EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD

第12話前編
by しぃさぁ

オニノダイ丘陵で行われている発掘調査現場から、
イワモト博士率いる調査団が何がしかを発見したとの連絡を受け、
科特隊からハヤタ隊員とアラシ隊員が派遣された。

二人はただちに発掘現場へ急行。
イワモト博士の元へ向かった。



現場に到着すると、ちょうどイワモト博士が洞窟から出土物を搬送しているところだった。
「イワモト博士」
「ああ、ご苦労さん」
ハヤタ隊員の呼びかけに満面の笑みで応じるイワモト博士。

「はあ、これが問題のミイラですか?」
興味深く担架に乗せられた出土物を見るアラシ隊員に、イワモト博士は自慢げに答える。
「あの洞窟から出たんだが、壁画から推定して7千年は経っていると思う」
「7千年も・・・」
驚愕のハヤタ隊員とアラシ隊員である。



よほどの大発見なのだろう。イワモト博士は上機嫌だった。
アラシ隊員は出土したミイラにかけられている白い布をそっとめくり、顔を拝む。
グロテスクな顔だった。ハヤタ隊員とアラシ隊員は思わず顔を見合わせた。

「7千年も経ったミイラにしては、原型を良く留めている。
 あの洞窟にその秘密があるのか、あるいはミイラ自体に何か隠された謎があるのか、
 とにかく興味ある結果が得られそうだよ」
震えがきそうなくらいグロテスクなミイラの顔に渋い表情をするハヤタ、アラシの両隊員を意に介さず、
イワモト博士の気持ちは早くもミイラ研究へと向けられていたのだった。

「洞窟の方をちょっと見せていただいていいでしょうか?」
「ああどうぞ。岩がもろいから気をつけてくれたまえ」
視察の許可をもらった二人は研究室に戻るイワモト博士と別れ、
ミイラが出土した洞窟へと向かった。

洞窟内ではまだ、発掘現場の写真撮影などさまざまな作業が行われている。
ハヤタ、アラシ両隊員は、作業のじゃまにならぬよう、注意深く洞窟奥へと歩を進めた。

「なんだいあれは?」
アラシ隊員が指差した所、ハヤタ隊員の照らすライトに映し出されたものは、
大きな、そして奇妙な何がしかの壁画だった。
「動物の絵らしいな。大きすぎてよくわからんが、きっとあのミイラが書いたんだろう」
大きな、緑色をした足がそこに描かれていた。
二人はしきりにライトを照らし、薄暗い洞窟内に描かれた壁画の全貌を読み取ろうとしていた。

7千年の謎を秘めたミイラは、一晩科学センターの遺室に安置されることになり、
我が科学特捜隊もガードマンとして同行した。
すでにイワモト博士の研究は始まっており、
ミイラはその姿をさらし、研究室に安置されていた。

ハヤタ隊員とアラシ隊員の姿を目にしたイワモト博士は
「今日は特別のお客様をお連れしたから、研究の方は止めにしておこう」
と、スタッフに指示し、高圧電流のスイッチを切り、両隊員を招き入れた。



「これが7千年も前の、人間の姿か・・・」
ミイラの姿を目の当たりにしたアラシ隊員はいささかショックだった。
その姿はあまりにも現代人とかけ離れ、醜い、という言葉が一番適切だったからだ。
ミイラを見つめるアラシ隊員の顔が苦悩にゆがんだ。

だが・・・
その夜、世にも恐ろしい事件が起ころうとは、
イワモト博士も科学特捜隊も想像だにしなかった。

「どうだい、王手」
「はいはい、行きますよ行きますよ」
夜の科学センターでは宿直の警備員が待機。
将棋に高じているところだ。

「こうしょっちゅう囚われの身じゃあ、お前も王様を廃業したいだろうにね」
負けた警備員がぼやく。
「ハハハハッ、まあ今夜は10連敗覚悟でがんばってもらいましょうか」
「それじゃこの王様、ミイラになっても死に切れませんよ」
「ああ!?ミイラ?」
「おっと、今夜は言わないことになってましたね」
「ああ、冗談じゃないよ!」
ぼやきながらも、一人の警備員が見回りに出かけていった。
警備員もやはり、例のミイラが来たことで薄気味悪いものがあるようだ。

いつものように見回りに入る。ライトを片手に階段を上がっていく。
その奥にあるのが例のミイラの安置室だ。
すると、フロアの奥からなにか物音が聞こえてくる。
一瞬たじろぐ警備員。やはりミイラの存在に本能的に不気味さを感じているのだろう。
恐る恐る物音のする部屋に近づくと、それは警備員の予感どおり、あのミイラの安置室だった。



