EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD
第12話後編
by しぃさぁ

激しい戦闘の末、ミイラとの戦いに勝利した科特隊と警官隊ではあったが、被害もまた甚大だった。
「おい、救急車の手配をしろ。怪我人を急いで病院へ運ぶんだ」
ミイラの破壊光線を浴び、負傷した警官を病院に運ぶ手はずを整える。

「終に生け捕りには出来なかったか・・・」
イワモト博士が残念そうにつぶやくが、
ムラマツキャップはミイラの死に顔を見ながら別の思いに駆られていた。
「お前を発掘さえしなかったら、まだまだ眠りについていられたのに・・・」



「こいつは、きっと住処へ帰ろうとしていたんですよ」
キャップの思いを察したハヤタ隊員も、そっとミイラの死顔を覗き込む。
ムラマツキャップが深くうなずいた。
後味の悪い戦いだった。
科特隊員たちは皆、やりきれない思いでミイラの遺体を見つめていた。

ムラマツキャップの通信機が受信をキャッチした。
本部のフジ隊員からだ。



「ムラマツだ」
「あっ、キャップ。大変です!オニノダイ丘陵のミイラ発掘現場から、今度は怪獣が現れたそうです!」
「怪獣!?」
「そうです!」
フジ隊員の通信は、科特隊を感傷から現実へと引き戻した。
「現在位置は?」
「オニノダイ丘陵南へ3キロの地点を移動中」
「よし、了解!」

ムラマツキャップと科特隊は通信を受けると一旦本部に帰還。
ジェットビートルでオニノダイ丘陵に急行した。
フジ隊員も加わり、全員揃っての出動だ。

現場へ向かう機内では、ミイラと怪獣=ドドンゴの関係が話し合われていた。
「すると怪獣は、ミイラの呼ぶ声で姿を現したというのか?」
「テレパシーで呼び合ったんだと思うわ」
イデ隊員に自説を強調するフジ隊員。
本部で一部始終を冷静に分析していた彼女には、直感めいたものがあるようだった。

「テレパシーねえ・・・」
アラシ隊員もいまひとつ信じがたいといった表情だが、
ハヤタ隊員はフジ隊員説を取り上げた。
「キャップ、フジ君の説が当たってるとすれば、怪獣はミイラを助けるために現れた、とは言えませんか?」
ムラマツキャップは操縦桿を握り締めたまま、こわばった表情を崩さない。
それは何か深い考え事をしている時のキャップの顔であった。



「アッ!いたぞ!!」
イデ隊員が叫び、指差した。
コックピットからは、発掘作業現場で暴れまわるドドンゴの姿がありありと窺える。
怒り狂うドドンゴのすぐ頭上をジェットビートルが通過した。



ドドンゴは発掘作業現場から近くにあったセメント工場に移動してきていた。
あたりにある施設、建物を、じゃまだ!、とばかりに破壊しまくる。
そしてついには、あのミイラが出したと同じ破壊光線を発射し、
建物を木っ端微塵に破壊してしまったのだ。



ムラマツキャップはその一部始終を見届けた。
「あの破壊光線はミイラの出した光線と同じものだ」
「恐ろしい怪物だわ」
フジ隊員の言葉の重さを横にいたハヤタ隊員がかみしめる。

迂闊には近寄れなかった。油断をすればジェットビートルも破壊光線の餌食になってしまう。
ジェットビートルは今一度ドドンゴの頭上を通過。体制を立て直す。
その間にもドドンゴは目から破壊光線を連発し、あたりの設備建物を破壊しまくっている。

ついに火が上がった。このままではセメント工場と発掘現場は火炎に包まれてしまう。
「いかん!ここで食い止めるんだ!これ以上の犠牲は出せん」
何かの迷いを振り切るかのように、ムラマツキャップが沈痛な面持ちで命令を下した。

「チキショウ、目には目をだ。ヤツが怪光線を出す前に目をやっつけるんだ。方法はそれしかない」
光線の出どこを潰そうと言うアラシ隊員の作戦だ。
真正面からドドンゴに近づくジェットビートル。
しかしドドンゴは接近してきたビートルを睨みつけ、攻撃の態勢を取ったのだった。

「あっ、こっちを見たわ」
フジ隊員の叫びと同時にビートルめがけてドドンゴが破壊光線を発射した。
間一髪で光線をすり抜けるビートル。
そのまま光線の射程圏外に一時退却だ。



ドドンゴには科特隊の作戦はお見通しだった。撃たれる前に撃つ。先制攻撃だ。
「キャップ、降りてやっつけましょう。やるんですよあいつの目を」
好戦派のアラシ隊員が強気に発言した。
しかしムラマツキャップはこれに答えない。危険すぎると判断しているのだろうか。

「やめて!あの怪光線の威力を忘れたの?」
ムラマツキャップの胸中を察したフジ隊員がアラシ隊員を制止する。
「ヤツの目標は東京だ。ここで食い止めんと、東京はどうなると思う。イデ、バリアマシーンを出してくれ!」
「待ってました!」
アラシ隊員が強気に言う理由は、イデ隊員の発明したバリアマシーンの存在を知っていたからだった。
アラシ隊員には勝算があったのだ。

「これがバリアマシーン?」
フジ隊員が不思議顔で覗き込む。
「うん。イデの発明した新兵器だ。犬死には絶対しないよ」
バリアマシーン・・・いかなるマシーンなのか?



