EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD

第14話前編
by しぃさぁ



艶やかな光を放つ真珠の並ぶ宝石店のウインドウ。
そのガラスの向こうには、今日の任務を終えたばかりのフジ隊員とイデ隊員の姿。



「うわー、きれい!真珠は私の誕生石なのよ」
「え〜!?」
「行きましょう」
渋るイデ隊員をせかせ、店内に入るフジ隊員。

「きれいねえ。」
ウィンドウケースの中の真珠に見とれるフジ隊員。
「早くしろよサー」
真珠などには興味のないイデ隊員。
呆れ顔でフジ隊員をせかすのだが、
「ガタガタ言いなさんな。どう?このシックでチャーミングな光」
フジ隊員はイデ隊員など全く意に介さず、その心は真珠に奪われたまま。

「フジ君にもこんな心があったとは知らなかったよ」
あくびがてらフジ隊員を皮肉るイデ隊員だが、
「失礼ね。私も女。
 しかも、科学特捜隊隊員としては、いわば現代のファーストレディよ」
真珠の前では淑女のフジ隊員。イデ隊員の皮肉など軽くいなす。

「ところで買うのかよ買わないのかよ」
「ウン!ちょっと待っててよ!」
その日は科学特捜隊の月給日である。
一ヶ月のサラリーをもらったアキコ隊員は、イデ隊員をお供へギンザへショッピングと洒落込んだのだが・・・

「買えるのかよ、君のお金で」
「とてもとても。
 でも、どうして突然こんなに真珠が値上がりしたのかしら?」

真珠なのだから高くて当然ではあるが、確かにその値段は尋常でない。
「お客さん、どうも相すみません。えー、これと申しますのも今年に入って
 養殖真珠が全滅に近い打撃を受けたからでございます」
宝石店の主が顔を出し、真珠高騰の理由を説明するが、
「へぇ〜・・・海流の関係でも変わったかな?」
なにやら疑いをかけ、ニヤニヤと店主を見るのはイデ隊員。
「いえ、海流や気候は例年と同じでございます」
店主も困ったように説明する。



「じゃあ変じゃない?別に台風もないし」
フジ隊員も少々不機嫌。当然だ。欲しい真珠が買えないのだから。
「私共にも、はっきり原因は掴めておりません」

店主の説明のあやふやさに、聡明なフジ隊員。なにか直感があったようだ。
「うん・・・・・変ね・・・」
そうつぶやくとまたまたイデ隊員を連れ立ってさっそうと店を後にした。



ギンザの街中を急ぎ足のフジ隊員。
突然何事か、と理解不能なイデ隊員はわけもわからずフジ隊員を追いかける。

「おい!どこ行くんだよ」
「帰るのよ本部へ」
「本部ぅ!?今出てきたばっかりだろう!
 オレはこれから飯喰ってアイスクリーム食って、映画を観てナイターを観て・・・」
今日のオフをどう楽しむか説明しているイデ隊員の言葉を遮って・・・
「イデ隊員!」
「は、はい・・」
「何か感じないの?さっきの話で」
「感じるって何を」
「突然養殖真珠が獲れなくなったって話」
「ありゃあ値を吊り上げるための口実さ
 さもなきゃ何かい?海の中に真珠を喰う怪獣でも潜んでるって言うのかい?」
「そうよ!それ!!本部に帰って直ちに調査してやる」



やはりフジ隊員はなにかを感じていたのだ。
イデ隊員にそれを言い放つ彼女の顔は、何がしかの怒りを感じさせる女の顔。
「おい!フジ君!!」
フジ隊員の迫力に押されまくりのイデ隊員。結局一緒に本部へ戻ることと相成ったしだい・・・

真珠の養殖は、現在イセシマ国立公園に属するアゴ湾ゴカショ湾を中心として盛んである。
だがこのふたつの湾において、今年の初めより養殖真珠に欠かせない真珠貝が、
ほとんど死亡するという事件が起きた。
真珠業者は残った真珠貝を、とりあえずニホン海に避難させようと計った。

たくさんの真珠貝を積み、ニホン海を目指すトラックが1台、海岸線をひた走っていた。

「しかし一体どういうわけなんだろうな。
 何百何千ていう真珠貝がどんどん殺されてよ、中身を抜かれてるっちゅうのは」
「並大抵の泥棒じゃあねえなあ」
「バッカヤロ。人間業か!外国だってそうだっていうじゃねえか」
ドライバー仲間でもこの事件は興味で持ちきりのようだった。
それはそうだ。かなりの量の真珠貝が被害にあっている。

「まあ、なんにしてもどっちみちオラたちには真珠なんて関係ねえわさ」
「ああ」
「運転交代すっか?」
「いや、そばまでオラがやるよ」
一般庶民のこうした会話の終わり方の定番だろう。
一部のお金持ちの贅沢品である真珠。
普通に生活している分には全く必要ないのだし。

ドライバーが同僚を見て、視線を前方に移したその時、事件は突然起こった。
「うわー!危ねえ!!!」
突然叫ぶドライバー。驚いた同僚も
「どうしたんだぁ?・・・ああ!うわー!!!」
なんと、真珠貝を輸送するトラックの前に現れたのは、
なんとも奇怪な姿をした大きな怪物だったのだ。