そっとドアを開け中の様子をうかがう。
部屋の中では高圧電流がスパークし、ミイラの体に当たっていたのだった。
誰かが電源を切り忘れたのだろうか。青白い電流の光が部屋中を照らす。



「なんだよ、しょうがねえなあ」
警備員は手にしたライトで電流のスイッチを探し、電源を落とした。
電流が止まり、部屋の中が闇に包まれた。

「あ!うわー!!誰かー!!!」
突然警備員は何者かに襲われ、あわてて助けを呼ぼうとしたが、
ものすごい怪力で首を締められ、何も抵抗できずに意識を失った。

警備員を襲った犯人は狂ったように雄たけびをあげる。
その雄たけびは事務所で待機していたもう一人の警備員にも聞こえた。
あわててミイラの安置室に走る警備員。

ところが、そこへ向かう途中の階段で、警備員は雄たけびの主と遭遇した。
なんと、あのミイラだ。
ミイラは自ら高圧電流を浴び、生き返ったのだった。
驚き、階段から転げ落ちる警備員めがけ、ミイラは目から黄色の破壊光線を放つのだった。



7千年前の謎を解く貴重な研究資料として科学センターに運ばれたミイラは、
その夜突然息を吹き返し、そのままどこかへ行方をくらませてしまった。

「うん!了解!!我々科学特捜隊は直ちに調査を開始します」
「どうしたんだ!?」
連絡を受けたイデ隊員にムラマツキャップが問いかけた。
「ミイラが姿を消してしまったそうです」
「ミイラが!?」
「そうです!!」

二人の会話を聞いていたアラシ隊員が口をはさんだ。
「おい、イデ。報告は正確に。この場合はだな、
 ミイラは何者かの手によって盗まれた、と訂正すべきところじゃないのかなあ?」

しかしイデ隊員は、なぜか得意げにアラシ隊員に反論を開始した。
「それが訂正しなくてもいいんですよ。いいですかアラシさん。
 殺された警備員二人は、明らかにミイラと格闘した形跡を残している。
 するとミイラは、何かのショックで息を吹き返し、警備員を殺して逃げたということになる
 しかも、しかもだよ!その後下水場の入り口で警官が二人、失われているんだ」
事の顛末を説明するイデ隊員。その横で震え上がるフジ隊員。



イデ隊員の話の内容に、急を要する、と判断したムラマツキャップは即座に命令を下した。
「分かった!我々はそこへ急行!調査を開始する!!」
キャップの命令で科特隊は科学センターそばの下水場へと向かった。

下水場では警官隊による現場検証が行われているところだった。
すでにイワモト博士が下水場に到着し、警官を伴い内部を調査中であった。
「ここからミイラが侵入したとして出口は他にいくつありますか?」
「ハッ、4つですが、各地に警官を待機させてあります」
大事な研究資料に逃げられてしまったイワモト博士は、何としてでも取り返そうと躍起になっていたのだ。



「この扉は普段、鍵がかかっているはずでしたね」
「はあ、ものすごい力で破壊されております」
案内の警官が言うとおり、太い鉄で出来た門扉が、いとも簡単に捻じ曲げられている。
それでもイワモト博士は臆することなく、破壊された箇所を見つめていた。

科特隊が到着した。ムラマツキャップがイワモト博士のところにやってきた。



「博士、早速ですが・・・」
挨拶もそこそこに、ムラマツキャップは今回の疑問を質問としてぶつけようとした。
だがイワモト博士は、
「死んでるミイラがなぜ生き返ったか、でしょう」
ムラマツキャップの疑問はお見通しだったのだ。
「おお、これは参った」
「朝から同じ質問の連続でね」
「なるほど」
気心知れたムラマツキャップだからか、イワモト博士は嫌な顔ひとつせずに笑って答えた。

「それでどうなんです?」
「結論から言うと、あのミイラは生きていたんだよ」
イワモト博士は今回の事件に関し、すでにひとつの結論を導き出していた。
しかしその答えにハヤタ隊員が口を挟んだ。
「エッ!?生きてた!?しかし博士、死後少なくとも7千年は経ってると発表なさったはずですよ」