ともかくビートルを着地させたムラマツキャップ。戦いは空中戦から地上戦へ。
早速バリアマシーンを着込んだアラシ隊員が戦闘準備だ。
岩陰に隠れ、ドドンゴの様子をうかがう。

「バリアマシーンのスイッチは入れたな」
「大丈夫大丈夫」
「狙うのは目。わかったね」
「うん」
心配性のイデ隊員の確認にいちいちうなずくアラシ隊員。
いよいよバリアマシーンがベールを脱ぐ時が来た。

岩陰を飛び出したアラシ隊員は真っ直ぐにドドンゴに向かっていく。
手にはスパイダーショット。身を隠すところはどこにもない。
無謀なり、アラシ隊員!

十分に接近したアラシ隊員はスパイダーでドドンゴの右目を狙った。
見事命中。ドドンゴの右目を破壊した。

しかしこのことがドドンゴにアラシ隊員の存在を知らせてしまう結果となった。
片目に攻撃を受け怒り心頭のドドンゴは、残った左目でアラシ隊員めがけて破壊光線を発射した。
危ない!アラシ!!

ところが、ドドンゴの光線を察知したバリアマシーンがアラシ隊員の体の回りにバリアを張ったのだ。
これがバリアマシーンだ。
マシーンの張ったバリアのおかげでドドンゴの光線は見事に跳ね返された。



「おい!ゴキゲンな新兵器だぜ!」
アラシ隊員はイデ隊員に向き直り、親指を立ててご機嫌サインを送った。
ムラマツキャップたちが後を追ってやってきた。
「ねえキャップ、見てくれましたね。僕の作ったバリアマシーン、なかなかイカすでしょう」
イデ隊員はもう得意満面だ。

バリアマシーンのおかげで戦況は科特隊に有利になった。
得意になったアラシ隊員は、今度はドドンゴの左目を狙うため、再度接近を試みた。

しかし、このバリアマシーンには唯一欠点があったのだ。
それは、光線には反応するが爆風には反応しない、バリアを出してくれないのである。
ドドンゴは一度の攻撃でそれを見抜いていた。
そして再びアラシ隊員が近づいてくると、
今度はアラシ隊員ではなく、その付近の岩を狙って破壊光線を放ったのだ。
やはりバリアマシーンの効果はなく、程なく爆風に吹き飛ばされるアラシ隊員。

すぐさまドドンゴの作戦を察知したのはムラマツキャップだった。
「このままではアラシが危ない。援護射撃だ。みんな、左目を狙え!」

全員スーパーガンで援護に入る。
だがスーパーガンでは威力が足りなかった。
ドドンゴは再びアラシ隊員に照準を合わせ、彼が隠れている大岩に破壊光線を当てた。
大岩は大爆発。爆風でアラシ隊員は大きく吹き飛ばされ、気を失った。

「アラシがやられた」
ハヤタ隊員が叫ぶ。ムラマツキャップの指示が飛ぶ。
「イデ、アラシのスパイダーで左目を狙え」
イデ隊員が飛び出した。気を失っているアラシ隊員の体を起こし、岩陰に避難する。
そしてスパイダーをつかむと、ドドンゴの左目に照準を合わせた。
イデ隊員の放ったスパイダーはドドンゴの左目に見事命中。
両目を失ったドドンゴはもう破壊光線を放つことは出来なくなった。
「思い知ったかザトウイチめ」

しかし視界を奪われたドドンゴは、今度はあたりを破壊するため手当たり次第に暴れ始め、
建物に向かって体当たりを繰り返す。
どこまでも抵抗を見せるドドンゴ。危険な状況になった。

「アラシ、アラシ!」
無事アラシ隊員を保護したムラマツキャップだったが、
退却するには暴れ狂うドドンゴの気を逸らさねばならない。
ムラマツキャップはその役目をハヤタ隊員に命じた。
「ハヤタ、怪獣を背後から攻撃して上流の方に誘導するんだ」

さっそうと飛び出すハヤタ隊員。しかし彼の取った行動はスーパーガンでドドンゴを攻撃することではなかった。
ハヤタ隊員はそのまま岩陰に走りこんだ。
そして、胸ポケットからベータカプセルを取り出すと、天高く突き上げたのだった。
ウルトラマンの登場だ。



いきなりドドンゴに馬乗りになるウルトラマン。
たてがみを掴み暴れるドドンゴを押さえつけようとする。

(ドドンゴよ、これ以上人間に危害を加えることは許さんぞ)