「ヒィー!助けてくれー!!」
かろうじて逃げ出したドライバーだったが、トラックは怪物にぶっ飛ばされて大破。
ドライバーも腰をぬかし、泡を吹いて気絶してしまった。
あたり一面には無数の真珠貝が散乱していた。

怪物出現、の一方は即座に科学特捜隊に通報された。
「不思議な怪獣が出現した。真珠貝のエッセンスを食べる怪獣だ。
 我々は直ちにこれとの戦いに出発する」
「はい!」

いつものように隊員たちに明確な指示を伝えるムラマツキャップのりりしい姿。
しかし今回は、ムラマツキャップより任務に燃えている隊員がここにいた。
「フジ君?目が血走ってるぞ」
「そう。女の執念よ!」



現場では、先ほどトラックを襲った怪物=ガマクジラが呑気にあたりを見回していた。
特に暴れる様子もないガマクジラ。一体何を・・?
するとガマクジラは口から真っ赤なカエルのような舌を出し、
あたりに散らばる真珠を飲み込み始めたではないか!

なんとこやつ、フジ隊員の直感どおり真珠を食べる怪物だったのだ。
誰にも邪魔されることなく、のんびりと真珠をむさぼるガマクジラ。



その頭上を、怒りのフジ隊員を載せたジェットビートルが炎のごとく空過。
ビートルの放つ大音響に、空を見上げるガマクジラ。
ビートルはガマクジラすれすれを飛行し、反転すると早速攻撃を開始する。
ミサイルがガマクジラの頭部を直撃。

ところがだ、ガマクジラはこれにかまわず好物の真珠を再びむさぼろうと
例の赤くて長い舌をのばしたのだ。

ビートルのミサイルを受け付けない。よほど皮膚が厚いのか?
反転してきたビートル。再びミサイルがガマクジラを狙う。
更に反転し、今度はガマクジラの頭上からナパーム弾をお見舞いだ。



ここまでやると、さすがに落ち着かなくなったガマクジラ。
真珠はあきらめ海へ逃げようと試みる。
そうはいくか!更なる追撃をかけようとビートルがガマクジラの真上に来たときだった。
ガマクジラの背から、そう、まるで本物の鯨のように潮が噴出されビートルを直撃した。



途端に飛行困難に陥るビートル。
ムラマツキャップとハヤタ隊員が懸命に操縦桿を操り、
なんとか海辺にある岩場の影に不時着したのだった。



「ちっきしょう!」
ビートルの点検を済ませたハヤタ隊員が不機嫌な顔で戻ってきた。
「どうだ?ハヤタ」
「ヤツは熱戦を放射するらしいです。キャップ、コイルが3つばかり焼き切れてます」
「そうか」
頼みのビートルが飛行不能ではお話にならない。
さすがのムラマツキャップもお手上げだ。

「フジ君、至急救援を頼んでくれ」
ついには本部に救援要請を出すことに。今夜はビートルのそばで野宿と相成った。
「こちらビートル、こちらビートル、本部、応答願います。
 こちらビートル、本部、応答願います」

通信するフジ隊員。その向こうにはなんとガマクジラが。
逃げたわけではなかったのだ。
科特隊の攻撃が収まったため、対岸の岩場でくつろいでいる。
なんて無頓着なやつだ。
本部に通信しながらもフジ隊員は憎悪の視線でガマクジラを見る。



「ちきしょう!今に見ていろ!」
ビートルの外では、のんびりとくつろぐガマクジラを睨みつけ、アラシ隊員がうなる。

夜・・・

キャンプファイヤーさながら焚き火で暖を取る科特隊メンバー。
その対岸では、もちろんガマクジラものんびりと構えている。

「おとなしいなあ。ヤツは何をしてるんだろう?」
イデ隊員がつぶやいた。
暴れるわけでもなく、攻撃を仕掛けてくるわけでもないガマクジラに
科特隊はある種の不気味さを感じていた。

だが、動かないガマクジラからちょっとした変化が起こった。
ガマクジラのいる辺りからなにやら、ブツブツ、という奇妙な音が聞こえてきたのだ。
ハヤタ隊員がこの異変にいち早く気がついた。



「おい、ちょっと耳を澄ましてみろ。何か変な音が聞こえないか?」
「なんだろう、あの音は」
アラシ隊員も不思議そうに聞き入っている。
不思議な音だ。

だが、その音が何の音だかすぐに気付いた隊員がいた。
そう。またしてもフジ隊員だった。
今回のフジ隊員は、恐ろしいくらいに感が働く。

フジ隊員は立ち上がり、海岸線まで走りよるとガマクジラに向かって叫び声をあげた。
「やめて〜!もったいない!!人間から真珠の光を取らないで!!!」
そう、この、ブツブツ、という音は、ガマクジラの胃が真珠を消化している音だったのだ。
しかしそれにすぐ気付くフジ隊員。今回は恐ろしいまでの執念。



