヤタ隊員も狼狽している。
しかし確かにハヤタ隊員の言うとおりだった。
ここは危険でも一度着陸し、フジ隊員にあの二人を託しか方法が見当たらない。

「そんな暇ないよ、ガボラの空腹はもう限界だぜ」
そう訴えるホシノ少年だったが、
「でもあの二人を見殺しにするわけにいかないわ。そうでしょ」
そういうフジ隊員に動揺はなかった。
まるでこうなることを予測していたかのように、ホシノ少年に言い含めたのだ。

フジ隊員もハヤタ隊員と同じ意見だった。フジ隊員の言葉でハヤタ隊員は意を決した。
「よし、他に方法はない。冒険だがやってみるか」
ハヤタヘリは十分にガボラとの間を計った。着陸の時間を稼ぐためだった。

離着陸の間はヘリの動きが止まる。そこをガボラに狙われたら一巻の終わりだ。
ハヤタ隊員はしっかりとその間を取った。そして着陸に成功し、フジ隊員とホシノ少年を地上に降ろすと
自らはガボラの注意をひきつけるため、再び上空に舞い上がった。

「向こうよ、急がなくちゃ」
ハヤタ機を見送ったフジ隊員は即座に行動を開始。
ホシノ少年を連れ立って、タケシ君とトシオ君の元へ急行した。

一方ハヤタ機は、ようやくムラマツキャップの指示する30キロ地点に到着した。
ガボラはハヤタ機を睨みつけ、ウラン光線で攻撃を仕掛けている。

「30キロの地点に到着。ただ今よりカプセルを切り離します」
空腹のガボラは手がつけられない状態だった。
ウラン光線をはきまくり、ハヤタ機を撃墜しようと躍起になっている。
早くカプセルを切り離さねば、これ以上はハヤタ機が危険だ。

ハヤタ隊員はカプセル投下のスイッチを押した。
しかしウラン入りカプセルは地上に落下しなかった。
カプセルをつるしていた2本のワイヤーのうち1本がハヤタ機に引っかかり切り離されないのだ。

「カプセルが落ちません!故障です!!」
カプセルはハヤタ機につるされたまま、ガボラの目の前に垂れ下がった。
ハヤタ隊員は何度もカプセル投下のスイッチを押すが、カプセルはそのまま宙吊りのままだ。

ついにガボラの空腹は極限に達した。好物を目の前にちらつかされ、もはや我慢の限界だったのだ。
ガボラは懇親の力を込めて立ち上がると、怒りに任せ、目の前を飛ぶハヤタ機を叩き落してしまった。

「あっ!ハヤタさん!」
タケシ君とトシオ君を無事保護し、山中でハヤタ機を見守っていたホシノ少年が思わず身を乗り出した。

「ハヤタ!だからオレに行かせろって言ったんだ」
地上で見ていたアラシ隊員も双眼鏡を握り締め、歯軋りをするがどうにもならない。

バランスを失ったハヤタ機は、山肌に突っ込み爆発、炎上した。
ウランにありつこうとガボラは炎上するハヤタ機に近づく。
しかしその進路には、なんと墜落直前にヘリから振り落とされ、気を失っていたハヤタ隊員の姿があったのだ。



ガボラ侵攻の地響きで、すぐにハヤタ隊員は意識を取り戻した。
そしてウルトラマンに変身しようと、胸のベータカプセルに手をやったのだ。
「しまった!」
ベータカプセルがない!どこへやった!?

あたりを探すと、ベータカプセルはハヤタ隊員から10メートルくらい離れたところにころがっている。
だがそこにはガボラがウランを求めて接近していたのだ。
このままではベータカプセルが踏み潰されてしまう。

一か八かだ。ハヤタ隊員は、すぐそこまで来ているガボラの前に飛び込んだ。
そしてガボラに踏み潰される直前、しっかりとベータカプセルを握り締め、そのまま岩陰に身を隠したのである。



間一髪。ガボラが通り過ぎていく。
空腹のガボラはウランしか見えないのか、ハヤタ隊員など見向きもしない。
岩陰で突進していくガボラを見送ったハヤタ隊員は、その場でベータカプセルを高々と天に突き上げた。



ガボラにはもうウランしか目に入っていない。そして、今まさに、そのウランにありつこうとした時、
ウランの向こうにウルトラマンが立っていたのだった。



邪魔するんじゃない!とばかりにガボラはウルトラマンに襲い掛かった。
山中を舞台に、激しい戦闘が始まった。
ウルトラマンはガボラの背後に回り、馬乗りになってガボラの動きを押さえつける。



だが空腹のガボラは強暴だった。すぐさまウルトラマンを振り落とすと、
間髪いれずにウラン光線を吐きつけたのだ。かろうじて避けるウルトラマン。
食べ物の恨みは恐ろしい。食事を邪魔されたガボラはウルトラマンをにらみつけた。

地上ではホシノ少年たちがウルトラマンの戦いを見守っている。
負けるわけにはいかないのだ、ウルトラマン!