この質問にもイワモト博士は自信有りげであった。
「それじゃあ、彼は死にながら生きていたと訂正しようか」
「死にながら生きている、ですか・・・」
博士の不可解な言い回しに、さすがのハヤタ隊員も困惑気味だ。
「ええ。一種の冬眠状態にあったわけだ」
博士が持論を展開しようとしたその時、警官隊に緊急連絡が入った。
「下水場のそばにミイラを追い詰めました。科特隊に連絡を取ってください」
受信した警官がムラマツキャップのそばに走り寄る。
「下水処理場のそばにミイラを追い込みました。直ちに現場に急行してください」

「行くぞ!」
ムラマツキャップの号令で、現場に急行しようとする隊員たちをイワモト博士が呼び止めた。
「待ってくれ!出来るだけミイラは生け捕るように。
 君達の持っている新兵器で攻撃をかけたら、たとえミイラといえどもひとたまりもない。
 生け捕れば7千年も生命を保ち続けた謎も解ける。それを忘れないでくれ」

アラシ隊員が得意げにスパイダーを掲げて見せた。
「博士、私がいくらスパイダーショットの名人でも、滅多なことでは撃ちはしませんよ」
「頼むよ」
ミイラの元へ急行する科特隊の背中を、祈る思いで見つめるイワモト博士だった。

一方警官隊に追い詰められてたミイラは、活路を求め、地下道を逃げ回っていた。
計画に乗っ取り、着実に予定箇所にミイラを追い詰める警官隊。
地上では多くの警官隊が待機し、ミイラの出現を待ち受けていた。

科特隊が合流した。
「まだ、現れませんか?」
一礼した後、ムラマツキャップが現状を聞く。
「まだですが、今入った指令によると、生け捕るように、とのことです」
「我々も協力します」
「お願いします」



その言葉と同時だった。
地下道から這い上がってきたミイラが、地上に姿を現したのだった。
地上で待機した警官隊がフォーメーションを敷き、ミイラを取り囲む。
科特隊もすぐさま参戦。ミイラ捕獲に乗り出した。

警棒を手に大勢でミイラに飛び掛る警官隊。
だが何という怪力なのだろう。飛び掛ってくる警官隊を簡単に投げ飛ばし、
ミイラはまるで無人の野を行くがごとくに前進を続けるのだ。

次から次へと波状攻撃的に飛び掛り、組み伏せようとする警官隊。
それらを軽く蹴散らし、ミイラは突破口を開こうとする。
しかしいかにミイラが強くても人数の差は大きい。脱出は不可能に近い。
それが分かっているのだろうか、突然ミイラは空に向かって咆哮したのだった。



何としてでも生け捕ろうと再び突撃する警官隊。だがまたしてもミイラに蹴散らされる。
一人の警官が鉄柱に体を強くぶつけた。衝撃が強く、立ち上がれない。
倒れた警官にミイラがゆっくりと近づく。
恐怖に襲われた警官は腰のピストルを握るとミイラに向け発砲した。

弾丸はミイラの右肩に命中。しかし致命傷には至らない。
それどころか傷ついたミイラは、発砲した警官を睨むと
その目から黄色い破壊光線を発射したのだった。



傷ついたことで怒りが増したのか、手負いのミイラは破壊光線で警官隊を撃ちまくり、
再び空に向かって、闇の底から響くような咆哮を発した。

ついに犠牲者が出た。ムラマツキャップはこのことを重く見た。
「生け捕りはあきらめよう。アラシ、スパイダーだ!」
「ハイ!」
アラシ隊員はスパイダーを手に、ミイラの前に立ちはだかった。

長時間に及ぶ逃走、戦闘、そして発砲による怪我。
よく見ればミイラは衰弱していた。

(こいつは一体どうしたかったんだ・・・)
アラシ隊員の脳裏にふと小さな疑問が浮き上がった。
しかし同情してはいられない。被害は大きくなるばかりなのだ。

ミイラに対し、いくばくかの哀れみを感じたアラシ隊員は
苦悩に顔をゆがめながら、スパイダーの引き金を引いた。



さすがのミイラもそこまでだった。スパイダーをまともに受け、
その場に崩れ落ちると、天に向かって咆哮し、息絶えた。

ところが、ミイラ絶命と同時に、オニノダイ丘陵では大変なことが起こっていた。
突然地鳴りが沸き起こり、崖が崩れ、
その中からは、壁画に描かれていたあの化物=ドドンゴが現れたのだった。



必死に逃げる作業員。ドドンゴは山中から全身を現すと、
ミイラの元へ向かうため、敢然と歩を進めるのだった。

(後編に続く)

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