「よせよ。怪獣に頭下げるヤツがあるか」
たしなめるイデ隊員。だが、フジ隊員はイデ隊員をキッと睨みつけ、
「男なんかには解からないわこの気持ち!」
言い放つが早いかまたもガマクジラに向き直り、
「やめてちょうだい!やめてー!!」



朝・・・

本部からの救援で復活したビートルは今度はハヤタ隊員操縦の小型ビートルを従え、
ガマクジラの偵察に当たっていた。

当のガマクジラはというと、大きなあくびをひとつすると、ついに行動を開始。
一晩過ごした岩場をあとに、海に潜り始めたのだ。

「キャップ、あれを」
ガマクジラの動きを察知したイデ隊員。ムラマツキャップも焦りの色が見える。
「しまった!真珠を求めてタイヘイヨウへいくつもりだ」
「え!?ということは、ナゴヤ、シズオカ、ヨコハマトウキョウ!キャップ!」



「2号機ハヤタ。ヤツを都会に上陸させては大変だ。なんとかしてこの海で食い止める。いいな!」
「了解」
「攻撃開始!」
ビートル1号機2号機からガマクジラに向け、容赦なく攻撃が繰り広げられる。
朝一で寝ぼけ眼のガマクジラ。これには少々手を焼いたようで、
背中から間欠泉よろしく潮を吹き、またも海中に姿を消そうと試みた。

「キャップ、ガマクジラが水に潜ります」
イデ隊員の報告が飛ぶ。
「よし!2号機、1号機とともに目印に気球爆弾を撃て」
ムラマツキャップは的確に作戦を遂行していく。
なるほど、気球爆弾ならガマクジラが海中に逃げ込んでも位置が特定できる。

1号機、2号機同時でガマクジラの背に気球爆弾を打ち込んだ。
海面には青、赤、黄、緑、と4つの風船がくっきりと浮かんでいる。

ムラマツキャップは次なる作戦を指示した。
「よし、あの風船を目印に攻撃せよ。
 フジ君、念のためタイヘイヨウ沿岸一体に4つの風船に注意しろと警報を打ってくれ」
「了解!こちら科学特捜隊、怪獣ガマクジラは伊勢湾より東上中。
 青、赤、黄、緑、この4つの風船に注意せよ」



目印をつけられているとはしらないガマクジラ。
相も変わらずのんびりと海中を移動している。
「風船を目標に、ナパーム弾投下!」
ムラマツキャップの命令で、ついに科特隊が総攻撃に出た。
無数に降り注ぐナパーム弾がガマクジラの背中を襲う。

無数に降り注ぐナパーム弾。
その衝撃に耐え切れず、ふたたびガマクジラが海面に姿を現した。
大変に不機嫌そうだ。

ガマクジラは科特隊の総攻撃を受けながらも、今度は陸に上がろうと試みたのだった。
「上陸させるな!全員電子網の準備!」
ムラマツキャップの次なる手は電子網だ。
1号機と2号機の間に網を張り、これにガマクジラを入れて2機で宙吊りにし、
網に高圧電流を流して仕留めようという作戦である。

「電子網作戦開始!」
キャップの号令で2機のビートルはガマクジラの正面に旋回した。
2機はそれぞれ機底に網の両端をつるし、ガマクジラを救い上げようと向かってきた。
「よし、低空飛行に移れ」
網が広げられ、ガマクジラの鼻先へ。
そして見事ガマクジラを網の中に収めることに成功した。

突然網にすくわれ何事かと暴れまくるガマクジラに、更なる攻撃が加えられた。
「放電開始!」
電子網を走る高圧電流。さすがのガマクジラもこれまでだ。



いや、そうではなかった。
ガマクジラは高圧電流に耐えながらも、逃げるチャンスをうかがっていたのだ。
暴れるガマクジラに2機のビートルは操縦桿もままならない。
「ひるむな!放電を続けろ!」
臆するイデ隊員にムラマツキャップは言い放った。

「キャップ!ガマクジラが2号機を!」
フジ隊員の言葉に、見るとガマクジラは電子網からの脱出の術として
2号機を潰そうと考えたようだった。
電気に耐え、2号機を叩き落そうと網の中で必死に背を伸ばすガマクジラ。



「ハヤタ!がんばれ!放電を続けるんだ!!」
しかしハヤタ隊員にはムラマツキャップの通信に答える余裕もなかった。
ムラマツキャップの隣ではイデ隊員が真っ赤な顔で放電ボタンを押し続けている。
かなり無理のある作戦だったのか?

それでもハヤタ隊員は2号機をコントロールしようと必死に操縦桿を操っていた。
だが・・・

「ハヤタさん!」
ついにガマクジラが2号機を叩き落してしまった。
網を支えていた一方がなくなり、ガマクジラは海へと落下。
ハヤタ機は岩場へ墜落、大爆発を起こし炎上したのだった。
残骸となったビートル2号機。

ハヤタ隊員はすんでのところで脱出成功。
しかしその衝撃は大きく、近くの岩場で気を失ったのであった。

(後編に続く)

このページのTOPへ