再びウルトラマンがガボラに組み付いた。そして、ガボラの顔面防御用のヒレをもぎ取った。
1枚、そしてまた1枚。
怒ったガボラは立ち上がり、ウルトラマンに突進してくる。

これをボクシングさながら、左フックと右アッパーで撃退するウルトラマン。
ガボラがよろめいた。光線も受け付けないほど強い皮膚をもつガボラだが、どうやら打撃技には弱いらしい。

それをしっかり確認したウルトラマンは、正面切ってガボラに組み付いた。
そして最後は大きく首投げでガボラを地面に叩きつけたのだ。



やはり打撃に弱かったガボラ。ウルトラマンに大きな衝撃を与えられ、驚くほどあっけなく絶命した。


科特隊の車が山中を走る。
「キャップ!」
「怪我はないか?」
山中に非難していたフジ隊員たちをムラマツキャップが出迎えに来てくれたのだった。

「ああっ!ウルトラマンが!」
イデ隊員が指差すその方向には、さっそうと空へ帰っていくウルトラマンの勇姿があった。
「あっ、ハヤタさんだ」
崖を登り、みんなのところへ戻ろうとしているハヤタ隊員にホシノ少年が気付いた。

ムラマツキャップが走りだす。みんなも後についてハヤタ隊員のところへ走り出した。
「ハヤタ、大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
ヘリ墜落の衝撃もなんのその。ハヤタ隊員は全く無事だったのだ。
みんなの心配をよそに、ハヤタ隊員は笑顔で答えた。

「ヘリと一緒に死んじゃったんじゃないかと思ったわ」
少しばかりすねてみせるフジ隊員だったが、
「おいおい縁起でもない、よせよ。このとおりだよ」
胸を張り、元気を証明するハヤタ隊員だった。
そんなハヤタ隊員の姿を、タケシ君とトシオ君はアゼンとした表情で眺めているのだった。

科特隊の協力で、子供達の待つキャンプ場に食料が運ばれた。
科特隊の車が来たとあって、子どもたちは喜び勇んで駆け寄ってくる。

隊員たちが子供達に物資を手渡した。
そんな中・・・
「おじさん、なんともないの?」
タケシ君とトシオ君はハヤタ隊員を不思議そうに見つめていた。

なんのことかと首をかしげるハヤタ隊員に、トシオ君は
「だって、ヘリと一緒に落ちたのにピンピンしてるんだもん」
その言葉でハヤタ隊員が笑顔になった。



「ああ、なんともないさ。ほらね!」
両の腕に力こぶを作ってみせるハヤタ隊員にタケシ君もトシオ君もビックリだ。

そんな二人に笑顔のまま別れを告げ、ハヤタ隊員は車に乗り込んだ。
科特隊の車を追いかける子供達の姿を、ハヤタ隊員は笑顔を崩さぬまま見つめていたのだった。

あとがき
今回はガボラががんばってくれました。
ウランが好物というこれまた厄介なやつで、科特隊は手を焼きました。
しかしウルトラマンはというと、スペシウム光線も使わずに勝利してしまい、
はあ〜・・・文章作るのが難しいです(ToT)
スペシウム光線は使って欲しいですねえ。

活躍したといえば、今回はタケシ君とトシオ君も大活躍でした。
この二人の少年の勇気ある行動は、大人も見習わねばならないくらいです。

今回UPが遅れたのは、実はこの二人をじっくりと書きたかったからなんです。
彼ら二人は、実際に科特隊を食うくらいの活躍でしたし、
なにより、窮地に自分より友達のことを考え、助け合う姿がとても印象的だったからです。

とても「かっこいい」男の子たちだったと思います。

ただ、ショックだったのは、
最後の最後で、ハヤタ隊員に「おじさん!」(実際にこういうセリフがあったんです)
ハヤタ隊員がおじさんですか!?
確かハヤタ隊員は25歳くらいの設定ですが・・・
いやはや、参りました<m(__)m>

ということで、次回はこいつが暴れてくれます。



ぜひまたおつきあいください。

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