しかしドドンゴも必死だった。どうしても東京・・・そう、ミイラの待つ東京へ行かなければ、
ミイラを助けなければいけないのだ。
きっとまだミイラの死を知らないドドンゴは、
ミイラの元へ向かうため、必死にウルトラマンを振り払おうとした。



(ウルトラマン、先に危害を加えたのはどっちだ。人間の方ではないのか)

首元をつかむウルトラマンの手の力が一瞬緩んだ。
ドドンゴはそれを見逃さず、ここぞとばかりにウルトラマンを振り払った。

(どうなんだウルトラマン。我々が、どんな悪いことをしたというのだ)

倒れこむウルトラマンを踏み潰そうと、ドドンゴが突っ込んできた。
すんでのどころでウルトラマンはドドンゴを避けきると、立ち上がり再びドドンゴに組み付いた。
首に手を回し、押さえこもうとするウルトラマン。

だがドドンゴの怒りは収まらない。
力ずくで押さえつけようとするウルトラマンを簡単にはじきとばしてしまう。
すさまじいばかりの怪力に吹き飛ばされ、倒れこむウルトラマンを、
踏みつけ、潰そうとドドンゴが突進してくる。

迫ってくるドドンゴ。ウルトラマンは倒れこみながら腕を十字に組んだ。
スペシウム光線だ!
しかし・・・撃てない。



ウルトラマンにためらいが生じた。
十字に組んだ腕の向こうにいるドドンゴ。
両目を失い、それでもミイラを助けるために戦い続けるドドンゴ。
発見されなければ、今もまだ眠りについていられたはずなのに・・・

そうしているうちにもドドンゴは、ウルトラマンを踏み潰そうと突進してくる。
やらねばやられる。
迷いを振り切ったウルトラマンは、起き上がるとドドンゴめがけてスペシウム光線を放った。



さすがのドドンゴもそこまでだった。
どう、とその場に倒れこみ、手足をばたつかせ、断末魔の叫びをあげた。



その悲しげな叫び声は何を意味しているものなのか、ウルトラマンは痛いほど理解していた。
動かなくなったドドンゴをしばし見つめ呆然とするウルトラマン。
やがて大きく息をつき、大空へ飛び立っていった。



「アラシ君、どうかしたんですか?」
様子をうかがうため、科特隊と合流したイワモト博士。
戦闘で被弾し、気を失っているアラシ隊員を気遣った。

「いやあ、岩が当たって気を失ってるだけです」
ムラマツキャップが事情を説明する。

「ムラマツ君・・・終に怪獣も死んでしまったね」
イワモト博士の言葉に冷静なムラマツキャップは一瞬の怒りを覚えた。
だが彼はその怒りを必死に押さえ込み、紅潮した顔をイワモト博士に向けた。
「申し訳ないことをしました。しかし、生かしておくと被害が重なるばかりで」
後味の悪さだけが残る。そんなムラマツキャップの表情にイワモト博士は気付かない。



「7千年の生命を解き明かせなかったのは残念だが、ミイラと怪獣が不思議な関係にあったことは確かなようだ」
耐え切れなくなったフジ隊員がイワモト博士を睨みつけた
「発掘なんかしないで、1万年でも2万年でも、眠らせてあげればよかったのに」
さすがのイワモト博士も狼狽が生じた。フジ隊員の顔が見られない。

「こんなになると始めから分かってればね。可愛そうなことをしたよ」
しかし隊員たちにとってイワモト博士のその言葉は、単なる取り繕いにしか聞こえなかった。

イデ隊員が不意に立ち上がった。
「おかしいなあ・・・あいつ、本当にウルトラマンじゃないのかなあ???」
見つめる先には、いつの間にやら丘の上で元気に手を振るハヤタ隊員の姿が。
その姿を見たみんなに笑顔が戻った。
だが・・・そんなハヤタ隊員をあくまで疑い、最後まで首をかしげるイデ隊員であった。


いやはや、肩こり、なんて言ってられないくらいの重いお話でした。
今回はドドンゴとミイラが活躍してくれました。

前編ではミイラが、オカルト的に復活。
ここらあたりのシーンは夜書いていると不気味なものがあり、
あの警備員さんの気持ちが少し分かるような気がしました。

そして後編。
身をとしてミイラ救出に赴こうとするドドンゴ。
さすがのウルトラマンにもためらいが出るという憎い演出です。

自分自身もずいぶん感情移入があり、ハヤタやムラマツキャップ
そしてウルトラマンの口を借りて、言いたいことを書いたりしてしまいました。

イワモト博士が少々悪者気味でしたが、
彼は決して悪いわけではなく、それだけ研究と言うものに打ち込んでいるのです・・・
と、最後にちょっとだけ彼を弁護して今回は締めたいと思います
<m(__)m>

さて、次回は第13話。
こんなのが大暴れしてくれます。



次回もまたおつきあいください。
よろしくお願いします。

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